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アルカエオグロブス属

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
アーキオグロバス属から転送)
アルカエオグロブス属
分類
ドメイン : 古細菌 Archaea
: ユリアーキオータ界
Euryarchaeota
: ユリアーキオータ門
Euryarchaeota
: アルカエオグロブス綱
Archaeoglobi
: アルカエオグロブス目
Archaeoglobales
: アルカエオグロブス科
Archaeoglobaceae
: アルカエオグロブス属
Archaeoglobus
学名
Archaeoglobus
Stetter et al. 1988

アルカエオグロブス属Archaeoglobusアーキオグロバス属)は熱水噴出孔油田鉱床などに生息する好熱中性偏性嫌気性古細菌の一属。

主に嫌気条件で硫酸塩を還元(硫酸塩呼吸)する硫酸還元菌の一種であるが、本属は古細菌に属しており、古典的な硫酸還元菌(デルタプロテオバクテリア綱、サーモデスルフォバクテリア門、ニトロスピラ門などの真正細菌)の系統には属していない。メタン菌の系統に近接しており、極めて微弱ながらメタン生成能も備えている。

性質

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形態は幅0.3-1μm程度の不定形の球菌、糖タンパク質より成る細胞壁(S層)を持つ。様々な環境ストレスによりバイオフィルムを形成する性質がある。

偏性嫌気性であり、分離源は原油中や熱水噴出孔からが多い。75-85°CpH5-7付近でよく増殖する。多様な有機物を硫酸呼吸により代謝し従属栄養的に増殖するほか、水素を基質として化学合成独立栄養的にも増殖が可能。代謝の結果として硫化水素硫化鉄を生産するため、原油関連施設でパイプの腐食や毒ガスによる被害、原油の劣化などを引き起こすことがある。

分類

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A. fulgidus A. フルギドゥス

基準種。1988年北海油田より発見されたが、沿岸の熱水噴出域にも生息する。生育範囲は60-95℃(至適生育温度は83℃)、pHは5.5-7.5(同pH6.5)。水素/二酸化炭素+硫酸塩で独立栄養的に増殖する。増殖に1-3.5%(同1.5%)の低濃度のNaClを要求する。0.6μm程のやや不定形な球菌で、1極の鞭毛を持つ。1997年に全ゲノムが解読され(DSM 4304株)、ゲノムサイズ217万8400塩基対、ORF2420と推定された。

A. infectus A. infectus

水曜海山海底熱水系から分離されたもの。酢酸を基質として従属栄養的に増殖する。至適増殖温度は70℃と、この属ではやや低い。

A. lithotrophicus A. リトトロピクス

石油鉱床中に生息。硫酸を還元。80℃付近でよく増殖。

A. profundus A. プロフンドゥス

深海の熱水鉱床中に生息。有機物を基質として、硫酸の他に亜硫酸チオ硫酸などを還元して従属栄養的に増殖する。鞭毛は無い。生育範囲は65-90℃、82℃でよく増殖。

A. veneficus A. ウェネフィクス

深海の熱水鉱床中に生息。水素/二酸化炭素+チオ硫酸(または硫酸塩)などを還元して独立栄養的に増殖する。菌形は不定形球菌。生育温度は65-85℃(至適75-80℃)。生育pHは6.5-8.0(至適pH7.0)とこの属ではやや高い。

文献

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学術論文
  • Klenk HP, et al. (1997). “The complete genome sequence of the hyperthermophilic, sulphate-reducing archaeon Archaeoglobus fulgidus”. Nature 390: 364-370.  [1]
  • Stetter, KO (1988). “Archaeoglobus fulgidus gen. nov., sp. nov. a new taxon of extremely thermophilic Archaebacteria”. Syst. Appl. Microbiol. 10: 172–173. 
外部リンク