コンテンツにスキップ

英文维基 | 中文维基 | 日文维基 | 草榴社区

パワーボート

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
パワーボート

パワーボート (powerboat) は、モーターボートを使った競技(モータースポーツ)及びそれらで使われる船体のことを示す。クラスによっては最高速度は200km/hを越えるものもあり、「海のF1」などとも呼ばれる。

クラス

[編集]

2005年現在のレギュレーションブックによると、概要は以下のとおりである。また、いずれのクラスにおいてもハイドロフォイル(水中翼)の使用は認められない。

フォーミュラクラス

[編集]

更に「F550」「F850」「F3000」に細分化されている(以前は他に「S550」というクラスがあった)。エンジンはそれぞれ数字の排気量以下。艇体はカタマラン双胴船)。

ハイドロクラス

[編集]

更に「OSY400」「K400」「0:350」に細分化されている。エンジンはそれぞれ数字の排気量以下。艇体はハイドロプレーンと呼ばれる、比較的平面に近い艇底を持ち、水面を飛び跳ねるように浮いて走る(プレーニング)タイプのものが使われる。現在、競艇に使われているものと同じタイプのボートである。

Vクラス

[編集]

更に「V850」「V3000」に細分化されている。エンジンは、前者は870cc以下、後者は3000cc以下。艇体は「ランナバウト」と呼ばれる、艇底がV字型をしたもの(モノハル艇とも呼ぶ)。よく見掛けるモーターボートに比較的近い形態である。

オフショアクラス

[編集]

更に「OFF1~OFF4」「オフショアオープン」「オフショアスーパー」に分かれる。艇体の様式には制限がないが、カタマラン(双胴船)タイプのものが多い。エンジンは、クラスによって許容排気量・許容出力・搭載可能数が異なるほか、インボード(艇体内にエンジンを積む)とアウトボード(船外機を使う)でも細かく異なる。オフショアオープンクラスのインボードガソリンエンジン艇の場合、1000馬力・16387cc以下のエンジンを2基まで搭載することができる。日本でも、過去にはオフショアスーパー艇として4基掛け(エンジンを4基搭載)などというものが登場したこともある。

操縦

[編集]

ランナバウト艇はコーナリングの際にオートバイのようにバンクローリング)することができ、旋回方向の内側に船体を傾けてコーナーを回る(傾きは大型船舶のそれとは逆になる)。対してカタマラン艇・ハイドロプレーン艇は、四輪車のようにバンクせず(ドリフト走行のよう)に回る。

「フォーミュラクラス」、「ハイドロクラス」、「Vクラス」は単座であり、乗員1名が搭乗して操縦する(Vクラス艇はサイズとしては複座にすることも可能)。

特徴的なのは競争水面が沖合が中心の「オフショアクラス」である。このクラスでは一般に機関出力をコントロールするスロットルマンとドライバー(操舵手)の2名構成、時にはナヴィゲーションマンが加わった3名構成で操縦する。スロットルマンはエンジンの制御を行い、ドライバーは進路を決める。ナヴィゲーションマンはレースコースを指示するいわば航海士のような役目をする。このうち最も熟練を要するのはスロットルマンであるという[注釈 1]。また、外洋レースでは、ヘリコプターなどを使って上空からのナヴィゲーションや戦略指示などが行われることもある。

レース

[編集]

アメリカ合衆国地中海などでは比較的ポピュラーなレースだが、日本ではあまり盛んであるとは言えない。

日本国内でも、比較的小さいクラスのボートを使うレースは各地で行われている。対してオフショア艇もエントリーできるビッグレースは数が少なく、木曽川で行われる日本グランプリパワーボートレースが唯一となっている。過去には、瀬戸内ローズカップ熱海オーシャンカップなどが行われていた時期もある。

脚注

[編集]

注釈

[編集]
  1. ^ パワーボートは吃水が浅くプロペラが離水することもしばしばである。このときスロットルを開けた状態だとプロペラに水の抵抗が掛からないため、容易にエンジンが過回転となり、エンジンを壊してしまう。したがってパワーボートが水面を飛び跳ね、プロペラが離水した瞬間にスロットルを戻し、かつプロペラが着水したときにはスロットルを開けてエンジンが出力を出した状態に戻すという、相反するスロットル操作が求められる。

出典

[編集]

関連項目

[編集]

外部リンク

[編集]

日本パワーボート協会