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ウェルカム・トラスト

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ウェルカム図書館から転送)
ウェルカム・トラスト
Wellcome Trust
創立者 ヘンリー・ウェルカム(Henry Wellcome
団体種類 公益信託
設立 1936年
活動地域
従業員数 約2,000名(2023年12月現在)
ウェブサイト https://wellcome.org
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ウェルカム・トラスト英語: The Wellcome Trust)は、イギリスロンドンに本拠地を置く、国際保健などへの研究支援を目的とした世界屈指の資産規模の医療研究財団[1][2]

近年の取り組むべき3つの課題として『メンタルヘルス』『感染症』『気候変動』を掲げている[3]

概要

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アメリカ出身の製薬長者サーヘンリー・ウェルカムの財産を管理するため1936年に設立された。その収入は、かつてバロウス・ウェルカム社 (Burroughs Wellcome & Co) と名乗り、のちにイギリスでウェルカム財団(Wellcome Foundation Ltd., ウェルカム社 Wellcome plc)と改称した団体から拠出されている。

トラストの使命は、人および動物の健康増進を目的とする研究を助成することにある。また、生物医学研究への資金提供に加え、一般の科学理解を深めるための支援もしている。医学史に関する膨大な蔵書を誇るウェルカム図書館を抱えるが、これも一般向けに無償公開している。

2020 年の寄付金は291億ポンドで 、世界で4番目に裕福な慈善財団である[4]。2012年、ウェルカム トラストは、英国最大の科学研究に対する非政府資金提供者であり、世界最大規模の提供者の1つであるとフィナンシャル タイムズ紙が報じた

活動

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ウェルカム・トラストは生物医学研究に年間4億ポンド以上を出資している。そのほとんどは健康や病気についての理解を増進するための研究の支援に向けられているが、即物的なものではなく、その医療上の効果は数年後に現れる。ウェルカム・トラストからの資金は以下のことに役立てられてきた。

ウェルカム・トラストはロンドンのユーストン通りに2つの建物を所有している。まずは、1932年にポートランド島の石灰岩で建てられた183番地の建物である。これは印象的な外観を呈し、3階には天井の高い図書閲覧室がある。隣接する215番地には、ガラスと鋼鉄のギブスビルがある。設計はホプキンス・アーキテクツで、2004年に慈善事業の管理本部として開館した。

ウェルカム・トラストは、アメリカ合衆国ではバロウズ・ウェルカム財団 (Burroughs Wellcome Fund) を設立した。

2006年に、トラストは SCIART production scheme を通じて、Josh Appiganesi と Mia Bays が手がけた短編映画『エクス・メモリア』(EX MEMORIA) に資金供与した。これは、アルツハイマー病に罹った女性エヴァの闘病を描いたもので、2006年11月に英国インディペンデント映画賞の最優秀英国短編映画部門にノミネートされた。

図書館と公共施設

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2007年4月に、ウェルカム・ビルは改修の後で再開館した。この改修には、「ウェルカム・コレクション」と呼ばれる一般向けの催事場もふくまれている。この催事場の目的は、現在の医学や医学史に関する現在の考えについて、一般向けの理解を増進することが企図されている。ここには、展示場、会議場、ワークショップ、喫茶室、書店などが設置されている。ギャラリーでは、ヘンリー・ウェルカム卿のコレクションの一部が展示されているほか、その時々の催事プログラムを主催している。ウェルカムトラスト医学史センター (The Wellcome Trust Centre for the History of Medicine at UCL) はここでの組織の一つである。

ウェルカム図書館は、ウェルカムビルにある。この図書館には、医学史に関する書物、写本、写真、フィルムやデジタルファイルなどの膨大なコレクションが所蔵されている。この所蔵資料は医学史に関する世界でも最重要のもののひとつであり、しかも、一般向けに週のうち6日間は無償で開放されている。

製薬業との関連

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製薬産業部門との分離に着手した1986年には、トラストはウェルカム社の株のうち、25 %を一般向けに売却した。1995年には物議を醸したものの、残る株式を歴史的なライバルであったグラクソ社 (Glaxo plc) に売却し、グラクソ・ウェルカム社 (GlaxoWellcome plc) を設立した。これによって、トラストは製薬部門からは一切手を引いた。この合併で得た資金は、20世紀末から21世紀初頭のトラストの発展に大きく寄与した。なお、2000年にグラクソ・ウェルカム社が他の英国企業スミスクライン・ビーチャムと合併し、グラクソ・スミスクライン社 (GlaxoSmithKline plc) となったことで、薬事ビジネスからウェルカムの名が消えた。

ウェルカム・トラストは、その後ブーツ社 (Boots) 買収に意欲を見せるテラ・フィルマ (Terra Firma) とHBOSのコンソーシアムに参加することで、再び薬の製造・小売業に関わるようになっている。

財団関係者一覧

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脚注

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  1. ^ フォトレポート(ジェレミー・ファーラー ウェルカム・トラスト理事長による表敬)”. 厚生労働省 (2022年12月5日). 2022年12月5日閲覧。
  2. ^ ジェレミー・ファーラー・ウェルカム財団理事長による武井外務副大臣表敬”. 外務省 (2022年12月6日). 2022年12月6日閲覧。
  3. ^ メンタルヘルスの問題解決にアートを通して向き合う——「ウェルカム・トラスト」財団の試み”. ヒルズライフ (2022年9月13日). 2022年9月13日閲覧。
  4. ^ Value of Wellcome’s investments passes £25 billion” (英語). Wellcome (2018年12月18日). 2023年11月4日閲覧。

参考文献

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  • 以下は初版翻訳元となった英語版ウィキペディアに掲げられていたものである。
    • Hall, A.R. & Bembridge, B.A. Physic and philanthropy: a history of the Wellcome Trust 1936-1986. Cambridge (UK): Cambridge University Press, 1986. ISBN 0-521-32639-7
    • Open Access a Must for Wellcome Trust Researchers, press release by Wellcome Trust

関連項目

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外部リンク

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