おとめ座ベータ星
おとめ座β星[1] Beta Virginis | ||
---|---|---|
仮符号・別名 | ザヴィヤヴァ[2], Zavijava[3][4] | |
星座 | おとめ座 | |
見かけの等級 (mv) | 3.60[1] | |
分類 | F型主系列星[1] | |
位置 元期:J2000.0[1] | ||
赤経 (RA, α) | 11h 50m 41.7154591479s[1] | |
赤緯 (Dec, δ) | +01° 45′ 53.017231015″[1] | |
赤方偏移 | 0.000016[1] | |
視線速度 (Rv) | 4.71 km/s[1] | |
固有運動 (μ) | 赤経: 743.367 ミリ秒/年[1] 赤緯: -271.899 ミリ秒/年[1] | |
年周視差 (π) | 89.9258 ± 0.5195ミリ秒[1] (誤差0.6%) | |
距離 | 36.3 ± 0.2 光年[注 1] (11.12 ± 0.06 パーセク[注 1]) | |
絶対等級 (MV) | 3.4[注 2] | |
β星の位置
| ||
物理的性質 | ||
半径 | 1.66 R☉[5] | |
質量 | 1.25 M☉[5] | |
自転速度 | 3 km/s[6] | |
スペクトル分類 | F9V[1] | |
光度 | 3.51 L☉[5] | |
表面温度 | 6,140 K[5] | |
色指数 (B-V) | +0.51[6] | |
色指数 (U-B) | +0.11[6] | |
色指数 (R-I) | +0.28[6] | |
金属量[Fe/H] | 0.20[7] | |
年齢 | 28 - 47 億年[8] | |
他のカタログでの名称 | ||
おとめ座5番星[1] BD+02 2489[1] FK5 445[1] Gaia DR2 3796442680947600768[1] HD 102870[1] HIP 57757[1] HR 4540[1] LTT 13264[1] SAO 119076[1] TYC 273-924-1[1] 2MASS J11504173+0145528[1] |
||
■Template (■ノート ■解説) ■Project |
おとめ座β星 (おとめざベータせい、β Vir / β Virginis) は、おとめ座の方角にある恒星で4等星。
概要
[編集]太陽よりも高温で大きく重いF型主系列星であり、金属量が高い。1973年のMorganとKeenanの研究[9]ではスペクトル分類「F9V」のスペクトル標準星に選ばれている。F型主系列星の中では最も晩期型のサブタイプに分類されており、F型主系列星とG型主系列星の境界に近い物性を持つ。
黄道にかなり近い位置にあるため、月や時には惑星による掩蔽が観測される。次の惑星による掩蔽は、金星により2069年8月11日に起こる。
1922年9月21日の皆既日食の際、太陽近傍にあったこの恒星などを用いて、アルベルト・アインシュタインの一般相対性理論検証観測が 豪州で行われた。
系外惑星の探索
[編集]Nelson & Angel (1998)によると[10]、おとめ座β星には2つか3つの木星型惑星か褐色矮星が存在する可能性があるという。彼らによると、惑星の質量の上限はそれぞれ1.9、5、23木星質量で、軌道周期は15、25、50年である。またCampbell et al. 1988によっても[11]、おとめ座β星の周囲に惑星が存在することが予測された。しかし近年の研究によっても、惑星や矮星の存在は確認されていない。マクドナルド天文台のチームは、1つ以上の惑星が存在するとしたら、その質量は0.16から4.2木星質量、その平均軌道半径は0.05から5.2天文単位であると制限を設けた[12]。
名称
[編集]固有名のザヴィヤヴァ[2] (Zavijava) は、「al-ʿawwāʾ の一角」を意味する zāwiyat al-ʿawwāʾ というアラビア語に由来する[3]。これは本来γ星の名前とされたものが誤ってβ星の名前に使われるようになったものである[3]。β星、γ星、η星、δ星、ε星は、アラビアの月宿で第13番目 al-ʿawwāʾ とされているが、この al-ʿawwāʾ が何を指すのかは定かではない[3]。一説には「吠える犬」を指すともされている[13]。2016年8月21日、国際天文学連合の恒星の固有名に関するワーキンググループは、Zavijavaをおとめ座β星の固有名として正式に承認した[4]。
フィクション
[編集]脚注
[編集]注釈
[編集]出典
[編集]- ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w “Result for betVir”. SIMBAD Astronomical Database. CDS. 2018年7月17日閲覧。
- ^ a b 原恵『星座の神話 - 星座史と星名の意味』(新装改訂版第4刷)恒星社厚生閣、2007年2月28日、121頁。ISBN 978-4-7699-0825-8。
- ^ a b c d Paul Kunitzsch; Tim Smart (2006). A Dictionary of Modern star Names: A Short Guide to 254 Star Names and Their Derivations. Sky Pub. Corp.. p. 60. ISBN 978-1-931559-44-7
- ^ a b “IAU Catalog of Star Names”. 国際天文学連合. 2016年12月1日閲覧。
- ^ a b c d Carrier, F.; Eggenberger, P.; D’Alessandro, A.; Weber, L. (2005). “Solar-like oscillations in the F9 V β Virginis”. New Astronomy 10 (4): 315-323. doi:10.1016/j.newast.2004.11.003. ISSN 13841076. arXiv:astro-ph/0502014v1.
- ^ a b c d 輝星星表第5版
- ^ Gehren, T. (1978). “On the chemical composition and age of Beta VIR”. Astronomy and Astrophysics 65 (3): 427-433 .
- ^ Kaler, Jim (2007年). “Zavijava”. Stars: Portraits of Stars and their Constellations. 2016年12月1日閲覧。
- ^ Morgan & Keenan (1973). Annual Review of Astronomy and Astrophysics 11: 29. Bibcode: 1973ARA&A..11...29M.
- ^ The Range of Masses and Periods Explored by Radial Velocity Searches for Planetary Companions
- ^ A search for substellar companions to southern solar-type stars
- ^ Detection Limits from the McDonald Observatory Planet Search Program
- ^ 近藤二郎『アラビアで生まれた星の名称と歴史 - 星の名前のはじまり』(初版)誠文堂新光社、2012年8月30日、32頁。ISBN 978-4-416-21283-7。
外部リンク
[編集]- “Zavijah”. Alcyone. 2007年6月6日閲覧。