サメハダホシムシ科
サメハダホシムシ科 | |||||||||||||||||||||||||||
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Phascolosoma turnerae
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分類 | |||||||||||||||||||||||||||
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学名 | |||||||||||||||||||||||||||
Phascolosomatidae Stephen & Edmonds, 1972 | |||||||||||||||||||||||||||
属 | |||||||||||||||||||||||||||
サメハダホシムシ科(サメハダホシムシか、Phascolosomatidae)は星口動物門サメハダホシムシ綱の科。3属からなり、サメハダホシムシ目の唯一の科である。
サメハダホシムシ綱は触手が口の背側のみにあり、口を囲まないことが特徴。この綱にはサメハダホシムシ目のほかにタテホシムシ目(タテホシムシ科1科のみ)が含まれるが、タテホシムシ類は体幹部に体表の一部が硬くなった盾状部を持ち、サメハダホシムシ類は持たないことで区別できる[1]。
構成種
[編集]属の特徴は西川[2]による。学名と分類体系はWorld Register of Marine Species[3]に従い、有効名とされるもののみを挙げた。
なお、2012年に発表された分子系統学に基づく分類体系では、以下の3属のうちアンチラサメハダホシムシ属を独立の新科Antillesomatidaeに昇格させ、本科にはイトクズホシムシ属とサメハダホシムシ属の2属のみを含めている[4]。
アンチラサメハダホシムシ属
[編集]アンチラサメハダホシムシ属Antillesoma (Stephen & Edmonds, 1972)は、陥入吻表面に鉤を持たないこと、体腔内で食道に沿って伸びる管(収縮管)に柔毛が生えることで、他の属と区別できる。
- Antillesoma antillarum (Grube, 1858) - アンチラサメハダホシムシ
イトクズホシムシ属
[編集]イトクズホシムシ属Apionsoma Sluiter, 1902は、アンチラサメハダホシムシ属とは違って吻に鉤を持つこと、収縮管に柔毛がないことに加えて、体壁の縦筋が分離しないことで他の属と区別できる。Apiosoma Sluiter, 1902とEdmondsius (Gibbs & Cutler, 1987)の2亜属に分類される。Edmondsiusは、後述するサメハダホシムシ属の亜属とされることもある[2]。
- Apionsoma (Apionsoma) misakianum (Ikeda, 1904) - ミサキフクロホシムシ
- Apionsoma (Apionsoma) murinae (Cutler, 1969)
- Apionsoma (Apionsoma) trichocephalus Sluiter, 1902 - イトクズホシムシ
- Apionsoma (Edmondsius) pectinatum (Keferstein, 1867)
サメハダホシムシ属
[編集]サメハダホシムシ属Phascolosoma Leuckart, 1828は、イトクズホシムシ属と同じく吻に鉤を持ち、収縮管に柔毛を持たない。イトクズホシムシ属との違いは、縦筋が分離することである。Fisherana (Stephen, 1965)とサメハダホシムシ亜属Phascolosoma Leuckart, 1828の2亜属に分類される。
- Phascolosoma (Fisherana) capitatum (Gerould, 1913)
- Phascolosoma (Fisherana) lobostomum Fischer, 1894
- Phascolosoma (Phascolosoma) agassizii Keferstein, 1866 - ヤマトサメハダホシムシ
- Phascolosoma (Phascolosoma) agassizii agassizii Keferstein, 1866
- Phascolosoma (Phascolosoma) agassizii kurilense (Satô, 1937)
- Phascolosoma (Phascolosoma) albolineatum (Baird, 1868) - シロスジホシムシ
- Phascolosoma (Phascolosoma) annulatum (Hutton, 1879)
- Phascolosoma (Phascolosoma) arcuatum (J.E.Gray, 1828)
- Phascolosoma (Phascolosoma) glabrum (Sluiter, 1902)
- Phascolosoma (Phascolosoma) granulatum Leuckart, 1828
- Phascolosoma (Phascolosoma) maculatum (Sluiter, 1886)
- Phascolosoma (Phascolosoma) meteori (Hérubel, 1904)
- Phascolosoma (Phascolosoma) nigrescens (Keferstein, 1865) - ネッタイサメハダホシムシ
- Phascolosoma (Phascolosoma) noduliferum Stimpson, 1855
- Phascolosoma (Phascolosoma) pacificum Keferstein, 1866 - タイヘイサメハダホシムシ
- Phascolosoma (Phascolosoma) parvum Chen, 1963
- Phascolosoma (Phascolosoma) perlucens Baird, 1868 - マガリサメハダホシムシ
- Phascolosoma (Phascolosoma) saprophagicum Gibbs, 1987
- Phascolosoma (Phascolosoma) scolops (Selenka & de Man, 1883) - サメハダホシムシ
- Phascolosoma (Phascolosoma) sinense Chen, 1963
- Phascolosoma (Phascolosoma) stephensoni (Stephen, 1942)
- Phascolosoma (Phascolosoma) turnerae Rice, 1985
利用
[編集]食用や釣り餌用に利用されることがある。
中国福建省の料理である土筍凍は、現地で「土筍」、「可口革嚢星虫」と呼ばれるサメハダホシムシ属のPhascolosoma esculenta[5][6]を煮こごりにしてタレをかけたものである。「土筍」は蒸し物、粥の具などとしても食されており、浙江省などで養殖も行われている[7]。
参考文献・脚注
[編集]- ^ 西川輝昭 著「星口動物門」、白山義久編 編『無脊椎動物の多様性と系統(節足動物を除く)』岩槻邦男・馬渡峻輔監修、裳華房、2000年、pp.193-195頁。ISBN 4785358289。
- ^ a b 西川輝昭 著「星口動物門 Sipuncula」、西村三郎(編著) 編『原色検索 日本海岸動物図鑑』 I、保育社、1992年、299-303頁。ISBN 4586302011。
- ^ Saiz-Salinas, J (2011年). “Phascolosomatidae”. World Sipuncula database. 2011年8月25日閲覧。下位分類群については同データベース内のそれぞれのページを参照。
- ^ Kawauchi, Gisele Y.; Sharma, Prashant P.; Giribet, Gonzalo (2012). “Sipunculan phylogeny based on six genes, with a new classification and the descriptions of two new families”. Zoologica Scripta 41 (2): 186-210. doi:10.1111/j.1463-6409.2011.00507.x.
- ^ 周迎松、丁理発、徐継林、李広宇、厳小軍「可口革嚢星虫主要営養要素的分析」『営養学報』2007年第4期、2007年、中国営養学会・軍事医学科学院、天津
- ^ 「弓形革嚢星虫」Phascolosoma (Phascolosoma) arcuatum J.E.Gray, 1828のシノニム。
- ^ 呉洪喜、陳琛ほか、「可口革嚢星虫人工繁殖試験」『海洋科学』2010年第34巻第3期、pp21-25、2010年、中国科学院海洋研究所、青島