アメリカ空軍特殊作戦コマンド
アメリカ空軍特殊作戦コマンド United States Air Force Special Operations Command | |
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創設 | 1990年5月22日- |
国籍 | アメリカ合衆国 |
軍種 | アメリカ空軍 |
タイプ | 主要軍団 |
任務 | 特殊作戦 |
上級部隊 |
空軍参謀本部 アメリカ特殊作戦軍 |
基地 | フロリダ州 ハルバート飛行場 |
渾名 | AFSOC |
空軍特殊作戦コマンド(くうぐんとくしゅさくせんコマンド- Air Force Special Operations Command,AFSOC)はアメリカ空軍における主要軍団組織。アメリカ特殊作戦軍の空軍構成部隊でもあり、部隊管理上は空軍参謀本部の指示を受けるが、作戦指揮上は特殊作戦の統合軍である特殊作戦軍の指揮を受ける。
概要
[編集]AFSOCは主に特殊作戦を実施する組織である。米軍および友軍特殊部隊員の浸透・脱出支援、対テロ作戦、ISR(情報・監視・偵察)、空中機動作戦、近接航空支援、戦闘捜索救難等の実施のほか、ラジオ・テレビなどを用いた心理戦・情報戦も行なう。司令部はフロリダ州ハルバート空軍基地に置き、必要に応じ世界各地へ展開し、作戦を行なう。
前身は1983年に特殊作戦用部隊として設立された第23空軍 (23rd Air Force) である。これを主要軍団に格上げする形で、1990年5月22日に創設された。第23空軍は2008年にAFSOC傘下に再設立されたため、2008年時点の編成では1個航空軍、4個航空団(予備役含む)を主力とし、特殊作戦教育機関も傘下にある。特殊作戦用航空機をはじめとする機材のほか、CCT(戦闘管制部隊)、TACP(戦術航空統制班)、SR(特殊偵察)、PJ(パラレスキュージャンパー)、SOST(特殊作戦外科部隊)などの地上戦闘要員で構成されたSTS(特殊戦術中隊)を有している[1]。
最初の実戦投入は湾岸戦争であり、戦闘捜索救難や遠距離偵察、前線航空管制の実施を行なった。その後もソマリア内戦やイラク戦争などへ投入された。
歴代司令官
[編集]職名 | 在任期間 | 氏名 | 階級 | 備考 |
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司令官 | 1983年3月~1985年9月 | William J. Mall, Jr. | 空軍少将 | 第23空軍 |
司令官 | 1985年9月~1989年9月 | Robert B. Patterson | 空軍少将 | |
司令官 | 1989年9月~1991年6月 | Thomas E. Eggers | 空軍少将 | 空軍特殊作戦コマンドに改編 |
司令官 | 1991年6月~1994年7月 | Bruce L. Fister | 空軍少将 | |
司令官 | 1994年7月~1997年7月 | James L. Hobson, Jr. | 空軍少将 | |
司令官 | 1997年7月~1999年8月 | Charles R. Holland | 空軍少将 | |
司令官 | 1999年8月~2002年1月 | Maxwell C. Bailey | 空軍中将 | |
司令官 | 2002年1月~2004年6月 | Paul V. Hester | 空軍中将 | |
司令官 | 2004年7月~2007年11月 | Michael W. Wooley | 空軍中将 | |
司令官 | 2007年11月~2011年6月 | Donald C. Wurster | 空軍中将 | |
司令官 | 2011年6月~2014年7月 | Eric E. Fiel | 空軍中将 | |
司令官 | 2014年7月~2016年7月 | Bradley A. Heithold | 空軍中将 | |
司令官 | 2016年7月~2019年6月 | Marshall B. Webb | 空軍中将 | |
司令官 | 2019年6月~2022年11月 | James C. Slife | 空軍中将 | |
司令官 | 2022年12月~ | Tony D. Bauernfeind | 空軍中将 |
隷下部隊
[編集]現役部隊
- 第1特殊作戦航空団(1st Special Operations Wing):戦闘部隊。2006年に第16特殊作戦航空団より改称。人員9千名。
- 第1特殊作戦群(1st Special Operations Group):戦闘部隊。10個飛行隊で編制。
- 第11特殊作戦情報中隊(11th Special Operations Intelligence Squadron, 11SOIS):情報分析担当。
- 第1特殊作戦整備群(1st Special Operations Maintenance Group):機材整備。
- 第1特殊作戦任務支援群(1st Special Operations Mission Support Group):兵站・後方支援。
- 第1特殊作戦医療群(1st Special Operations Medical Group):4個中隊で編制。医療支援
- 第1特殊作戦群(1st Special Operations Group):戦闘部隊。10個飛行隊で編制。
- 第24特殊作戦航空団(24th Special Operations Wing)
- 第720特殊戦術群(720th Special Tactics Group):地上戦闘要員。人員救出および爆撃誘導任務など。
- 第123特殊戦術飛行隊(123rd Special Tactics Squadron):軍事気象偵察。ケンタッキー空軍州兵。
- 第125特殊戦術飛行隊(125th Special Tactics Squadron):軍事気象偵察。オレゴン空軍州兵。
- 第724特殊戦術群(724th Special Tactics Group)
- 第24特殊戦術飛行隊(24th Special Tactics Squadron):統合特殊作戦コマンド(JSOC)に属する空軍SMU(特殊任務部隊)。
- 第720特殊戦術群(720th Special Tactics Group):地上戦闘要員。人員救出および爆撃誘導任務など。
- 第27特殊作戦航空団(27thst Special Operations Wing)
- 第27特殊作戦群(27th Special Operations Group)
- 第27特殊作戦整備群(27th Special Operations Maintenance Group)
- 第27特殊作戦任務支援群(27th Special Operations Mission Support Group)
- 第27特殊作戦医療群(27th Special Operations Medical Group)
- 第352特殊作戦航空団(352nd Special Operations Wing):イギリスミルデンホール空軍基地所在。アメリカ欧州軍指揮下。
- 第752特殊作戦群(352nd Special Operations Group)
- 第352特殊作戦整備群(352nd Special Operations Maintenance Group)
- 第353特殊作戦航空団(353rd Special Operations Wing):日本嘉手納空軍基地所在。アメリカインド太平洋軍指揮下
- 第492特殊作戦航空団(492nd Special Operations Wing)
- 第492特殊作戦群(492nd Special Operations Group)
- 第492特殊作戦訓練群(492nd Special Operations Training Group)
- 第18航空試験飛行隊(18th Flight Test Squadron,18FTS):特殊部隊用機材の試験・開発。
- アメリカ空軍特殊作戦学校(USAFSOS):特殊部隊員および特殊作戦機乗員の育成・訓練。
- 航空作戦センター(Air Operations Center):現地展開部隊との連絡・調整およびリーチバック(reachback)等による情報支援。
予備役部隊
- 第919特殊作戦航空団(919th Special Operations Wing):空軍予備役部隊。
- 第919特殊作戦群(919th Special Operations Group)
- 第919特殊作戦整備群(919th Special Operations Maintenance Group)
- 第919特殊作戦任務支援群(919th Special Operations Mission Support Group)
州兵部隊
- 第137特殊作戦航空団(137th Special Operations Wing)
- 第137特殊作戦群(137th Special Operations Group)
- 第137特殊作戦任務支援群(137th Special Operations Mission Support Group)
- 第137特殊作戦医療群(137th Special Operations Medical Group)
- 第193特殊作戦航空団(193rd Special Operations Wing):ペンシルベニア空軍州兵。
- 第193特殊作戦群(193rd Special Operations Group)
- 第193特殊作戦整備群(193rd Special Operations Maintenance Group)
- 第193特殊作戦任務支援群(193rd Special Operations Mission Support Group)
- 第193特殊作戦医療群(193rd Special Operations Medical Group)
- 第193航空作戦群(193rd Air Operations Group)
- 第193地域支援群(193rd Regional Support Group)
航空機
[編集]AFSOCにおいては、特殊作戦用に航空機材も特別なものを使用している[2]。
- AC-130J:対地攻撃機。近接航空支援、航空阻止、武装偵察、監視、護送、地点防御などの実施[3]。
- MC-130J:特殊任務機。政治的に敏感または敵対的な地域における特殊作戦部隊の浸透・脱出・再供給任務、特殊作戦ヘリコプターや垂直離着陸機への空中給油、空中投下などの実施。主に夜間に飛行する[4]。
- CV-22B:特殊任務垂直離着陸機。特殊作戦部隊の長距離浸透・脱出・再供給任務などの実施[5]。
- EC-130J:C-130輸送機を改造し、放送機材を搭載した心理戦・情報戦機。アナログおよびデジタルラジオ・テレビ放送の実施[6]。
- C-146A:軍用機と認識されない様に民間機風の塗装を施した輸送機。人員・資材の空輸を実施[7]。
- MC-12W:ISR(情報・監視・偵察)機。地上部隊へISR支援を実施[8]。
- U-28A(ピラタスPC-21): PC-21をベースに改造したISR機。人道作戦、捜索救難、通常作戦および特殊作戦におけるISR支援を実施[9]。
- OA-1K:軽攻撃およびISR機。地理的に孤立した特殊作戦部隊への支援、不正規戦・対反乱作戦におけるLAAR(軽攻撃/武装偵察)、ISR支援、近接航空支援、精密照準爆撃などを実施。MC-12およびU-28の後継機として2022年に採用され、2029年までに75機を配備する計画であったが、2024年に62機に削減された[10][11][12][13]。
- MQ-9リーパー:無人攻撃機。ISR、近接航空支援、戦闘捜索救難、精密照準爆撃、護送、急襲時の監視、空中誘導などを実施[14]。
ギャラリー
[編集]関連項目
[編集]- アメリカ特殊作戦軍
- アメリカ陸軍特殊作戦コマンド (USASOC)
- アメリカ海軍特殊戦コマンド (USNAVSPECWARCOM)
- アメリカ海兵隊特殊作戦コマンド (USMARSOC)