ジープ・コマンダー
ジープ・コマンダー | |
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ボディ | |
乗車定員 | 7人 |
ボディタイプ | 4ドアSUV |
駆動方式 | FR/4WD |
パワートレイン | |
エンジン |
V6 3.7L パワーテック V8 4.7L パワーテック V8 5.7L HEMI V6 3L CRD |
変速機 | 5AT |
車両寸法 | |
ホイールベース | 2,780mm |
ジープ・コマンダー (Jeep Commander) は、2006年にジープブランドで発売された、クライスラーのSUVである。
概要
2005年のニューヨーク国際オートショーで発表され、2006年に発売開始。3列シート7人乗りのモデルはジープブランド初となる。ジープブランド内では、最上級のフラグシップモデルという位置付け。
日本では、2006年5月13日に発売され、エンジンはV型8気筒の5.7L HEMI(5AT)、4.7L(5AT)の2種類、またグレードは本革シートなどを装備した豪華仕様のリミテッドのみが発売された。
コマンダー (Commander) の名称は、以前スチュードベーカーとスキャンメルによって同名の自動車が生産されている。また、ノートンによって同名のバイクも生産されており、ジープ・コマンダーはこの名前がつく4種類目の車両。
尚、2010年から正規ディーラーでの日本仕様車の発売が中止されたため、新車購入は本国仕様を並行輸入する以外方法がない。
デザイン
プラットフォームは、3代目ジープ・グランドチェロキーと同じ。従ってホイールベースも同一。但しボディは、全長で27mm、全幅で20mm、全高で76mmほどコマンダーの方が大きく、見た目の印象も全く違う。
ひと目でジープと分かるボクシーなデザインのコンセプトは、ジープ・ワゴニア(1963 - 1991年)に着想を得ており、そのルーツは1949年に発売されたウィリス・ステーションワゴン(7人乗り)にあるとされている。
また本デザインには、3代目グランドチェロキー用の「初期デッサン」として企画に挙がったものが、最終的にコマンダーのデザインとして採用されたというエピソードがある。
グランドチェロキーのデザインが、初代のボクシーな雰囲気から徐々に欧州車風に変貌を遂げるなか、源流回帰とも言えるコマンダーのデザインは、市場に投入された時からジープファンに暖かく迎えられた。また、この角型のデザインのせいか外観は実寸よりかなり大きく見えるが、ドライビングシートから見ると、逆に車両感覚がつかみやすく、細い道や障害物の多い悪路でも運転がしやすいという特徴がある。
インテリアは、メカニカルな円形メーター類をダッシュボードに配置、さらにアレンヘッドボルトの飾りなどを多用し、ジープらしさの漂うデザインとなっている。
エンジン・トランスミッション
本国では、V型6気筒 3.7Lパワーテックエンジンが標準で搭載され、オプションとして、V型8気筒 4.7L パワーテックエンジンと、V型8気筒 5.7L HEMIエンジンが用意されている。
日本仕様では、4.7L SOHCと5.7L HEMIの2種類のV8エンジンが用意された。
4.7L SOHCは、最高出力170kW (231ps) 、最大トルク410N·m (41.8kg·m) 。 5.7L HEMIは最高出力240kW (326ps) 、最大トルク500N·m (51.0kg·m) を発生するハイパワーユニットとなっている。
また5.7L HEMIは、可変シリンダーシステム (MDS) により、巡航時などの低負荷領域で、4気筒を自動的に休止させて燃費を高めるという機能があり、燃費が約20%向上している。
トランスミッションは5速AT。Dレンジでフルオートマチックとして走行しつつ、シフトレバーを軽く左右に動かすだけでシフト(1~5速)のアップダウン等、マニュアル操作が可能。オフロードでも容易にシフトコントロールができる。
極端な悪路、ぬかるみ、砂地に対応する4WDローレンジへの切り替えは、センターコンソールにある小さなT字型の電子式スイッチで行う。
ちなみにヨーロッパ市場や、チリ、南アフリカ、韓国向けの輸出仕様車にはダイムラー製のV型6気筒 3L ブルーテックコモンレールディーゼルターボエンジンが搭載されている。
構造・サスペンション
オフロード走破性のベースであるシャーシは、モノコックに強靭なラダーフレームを埋め込むというJeep独特のボディ構造が採用されている。
フロントサスペンションは独立懸架式、リアサスペンションは5リンク式が採用されている。4WDシステムの「クォドラドライブII」は、ホイールスピンを瞬時に検出し、フルタイムトランスファー (NV245) と、電子制御式 リミテッド スリップ デフ (ELSD) によって、100%のトルクを1輪だけに伝達することも可能。 またこのサイズのSUVにもかかわらず最小回転半径が5.6mと小さく、非常に小回りが効く。
居住性
ジープ初の3列シート、7人乗SUVで、シートは1列目、2列目、3列目になる程高くなるスタジアムシートが採用された。2列目以降は天井も高くなるが、外観では天井が高くなっていることが分らないようにデザインされている。またドライビングシート上部に「パワーガラスサンルーフ」が、2列目シート上部には「コマンドビュー・ツインガラスルーフ」と呼ばれるサンルーフが装備されている。
2列目シートはリクライニングが可能で、中央のシートにドリンクホルダー付きの肘掛が収納されている。また、2列目、3列目とも可倒式でフルフラットにすることが可能。3列目にもエアコンのコントローラー、ドリンクホルダー等が装備されている。
ただしミニバンのような7人乗りとして活用するには、3列目シートのフロアが高く、小学生程度の体躯なら余裕のあるスペースと言えるが、大人が長時間座るのには不向き。