カトリーヌ・ヘスリング
カトリーヌ・ヘスリング(Catherine Hessling、発音 : [katʁin (h)ɛsliŋ]、本名 : Andrée Madeleine Heuschling、1900年6月22日 - 1979年9月28日)は、フランス・マルヌ県出身の女優(かつて日本語では誤って「カトリーヌ・エスラン」と表記されていた時期もあったが[1][2]、後述のように片仮名表記では「カトリーヌ・ヘスリング(又は、エスリング)」が正確な発音に最も近い)。一般的な知名度は後期印象派の巨匠ピエール=オーギュスト・ルノワール晩年のモデル(愛称:「デデ」)、かつピエール=オーギュストの息子で映画監督ジャン・ルノワールの最初の妻としてのものが大きい。
1920年にジャン・ルノワールと結婚。1921年には長男アランも生まれた。夫のジャン・ルノワールと共にかねてよりアメリカ映画狂だった彼女は、自ら憧れのアメリカ女優風にキャサリーン・ヘスリング([kǽθərin hɛsliŋ]、のちにカトリーヌ・ヘスリング [katʁin hɛsliŋ])と名乗り[3]、1924年にジャン・ルノワール脚本・監督の『カトリーヌ』(共同監督にアルベール・デュードネがクレジットされている)にて銀幕デビューを果たす。つまり、ジャン・ルノワールが映画監督となったきっかけは女優になりたかったカトリーヌの希望を叶えるためであった[3][4]。
1931年にジャンが初のトーキー映画となった『牝犬』(La chienne)の主演女優にジャニー・マレーズ(Janie Marèse)を抜擢したことでジャンとの夫婦生活に亀裂が入り、1943年にジャンと離婚した[5][6]。
離婚後も複数の作品に出演したものの、大きな印象を残すには至らなかった。1979年9月にパリ郊外で没した。
主な出演映画
[編集]- 『カトリーヌ』-Catherine ou Une vie sans Joie(1924年)
- 『水の娘』-La Fille de l'eau(1925年)、監督:ジャン・ルノワール
- 『女優ナナ』-Nana (1926年)、監督:ジャン・ルノワール
- 『マッチ売りの少女』-La Petite marchande d'allumettes (1928年)、監督:ジャン・ルノワール
- 『港町にて』-En Rade (1928年)、監督:アルベルト・カヴェルキャンティ
- 『上から下まで』-Du Haut en Bas (1933年)、監督:ゲオルク・ヴィルヘルム・パープスト
- 『罪と罰』-Crime et Chatiment (1935年)、監督:ピエール・シュナール
カトリーヌ・ヘスリングを描いた作品
[編集]- ルノワール 陽だまりの裸婦 - 2012年のフランス映画。ピエール=オーギュスト・ルノワールの伝記映画。
脚注
[編集]- ^ ジャン・ルノワール(この書籍の初版発行は1977年と古く、一貫して片仮名表記「エスラン」が使用されていた)『ジャン・ルノワール自伝』みすず書房、1977年7月5日。ISBN 4622015587。
- ^ ロナルド・ハーガン 著、関弘 訳(この書籍においても片仮名表記「エスラン」が採用されていた)『ジャン・ルノワール』トパーズプレス、1996年1月20日。ISBN 4924815160。
- ^ a b Philippe De Vita (23 septembre 2020). Dictionnaire Jean Renoir - Du cinéaste à l’écrivain. Honoré Champion. pp. 171-174. ISBN 9782380960105
- ^ Jean Renoir (28 mai 2008). Ma Vie et mes films. Flammarion. ISBN 9782081214736
- ^ Jean Renoir - Entretiens et Propos. Éditions de l’Étoile (Cahiers du cinéma). (15 octobre 1979)
- ^ Pascal Mérigeau (3 octobre 2012). Jean Renoir. Flammarion. ISBN 9782081210554