ササヤマグノームス
ササヤマグノームス属 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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ササヤマグノームス
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地質時代 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
前期白亜紀 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
分類 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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学名 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
Sasayamagnomus Tanaka et al., 2024 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
模式種 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
Sasayamagnomus saegusai Tanaka et al., 2024 |
ササヤマグノームス(学名:Sasayamagnomus、「篠山の小人」の意味)は、前期白亜紀(アルビアン)日本の兵庫県丹波篠山市大山下層から産出した新角竜類の属[1]。ササヤマグノームス・サエグサイ(Sasayamagnomus saegusai)を模式種とする[1]。
発見と命名
[編集]模式標本は兵庫県丹波篠山市宮田の小型脊椎動物化石が密集する地層で発見された。17個の頭骨要素、右烏口骨、左脛骨から知られている。右鼻骨が重複していたことから、少なくとも2体分の化石が混合していたことを示唆している[1]。正式な記載に先立ち、2023年に学会抄録の中で発表されていた[2]。
ホロタイプは MNHAH D1-060516で、2024年に新属新種として正式に記載された。属名 Sasayamagnomusは、骨が採取された篠山盆地と、ラテン語でノームを意味するgnomusに由来する。「篠山の地下に隠された財宝を守る小人」という意味が込められている。種小名の saegusai は、丹波地域の恐竜発掘の第一人者であり、兵庫県の古脊椎動物学に多大な貢献をした故・三枝春生博士を称えたものである[1]。
概要
[編集]ササヤマグノームスは日本で産出した角竜類の中で最も保存状態の良い化石であり、角竜類におけるユーラシア大陸最東端の化石記録である。原始的な角竜類であったため、大きなツノやフリルを持たず、全長は約80cm、体重は約10kgと推定された[3]。また、脛骨内部の成長輪や微細構造から、ササヤマグノームスは成長途中の若い個体であることがわかった[4][5]。
分類
[編集]ササヤマグノームスは北アメリカの角竜類に近縁であり、アジアで誕生した角竜類が、当時ユーラシアと北アメリカがベーリング陸橋により陸続きであったことから、北アメリカへの移動が1億1000万年前頃であった可能性が示唆された[4]。Tanaka et al. (2024)はササヤマグノームスを系統解析に加え、基部系統新角竜類の分岐群におき、アクイロプスやアウロラケラトプスの姉妹群であることを明らかにした。以下は、そのクラドグラムを示したもの[1]。
角竜類 |
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古生態学
[編集]ササヤマグノームスは前期白亜紀末のアルビアン前期から中期の地層である大山下層(篠山層群)から知られている[6]。これらの層は主に砂岩、泥岩、礫岩からなる。堆積環境は温帯夏雨気候からステップ気候の河川作用である[7]。恐竜の歯は、その中には他の獣脚類(ドロマエオサウルス類、テリジノサウルス類、ティラノサウルス類)だけでなく、竜脚類、アンキロサウルス類、イグアノドン類などのものが含められ、この地層全体の様々な場所でよく見られる[8]。ヒメウーリサス、サブティリオリサス、ニッポンオオリトゥス、プリズマトウーリサスなど、いくつかの恐竜の卵の化石も記載されている[9]。この地層からはモンスターサウリア類のモロハサウルス、ティタノサウルス形類の竜脚類であるタンバティタニス、トロオドン科の獣脚類であるヒプノヴェナトルが知られている[10][11][6]。また、記載時点においてこの大山下層と特定されていないが、篠山層群からは真獣類のササヤマミロス[12]、スキンク下目のパキゲニス[13]、無尾目のヒョウゴバトラクスとタンババトラクスなどの化石動物相が知られている[14]。
脚注
[編集]- ^ a b c d e Tanaka, Tomonori; Chiba, Kentaro; Ikeda, Tadahiro; Ryan, Michael J. (September 2024). “A new neoceratopsian (Ornithischia, Ceratopsia) from the Lower Cretaceous Ohyamashimo Formation (Albian), southwestern Japan”. Papers in Palaeontology 10 (5). doi:10.1002/spp2.1587.
- ^ 田中公教、千葉謙太郎、池田忠広、久保田克博「兵庫県丹波篠山市の下部白亜系篠山層群大山下層から発見された角竜類の系統解析」『日本古生物学会第172回例会』議事録、2023年2月4日。
- ^ “新属新種の恐竜と判明 17年前に発掘の化石 「アジア→北米」証拠の可能性”. 丹波新聞. 2024年9月7日閲覧。
- ^ a b 「研究成果のポイント・兵庫県丹波篠山市に分布する篠山層群大山下層(約1億 1000 万年前)から植物食恐竜(角 竜類)化石を発見し,新属新種「ササヤマグノームス・サエグサイ」と命名」、2024年9月7日閲覧。
- ^ “兵庫県で発見の角竜類の化石 新属新種と確認 | お知らせ・トピックス”. 岡山理科大学. 2024年9月4日閲覧。
- ^ a b Kubota, K.; Kobayashi, Y.; Ikeda, T. (2024). “Early Cretaceous troodontine troodontid (Dinosauria: Theropoda) from the Ohyamashimo Formation of Japan reveals the early evolution of Troodontinae”. Scientific Reports 14: 16392. doi:10.1038/s41598-024-66815-2. PMC 11272788 .
- ^ Hayashi, Keiichi; Fujita, Saki; Koarai, Kazuto; Matsukawa, Masaki (2017-09-15). “Stratigraphy and paleoenvironment of the Cretaceous Sasayama Group in the Sasayama area, Hyogo Prefecture, western Japan” (英語). The Journal of the Geological Society of Japan 123 (9): 747–764. doi:10.5575/geosoc.2017.0016. ISSN 0016-7630.
- ^ Kubota, Katsuhiro. “日本産の中生代恐竜化石目録 2022年版 [A list of Mesozoic dinosaur fossils from Japan in 2022]”. Bulletin of the Gunma Museum of Natural History 27: 157–170 .
- ^ Tanaka, Kohei; Zelenitsky, Darla K.; Therrien, François; Ikeda, Tadahiro; Kubota, Katsuhiro; Saegusa, Haruo; Tanaka, Tomonori; Ikuno, Kenji (2020). “Exceptionally small theropod eggs from the Lower Cretaceous Ohyamashimo Formation of Tamba, Hyogo Prefecture, Japan”. Cretaceous Research 114: Article 104519. Bibcode: 2020CrRes.11404519T. doi:10.1016/j.cretres.2020.104519.
- ^ Ikeda, T.; Ota, H.; Tanaka, T.; Ikuno, K.; Kubota, K.; Tanaka, K.; Saegusa, H. (2021). “A fossil Monstersauria (Squamata: Anguimorpha) from the Lower Cretaceous Ohyamashimo Formation of the Sasayama Group in Tamba City, Hyogo Prefecture, Japan”. Cretaceous Research 130: Article 105063. doi:10.1016/j.cretres.2021.105063 .
- ^ Saegusa, H.; Ikeda, T. (2014). “A new titanosauriform sauropod (Dinosauria: Saurischia) from the Lower Cretaceous of Hyogo, Japan”. Zootaxa 3848 (1): 1–66. doi:10.11646/zootaxa.3848.1.1. PMID 25112425.
- ^ Kusuhashi, Nao; Tsutsumi, Yukiyasu; Saegusa, Haruo; Horie, Kenji; Ikeda, Tadahiro; Yokoyama, Kazumi; Shiraishi, Kazuyuki (2013-05-22). “A new Early Cretaceous eutherian mammal from the Sasayama Group, Hyogo, Japan” (英語). Proceedings of the Royal Society B: Biological Sciences 280 (1759): 20130142. doi:10.1098/rspb.2013.0142. ISSN 0962-8452. PMC 3619506. PMID 23536594 .
- ^ Ikeda, Tadahiro; Ota, Hidetoshi; Saegusa, Haruo (2015-01-02). “A new fossil lizard from the Lower Cretaceous Sasayama Group of Hyogo Prefecture, western Honshu, Japan” (英語). Journal of Vertebrate Paleontology 35 (1): e885032. doi:10.1080/02724634.2014.885032. ISSN 0272-4634 .
- ^ Ikeda, Tadahiro; Ota, Hidetoshi; Matsui, Masafumi (2016-06-01). “New fossil anurans from the Lower Cretaceous Sasayama Group of Hyogo Prefecture, Western Honshu, Japan”. Cretaceous Research 61: 108–123. doi:10.1016/j.cretres.2015.12.024. ISSN 0195-6671 .