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ギガンテウスオオツノジカ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
アイリッシュエルクから転送)
ギガンテウスオオツノジカ
生息年代: 0.2–0.0077 Ma
ギガンテウスオオツノシカ骨格
スミソニアン博物館所蔵の全身骨格
分類
ドメイン : 真核生物 Eukaryota
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 哺乳綱 Mammalia
亜綱 : 獣亜綱 Theria
: 鯨偶蹄目 Cetartiodactyla
亜目 : 反芻亜目 Ruminantia
: シカ科 Cervidae
亜科 : シカ亜科 Cervinae
: メガロケロス属 Megaloceros
: ギガンテウスオオツノジカ M. giganteus
学名
Megaloceros giganteus
Blumenbach,1799
和名
ギガンテウスオオツノシカ
アイリッシュエルク
英名
Irish Elk

ギガンテウスオオツノジカMegaloceros giganteus)は、200万年前 - 7,700年前[1]新生代第三紀鮮新世後期 - 第四紀完新世)のユーラシア大陸北部に生息していた大型のシカマンモス毛サイと並んで氷期を代表する動物として知られる。英名からアイリッシュエルクとも呼ばれる。巨大なの後枝を持つのが特徴で、学名は「巨大な枝角」を意味する。なお、日本語において「オオツノジカ」と呼称されているものの、日本で発掘されるヤベオオツノジカSinomegaceros yabei)は別属別種である。

概要

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ギガンテウスオオツノシカ復元想像図。

最大のものでは肩高約2.3m、体長3.1m、体重700kgに達した大型のシカであり、その名の通り巨大な角を持つ。角の差し渡しは最大3.6m以上、重量は50kgを超えるといわれる。この角を支えるため、首筋から肩にかけての筋肉が発達していた。この角は発情期において性的ディスプレイ及び闘争の手段として使われたと思われる。それによって傷を負い、動けなくなって餓死したと思われる個体の化石も発見されている。

現生のヘラジカも大型の角を持つが、両者の類縁は遠い。分類的にはアカシカに近いという説もある[2]が、ダマジカとは姉妹群に該当するという説もある。[3][4][5]

旧石器時代の壁画にかれらの姿が描かれており、おそらく人類の狩猟の対象になったと思われる。 2004年、シベリアの地層から発掘された本種の化石が約7,700年前の完新世のものと特定され、それまでの仮定であった絶滅時期が数千年単位で更新された。[1]

分布

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ヨーロッパからアジアの中北部に生息。特にアイルランドの泥炭地帯から多数化石が発見されている。そのため、かつてはアイルランドオオツノジカなどとも呼ばれた。氷河周辺の草地や疎林などで暮らしていたと思われる。

その他

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ニーベルンゲンの歌に見られる「Shelch」という動物とギガンテウスオオツノジカを関連付ける者もおり、紀元前700年から紀元前500年ごろまで少数がスティリア地方黒海付近に生息していたとする説もある。[6]

写真

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参考文献

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脚注

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  1. ^ a b Stuart, A.J.; Kosintsev, P.A.; Higham, T.F.G. & Lister, A.M. (2004). Pleistocene to Holocene extinction dynamics in giant deer and woolly mammoth. Nature 431(7009): 684-689. PMID 15470427 doi:10.1038/nature02890 PDF fulltext Supplementary information. Erratum in Nature 434(7031): 413, doi:10.1038/nature03413
  2. ^ Kuehn, Ralph; Ludt, Christian J.; Schroeder, Wolfgang; Rottmann, Oswald (2005). “Molecular Phylogeny of Megaloceros giganteus — the Giant Deer or Just a Giant Red Deer?”. Zoological Science 22 (9): 1031–1044. doi:10.2108/zsj.22.1031. PMID 16219984. 
  3. ^ Hughes, Sandrine; Hayden, Thomas J.; Douady, Christophe J.; Tougard, Christelle; Germonpré, Mietje; Stuart, Anthony; Lbova, Lyudmila; Carden, Ruth F. et al. (2006). “Molecular phylogeny of the extinct giant deer, Megaloceros giganteus”. Molecular Phylogenetics and Evolution 40 (1): 285–291. doi:10.1016/j.ympev.2006.02.004. PMID 16556506. 
  4. ^ Lister, Adrian M.; Edwards, Ceiridwen J.; Nock, D. A. W.; Bunce, Michael; van Pijlen, Iris A.; Bradley, Daniel G.; Thomas, Mark G.; Barnes, Ian (2005). “The phylogenetic position of the giant deer Megaloceros giganteus”. Nature 438 (7069): 850–853. Bibcode2005Natur.438..850L. doi:10.1038/nature04134. PMID 16148942. 
  5. ^ Immel, Alexander; Drucker, Dorothée G.; Bonazzi, Marion; Jahnke, Tina K.; Münzel, Susanne C.; Schuenemann, Verena J.; Herbig, Alexander; Kind, Claus-Joachim et al. (2015). “Mitochondrial Genomes of Giant Deers Suggest their Late Survival in Central Europe”. Scientific Reports 5 (10853): 10853. Bibcode2015NatSR...510853I. doi:10.1038/srep10853. PMC 4459102. PMID 26052672. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4459102/. 
  6. ^ Bjorn Kurten 2017年 「Pleistocene Mammals of Europe」 165頁 ASIN:B073RQCXQZ ラウトレッジ