社会距離拡大戦略
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社会距離拡大戦略(しゃかいきょりかくだいせんりゃく、英語: social distancing) は[注 1]、感染症の拡散を停止または減速させることを目的とした、医薬品を使わない感染抑制のための手段である。社会距離を置く目的は、感染症のある人と感染していない人との接触の可能性を減らし、病気の伝染、罹患率、そして最終的には死亡率を最小限にすることである[2]。
日本語表記は他に、社会的距離戦略[3](ただし日本語で「社会的距離」はSocial distanceの訳語)、社会距離戦略[4]、人的接触距離の確保[5]、社会的距離の確保[6]、片仮名で転写したソーシャル・ディスタンシングや意訳した人混みを避ける措置[7]などがある。
効果
社会距離拡大戦略は、咳やくしゃみなどで飛沫感染する感染症の場合に最も効果的である。性的接触を含む直接的な身体的接触による感染や、間接的な物理的接触による感染、または空気感染する場合にも効果的である[8]。
しかし、感染が主に汚染された水や食物を介して、または蚊や他の昆虫などの媒介者によって伝染する場合、社会距離拡大戦略はあまり効果的ではない[9]。
この戦略の欠点としては、不安、抑うつ、フラストレーション、もしくはスティグマ化といった心理的・社会的問題が発生することが挙げられる[6]。
理論的根拠
疫学の観点から、社会距離拡大戦略の基本的な目標は基本再生産数を減らすことである。 これは、全構成員が等確率で感染可能性のある集団内で、1人の患者から感染する二次感染者数の平均値である。 社会距離拡大戦略の基本モデル[10]において、全人口の割合が、接触する人数を通常時を1としてに減らした場合、有効再生産数は次の式で与えられる。
たとえば、人口の25%が社会的接触を通常時の50%に減らすと、有効再生産数は、基本再生産数の81%となる。一見たいした削減幅でないようにも見えるが、病気の指数関数的な蔓延を遅らせる上で、大きく寄与し得る。
具体例
社会距離拡大戦略を実践するために様々な方法が採られる[11][12]。
- 休校(結果的なものを含む)[13]
- 職場の閉鎖、不可欠な公共事業を除く業種・公的サービス部門の休業を含む[14]。
- 隔離
- 検疫
- 防疫線による封鎖
- 清浄地域の確保
- 大人数が集まるイベントの中止[15]
- 公共交通機関の減便あるいは休止
- 娯楽・レクリエーション施設の休止[16]
- 他人と会う機会を減らす、テレワーク、不要不急の旅行を避ける、人込みを避けるなどの自己防衛[17][18]
ジョンズ・ホプキンズ大学ブルームバーグ公衆衛生学部のBruce Y. Leeは以下を列挙する[19]。(上記と重複するものもある)
- できるだけ家から出ない
- 2m以内に近づかない
- 体を密着させない
- 部屋、エレベーターのなかでも距離を置く
- 握手、ハグ、キスをしない(日本人のようなお辞儀など代わりになる方法を探す)
- 職場、学校、映画館、スポーツイベントを避ける(在宅勤務、遠隔授業、インターネット視聴などに切り替える)
- 食料品店やコインランドリーは空いている時間に行く
- ラッシュアワーを避ける(満員電車を避ける)
- ペン、押しボタン、ドアノブなど、多くの人が触れた可能性のあるものには触らない。触った場合には、すぐによく手を洗う。ペンは携帯する。ドアノブに触るときは、清潔なペーパータオルなどを使う。
- 会議、集会、ハッピーアワーのバーを避ける。感染していないという確証が得られる人とだけ、少人数で集まる。
注
- ^ 日本語表記は、2009年新型インフルエンザの世界的流行当時の国立感染症研究所感染症情報センターによる表記の一つを採用した[1]。
出典
- ^ 岡部信彦、谷口清州、森兼啓太、砂川富正、松井珠乃、安井良則. “新型インフルエンザへの対応”. 国立感染症研究所感染症情報センター. 厚生労働省. 2020年3月20日閲覧。
- ^ Carolyn Y. Johnson (2020年3月10日). “Social distancing could buy U.S. valuable time against coronavirus”. ワシントンポスト. 2020年3月11日閲覧。
- ^ “インフルエンザ・パンデミックに関するQ&A Q17”. 国立感染症研究所 感染症情報センター. 2020年3月20日閲覧。
- ^ “インフルエンザ・パンデミックに関するQ&A Q10”. 国立感染症研究所 感染症情報センター. 2020年3月20日閲覧。
- ^ “国際的な製薬産業 における 業務継続計画”. 日本製薬工業協会. p. 8 (2007年4月13日). 2020年3月20日閲覧。
- ^ a b “もしも「距離を保つ」ことを求められたなら:あなた自身の安全のために(Keeping Your Distance to Stay Safe)”. 日本心理学会. 2020年3月27日閲覧。
- ^ “領事窓口業務の一時的変更について”. 在インドネシア日本国大使館 (2020年3月19日). 2020年3月20日閲覧。
- ^ "Information about Social Distancing" サンタ・クララ郡公衆衛生局。
- ^ "Interim Pre-Pandemic Planning Guidance: Community Strategy for Pandemic Influenza Mitigation in the United States—Early, Targeted, Layered Use of Nonpharmaceutical Interventions" アメリカ疾病管理予防センター、2007年2月。
- ^ Becker, Niels (2015). Modeling to Inform Infectious Disease Control. CRC Press. p. 104. ISBN 9781498731072
- ^ Kathy Kinlaw, Robert Levine, "Ethical Guidelines on Pandemic Influenza", CDC, 15 February 2007, p. 2
- ^ “Information about social distancing”. www.cidrap.umn.edu. Public Health Department: Santa Clara Valley Health & Hospital System. 17 March 2020閲覧。
- ^ Cauchemez, Simon; Ferguson, Neil M; Wachtel, Claude; Tegnell, Anders; Saour, Guillaume; Duncan, Ben; Nicoll, Angus (2009). “Closure of schools during an influenza pandemic”. The Lancet Infectious Diseases 9 (8): 473–481. doi:10.1016/S1473-3099(09)70176-8. ISSN 14733099. PMID 19628172 .
- ^ "Social Distancing Support Guidelines", Colorado Dept. of Public Health and Environment, March 2008.
- ^ R. Booy and J. Ward, "Evidence compendium and advice on social distancing and other related measures for response to an influenza pandemic", National Centre for Immunisation Research and Surveillance.
- ^ "Flu Pandemic Mitigation - Social Distancing"
- ^ Glass RJ, Glass LM, Beyeler WE, Min HJ. "Targeted Social Distancing Designs for Pandemic Influenza", Emerging Infectious Diseases 2006;12(11):1671-1681. https://dx.doi.org/10.3201/eid1211.060255
- ^ "Social Distancing Guidelines (for workplace communicable disease outbreaks)"
- ^ ウイルス感染の拡大抑制に役立つ「社会的距離」戦略とは何か?Forbes Japan 2020/03/17 17:00