ミンク
ミンク | ||||||||||||||||||||||||||||||
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ミンク Neovison vison
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保全状況評価[1] | ||||||||||||||||||||||||||||||
LEAST CONCERN (IUCN Red List Ver.3.1 (2001)) | ||||||||||||||||||||||||||||||
分類 | ||||||||||||||||||||||||||||||
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学名 | ||||||||||||||||||||||||||||||
Neovison vison (Schreber, 1777)[2] | ||||||||||||||||||||||||||||||
シノニム | ||||||||||||||||||||||||||||||
Mustela vison Schreber, 1777[2][3]
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和名 | ||||||||||||||||||||||||||||||
アメリカミンク[4][5] ミンク[6][7] | ||||||||||||||||||||||||||||||
英名 | ||||||||||||||||||||||||||||||
American mink[2][4] | ||||||||||||||||||||||||||||||
分布域(在来)
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ミンク(Neovison vison)は、食肉目イタチ科ミンク属に分類される哺乳類。別名アメリカミンク。北アメリカ原産で、世界各地で毛皮動物として利用されている。また、外来種として野外へ定着している。
分布
[編集]アラスカやカナダを含む北アメリカ(アメリカ合衆国西南部を除く)を原産地とする[8][9]。基亜種の模式産地はカナダ東部(ケベック州)と考えられている[2][3]。
ヨーロッパ(アイスランド、アイルランド、イギリス、イタリア、ウクライナ、エストニア、オーストリア、ギリシャ、スウェーデン、スペイン、セルビア、チェコ、デンマーク、ドイツ、ノルウェー、フィンランド、フランス、ベラルーシ、ポーランド、ポルトガル、モンテネグロ、ラトビア、リトアニア、ルーマニア)、南アメリカ(アルゼンチン、チリ)、ロシア、日本に移入分布する[1]。
形態
[編集]頭胴長36-45cm、尾長30-36cm、体重0.7-1.0kg[8]。雌はやや小型である。体毛は変化に富み、普通は光沢のある暗褐色で、尾端はやや黒っぽい。
腹面の毛色は薄く[4]、頬や下顎は白い[7]。前胸や鼠径部などに白斑が現れることもある[4][7]。養殖個体では突然変異の固定化により銀灰色や淡褐色などの毛色がある[7]。
分類
[編集]ミンク属Neovisonの模式種であり、ミンク属は本種と絶滅種ウミベミンクの2種で構成される[2]。(本種をイタチ属Mustelaに含める説もある[2][3][4]が、むしろ最新の分子系統解析[10][11]から、コロンビアイタチ Neogale felipei、アマゾンイタチ Neogale africana、オナガオコジョ Neogale frenataがイタチ属からミンク属(Neogale)に移されている。)
MSW3 (Wozencraft, 2005) ではミンクは15亜種に分類されている[2]。
生態
[編集]海岸や河川など水域周辺を中心に生息する[12]。見た目や生息環境がカワウソと似ている部分も多く、カワウソと誤認されることもある[13]。行動圏は雄で2-4km、雌で数百mほどで、同性の行動圏は重複しない[14]。夜行性だが、昼間でも活動することがある[4]。
他のイタチ科の近縁種と比べて、甲殻類や魚類などの水生生物を捕食することが多い[12]。川魚や、マスクラットやネズミなどの小動物を捕らえ、川岸近くの巣に持ち帰って食べる。
水辺周辺の木の根元や岩の下を巣とする。春に2-10頭の子どもを出産する[12]。子どもは生後25日で開眼する[3]。授乳期間は5 - 6週間[5]。生後8週間で狩りを始めるようになり、秋頃まで母親と過ごす[3]。生後2年で性成熟する[5]。寿命は野生では3年ほど、飼育下では10年[5]。
人間との関係
[編集]日本では狩猟獣に指定されている[12]。
脂肪はミンクオイルと呼ばれ、ブーツなどの革製品の手入れに使われている他、毛皮は高級婦人用コートなどに利用され、コート1着に30頭以上のミンクが必要になる[8]。毛皮のために飼育されることに対して暴力で抗議する動物愛護団体が存在しており、毛皮のコートを着用している人にトマトをぶつける[15]、毛皮を愛用する著名人に小麦粉を振りかける[16]、業者の飼育施設から脱走させる[17]などの犯罪行為を行う個人・団体もある(エコテロリズムも参照)。
外来種問題
[編集]ヨーロッパでは脱走した養殖ミンクが侵入・定着しており、在来のヨーロッパミンクやミズハタネズミ、海鳥などへの影響が懸念されている[5]。
日本では、1928年ごろから毛皮を採る目的で北海道に持ち込まれて養殖されているが、1960年代以降に逃げ出した個体が野生化して問題となっている[8]。北海道以外にも宮城県、福島県、群馬県、長野県でも定着が確認されている[14][18]。
2007年には長野県の千曲川流域の上田市や坂城町で野生化した個体が繁殖して漁業被害が生じており[19]、小型哺乳類やタンチョウのひな[疑問点 ]を捕食する、在来種のイタチ類を駆逐するといった生態系への悪影響が懸念されている[8]。
外来生物法によって特定外来生物に指定されており[20]、飼育許可を得るためには、檻の二重化やマイクロチップによる個体識別を行ったうえで環境省への申請が必要となる[8]。
北海道は2021年(令和3年)4月1日から2031年(令和13年)3月31日を実施期間とする「北海道におけるアメリカミンク防除実施計画書」を策定した[21]。
福島県は、2021年(令和3年)4月1日を始期とする「福島県アメリカミンク防除実施計画(第2期)」を策定した[22]。
ミンクと新型コロナウイルス
[編集]デンマークは長らくミンク毛皮の最大の輸出国であった。しかし2020年末に、農場で飼育されていたミンクから新型コロナウイルスの変異株が検出されたため、デンマーク政府は国内全てのミンク1500万匹を殺処分を決断、加えて2021年のミンクの飼育を禁止した[23]。
脚注
[編集]- ^ a b Reid, F., Schiaffini, M. & Schipper, J. 2016. Neovison vison. The IUCN Red List of Threatened Species 2016: e.T41661A45214988. https://doi.org/10.2305/IUCN.UK.2016-1.RLTS.T41661A45214988.en. Downloaded on 17 December 2018.
- ^ a b c d e f g W. Christopher Wozencraft (2005). “Order Carnivora”. In Don E. Wilson & DeeAnn M. Reeder (eds.). Mammal Species of the World: A Taxonomic and Geographic Reference (3rd ed.). Johns Hopkins University Press. pp. 532-628
- ^ a b c d e Serge Larivière; Mustela vison, Mammalian Species, Issue 608, 5 May 1999, Pages 1–9.
- ^ a b c d e f g 斉藤勝・伊東員義・細田孝久・西木秀人 「イタチ科の分類」『世界の動物 分類と飼育2(食肉目)』 今泉吉典監修、東京動物園協会、1991年、22-57頁。
- ^ a b c d e Pat Morris, Amy-Jane Beer 「アメリカミンク」鈴木聡訳『知られざる動物の世界 8 小型肉食獣のなかま』 本川雅治監訳、朝倉書店、2013年、46-49頁。
- ^ 川田伸一郎・岩佐真宏・福井大・新宅勇太・天野雅男・下稲葉さやか・樽創・姉崎智子・横畑泰志 「世界哺乳類標準和名目録」『哺乳類科学』第58巻 別冊、日本哺乳類学会、2018年、1-53頁。
- ^ a b c d 増井光子「ミンク」『標準原色図鑑全集 20 動物 II』林壽郎著、保育社、1968年、34-35頁。
- ^ a b c d e f 多紀保彦(監修) 財団法人自然環境研究センター(編著)『決定版 日本の外来生物』平凡社、2008年4月21日。ISBN 978-4-582-54241-7。
- ^ 北海道 ブルーリスト アメリカミンク
- ^ Koepfli, Klaus-Peter; Deere, K.A.; Slater, G.J.; Begg, C.; Begg, K.; Grassman, L.; Lucherini, M.; Veron, G. et al. (February 2008). “Multigene phylogeny of the Mustelidae: Resolving relationships, tempo and biogeographic history of a mammalian adaptive radiation”. BMC Biology 6: 10. doi:10.1186/1741-7007-6-10. PMC 2276185. PMID 18275614 .
- ^ Law, C. J.; Slater, G. J.; Mehta, R. S. (2018-01-01). “Lineage Diversity and Size Disparity in Musteloidea: Testing Patterns of Adaptive Radiation Using Molecular and Fossil-Based Methods”. Systematic Biology 67 (1): 127–144. doi:10.1093/sysbio/syx047. PMID 28472434.
- ^ a b c d 阿部永・石井信夫・伊藤徹魯・金子之史・前田喜四雄・三浦慎悟・米田政明『日本の哺乳類 改訂版』東海大学出版会、2005年7月20日。ISBN 4-486-01690-4。
- ^ 小宮輝之『フィールドベスト図鑑 日本の哺乳類』学習研究社、2002年3月29日。ISBN 4-05-401374-0。
- ^ a b アメリカミンク 国立環境研究所 侵入生物DB
- ^ 「動物保護運動の虚像 -その源流と真の狙い-」 梅崎義人著 全296頁 成山堂書店 1999年5月8日発行 ISBN 4425980913
- ^ PETA admits connection to Kim Kardashian flour bomber, Christina Cho March 30th, 2012、PETA deny responsibility for Kim Kardashian 'flour bomb' Mar 23 2012, 15:04 GMT digitalspy、PETA Gone Wild: Flour Bombing Kim Kardashian, Accusing HBO of “Murder” Apr 2, 2012 4:45 AM EDT Daily Beast ※動物愛護団体「PETA」の構成員が2012年3月22日に起こした事件。
- ^ 愛護団体がミンク5万匹逃がす ギリシャ共同通信 2010/09/03 21:21 (引用:過激な動物愛護団体「動物解放戦線」が犯行声明を出した。動物解放戦線はこれまでも、動物実験を行う製薬会社への爆弾テロなどを繰り返している。)
- ^ 鈴木欣司『日本外来哺乳類フィールド図鑑』旺文社、2005年7月20日。ISBN 4-01-071867-6。
- ^ 外来生物アメリカミンク 千曲川沿いの生息域拡大信濃毎日新聞 2008年8月1日付け 閲覧2008年8月1日
- ^ 自然環境局 (2018年4月1日). “特定外来生物等一覧”. 日本の外来種対策. 環境省. 2018年12月17日閲覧。
- ^ “北海道におけるアメリカミンク防除実施計画書”. 北海道道庁. 2022年11月21日閲覧。
- ^ “アメリカミンクについて - 福島県ホームページ”. www.pref.fukushima.lg.jp. 2022年11月20日閲覧。
- ^ “ミンク殺処分で農場経営者に補償へ、3200億円規模 デンマーク”. AFP (2021年1月26日). 2021年1月26日閲覧。