アルバム相当単位
アルバム相当単位 とは、様々な形態での音楽の消費をアルバム1枚のセールスに換算して示す音楽業界における用語である。 この手法は、主にストリーミング や音楽配信による楽曲の消費を、アルバムの売り上げに加えるために使われる。 アルバム相当単位は、アルバムセールスが減少の一途であった従来のレコードチャート集計法に代わる手法として21世紀に入ってから導入された。 アルバム自体のセールスは業界全体(アメリカ合衆国内)で1999年の146億ドルから2009年の63億ドルと、10年間で半分以上に減少していた。[1]
アルバム相当単位の導入により、音楽チャートでは「Best-selling albums ranking(アルバム販売ランキング)」から「Most popular albums ranking (アルバム人気ランキング).」等への名称変更が行われている。
[2]
チャートへの導入
アメリカ
ビルボード 200では2014年12月13日発行のランキングから、それまでのアルバム自体の純粋な販売数を集計する方法から、アルバム相当単位を導入した集計方法に切り替えられた。 この見直しにより、ビルボード 200ではランキングの集計にストリーミングと音楽配信(主にニールセン・サウンドスキャンの集計による)のデータが反映されるようになった。 ここで集計されるデータとしては、Spotify、Google Play、Beats Music、MusicGrooveといったサービスが含まれる。 ここでは、Track Equivalent Album (TEA、楽曲トラックのアルバム換算) とStreaming Equivalent Album (SEA、ストリーミング再生のアルバム換算)という手法に基づき、10曲の販売ごと、あるいは、アルバムに収録された曲が1500回ストリーミング再生されるごとに、それをアルバム一枚のセールスに換算して計算される。 なお、ビルボードはこれとは別に、純粋なアルバムセールスだけのランキングも「トップアルバムセールス」として発行を続けている(主にSoundScanの販売データに基づく)。[3] この新たな集計方法で最初にナンバー1になったアルバムはテイラー・スイフトの『1989』だった。アルバム相当単位では約33万9,000のセールスに値するとされ、内訳はアルバム自体の実売が約28万1000であった。[4][5] アルバムの実売に頼らない形で首位になった最初のアルバムは2015年2月8日発行のランキングおける『Now That's What I Call Music! 53』であった。この作品はBillboard 200の首位に立ったが、「The Best-Selling Album of The Week」では首位を逃している。 [6]
イギリス
イギリスでは、Official Charts Companyによって2015年の3月からストリーミングを集計に含めたランキングがUK Albums Chartとして発表されている。[7] この変更はストリーミングの急激な成長を受けてなされた。イギリスにおける楽曲のストリーミング数は2013年の7.5億回が2014年には15億回と一年で倍にまで増加している。 この手法の下では、アルバムの収録曲の内で最もストリーミング再生された(最大)12曲を集計するが、最も再生された曲とその次に多く再生された曲の2曲はシングルとしての人気であるとされ重視されない。
この手法で最初に首位を獲得したアルバムはサム・スミスの『In the Lonely Hour 』だった。アルバム相当単位で4万1000に値するとされたセールスの内、2,900がストリーミングによるものであった。[7]
ドイツ
ドイツでは、2016年2月からストリーミングがアルバムランキングに加算されている。 なお、German Albums Chartの場合は、その週ごとの販売数ではなく、収益に基づいてランキングが制作される。 Henceでは集計されるストリーミング再生について一定の条件を設けており、30秒以上の再生と、アルバムに収録された楽曲の内で6曲以上が再生されることでアルバムのセールスに加算して集計される。なお収録曲の内12曲以上が再生された時に最も多く加算される。 イギリスの手法と似たこのやり方は、アルバム収録曲の内で特定の1,2曲のみが再生されても、その楽曲ごとのセールスには加算されるが、アルバムとしてのセールスには加算されない。 [8][9]
参考文献
- ^ “Why Album Sales Are Down”. Speeli. 22 June 2015閲覧。
- ^ Caulfield, Keith (May 22, 2016). “Drake's 'Views' Rules at No. 1 for Fifth Week on Billboard 200 Chart”. Billboard. July 2, 2016閲覧。
- ^ “Billboard 200 Makeover: Album Chart to Incorporate Streams & Track Sales”. (2014年11月20日) 2014年11月20日閲覧。
- ^ “Taylor Swift's '1989' Returns to No. 1 on Revamped Billboard 200”. billboard.com. 1 July 2016閲覧。
- ^ “Why Is Taylor Swift Still #1?”. pitchfork.com. 1 July 2016閲覧。
- ^ “Now 53 Outsells Taylor Swift, Becomes First Record to Top Albums Chart but Not Billboard 200; Kid Ink Cracks Top 10”. The Music Times (February 12, 2015). July 2, 2016閲覧。
- ^ a b “Sam Smith's 'In the Lonely Hour' Tops Historic U.K. Albums Chart”. billboard.com. 1 July 2016閲覧。
- ^ “Deutsche Album-Charts integrieren Premium-Streaming” (German). Musikmarkt.de (February 1, 2016). 1 July 2016閲覧。
- ^ “Deutsche Album-Charts jetzt auch mit Streaming-Zahlen”. Heinz Heise (February 1, 2016). 1 July 2016閲覧。