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イオルゴス・セフェリス

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
Giorgos Seferis
イオルゴス・セフェリス
イオルゴス・セフェリス (1921)
誕生 Georgios Seferiades
(1900-03-13) 1900年3月13日
オスマン帝国 イズミル県
死没 1971年9月20日(1971-09-20)(71歳没)
ギリシャの旗 ギリシャ アテネ
職業 詩人外交官
国籍 ギリシャの旗 ギリシャ
最終学歴 パリ大学
主な受賞歴 ノーベル文学賞(1963)
署名
ウィキポータル 文学
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ノーベル賞受賞者ノーベル賞
受賞年:1963年
受賞部門:ノーベル文学賞
受賞理由:ヘレネの世界観への深い感情から着想を得た、優れた詩作に対して

イオルゴス・セフェリス(Giorgos Seferis、ギリシア語: Γιώργος Σεφέρης1900年3月13日ユリウス暦2月29日)-1971年9月20日)は20世紀で最も偉大なギリシャ詩人の一人で、ノーベル文学賞受賞者である。また外交官として1957年から1962年までイギリス大使館にいた。

セフェリスというのはペンネームであり、本当の苗字のSeferiadis(Σεφεριάδης)を縮めたものである。

人物

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セフェリスは小アジアイズミル近郊にあるウルラで生まれた。父親のStelios Seferiadisは弁護士兼詩人、翻訳家で、後にアテネ大学の教授となった。また彼は君主制に反対しメガリ・イデアを支持するヴェニゼロス主義者で、公用語としてのカサレヴサの支持者だった。これらの主義は息子にも受け継がれ、1914年に一家はアテネに移住した。セフェリスは1918年から1925年まで、パリ大学法学を学んだ。大学生時代の1922年9月、2年間のギリシャの統治の後、スミルナが再びトルコに併合され、セフェリスの家族を含むギリシャ人たちは難民となった。セフェリスはその後1950年までスミルナを訪れなかったが、故郷を失った感情はセフェリスの詩の中に多分に表れ、それは彼がオデュッセウスの物語に興味を示すようになったことからも窺うことができる。セフェリスはまた、コンスタンディノス・カヴァフィスT・S・エリオットエズラ・パウンドらの詩人からも多大な影響を受けている。

セフェリスは1925年にアテネに戻り、ギリシャ外務省に入省した。ここから彼の輝かしい外交官としてのキャリアが始まり、1931年から1934年にはイングランド1936年から1938年にはアルバニアに赴任した。1941年4月10日、ドイツ軍がギリシャに侵攻する前日にマリア・ザンノウと結婚した。第二次世界大戦中、セフェリスはギリシャ自由政府とともにクレタエジプト南アフリカ共和国イタリア等で亡命生活を送り、1944年に再びアテネに帰還した。戦後も外交官として、1948年から1950年アンカラ1951年から1953年にロンドンに赴任した。彼は1953年から1956年にかけて、レバノンシリアヨルダンイラクの首相を指名し、1957年から1961年にはイギリスに大使として赴任したが、これが彼の外交官としての最後の仕事となった。セフェリスは多くの名誉や賞を得たが、その中には1960年にケンブリッジ大学、1964年にオックスフォード大学、1964年にサロニカ大学、1965年にプリンストン大学からそれぞれ贈られた名誉博士号等も含まれる。

キプロス

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セフェリスは1953年11月に初めてキプロスを訪れた。景色や人種構成、習慣などが故郷の夏と似ていたため、彼はすぐにこの島が気に入った。彼の詩集Imerologio Katastromatos IIIはこの島から着想を得たものであり、多くの詩はこの島で作られたものである。その後6、7年間、セフェリスは一遍も詩を書かなかった。この詩集の当初のタイトルは、エウリピデスヘレネの中で、ヘレネの兄弟のテウクロスが、アポローンがキプロスは彼の故郷であると宣言したと語った場面から引用してCyprus, where it was ordained for me…というものであった。このタイトルでは、セフェリスがこの島を見つけた時の故郷に帰ってきたような嬉しい気持ちがよく表れている。セフェリスは、1959年の版からこのタイトルを変更した。

政治的には、キプロスはイギリス、ギリシャ、トルコの間で領有が争われていた。その後の数年間でセフェリスは外交官としての地位を確立し、多大な努力を払ってキプロス領有問題の解決にあたった。この時期は、彼が公の仕事と私の感情を混同していた数少ない時期であった。

ノーベル賞

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1963年、セフェリスの「ヘレネの世界観への深い感情から着想を得た優れた詩の創作」に対して、ノーベル文学賞が贈られた。セフェリスはギリシャ人として初めてのノーベル文学賞受賞者となった。彼が20世紀のギリシャの文芸復興においてなした役割はこの賞の決定に大きく影響を与えたと思われる。しかし彼の受賞スピーチでは、スフィンクスからオイディプスに出された謎掛けを引き合いに出して、彼自身の人間主義者としての哲学が強調された。

1969年の声明

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1967年、ギリシャに軍事独裁政権が誕生すると、続く2年間で国内に検閲や政治的な拘禁、拷問などが蔓延し、セフェリスはこの体制に強く反抗することとなった。1969年3月28日、彼は英国放送協会に声明を出し、これは同時にアテネの全ての新聞で報じられた。彼はその中で、この異常事態は終わらなければならないと主張した。

セフェリスは、ギリシャ軍事政権がキプロスのマカリオス3世を打倒しようとしたことに端を発し、トルコがキプロスに侵攻した1974年の事件を見届ける前に世を去った。

セフェリスの葬儀では、彼の棺に続いて多くの群集がアテネの通りを歩き、ミキス・テオドラキスがセフェリスの詩Denial (希:ArnisiSto Perigiali to Kryfo とも) を歌い上げた。軍事独裁政権に抵抗し続けた彼は、民衆のヒーローだった。

その他

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セフェリスのブルー・プラークは、ロンドン市内の2箇所、51アッパーブルック・ストリートとスローン・アベニューに飾られている。

1999年、1920年代の希土戦争以来の悪感情から、彼にちなんだイズミルのYorgos Seferis Sokagiという地名を改名しようという議論が起こった。

2004年、Sigmatropicというバンドにより、セフェリスの詩を引用し、セフェリスに捧げられた16 Haiku & Other Storiesというアルバムがリリースされた。レコーディングにはキャット・パワーロバート・ワイアットらも参加した。また2004年のアテネオリンピックの開会式で、セフェリスのMythistoremaという詩の一節が読み上げられた。

主な作品

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  • Strofi Στροφή (Strophe, 1931 in poetry|1931)
  • Sterna Στέρνα (The Cistern, 1932 in poetry|1932)
  • Mythistorima Μυθιστόρημα (Tale of Legends, 1935 in poetry|1935)
  • Tetradio Gymnasmaton Τετράδιο Γυμνασμάτων (Exercise Book, 1940 in poetry|1940)
  • Imerologio Katastromatos I Ημερολόγιο Καταστρώματος Ι (Deck Diary I, 1940 in poetry|1940)
  • Imerologio Katastromatos II Ημερολόγιο Καταστρώματος ΙΙ (Deck Diary II, 1944 in poetry|1944)
  • Kichli Κίχλη (The Thrush, 1947 in poetry|1947)
  • Imerologio Katastromatos III Ημερολόγιο Καταστρώματος ΙΙΙ (Deck Diary III, 1955 in poetry|1955)
  • Tria Kryfa Poiimata Τρία Κρυφά Ποιήματα (Three Hidden Poems, 1966 in poetry|1966)

散文

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  • Dokimes (Essays) 3 vols. (vols 1-2, 3rd ed. (ed. G.P. Savidis) 1974, vol 3 (ed. Dimitri Daskalopoulos) 1992)
  • Antigrafes (Translations) (1965)
  • Meres (Days – diaries) (7 vols., published post-mortem, 1975-1990)
  • Exi nyxtes stin Akropoli (Six Nights at the Acropolis) (published post-mortem, 1974)
  • Varvavas Kalostefanos. Ta sxediasmata (Varnavas Kalostefanos. The drafts.) (published post-mortem, 2007)

邦訳

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  • セフェリス詩抄 秋山健編訳、ノーベル賞文学全集:主婦の友社、1972
  • セフェリス詩集 志田信男編訳、世界現代詩文庫:土曜美術社、1988、新版1991
  • 現代ギリシャ詩選 中井久夫訳、みすず書房、1985。代表作収録