クロムチタンイエロー
クロムチタンイエロー(chrome titan yellow)は、セラミック顔料の1つで、ルチル型二酸化チタン(TiO2)にクロムとアンチモン、ニオブあるいはタングステンが固溶した黄色顔料[1][2]。クロムチタン黄とも呼ばれ、英語ではchromium titanium yellowと表記されることもある。二酸化チタンにクロムとアンチモンが固溶したものをTi-Cr-Sb系と呼び、二酸化チタンにクロムとタングステンが固溶したものをTi-Cr-W系と呼ぶ。また二酸化チタンにクロムとニオブが固溶したものをTi-Cr-Nb系と呼ぶ。
なおクロムチタンイエロー以外のクロムを含む黄色顔料のクロムは全て6価なのに対して、クロムチタンイエローのクロムは3価である。そのためクロムチタンイエローは低毒性の安全な顔料であると言える。
Ti-Cr-Sb系
[編集]二酸化チタン、酸化クロム(Cr2O3)、三酸化アンチモン(Sb2O3)を配合し[3]、1300℃で焼成することによりアンチモンはSb5+イオンとなり、ルチル型のCrSbO4の形でTiO2に固溶[3]。Colour Index Generic Nameは、Pigment Brown 24である[2]。
Ti-Cr-W系
[編集]二酸化チタン、酸化クロム(Cr2O3)、タングステン酸アンモニウム((NH4)2WO4)を配合し[3]、Ti-Cr-Sb系同様1300℃で焼成し、三重ルチル型のCr2WO6の形でTiO2に固溶[3]。Colour Index Generic NameはPigment Yellow 163である[1]。
Ti-Cr-Nb系
[編集]Colour Index Generic NameはPigment Yellow 162である[1]。
用途
[編集]クロムチタンイエローはセラミック顔料であるが、酸化チタンは釉薬と反応しやすいため[3]、専らタイルの素地に練り込んで使用する[3]。セラミックス以外では、様々な絵具メーカーがクロムチタンイエローを用いて絵具を製造している。最近では塗料やプラスチック等の着色にも用いられている[3]。
脚注
[編集]参考文献
[編集]- 『日本大百科全書 第7巻』 小学館、1986年1月1日初版第1刷刊行、ISBN 4-09-526107-2