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変形近似自己補対アンテナ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

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変形近似自己補対アンテナ(へんけいきんじじこほついあんてな)とは、自己補対アンテナを実用化するに当たって、有限の大きさでの切断、構造の強靭化、折り曲げ、などを施したアンテナである。

解説

  • 第一段階の変形近似としては、原理上無限大に広がる自己補対アンテナ構造を、実用上必要な最小限の大きさで切断近似することが要望される。その際、定インピーダンス性の劣化を避けるためには、切断部から給電点に向かう反射波を減少させる必要がある。その目的には一般に、板状導体の周辺に歯型状の凹凸を付けることが有効である。自己補対アンテナの形状には、無限の自由度があることを活用すれば、種々の実用目的に適合させるような変形が可能である。
  • 第二段階の変形近似は、構造の強靭化である。歯型状の板状導体は機械的強度の弱い短冊状導体板になるので、それを電気的等価断面の導体棒に置換[2]すると、実用上有効である。その際、単純な太い導体棒、または、やや細い折り返し導体棒が使用できる。種々の形状のアンテナ導体断面の等価半径pp.10-20. については、過去の研究成果が利用できる。また、プリント配線技術を導入した、プリント化自己補対アンテナ[1,2]も開発されている。
  • そして、第三段階の変形近似は、定インピーダンス性を或る程度犠牲にして、以下のようにして行われる。元来、平面状自己補対アンテは表と裏の2方向に電波を放射するが、実用上は単方向性放射が要求される場合が多い。その様な目的には、折り曲げ変形近似[2]が有効である。併し、その結果として定インピーダンス性が多少は損なわれるが、許容範囲のブロードバンド性はほぼ確保できるのである。更にこの変形を進めると、結局は、折りたたみ変形に到達する。これらの説明には、図に依るのが有効であるので、図1〜3、を添付する。但し、変形近似後の実用アンテナ構造の諸元については、実験的開発が必要であるが、関連企業等では夫々資料を蓄積している。
図1. 折り曲げ変形の過程
図2. 折りたたみ変形への過程
図3. 交差給電ダイポール配列
  • 結論として、自己補対アンテナを実用化に向けて変形近似したアンテナは、定インピーダンス性が多少は損なわれるが、超ブロードバンド(超広帯域)特性の実用アンテナとしては進化したものとなる。そして、その変形近似によって得られる形状は、必然的な結果として、全ての隣接ダイポール間で交差給電ダイポール配列[2]となる[1]のである。しかも、全く同じダイポール配列への給電法を、進行波給電に変更して得られるアンテナには、広帯域性が無いことが実験的に確認(Prof. H. Nakano)されている。これは即ち、形状に無限の自由度がある自己補対構造の折りたたみによる交差給電[2]が広帯域性をもたらすのであって、アンテナの形状が広帯域性を与えるのではないことを示すものである。対数周期形状[3]は、自由度のある形状[2]の中の、単なる一つの形状の実例に過ぎない。

参考文献

  1. 虫明康人,“自己補対アンテナの変形近似に関する研究”,文部省科学研究費補助金, (56890010),研究成果報告書, 127頁, 1983年3月
  2. Y. Mushiake, Self-Complementary Antennas―Principle of Self-Complementarity for Constant Impedance―, 139 pages, Springer-Verlag London Ltd., London, 1996.
  3. D. E. Isbell, “Log-periodic dipole arrays” IRE Trans. Antennas Propag., vol. AP-8, pp.260-267, May 1960--虫明康人会話) 2013年12月16日 (月) 06:02 (UTC)

--虫明康人会話) 2013年12月16日 (月) 05:51 (UTC) --虫明康人会話) 2013年12月16日 (月) 05:04 (UTC)

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