アマギカンアオイ
アマギカンアオイ | |||||||||||||||||||||
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静岡県伊豆市 2019年4月下旬
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分類(APG IV) | |||||||||||||||||||||
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学名 | |||||||||||||||||||||
Asarum muramatsui Makino[1] | |||||||||||||||||||||
シノニム | |||||||||||||||||||||
和名 | |||||||||||||||||||||
アマギカンアオイ(天城寒葵)[5] |
アマギカンアオイ(天城寒葵、学名: Asarum muramatsui)は、ウマノスズクサ科カンアオイ属の常緑の多年草[5][6][7][8][9]。
特徴
[編集]葉に長さ4-9cmの葉柄があり、葉柄は淡緑色になる。葉身は卵形または卵状三角形で、長さ5-9cm、幅3-6cmになり、先端は鈍頭またはすこしとがり、基部は心形になる。葉質は他種に比べ厚く、葉の表面は強い光沢があり、鮮緑色になり、縁の近くに短毛が散生する。葉脈はいちじるしく陥入する。裏面は無毛で淡緑色になる[5][6][8][9]。
花は4-5月に咲く。花に花弁は無く、萼裂片が花弁状になる。花柄は葉腋からでて長さ1cmほどになり、花は暗紫色で横向きについて地表ちかくに咲く。萼筒は短い鐘状筒形で、長さ10-12mm、径12-15mmになり、上部はややくびれる。萼筒の入口は環状のつばがあり、その周囲に隆起した白いしわ状のひだが形成される。萼筒内壁には縦、横に隆起した多数のひだがあり、複雑な格子状になる。萼裂片は卵形から卵状三角形で、斜上し、長さ8mm、幅10-13mmになり、先は鋭頭となり、表面は暗紫色の短毛が密生し、縁はゆるく波打つ。萼裂片の裏面に毛はない。雄蕊は12個あって葯は外側を向く。花柱は6個あって萼筒の半分より長く、先端は逆長靴形で頂部に柱頭がある[5][6][8][9]。
分布と生育環境
[編集]日本固有種[7]。本州の伊豆半島とその周辺に分布し[5][6][7][9]、低地や山地の[6]落葉広葉樹や常緑広葉樹がまじった林[8]や植林地に生育する[6]。
名前の由来
[編集]和名アマギカンアオイは、「天城寒葵」の意で、最初に採集された伊豆の天城山に基づく[9]。
種小名(種形容語) muramatsui は、採集者で、標本を新種記載者の牧野富太郎に送った松村七郎 (1899 – 1985) への献名である[6][10]。
種の保全状況評価
[編集]絶滅危惧II類 (VU)(環境省レッドリスト)
(2020年、環境省)
分類
[編集]本種は、同属のタマノカンアオイに似るが、同種の葉柄の色は褐色または暗紫色になり、本種の葉柄は淡緑色になること、本種はタマノカンアオイより葉の表面の葉脈のくぼみが深いこと、萼筒や萼裂片が小さい傾向にあることで異なる。また、カギガタアオイに似るが、同種は、萼筒が上部でくびれること、板状突起があまり発達しなこと、秋に開花することで異なる[7][8][9]。
また、前川文夫(1980)は、伊豆半島の下田市の須崎産のカンアオイを、葉の光沢や葉脈の陥入の程度、葉柄の色など、本種とタマノカンアオイの中間的性質をもつとして、本種の変種として、新変種「シモダカンアオイ」Heterotropa muramatsui (Makino) F.Maek. var. shimodana F.Maek.[2][11][12]を記載した。記載にあたってのタイプ標本は、昭和天皇が1980年3月に下田市の須崎御用邸で採集したものである(採集者:Emperor Hirohito, 13 Mar.1980)[2][11]。しかし、現在は、シモダカンアオイは本種に含まれ[6]、var. shimodana は本種のシノニムとなっている[2]。
ギャラリー
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萼筒の入口は環状のつばがあり、その周囲に隆起した白いしわ状のひだが形成される。萼裂片は卵形から卵状三角形で、表面は暗紫色の短毛が密生し、縁はゆるく波打つ。葉柄は淡緑色になる。
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花柄は長さ1cmほどで、花は横向きにつく。萼筒は短い鐘状筒形で、上部はややくびれる。
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虫食いで萼筒が崩れたもの。雄蕊は12個あって葯は外側を向く。花柱は6個あって、先端は逆長靴形で頂部に柱頭がある。
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葉質は他種に比べ厚く、葉の表面は強い光沢があり、鮮緑色になり、縁の近くに短毛が散生する。葉脈はいちじるしく陥入する。
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裏面は無毛で淡緑色になる。
脚注
[編集]- ^ アマギカンアオイ 「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)
- ^ a b c d アマギカンアオイ(シノニム) 「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)
- ^ アマギカンアオイ(シノニム) 「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)
- ^ アマギカンアオイ(シノニム) 「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)
- ^ a b c d e 『山溪ハンディ図鑑2 山に咲く花(増補改訂新版)』p.23
- ^ a b c d e f g h 『改訂新版 日本の野生植物 1』p.64
- ^ a b c d 『日本の固有植物』pp.60-62
- ^ a b c d e 『絶滅危惧植物図鑑 レッドデータプタンツ(増補改訂新版)』p.371
- ^ a b c d e f 『新分類 牧野日本植物図鑑』pp.164-165
- ^ A Contribution to the Knowledge of the Flora of Japan. Tomitaro Makino, Asarum muramatsui Makino, sp. nov.、The Journal of Japanese Botany,『植物研究雑誌』Vol.4, No.6, pp.E11-12, (1927).
- ^ a b Note on the Shimoda-kan'aoi. Fumio Maekawa, シモダカンアオイとその一群、The Journal of Japanese Botany,『植物研究雑誌』Vol.55, No.5, pp.129-131, (1980).
- ^ 『日本の野生植物 草本II離弁花類』p.106
参考文献
[編集]- 佐竹義輔・大井次三郎・北村四郎他編『日本の野生植物 草本II離弁花類』、1982年、平凡社
- 加藤雅啓・海老原淳編著『日本の固有植物』、2011年、東海大学出版会
- 門田裕一監修、永田芳男写真、畔上能力編『山溪ハンディ図鑑2 山に咲く花(増補改訂新版)』、2013年、山と溪谷社
- 大橋広好・門田裕一・木原浩他編『改訂新版 日本の野生植物 1』2015年、平凡社
- 矢原徹一他監修『絶滅危惧植物図鑑 レッドデータプタンツ(増補改訂新版)』、2015年、山と溪谷社
- 牧野富太郎原著、邑田仁・米倉浩司編集『新分類 牧野日本植物図鑑』、2017年、北隆館
- 米倉浩司・梶田忠 (2003-)「BG Plants 和名-学名インデックス」(YList)
- A Contribution to the Knowledge of the Flora of Japan. Tomitaro Makino, Asarum muramatsui Makino, sp. nov.、The Journal of Japanese Botany,『植物研究雑誌』Vol.4, No.6, pp.E11-12, (1927).
- Note on the Shimoda-kan'aoi. Fumio Maekawa, シモダカンアオイとその一群、The Journal of Japanese Botany,『植物研究雑誌』Vol.55, No.5, pp.129-131, (1980).