未来放浪ガルディーン
未来放浪ガルディーン | |
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ジャンル | SF[1] |
小説 | |
著者 | 火浦功 |
イラスト | 出渕裕 |
出版社 | 角川文庫→角川スニーカー文庫 |
レーベル | 角川書店 |
刊行期間 | 1986年8月13日 - |
巻数 | 既刊5巻(本編3巻+外伝2巻) (2000年12月現在) |
テンプレート - ノート | |
プロジェクト | ライトノベル |
ポータル | 文学 |
『未来放浪ガルディーン』(みらいほうろうガルディーン)は、火浦功による日本のライトノベル。イラストは出渕裕が担当している。角川文庫→角川スニーカー文庫(角川書店)より1986年8月から刊行されている。
あらすじ
[編集]時代は遥か未来。文明崩壊後の戦国、波乱の時代。強大な武力を誇るヴァルマー帝国は、300年の伝統ある名門フレイヤー家を滅ぼした。これにより、全国統一の野望に燃えるジョージ〈無謀王〉ヴァルマーに対抗する勢力はほぼ壊滅した。しかし、男として育てられたフレイヤー家の王女コロナ〈筋肉娘〉フレイヤーは生き残り、単騎ヴァルマー宮殿に乗り込み、父の仇であるジョージを見事討ち取った。
すぐさまお尋ね者となったコロナは、ひょんなことから知り合ったシャラ=シャール・酒姫とスリム〈口先男〉ブラウンと共に放浪の旅に出る。そして逃げた先で出会ったのは、旧世紀の巨大機動メカ、T-178ガルディーンであった。
登場人物
[編集]声の項はイメージ・アルバム「大歌劇。」、カセットブック「大熱血。」での担当声優。
コロナ一行
[編集]- コロナ〈筋肉娘〉フレイヤー
- 声 - 田中真弓
- 父ガイ(すちゃらか王)の趣味により男として育てられ、女性の振舞がしたくても出来ない王女様。化け物並みの身体能力を誇るが、王室育ちらしく世間知らず。父王の敵、ヴァルマーを討ったことで帝国に追われる身となった。大のネズミ嫌い。
- シャラ〈シャール〉酒姫
- 声 - 井上瑤
- 酒姫の読みは「さき」。
- 一見、可憐な美少女だが実は男。女の武器も使いこなすお尋ね者。その過去は不明だが、無意識のうちにガルディーンやコーラルリーフなどの仕様などを口走る。コロナの敵討ちの現場に居合わせたため、共に追われることになった。
- スリム〈口先男〉ブラウン
- 声 - 鈴置洋孝
- 口先ひとつで金品を巻上げ、世間を渡るお調子もの。シャラとは長い腐れ縁。大の賭博好きだが、とんでもなく弱い。
- T-178ガルディーン
- 声 - 塩沢兼人(「大歌劇。」) / 銀河万丈(「大熱血。」)
- 自律型で、歌って踊れてベタ塗りも出来る戦闘メカ、「オーガニックエンフォーサー」を自称するが、武器を使うよりもまず口を使うことが多い。コロナを自分のパイロットとして認識し、旅に同行するが、コロナには怒られることが多く、たびたびいじけている。
- ヤマト・マーベリック一尉
- 声 - 富山敬
- この作品唯一の常識人。殖民惑星からやって来た為、地球の現状を知らない。
ヴァルマー帝国
[編集]- ジョージ〈無謀王〉ヴァルマー
- 声 - 郷里大輔
- 辺境の油売りから、たった一代で帝国を築き上げた立派な成り上がり者。
- キリー〈陰険王〉レステス
- 声 - 青野武
- ヴァルマー帝国乗っ取りを画策し、目的のためにはどんな卑怯な手も使う。寒い小噺を披露しては、周囲を地獄に引きずり込む。
- ベリアル少佐
- 声 - 神谷明
- キリーの懐刀として汚れ役を一手に引き受け、コロナ抹殺を遂行するもいつも未遂に終わり、彼女に接触するたび、体の一部を失うハメに陥っている。
- アルタミラ〈出戻り〉カーン
- 声 - 榊原良子(「大歌劇。」) / 多岐川まり子(「大熱血。」)
- トロイの教育係。ヴァルマーの息子であるトロイを王位につけるため、軍を率いてトロイと共にコロナ討伐に向かうが、未だ目的を達成できず、帝国に戻れずにいる。美人だが、キツイ性格をしている。
- トロイ〈軟弱王〉ヴァルマー
- 声 - 難波圭一
- 父〈無謀王〉とは正反対の大人しくおっとりした性格の王子。
- ブラスターキッド・レーベンブロイ
- 声 - 銀河万丈
- ハードボイルドが売りの賞金稼ぎ。コロナの首を狙ってトロイの討伐隊にちゃっかり加わる。
その他の勢力
[編集]- ガイ〈すちゃらか王〉フレイヤー
- 声 - 田中亮一
- 故人。コロナの父親。
- コーラルリーフ〈さんごちゃん〉
- 声 - 笠原弘子
- 「大歌劇。」に登場する原子力潜水艦。ガルディーンと同様に自律型。
- エイハブ沖田
- 声 - 納谷悟朗
- 「大歌劇。」に登場。捕鯨戦艦「怒涛号」の船長。モビィ・ディック(コーラルリーフの事)に片足を喰いちぎられ、復讐を誓う。
- ますこみ族
- 声 - 出渕裕、為替良月、米田裕、宮脇加奈子
- 先祖代々の伝承を守り、事件の現場に必ず現れ取材やインタビューを行う。
制作背景
[編集]本作の元になったのは、1980年代前半にゆうきまさみがカットを担当していた『アニメック』のアニメーション評論ページである[2]。そこに漫画『ストップ!! ひばりくん!』の「美少女のような男性」大空ひばりが『うる星やつら』の「男として育てられた女性」藤波竜之介に「てめえなんかにオレの気持ちがわかってたまるかーっ!!」と殴り飛ばされているカットを描いた際、それをヒントに火浦と出渕裕が「性別が逆転したような二人組が主人公の珍道中もの」としてアニメーションの企画にまとめた[2]。更にゆうきの協力も得て、アニメの企画として通りやすくするために「(感情豊かな)巨大ロボット」の要素を付加し、製作会社に持ち込んだ[3]。しかし企画は通らず、企画買い取りでもなかったので、そのまま引き上げてしまった[3]。
その後、火浦が「企画そのものは面白いから小説にしたい」と両者に提案し、『未来放浪ガルディーン』が誕生することとなる[3]。それ故に本作は、メディアミックスでないにもかかわらず「巨大ロボットが活躍する小説」という、1986年当時としては珍しい内容になった[3]。なお、執筆しているのは火浦だが、キャラクターデザインをゆうき、メカデザインを出渕が担当している(イラストは両者が分担して担当)。また、毎巻の最後には三者鼎談が収録されている。
既刊一覧
[編集]角川文庫
[編集]- 火浦功(著)・出渕裕(イラスト) 『未来放浪ガルディーン』 角川書店〈角川文庫〉、全2巻
- 「大熱血。」1986年8月13日発売[4]、ISBN 4-04-162702-8
- 「大暴力。」1987年8月11日発売[5]、ISBN 4-04-162704-4
角川スニーカー文庫
[編集]本編
[編集]- 火浦功(著)・出渕裕(イラスト) 『未来放浪ガルディーン』 角川書店〈角川スニーカー文庫〉、既刊3巻(2000年12月25日現在)
- 「大熱血。 無敵が俺を呼んでるぜ!」1998年4月発行、ISBN 4-04-162702-8
- 「大暴力。 かわいいだけじゃダメかしら♥」1998年4月発行、ISBN 4-04-162704-4
- 「大豪快。 勝手にしやがれ……ってか!」2000年12月25日発売[6]、ISBN 4-04-162711-7
外伝
[編集]- 火浦功(著)・出渕裕(イラスト) 『未来放浪ガルディーン外伝』 角川書店〈角川スニーカー文庫〉、既刊2巻(1998年3月26日現在)
- 「大出世。」1994年4月26日発売[7]、ISBN 4-04-162708-7
- 「大ハード。」1998年3月26日発売[8]、ISBN 4-04-162709-5
関連作品
[編集]イメージ・アルバム
[編集]- 『未来放浪ガルディーン 大歌劇。』ダブリューイーエー・ジャパン、1992年4月
カセットブック
[編集]- 『未来放浪ガルディーン 大熱血。』角川書店(カドカワカセットブック)、1988年11月
脚注
[編集]- ^ 一柳廣孝・久米依子『ライトノベル研究序説』青弓社、2009年4月23日、142頁。ISBN 978-4-7872-9188-2。
- ^ a b 火浦功、出渕裕、ゆうきまさみ「大無謀対談ー"ガルディーン"のつくりかた」『未来放浪ガルディーン① 大熱血。』(11版)角川書店〈角川文庫〉、1986年8月25日、295-296頁。ISBN 4-04-162702-8。
- ^ a b c d 火浦功、出渕裕、ゆうきまさみ「大無謀対談ー"ガルディーン"のつくりかた」『未来放浪ガルディーン① 大熱血。』(11版)角川書店〈角川文庫〉、1986年8月25日、297-298頁。ISBN 4-04-162702-8。
- ^ “大熱血。 未来放浪ガルディーン”. KADOKAWA. 2024年1月5日閲覧。
- ^ “大暴力。 未来放浪ガルディーン”. KADOKAWA. 2024年1月5日閲覧。
- ^ “大豪快。 未来放浪ガルディーン”. KADOKAWA. 2024年1月5日閲覧。
- ^ “大出世。 未来放浪ガルディーン外伝”. KADOKAWA. 2024年1月5日閲覧。
- ^ “大ハード。 未来放浪ガルディーン外伝”. KADOKAWA. 2024年1月5日閲覧。