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エゾウコギ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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エゾウコギ
分類
: 植物界 Plantae
: 被子植物門 Magnoliophyta
: 双子葉植物綱 Magnoliopsida
亜綱 : バラ亜綱 Rosidae
: セリ目 Apiales
: ウコギ科 Araliaceae
: ウコギ属 Eleutherococcus
: エゾウコギ E. senticosus
学名
Eleutherococcus senticosus (Rupr. et Maxim.) Maxim.[1]
シノニム
和名
エゾウコギ(蝦夷五加)

エゾウコギ(蝦夷五加木[3]学名Eleutherococcus senticosus)はウコギ科落葉低木。別名は、ハリウコギ[1]薬用植物で根皮を薬用として用いる。

特徴

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北海道樺太に自生することから、北海道・樺太(蝦夷地)の五加(ウコギ)ということで、この名で呼ばれる。他にロシアのアムール州、中国の黒竜江省吉林省にも分布する。山野の林に自生する[3]

落葉広葉樹の低木で、高さは2 - 5メートル (m) になる[3]。樹皮は灰白色で皮目があり、棘が残るものもある[3]。枝の棘は、他のウコギ属の種と比較して、細くて多数つくのが特徴的である[3]。棘はやや下向きで棘のない枝もあるが、成木に比べると、細い幹には棘が多い[3]。花期は8月[3]。冬芽は互生し、円錐形や卵形で褐色[3]。冬芽の下につく葉痕は、浅いV字形やU字形で、維管束痕は5 - 6個つく[3]

利用

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これは、刺五加(しごか)または五加皮(ごかひ)という生薬名がある。

シベリア人参(Siberian Ginseng)とも呼ばれるが、トチバニンジン属の植物ではなく、代表的な薬用「人参」であるオタネニンジンとの類縁関係は薄く、有効成分も異なる。

歴史

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1960年代、オタネニンジンと同じウコギ科の植物であることから、旧ソ連の科学アカデミーが、薬用としての研究を開始したとされる。1962年に強壮剤としての使用が承認され、1964年にエキス剤の生産が開始された。 1980年モスクワオリンピックでは、ソ連がこれを選手団の強化に利用していたとして、話題になった。

日本では、古くアイヌ民族が民間薬として用いていたが、北海道の開拓を進めた和人はその価値を知らず、棘が固く邪魔な雑草として、見つけると片端から駆除を行っていた。「ヘビノボラズ」と俗称されるほどの嫌われようだった。

有効成分と作用

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数種類のエレウテロシド英語版と呼ばれるサポニンを含有し、オタネニンジンが含有するジンセノサイドとの類似性が指摘される。他にクロロゲン酸、イソフラキシジンなどが有効成分といわれる。

動物実験によって報告されている有効作用[4]は、抗ストレス作用[5]、抗疲労作用[6]等があり健康保持食品に含有していることがある[7]

薬物相互作用

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薬物代謝酵素のCYP3A4en:CYP2C9に対する薬物相互作用が報告され[8][7]服用の際は、医師や薬剤師への相談が必要とされている[9]

抗てんかん薬[8]ワルファリン[8]への悪影響や血圧上昇との関連性が認められており高血圧治療中の患者には注意を要する[10]

脚注

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  1. ^ a b 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Eleutherococcus senticosus (Rupr. et Maxim.) Maxim.”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2021年8月22日閲覧。
  2. ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Acanthopanax senticosus (Rupr. et Maxim.) Harms”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2021年8月22日閲覧。
  3. ^ a b c d e f g h i 鈴木庸夫・高橋冬・安延尚文 2014, p. 34.
  4. ^ 溝口亨、加藤葉子、久保田仁志 ほか、実験動物におけるエゾウコギ根抽出物の機能性 日本栄養・食糧学会誌 2004年 57巻 6号 p.257-263, doi:10.4327/jsnfs.57.257
  5. ^ Fujikawa T, Yamaguchi A, Morita I, et al. Protective effects of Acanthopanax senticosus Harms from Hokkaido and its components on gastric ulcer in restrained cold water stressed rats. Biol Pharm Bull 1996; 19: 1227–1230., doi:10.1248/bpb.19.1227
  6. ^ Nishibe S, Kinoshita H, Takeda H, et al. Phenolic compounds from stem bark of Acanthopanax senticosus and their pharmacological effect in chronic swimming stressed rats. Chem Pharm Bull (Tokyo) 1990; 38: 1763–1765., doi:10.1248/cpb.38.1763
  7. ^ a b 高橋恒久、佐藤隆司、渡辺一弘、【原著】食―薬間相互作用:薬物代謝酵素 (CYP2C9) 活性に対するエゾウコギの影響(第 2 報) 日本補完代替医療学会誌 2014年 11巻 1号 p.9-15, doi:10.1625/jcam.11.9
  8. ^ a b c 高橋恒久、五十嵐将樹、佐藤隆司 ほか、【原著】―薬間相互作用:薬物代謝酵素 (CYP3A4, CYP2C9) 活性に対するエゾウコギの影響(第 3 報) 日本補完代替医療学会誌 2014年 11巻 1号 p.17-24, doi:10.1625/jcam.11.17
  9. ^ エゾウコギ - 素材情報データベース<有効性情報>(国立健康・栄養研究所
  10. ^ Rasmussen CB, et al. J Clin Hypertens (Greenwich). 2012 Jul;14(7):467-71.

参考文献

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  • 鈴木庸夫・高橋冬・安延尚文『樹皮と冬芽:四季を通じて樹木を観察する 431種』誠文堂新光社〈ネイチャーウォチングガイドブック〉、2014年10月10日、34頁。ISBN 978-4-416-61438-9 

外部リンク

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