コンテンツにスキップ

英文维基 | 中文维基 | 日文维基 | 草榴社区

グラーツ市電260形電車

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
デュワグカー > グラーツ市電260形電車
グラーツ市電260形電車
グラーツ市電580形電車
282(1971年撮影)
基本情報
製造所 260形 ローナードイツ語版シメリング・グラーツ・パウカードイツ語版
製造年 260形 1963年 - 1966年
製造数 260形 23両(261 - 283)
改造年 580形 1997年 - 1998年
改造数 580形 4両(581 - 584)
運用終了 260形 2013年(グラーツ市電)
580形 2014年(グラーツ市電)
投入先 グラーツ市電
ブライラ市電(譲渡先)
主要諸元
編成 260形 2車体連接車
580形 3車体連接車
軸配置 260形 Bo'2'Bo'
580形 Bo'2'2'Bo'
軌間 1,435 mm
電気方式 直流600 V
架空電車線方式
最高速度 60 km/h
車両定員 260形 115人(着席40人)
580形 155人(着席58人)
車両重量 260形 24.1 t
580形 26.9 t
全長 260形 19,560 mm
580形 26,200 mm
全幅 260形 2,240 mm
580形 2,240 mm
主電動機出力 55 kw
出力 220 kw
備考 主要数値は[1][2][3][4][5][6][7]に基づく。
テンプレートを表示

260形は、かつてオーストリア路面電車であるグラーツ市電に在籍していた電車。同路線初の連接車(2車体連接車)として導入され、1960年代から2010年代まで長期に渡り使用された。この項目では、260形を改造し3車体連接車とした580形についても解説する[1][2][3][4]

260形

[編集]

1960年、オーストリア運輸省は同国で使用される鉄道車両に対し、25 km/hを超える運用に適した制動装置(レールブレーキ)の装備を義務付けた。これに伴い、グラーツ市電では第二次世界大戦以前に製造された、レールブレーキの搭載に適さない旧型車両の置き換えが急務となった。そこでこれらの車両の代替として1961年に発注が行われたのが、グラーツ市電初の連接車となった260形である[1][2][6]

ドイツの鉄道車両メーカーであったデュッセルドルフ車両製造(現:デュワグ)が各都市に生産していた路面電車車両(デュワグカー)をライセンス生産した片運転台式の2車体連接車で、製造を手掛けたのはオーストリアに工場を有したローナードイツ語版(現:アルストム)とシメリング・グラーツ・パウカー(SGP)ドイツ語版(現:シーメンス)であった[1][4][6]

1963年に13両(ローナー、SGP製)が製造され、同年3月29日から営業運転を開始した後、1965年 - 1966年にも10両(SGP製)が増備され、戦前製の旧型車両は置き換えられた[注釈 1]。製造当初は前照灯が2個並んで設置されていたが、1986年までに1個に減らされた。また、1969年から1975年にかけて、製造当初から搭載済みだった1両(283)を除き、シーメンスが開発した「SIMATICドイツ語版」を用いた自動速度制御(進段)システムが搭載された。以降も長期に渡って使用されたが、後継となる超低床電車の導入に伴い廃車が進み、2013年7月5日をもって営業運転を終了した[1][2][3][6]

引退後は1両(267)がグラーツ路面電車博物館ドイツ語版で動態保存されている一方、4両については廃車後にルーマニアブライラ市電ブライラ)への譲渡が行われている[5][8][9]

580形

[編集]
580形(582)

260形のうち4両(266、270、273、276)については、1997年から1998年にかけてドイツヴッパータール市電ドイツ語版ヴッパータール)から譲渡され、1990年代に廃車となった550形の中間車体を流用し3車体連接車とする改造がグラーツ市電の車両工場で実施され、形式名も580形(581 - 584)へ改められた[注釈 2]。そのうち2両(266、270)については事故により破損しており、580形への改造に合わせて前面部分の新造を始めとした復旧工事が行われた[1][4][3][7]

改造当初、挿入された中間車体は前後車体と異なり赤色黄色で塗装されていたが、後年に同一の塗装へと変更された。これらの車両は2014年7月6日までグラーツ市電で使用され、廃車後は3両がブライラ市電へ譲渡されている[1][4][3][5][8][7]

脚注

[編集]

注釈

[編集]
  1. ^ ローナー製の車両は5両(261 - 265)、SGP製の車両は18両(266 - 283)であった。
  2. ^ 改番は「273→581」「276→582」「270→583」「266→584」という形で行われた。

出典

[編集]
  1. ^ a b c d e f g Wolfgang Kaiser (2016-5-18). Straßenbahn in Österreich: Alle aktuellen und ehemaligen Betriebe Kindle Ausgabe. GeraMond Verlag. ISBN 978-3956130168. https://books.google.co.jp/books?id=iSrEDwAAQBAJ 2023年3月18日閲覧。 
  2. ^ a b c d Die Elektische Von den Anfängen bis nach dem 2. Weltkrieg”. Tramway Museum Graz. 2023年3月18日閲覧。
  3. ^ a b c d e Die Elektrische Ein Rückblick auf die letzten 50 Jahre”. Tramway Museum Graz. 2023年3月18日閲覧。
  4. ^ a b c d e “19.Jahrestangung der Arbeitsgemeinshaft Historischer Nahverker”. Tramway Journal (Tramway Museum Graz) 29. (2007). https://www.yumpu.com/de/document/read/34525127/egtw-serie-260-tramway-museum-graz 2023年3月18日閲覧。. 
  5. ^ a b c Vehicle Statistics Brăila, Tramway”. Urban Electric Transit. 2023年3月18日閲覧。
  6. ^ a b c d Gelenktriebwagen, Reihe 260”. ÖPNV Strreich. 2023年3月18日閲覧。
  7. ^ a b c Gelenktriebwagen, Reihe 580”. ÖPNV Strreich. 2023年3月18日閲覧。
  8. ^ a b Analiză Mobilitate.eu – Situația achizițiilor de tramvaie noi în România”. Mobilitate.eu (2020年5月2日). 2023年3月18日閲覧。
  9. ^ Fahrzeuge Die Oldtimerflotte des TMG”. Tramway Museum Graz. 2023年3月18日閲覧。