特定アジア
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特定アジア(とくていアジア)は、日本と同じく東アジアの内、中華人民共和国、大韓民国、朝鮮民主主義人民共和国3カ国を総称した呼称。
概要
この用語は近年、日本において使用され始めた用語であり、下記の意味合いを持つ。
- アジア諸国のうち、反日的な姿勢をとる国家を対象とする。メディア上で多用される「アジア」「アジア諸国」「アジア外交」等に対するアンチテーゼとしての性格を持つ。
- 通常、対象国は中華人民共和国(以下:中国)、大韓民国(以下:韓国)、朝鮮民主主義人民共和国(以下:北朝鮮)の3カ国と定義されている。
- 戦前の日本に批判的であるという共通項で括られるものの、それぞれの国状も、現代日本との関係も大きく異なる。
- 「特定アジア」どうしはもちろん、親日国とされる国々においても「特定アジア」に相当する概念は存在せず、国際社会において別段「特定アジア」が孤立しているとは言えない。
語源
朝南政昭(=南川政昭)は米国の戦略国際問題研究所 (CSIS) が2002年8月1日に発表した報告書『統一コリアに対する米政策の青写真』を「特定アジア」の語源としている[3]。ただし、ここで語源とされているCSIS報告書中の “a selected Asian nation(s)” (アジアの特定の国(々))という表現は「朝鮮半島が統一した場合に統一コリアがとり得る外交戦略としては、(中略)アジアのどこかの国(々)と同盟関係を結ぶことが考えられる」という文脈で用いられており、本来は本記事で述べている「特定アジア」とは異なる意味である[4]。なお、CSIS報告書中のこの語に対して朝鮮日報は2002年9月19日の報道で「特定アジア諸国」という日本語訳を与えている[5]。なお、「特定アジア諸国」という語はそれ以前よりさまざまな文脈で用いられている[6]。
「特定アジア」という分類が主張されるにいたった経緯
「特定アジア」的な分類が日本の右派・保守派の間で広まったのはインターネット(特に匿名掲示板)上が起源であるとされ、「特定アジア」という用語が生まれた理由は次のようなものである[要出典]エラー: タグの貼り付け年月を「date=yyyy年m月」形式で記入してください。間違えて「date=」を「data=」等と記入していないかも確認してください。。
- 「2ちゃんねる」等の総合掲示板において、中国・韓国・北朝鮮絡みのニュースはニュース掲示板が荒れる傾向が明確になったため、通常ニュースから分割されて別の掲示板に隔離された。
- 「アジア」とは本来、日本からアジアの西端とされるトルコまでにわたる数十カ国から構成される広大な地域である(アジアを参照)。
- 下の「BBC国際世論調査」より、現在、アジア各国における対日観は多くの国でおおむね良好なものであるとの調査結果が出ている。ただし、同調査では中国および韓国の対日観のみが、この二国を除く他のアジア諸国と大きく隔たった例外的かつ特徴的なものとなっている(北朝鮮は調査対象外)。
- 日本国内では、論調に左翼色が強いとされる一部マスコミや市民団体が中国および韓国ならびに北朝鮮の三ヶ国のことを「アジア」または「アジア諸国」と表現する場合がある。例えば日本とこれら三ヶ国のいずれかとの二国間関係、またこれら三ヶ国との関係で生じた局地的緊張や対立が「アジア諸国の反発」「日本のアジアにおける孤立」などといった表現で報じられることがある。
- これは「アジア」という語を印象操作のため恣意的に使用するものである。不正確な情報伝達是正のため上の三ヶ国を他のアジアの国々と区別する用語が必要である。
また同義語であるがより蔑視および批判の姿勢を強めた言葉として「極東三国」、「反日国家」、「特ア三国」などが散見される[要出典]。いずれももっぱらインターネットスラングとして使われ、日常でのコミュニケーションで使われることは稀である。
「特定アジア」諸国の対日本観
強力な反日教育を国家が積極的に実行している中華人民共和国、大韓民国両国においては、国民の反日感情が(諸外国と比べて)突出して高い[要出典]エラー: タグの貼り付け年月を「date=yyyy年m月」形式で記入してください。間違えて「date=」を「data=」等と記入していないかも確認してください。。北朝鮮においては、日本は悪の帝国であると一方的な洗脳が全国民に実行されている[要出典]エラー: タグの貼り付け年月を「date=yyyy年m月」形式で記入してください。間違えて「date=」を「data=」等と記入していないかも確認してください。。
1990年代以降の日本においては、北朝鮮による日本人拉致問題、竹島問題をめぐる韓国右派の反日アピール、韓国における親日派への迫害[7]、中国における反日デモ(日本大使館への中国民衆の暴力を中国政府が黙認した)などの異常な事実が、次々と報道され始めた。「特定アジア」諸国が、他のアジア諸国と比較すると、突出して反日的であると認識されるようになってきたのである。中韓における反日は、先の大戦時に起因する恨みの感情故ばかりではなく、中国共産党政府が人民の不満を逸らすスケープゴートに日本を使っているからであること、また韓国には、とにかく理屈抜きで日本のものは全て全否定することを気持ち良いとする風潮があることが、日本で広く知られることになった。
BBCの国際世論調査
2006年2月3日、英国のBBCワールドサービスによる、日本を含む9の国および地域が世界に与えている影響についての印象を尋ねる世論調査の結果が公表された[8]。この調査は、世界33カ国において、約39500人を対象として実施され、調査実施国のうち、調査主体によってアジアに分類されているのはアフガニスタン、インド、インドネシア、オーストラリア、韓国、スリランカ、中国、フィリピンの8カ国である[9]。北朝鮮は調査実施国に含まれなかった。
その結果、日本については、33カ国のうち31カ国において「主として世界に好影響を与えていると感じる」と回答した人の数が「主として悪影響を与えていると感じる」と答えた人の数を上回った(全体平均は「好影響」55%対「悪影響」18%)。これに対して、本記事において「特定アジア」と定義する中国と韓国の2カ国においては「主として悪影響」が多数であった(中国16%対71%、韓国44%対54%)[10]。
同機関が2007年3月に発表した調査では、27カ国、28000人を対象に、日本を含む13の国および地域が世界に与えている影響の印象を尋ねた[11]。アジア・太平洋地域の調査実施国はインド、インドネシア、オーストラリア、韓国、中国、フィリピンの6カ国である[12]。北朝鮮は調査実施国ではなかった。その結果、24カ国で日本に対して「主として好影響」が「主として悪影響」を上回り(全体平均は54%対20%)、中国と韓国の2カ国のみで「主として悪影響」が多数であった(中国18%対63%、韓国31%対58%)[13]。
同機関の2008年3月発表の調査では、34カ国、17457人を対象に、日本を含む14の国および地域が世界に与えている影響の印象を尋ねた[14]。アジア・太平洋地域の調査実施国はインド、インドネシア、オーストラリア、韓国、中国、日本、フィリピンの7カ国である[12]。北朝鮮は調査実施国ではなかった。その結果、日本はドイツと並び調査対象国中もっとも「好影響」の回答率が高かったが(全体平均は56%対21%、ただし、前年以降継続データのある24カ国のみの平均)、前年、前々年と同様、中国、韓国においては「悪影響」との回答が多かった(中国30%対55%、韓国37%対52%)[15]。
アジア・太平洋地域の調査実施国中、韓国、中国以外の国においては、対日本感は継続して肯定的である。2006年以降の各年毎の数値は、インド(48%対13%→37%対16%→26%対9%)、インドネシア(85%対8%→84%対9%→74%対12%)、オーストラリア(60%対12%→55%対27%→70%対15%)、フィリピン(79%対13%→70%対8%→70%対12%)である。もっとも、インドの数字を見れば分かるとおり、「反日国」とされる韓国における親日派の割合が、「親日国」における親日派の割合にほぼ等しかったり、むしろこれを上回る場合もある点に注意が必要である。
「特定アジア」の使用例
- SANKEI EXPRESS、2007年3月22日の記事中に、「4月下旬に訪米する安倍氏としては、中国、北朝鮮、韓国の「特定アジア」を喜ばせるだけの日米離間は望ましくない。」という一節でこの語が用いられた[16]。なお、この記事を書いたのはizaブログで常に上位にランキングされている産経新聞記者の阿比留瑠比である。
- 日本が中国と韓国から国益を侵害されていること(東シナ海ガス田問題や竹島の領土問題など)について、古田博司筑波大学大学院教授が、産経新聞のオピニオン欄『正論』で「もういいかげんに覚悟を決めたらどうだろうか。特定アジアからそろって偽史まで強要されている。そのような恥ずかしい国に住んでいくという覚悟を、もう決めた方がよいのではないか。」と論じた[17]。
- 政治家の石破茂はジャーナリスト清谷信一との対談書『軍事を知らずして平和を語るな』において、清谷が「反日なアジアは韓国や中国などの特定アジアだけ」と言及したことに対して、「過去の日本軍の行動の負の部分をみつめないとアジアの反日が再燃する可能性があり、特定アジアだけが反日と決めかかるべきではない」と述べている。
脚注
- ^ 総理の靖国参拝と筑紫哲也の妄言 清谷信一公式ブログ 清谷防衛経済研究所
- ^ 産経新聞2006年7月18日朝刊
- ^ 『朝日新聞のトンデモ読者投稿』晋遊舎、2007年4月、ISBN 4883806162
- ^ Center for Strategic and International Studies, Blueprint for U.S. Policy toward a Unified Korea, 2002年8月1日, p. 24. ここでは、朝鮮半島が統一した場合に、米国との同盟以外にあり得る外交戦略の選択肢として、中立国、東アジアの地域的安全保障システムへの参加の他に、例えば中国のような、アジアの特定の国家と親密な関係を結ぶことがある、と述べられており、“selected Asian nations” は具体的な特定地域を指しているわけではなく、ましてや、中国、韓国、北朝鮮の3国をこのように呼称しているわけではない。
- ^ 朱庸中「米国が発表した「統一韓国の青写真」」『朝鮮日報』日本語オンライン版、2002年9月19日。
- ^ 例として「特定アジア諸国における国境貿易及び越境取引」『日本エスカップ協会調査資料』、24-1号、1998年7月、1-51頁などをあげることができる。
- ^ 詳しくは「親日反民族行為者財産の国家帰属に関する特別法」、「親日派リスト」および「金完燮」を参照。日本では、竹島を韓国に譲ろうという意見が許される。しかし韓国では、竹島(韓国名:独島)は韓国のものであると主張しないと社会的に抹殺されることになる。
- ^ 調査の実施調査専門機関である GlobeScan およびメリーランド大学国際政策観プログラム(PIPA)による。調査の詳細及びデータについては、GlobeScan, "Global Poll: Iran Seen Playing Negative Role," (BBC Poll: Attitudes towards Countries) n.d.、最終アクセス2008年4月2日(英語)。同趣の調査は2005年にも公表されている。
- ^ 「中東」および「ユーラシア」(トルコ・ロシア)は「アジア」と区別されている。
- ^ 日本と同じく質問対象国であった中国は、全体平均で「主として好影響」が45%、「主として悪影響」が27%という結果となった。韓国では、中国に対して「悪影響」が58%と、対日本(54%)よりも高かった。
- ^ GlobeScan, "Israel and Iran Share Most Negative Ratings in Global Poll"、 2007年3月6日、最終アクセス2008年4月2日(英語)。質問対象国別のデータはBackgrounderの章を参照のこと。
- ^ a b 「中東」は「アジア」と区別されている。
- ^ 日本と同じく質問対象国であった中国、北朝鮮については、中国が全体平均で「好影響」42%対「悪影響」32%、北朝鮮が19%対48%という結果となった。また中国では対中国の回答が81%対6%、対北朝鮮が34%対39%、韓国では対中国が32%対48%、対北朝鮮が12%対78%であった。
- ^ GlobeScan, “Global Views of USA Improve”、2008年4月2日、最終アクセス2008年4月2日(英語)。質問対象国別のデータはBackgrounderの章を参照のこと。なお、『読売新聞』の報道によれば、本調査は「読売新聞社が英BBC放送と実施した共同世論調査」であるが(「日本『世界に良い影響』、独と並びトップ…BBC・読売調査」2008年4月2日)、GlobeScan の調査報告書によれば、読売新聞社は当調査を実施している調査機関 GlobeScan の日本におけるリサーチ・パートナーであり、調査の主体(依頼主)はBBCのみである。
- ^ 日本と同じく質問対象国であった中国、北朝鮮については、中国が全体平均で「好影響」47%対「悪影響」32%、北朝鮮が23%対44%という結果となった。また中国では対中国の回答が90%対4%、対北朝鮮が47%対32%、韓国では対中国が40%対50%、対北朝鮮が17%対72%であった。またこの年は日本も調査実施国となったが、日本について「好影響」としたのは36%にとどまり、「日本の市民は調査実施国中でもっとも謙遜」(Japanese citizens are the most modest of those polled)と評された(報告書トップページ)。一方で、日本での回答は、対中国が12%対59%、対北朝鮮が2%対90%であり、「圧倒的多数」(an overwhelming majority)が北朝鮮に対して否定的と報告されている(Backgrounderの章)。
- ^ 「【安倍政権考】「戦後レジーム」の厚い壁」 『SANKEI EXPRESS』、2007年3月22日、 [1]
- ^ 恥ずかしい国に住んでないか2009年5月8日付産経新聞7面
- ^ 別冊宝島1329 『自衛隊VS“特定アジア”~中国・北朝鮮』 宝島社、2006年7月、ISBN 978-4-7966-5379-4
関連項目
- 近隣諸国条項
- 歴史認識 - 靖国神社問題 - 歴史教科書問題 - 慰安婦問題
- 反日教育 - 反日感情 - 反共主義
- 親日/反日
- アジア - 東アジア
- 大東亜共栄圏 - 東アジア共同体
- ネット右翼
- 脱亜入欧・脱亜論・脱亜思想
- 嫌韓
- 古いヨーロッパ
- 三国人
参考文献
- 古田博司『東アジア「反日」トライアングル』文春新書467、文藝春秋、2005年10月、ISBN 4166604678
- 石破茂、清谷信一『軍事を知らずして平和を語るな』ベストセラーズ 、2006年10月、ISBN 4584189676