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おおぐま座イプシロン星

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
アリオトから転送)
おおぐま座ε星[1]
Epsilon Ursae Majoris
仮符号・別名 アリオト[2], Alioth[3][4]
星座 おおぐま座
見かけの等級 (mv) 1.77[1]
変光星型 りょうけん座α2[1](ACV)[5]
位置
元期:J2000.0[1]
赤経 (RA, α)  12h 54m 01.74959s[1]
赤緯 (Dec, δ) +55° 57′ 35.3627″[1]
赤方偏移 -0.000042[1]
視線速度 (Rv) -12.70km/s[1]
固有運動 (μ) 赤経: 111.91 ミリ秒/年[1]
赤緯: -8.24 ミリ秒/年[1]
年周視差 (π) 39.51 ± 0.20ミリ秒[1]
(誤差0.5%)
距離 82.6 ± 0.4 光年[注 1]
(25.3 ± 0.1 パーセク[注 1]
絶対等級 (MV) -0.2[注 2]
物理的性質
半径 3.7 R
質量 ~3 M[6]
自転速度 38km/s[7]
スペクトル分類 A1III-IVpkB9 [1]
光度 108 L
表面温度 9,400 K[6]
色指数 (B-V) -0.02[7]
色指数 (U-B) +0.02[7]
色指数 (R-I) -0.03[7]
他のカタログでの名称
おおぐま座77番星[1]
BD +56 1627[1]
FK5 483[1], HD 112185[1]
HIP 62956[1], HR 4905[1]
SAO 28553[1]
Template (ノート 解説) ■Project

おおぐま座ε星は、おおぐま座恒星で2等星。北斗七星を形成する恒星の1つでもある。

概要

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北斗七星はひしゃくの水汲みの側から順にバイエル符号がつけられているため、5番目に並ぶこの恒星はε星となる。

りょうけん座α2型変光星に分類され、スペクトル分類の「p」はスペクトルの特異(peculiar)を示す。このような特異なスペクトルは、恒星を構成する元素ではなく、薄い恒星の大気に含まれる、重力や放射で分離された元素によるものである[6]。これはこの星の強い磁場に関係している[6]。磁気と化学組成が5.1日の自転周期に合わせて変化して見える。もっとも、変光範囲が小さいので眼視観測では光度変化を確認することはできない。この恒星の場合は、自転軸に対して磁気軸がおよそ90度傾いており、クロムの集中した領域が赤道の一帯に直角にあると考えられる[6]。この変光タイプとしてはあまり磁場が強いほうではなくりょうけん座α2の15分の1である[6]。しかしそれでも、地球の磁場の100倍以上である[6]

最近の研究で、5.1日間の光度変化は、木星の14.7倍の天体が軌道離心率 e=0.5の場所に存在するためであるかもしれないとされる。分離すると、平均0.055天文単位である。

また、大きく拡散したおおぐま座運動星団に属する。

名称

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固有名アリオト[2](Alioth[3][4])の意味については諸説ありアラビア語で「尾」を意味する al-ayyūq が語源という説[2]や、「黒い馬 (または牛) 」を意味する al-jaun が転訛したものという説がある[3]。2016年6月30日に国際天文学連合の恒星の命名に関するワーキンググループ (Working Group on Star Names, WGSN) は、Alioth をおおぐま座ε星の固有名として正式に承認した[4]

中国では、『史記』の「天官書」での名は玉衡密教経典『仏説北斗七星延命経』では廉貞れんじょう)とされる。

脚注

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注釈

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  1. ^ a b パーセクは1 ÷ 年周視差(秒)より計算、光年は1÷年周視差(秒)×3.2615638より計算
  2. ^ 視等級 + 5 + 5×log(年周視差(秒))より計算。小数第1位まで表記

出典

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  1. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s SIMBAD Astronomical Database”. Results for V* eps UMa. 2016年11月8日閲覧。
  2. ^ a b c 原恵『星座の神話 - 星座史と星名の意味』(新装改訂)恒星社厚生閣、1996年6月30日、103頁。ISBN 978-4-7699-0825-8 
  3. ^ a b c Paul Kunitzsch; Tim Smart (2006). A Dictionary of Modern Star Names. Sky Publishing. p. 56 
  4. ^ a b c IAU Catalog of Star Names”. 国際天文学連合. 2016年11月8日閲覧。
  5. ^ GCVS”. Results for eps UMa. 2015年10月26日閲覧。
  6. ^ a b c d e f g Jim Kaler. “Alioth”. STARS. 2016年11月8日閲覧。
  7. ^ a b c d 輝星星表第5版

関連項目

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