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キョヨン・サン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
キョヨン・サン
基本情報
船種 ケミカルタンカー
所有者 Keoyoung Shipping(2005年-2024年)
建造所 佐々木造船
母港 済州市
IMO番号 9146924
MMSI番号 440554000
経歴
起工 1995年
竣工 1996年6月
最後 2024年
要目
総トン数 870トン
載貨重量 1,304トン[1]
全長 68.82m[2]
垂線間長 64m[2]
10.8m
喫水 4.4m
推進器 固定ピッチプロペラ
出力 1,177kW
速力 12.3ノット
乗組員 11名(2024年の事故当時)
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キョヨン・サン (: Keoyoung Sun: 거영 선) は、大韓民国ケミカルタンカーである。1996年に建造されたが、2024年に悪天候の山口県沖で転覆した。

船舶概要

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1996年広島県大崎上島佐々木造船により建造され、当初は日本の船主により「さんのう丸」[注釈 1]と命名された。その後、韓国のキョヨン海運(Keoyoung Shipping Company)に売船され、2005年3月に「Keoyoung Yun」に船名変更された[4]。2018年の一時期、「Nan Liam 11」に船名を改めたが、間もなく「キョヨン・サン」に変更した[4]

トン数870トン、全長68.82m、垂線間長64.0m、幅は10.82m。10槽の化学タンクを有し、載貨重量トン数は1,304トンであった。赤阪鐵工所製の、出力1,177kWのディーゼルエンジンを搭載し[2]、1基の固定ピッチプロペラで速力12.3ノットの性能を有していた。

転覆事故

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2024年3月18日午後6時ごろ、アクリル酸980トンを積載し兵庫県姫路港から韓国南東部の蔚山広域市蔚山港英語版)に向けて出港した同船は、荒天のため20日午前2時ごろより、瀬戸内海から関門海峡を抜けた先の山口県六連島の北北西約8kmの海域に停泊していた。福岡管区気象台によると、発達した低気圧のため下関市周辺では19日夕方より暴風警報と波浪注意報が発令され、4mほどの高波が予想されていた。同日午前7時5分ごろ、「船が傾いている」との118番通報を受け、第七管区海上保安本部門司海上保安部の巡視艇など4隻が捜索したところ、同8時半ごろにキョヨン・サンが転覆しているのが発見された[5]。乗員11人(インドネシア人8人、韓国人2人、中国人1人[5])のうち、生存者は1人。9人の死亡が確認され、1人は同年5月時点で行方不明のままである[6]。5月23日から、サルベージ船による撤去作業が開始された[7]

2024年4月16日には、キョヨン海運が所有する別のケミカルタンカー「キョヨン・パイオニア」が[8]中国福州市福州港英語版)から名古屋港へ向けて、鹿児島県十島村口之島北西約6kmの海域を航行中に針路の適正を欠いたために座礁[9]、積荷のシクロヘキサンが流出する事故が起きている[10]

脚注

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注釈

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  1. ^ 漢字不詳。全長・出力が同規模の「三皇丸」の海難事故の記録があるが[3]、同一船との確認が取れず。

出典

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  1. ^ KEOYOUNG SUN”. magicport.ai. 2024年8月16日閲覧。
  2. ^ a b c Marine MAN Ltd ® – KEOYOUNG SUN (Chemical/Oil Products Tanker) - IMO 9146924”. 2024年8月14日閲覧。
  3. ^ 貨物船三皇丸貨物船第十大栄丸衝突事件日本財団図書館)
  4. ^ a b Keoyoung Sun - IMO 9146924”. Shipspotting.com. 21 March 2024閲覧。
  5. ^ a b “下関市沖で転覆したタンカー、8人死亡・2人行方不明…姫路港から韓国・蔚山に向かう途中”. 読売新聞. (2024年3月21日). オリジナルの2024年4月11日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20240411093329/https://www.yomiuri.co.jp/local/kyushu/news/20240321-OYTNT50032/ 2024年8月14日閲覧。 
  6. ^ “下関市沖のケミカルタンカー転覆事故、6月には撤去か~船内に残る燃料の抜き取り作業進む”. 山口放送. (2024年5月2日). オリジナルの2024年5月22日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20240522101211/https://news.ntv.co.jp/n/kry/category/society/kr92a481c8e541419395f6778a2d61218f 2024年8月14日閲覧。 
  7. ^ “下関沖の転覆タンカー2カ月ぶりに姿 船体引き起こし 安定後に撤去作業へ”. 山口新聞. (2024年5月24日). オリジナルの2024年8月16日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20240816021946/https://yama.minato-yamaguchi.co.jp/e-yama/articles/74019 2024年8月16日閲覧。 
  8. ^ “口之島沖タンカー座礁 所有会社の別のタンカーが先月にも事故”. NHK鹿児島放送局. (2024年4月22日). https://www3.nhk.or.jp/lnews/kagoshima/20240422/5050026645.html 2024年8月16日閲覧。 
  9. ^ “「航行中に適切な航路とらず座礁させた」 ケミカルタンカー船長の韓国人男を書類送検 離礁できず重油流出続く 鹿児島海保”. 南日本新聞. (2024年4月22日). オリジナルの2024年5月16日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20240516234054/https://373news.com/_news/storyid/193799/ 2024年8月16日閲覧。 
  10. ^ “座礁したケミカルタンカーの積み荷「シクロヘキサン」?周辺で基準超す…鹿児島県・口之島沖”. 読売新聞. (2024年4月26日). オリジナルの2024年7月4日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20240704062540/https://www.yomiuri.co.jp/local/kyushu/news/20240426-OYTNT50117/ 2024年8月16日閲覧。