ショート サンダーランド
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ショート サンダーランド
ショート サンダーランド (Short Sunderland) は、第二次世界大戦においてイギリス空軍で使用されたショート社製の飛行艇である。
概要
[編集]イギリス空軍初の単葉飛行艇で、1938年夏から部隊に配備された。
ドイツ人は、その防御火力からサンダーランドにフリーゲンデス・シュタヘルシュヴァイン(Fliegendes Stachelschwein、飛ぶヤマアラシ)というあだ名をつけた[1][2]。
第二次世界大戦中全期間において世界中のイギリス軍の拠点から救難、哨戒、爆撃の任務に従事した。ドイツ海軍のUボートに最も怖れられていた兵器の1つで、いわば空の“指輪の幽鬼”だった[3]。
終戦後も哨戒、輸送任務で使用が続けられた。最後の機体が退役したのは、1959年5月であった。
なお、民間型の「サンドリンガム」も作られ、1948年3月19日より英国海外航空のサンドリンガムが、プールから香港経由で、日本を占領していたイギリス連邦占領軍の拠点である岩国基地へ乗り入れていた[4]。
スペック
[編集]- 全幅: 34.39 m
- 全長: 26.00 m
- 全高: 10.00m
- 全備重量: 22,700 kg
- エンジン: ブリストル ペガサス22 空冷9気筒 1,010 hp × 4
- 最大速度: 336 km/h
- 実用上限高度:5,500m
- 航続距離: 4,640 km
- 武装
- 7.7mm機銃 × 8
- 爆弾 907 kg
- 乗員: 13名
ユーディの光
[編集]ユーディの光(Yehudi lights)またはイェフディの光と呼ばれる技術は機体の下部を照明によって照らし、地上や海上から空中の航空機を見た場合に背景となる空と同じ明るさにして、光学的なステルスを得るという方法。本機は、ドイツ軍Uボートへの攻撃時にこの技術を使って成功を収めた。その後のレーダーの発達でこの技術は使用されなくなったが、近年の電波に対するステルス技術の発展によって、光学的ステルスとして再び関心が寄せられている。
出典・脚注
[編集]- ^ Werner 1999, p. 105.
- ^ Norris 1967, p. 13.
- ^ 「Engineers of Victory」Paul Kennedy p54
- ^ BOAC TIMETABLE OF SPEEDBIRD WORLD ROUTES (英国海外航空1949年3月時刻表). (1949-3-1). https://sonarmc.com/wordpress/site45/2017/04/18/1949%E5%B9%B4%E3%81%AE%E3%83%AD%E3%83%B3%E3%83%89%E3%83%B3%E3%81%8B%E3%82%89%E6%9D%B1%E4%BA%AC%E3%81%B8%E9%A3%9B%E8%A1%8C%E8%89%87%E3%81%AE%E6%97%85/.
参考文献
[編集]- Werner, H. A. Iron Coffins: A U-boat Commander's War, 1939–45. London: Cassells, 1999. ISBN 0-304-35330-2.
- Norris, Geoffrey. The Short Sunderland (Aircraft in Profile number 189). London: Profile Publications, 1967. No ISBN.
関連項目
[編集]- 偵察機・哨戒機の一覧 - 水上機一覧 - イギリス空軍機の一覧
- ショート スターリング サンダーランドの設計を基にした四発爆撃機
- 二式飛行艇
- ケント公爵ジョージ王子 - イギリス王子。自らが操縦していた同機の墜落事故により死亡。