コンテンツにスキップ

英文维基 | 中文维基 | 日文维基 | 草榴社区

未来放浪ガルディーン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ガルディーンから転送)
未来放浪ガルディーン
ジャンル SF[1]
小説
著者 火浦功
イラスト 出渕裕
出版社 角川文庫角川スニーカー文庫
レーベル 角川書店
刊行期間 1986年8月13日 -
巻数 既刊5巻(本編3巻+外伝2巻)
(2000年12月現在)
テンプレート - ノート
プロジェクト ライトノベル
ポータル 文学

未来放浪ガルディーン』(みらいほうろうガルディーン)は、火浦功による日本ライトノベルイラスト出渕裕が担当している。角川文庫角川スニーカー文庫角川書店)より1986年8月から刊行されている。

あらすじ

[編集]

時代は遥か未来。文明崩壊後の戦国、波乱の時代。強大な武力を誇るヴァルマー帝国は、300年の伝統ある名門フレイヤー家を滅ぼした。これにより、全国統一の野望に燃えるジョージ〈無謀王〉ヴァルマーに対抗する勢力はほぼ壊滅した。しかし、男として育てられたフレイヤー家の王女コロナ〈筋肉娘〉フレイヤーは生き残り、単騎ヴァルマー宮殿に乗り込み、父の仇であるジョージを見事討ち取った。

すぐさまお尋ね者となったコロナは、ひょんなことから知り合ったシャラ=シャール・酒姫スリム〈口先男〉ブラウンと共に放浪の旅に出る。そして逃げた先で出会ったのは、旧世紀の巨大機動メカ、T-178ガルディーンであった。

登場人物

[編集]

声の項はイメージ・アルバム「大歌劇。」、カセットブック「大熱血。」での担当声優。

コロナ一行

[編集]
コロナ〈筋肉娘〉フレイヤー
声 - 田中真弓
父ガイ(すちゃらか王)の趣味により男として育てられ、女性の振舞がしたくても出来ない王女様。化け物並みの身体能力を誇るが、王室育ちらしく世間知らず。父王の敵、ヴァルマーを討ったことで帝国に追われる身となった。大のネズミ嫌い。
シャラ〈シャール〉酒姫
声 - 井上瑤
酒姫の読みは「さき」。
一見、可憐な美少女だが実は男。女の武器も使いこなすお尋ね者。その過去は不明だが、無意識のうちにガルディーンやコーラルリーフなどの仕様などを口走る。コロナの敵討ちの現場に居合わせたため、共に追われることになった。
スリム〈口先男〉ブラウン
声 - 鈴置洋孝
口先ひとつで金品を巻上げ、世間を渡るお調子もの。シャラとは長い腐れ縁。大の賭博好きだが、とんでもなく弱い。
T-178ガルディーン
声 - 塩沢兼人(「大歌劇。」) / 銀河万丈(「大熱血。」)
自律型で、歌って踊れてベタ塗りも出来る戦闘メカ、「オーガニックエンフォーサー」を自称するが、武器を使うよりもまず口を使うことが多い。コロナを自分のパイロットとして認識し、旅に同行するが、コロナには怒られることが多く、たびたびいじけている。
ヤマト・マーベリック一尉
声 - 富山敬
この作品唯一の常識人。殖民惑星からやって来た為、地球の現状を知らない。

ヴァルマー帝国

[編集]
ジョージ〈無謀王〉ヴァルマー
声 - 郷里大輔
辺境の油売りから、たった一代で帝国を築き上げた立派な成り上がり者。
キリー〈陰険王〉レステス
声 - 青野武
ヴァルマー帝国乗っ取りを画策し、目的のためにはどんな卑怯な手も使う。寒い小噺を披露しては、周囲を地獄に引きずり込む。
ベリアル少佐
声 - 神谷明
キリーの懐刀として汚れ役を一手に引き受け、コロナ抹殺を遂行するもいつも未遂に終わり、彼女に接触するたび、体の一部を失うハメに陥っている。
アルタミラ〈出戻り〉カーン
声 - 榊原良子(「大歌劇。」) / 多岐川まり子(「大熱血。」)
トロイの教育係。ヴァルマーの息子であるトロイを王位につけるため、軍を率いてトロイと共にコロナ討伐に向かうが、未だ目的を達成できず、帝国に戻れずにいる。美人だが、キツイ性格をしている。
トロイ〈軟弱王〉ヴァルマー
声 - 難波圭一
父〈無謀王〉とは正反対の大人しくおっとりした性格の王子。
ブラスターキッド・レーベンブロイ
声 - 銀河万丈
ハードボイルドが売りの賞金稼ぎ。コロナの首を狙ってトロイの討伐隊にちゃっかり加わる。

その他の勢力

[編集]
ガイ〈すちゃらか王〉フレイヤー
声 - 田中亮一
故人。コロナの父親。
コーラルリーフ〈さんごちゃん〉
声 - 笠原弘子
「大歌劇。」に登場する原子力潜水艦。ガルディーンと同様に自律型。
エイハブ沖田
声 - 納谷悟朗
「大歌劇。」に登場。捕鯨戦艦「怒涛号」の船長。モビィ・ディック(コーラルリーフの事)に片足を喰いちぎられ、復讐を誓う。
ますこみ族
声 - 出渕裕、為替良月、米田裕、宮脇加奈子
先祖代々の伝承を守り、事件の現場に必ず現れ取材やインタビューを行う。

制作背景

[編集]

本作の元になったのは、1980年代前半にゆうきまさみがカットを担当していた『アニメック』のアニメーション評論ページである[2]。そこに漫画『ストップ!! ひばりくん!』の「美少女のような男性」大空ひばりが『うる星やつら』の「男として育てられた女性」藤波竜之介に「てめえなんかにオレの気持ちがわかってたまるかーっ!!」と殴り飛ばされているカットを描いた際、それをヒントに火浦と出渕裕が「性別が逆転したような二人組が主人公の珍道中もの」としてアニメーションの企画にまとめた[2]。更にゆうきの協力も得て、アニメの企画として通りやすくするために「(感情豊かな)巨大ロボット」の要素を付加し、製作会社に持ち込んだ[3]。しかし企画は通らず、企画買い取りでもなかったので、そのまま引き上げてしまった[3]

その後、火浦が「企画そのものは面白いから小説にしたい」と両者に提案し、『未来放浪ガルディーン』が誕生することとなる[3]。それ故に本作は、メディアミックスでないにもかかわらず「巨大ロボットが活躍する小説」という、1986年当時としては珍しい内容になった[3]。なお、執筆しているのは火浦だが、キャラクターデザインをゆうき、メカデザインを出渕が担当している(イラストは両者が分担して担当)。また、毎巻の最後には三者鼎談が収録されている。

既刊一覧

[編集]

角川文庫

[編集]
  • 火浦功(著)・出渕裕(イラスト) 『未来放浪ガルディーン』 角川書店〈角川文庫〉、全2巻
    1. 「大熱血。」1986年8月13日発売[4]ISBN 4-04-162702-8
    2. 「大暴力。」1987年8月11日発売[5]ISBN 4-04-162704-4

角川スニーカー文庫

[編集]

本編

[編集]
  • 火浦功(著)・出渕裕(イラスト) 『未来放浪ガルディーン』 角川書店〈角川スニーカー文庫〉、既刊3巻(2000年12月25日現在)
    1. 「大熱血。 無敵が俺を呼んでるぜ!」1998年4月発行、ISBN 4-04-162702-8
    2. 「大暴力。 かわいいだけじゃダメかしら」1998年4月発行、ISBN 4-04-162704-4
    3. 「大豪快。 勝手にしやがれ……ってか!」2000年12月25日発売[6]ISBN 4-04-162711-7

外伝

[編集]
  • 火浦功(著)・出渕裕(イラスト) 『未来放浪ガルディーン外伝』 角川書店〈角川スニーカー文庫〉、既刊2巻(1998年3月26日現在)
    1. 「大出世。」1994年4月26日発売[7]ISBN 4-04-162708-7
    2. 「大ハード。」1998年3月26日発売[8]ISBN 4-04-162709-5

関連作品

[編集]

イメージ・アルバム

[編集]
  • 『未来放浪ガルディーン 大歌劇。』ダブリューイーエー・ジャパン、1992年4月

カセットブック

[編集]
  • 『未来放浪ガルディーン 大熱血。』角川書店(カドカワカセットブック)、1988年11月

脚注

[編集]
  1. ^ 一柳廣孝・久米依子『ライトノベル研究序説』青弓社、2009年4月23日、142頁。ISBN 978-4-7872-9188-2 
  2. ^ a b 火浦功出渕裕ゆうきまさみ「大無謀対談ー"ガルディーン"のつくりかた」『未来放浪ガルディーン① 大熱血。』(11版)角川書店角川文庫〉、1986年8月25日、295-296頁。ISBN 4-04-162702-8 
  3. ^ a b c d 火浦功出渕裕ゆうきまさみ「大無謀対談ー"ガルディーン"のつくりかた」『未来放浪ガルディーン① 大熱血。』(11版)角川書店角川文庫〉、1986年8月25日、297-298頁。ISBN 4-04-162702-8 
  4. ^ 大熱血。 未来放浪ガルディーン”. KADOKAWA. 2024年1月5日閲覧。
  5. ^ 大暴力。 未来放浪ガルディーン”. KADOKAWA. 2024年1月5日閲覧。
  6. ^ 大豪快。 未来放浪ガルディーン”. KADOKAWA. 2024年1月5日閲覧。
  7. ^ 大出世。 未来放浪ガルディーン外伝”. KADOKAWA. 2024年1月5日閲覧。
  8. ^ 大ハード。 未来放浪ガルディーン外伝”. KADOKAWA. 2024年1月5日閲覧。