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ケープハイラックス

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
イワアナグマから転送)
ケープハイラックス
保全状況評価
LEAST CONCERN
(IUCN Red List Ver.3.1 (2001))
分類
ドメイン : 真核生物 Eukaryota
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 哺乳綱 Mammalia
: イワダヌキ目 Hyracoidea
: イワダヌキ科 Procaviidae
: ハイラックス属 Procavia
: ケープハイラックス P. capensis
学名
Procavia Storr1780
Procavia capensis (Pallas1766)
和名
ケープハイラックス
英名
Cape Hyrax
ケープハイラックスの生息図

ケープハイラックスまたはロックハイラックスCape Hyrax, Rock Hyrax, Procavia capensis)はイワダヌキ目イワダヌキ科ハイラックス属の1種で、ハイラックス属唯一の現生種である。

他のハイラックスと同様、短い耳と尻尾の様子がモルモットに似ているが、別のであり、原始的な特徴をもった有蹄動物である。

南アフリカではダシー (dassies)、スワヒリ語では「ピンビ (pimbi)」「ペレレ (pelele)」「ウィバリ (wibari)」と呼ばれる。ピンビ、ペレレは、今ではハイラックス全部を指す。ケープハイラックスには多くの亜種がある。ロックハイラックスは、アフリカに住む亜種を指すことが多い。

ヘブライ語では שפן סלע (shafan sela) あるいは Rock Shafan と呼ばれるが、Shafan の語源は「隠れる」である[1]

形態

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ケープハイラックスは1対の長いを持ち、切歯大臼歯サイに似ている。前足は足裏を地に付けており、後ろ足はほぼ、踵を付けずに歩く。足裏は長くて柔らかく、汗に似た分泌物が出ている。オスはメスよりもやや大きい。

生態

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地面や低い木の草・葉を食べる。

ケープハイラックスは生後2年か3年で妊娠し、6か月から7か月で出産する。新生児は十分生育しており、目も完全に開いており、毛も生え揃っている。生後2週間で固いエサを食べられるようになり、10週間で離乳する。生後16か月で大人となり、3年で大人と同じ大きさになり、寿命は10年ほどである。

ハイラックスは80匹ぐらいまでの群れを作る。群れはいくつかのグループに分かれており、1グループは1匹のオスが率い、数家族から成る。ハイラックスはほとんどの時間、数匹が群れて、あるいは1匹でひなたぼっこをしていることが多い。これはハイラックスの体温が周囲の気温の影響を受けやすい、つまり恒温動物として未発達であるためとも言われている。

人間との関係

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ヒラセウム

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西ケープ州、ギフバーグ峠に形成されたケープハイラックスの糞塚
西ケープ州、ギフバーグ峠に形成されたケープハイラックスの糞塚

ケープハイラックスが暮らす岩場には何世代にもわたって糞や尿が蓄積し、ヒラセウム英語版と呼ばれる樹脂状の塚が形成される。このヒラセウムは南アフリカでは伝統薬としててんかん痙攣発作に処方されるほか、香水の原料としてフランスにも輸出される[2]

また、タンザニアのトングェ族の男性は鍛冶師が作った先込め式で狩猟を行うが、銃に使う火薬はケープハイラックスの糞を燃やしたものにマッチ黄燐硝石を調合して自作する[3]

ギャラリー

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出典

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脚注

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  1. ^ The Camel, the Hare and the Hyrax, chapter 6” (PDF). 2008年8月9日閲覧。
  2. ^ Olsen 2011.
  3. ^ 武田 1984, p. 30.

参考文献

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外部リンク

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