ゲオルク・エーバース
ゲオルク・モーリッツ・エーバース(Georg Moritz Ebers、1837年3月1日 - 1898年8月7日)は、ドイツのエジプト学者、小説家。
姓はエーベルスとも。古代エジプト医学に関する文献であるエーベルス・パピルスに名を残す。
生涯と業績
[編集]エーバースはベルリンに生まれた。父親はユダヤ人で、はじめモーゼス・エフライムといったが、1828年にキリスト教に改宗してモーリッツ・エーバースに名を変えた[1]。
1856年にゲッティンゲン大学に入学して法学を学んだが、その後エジプト学をベルリン大学のカール・リヒャルト・レプシウスに学んだ[1]。1864年にゲッティンゲン大学の博士の学位を得た。
1865年にイェーナ大学の私講師、1869年にエジプト学の員外教授に任命された。翌1870年にライプツィヒ大学の員外教授に移り、1875年には正教授に昇任した。
調査のために1869-70年と1872-73年の2回エジプトを訪れた[1][2]。
学術的研究の一方で、エーバースは古代エジプトを題材にした通俗的な歴史小説を多数出版した。初期の作品である『エジプトの王女』(1864、全3巻)は1928年までに40万部が売れ、16か国語に翻訳された[1]。教授職についてからも、最晩年まで小説を発表し続けた。
エジプト以外の歴史小説も書いたが、エジプト物ほど成功しなかった[2]。
1874年に、古代エジプト医学について詳細に記述されたパピルスをテーベで入手した。
1876年から健康を害し、研究からは遠ざかっていった[1]。1888年からはミュンヘンに住んだ[3]。1889年に教職を退いた[2]。
1898年にバイエルンのトゥッツィングで没した。
主な著書
[編集]著作集『Georg Ebers gesammelte Werke』が出版されている(1893-1897、32冊)。
学術書
[編集]- Aegypten und die Bücher Mose's. Leipzig: Wilhelm Engelmann. (1868)(エジプトとモーセの書)
- Durch Gosen zum Sinai. Leipzig: Wilhelm Engelmann. (1872)(ゴシェンからシナイへ)
- Papyros Ebers, das hermetische Buch über die Arzeneimittel der alten Ägypter in hieratischer Schrift. Leipzig: Wilhelm Engelmann. (1875)(エーベルス・パピルスについて)
- Cicerone durch das alte und neue Aegypten. Deutsche Verlags-Anstalt. (1886)
- Aegyptische Studien und Verwandtes. Deutsche Verlags-Anstalt. (1900)(没後に編纂された論文集)
小説
[編集]- Eine ägyptische Königstochter. Stuttgart: Eduard Hallberger. (1864)(エジプトの王女、3巻)
- Uarda. Roman aus dem alten Aegypten. Eduard Hallberger. (1876)(3巻)
- Homo sum. Eduard Hallberger. (1879) [1876]
- Die Schwestern. Eduard Hallberger. (1880)(姉妹)
- Der Kaiser. Eduard Hallberger. (1881) 巻1 巻2(皇帝)
- Die Frau Bürgermeisterin. Deutsche Verlags-Anstalt. (1882)(市長の妻)
- Ein Wort. Deutsche Verlags-Anstalt. (1883)
- Serapis. Deutsche Verlags-Anstalt. (1885)(セラピス)
- Die Nilbraut. Deutsche Verlags-Anstalt. (1887)(ナイルの花嫁)
- Die Gred. Deutsche Verlags-Anstalt. (1889)
- Per Aspera. Deutsche Verlags-Anstalt. (1892) 巻1 巻2(困難を越えて)
- Kleopatra. Deutsche Verlags-Anstalt. (1894)(クレオパトラ)
- Im Schmiedefeuer. Deutsche Verlags-Anstalt. (1895)(鍛冶の火)
- Barbara Blomberg. Deutsche Verlags-Anstalt. (1897)(バルバラ・ブロムベルク)
- Arachne. Deutsche Verlags-Anstalt. (1898)(アラクネー、最後の作品)
その他
[編集]- Die Geschichte meines Lebens. Deutsche Verlags-Anstalt. (1893)(成人するまでの自伝)
- Richard Lepsius, ein Lebensbild. Leipzig: Wilhelm Engelmann. (1885)(レプシウスの伝記)
脚注
[編集]参考文献
[編集]- Richard Pietschmann (1910). "Ebers, Georg". Allgemeine Deutsche Biographie (ドイツ語). Vol. 55. Leipzig: Duncker & Humblot. pp. 469–473.
- Karl Richter: Ebers, Georg. In: Neue Deutsche Biographie (NDB). Band 4, Duncker & Humblot, Berlin 1959, ISBN 3-428-00185-0, S. 249 f. (電子テキスト版).
- “Ebers, Gerog Moritz”. ブリタニカ百科事典第11版. 8. Cambridge: University Press. (1910). pp. 841-842
関連項目
[編集]外部リンク
[編集]- Georg Ebers, The Literature Network
- Books by Ebers, Georg, Project Gutenberg(プロジェクト・グーテンベルク)