サドベリー・バレー・スクール
サドベリー・バレー・スクール
サドベリー・バレー・スクールは1968年にアメリカ・マサチューセッツ州のフラミンガムで創設された。現在サドベリー・モデルをベースにした学校が、アメリカ合衆国・カナダ・デンマーク・イスラエル・日本・オランダ・オーストラリア・ベルギー・ドイツなどに、35校以上ある。このモデルは教育における自由と民主的な統治という二つの基本的な原則をもっている。この学校には4歳から19歳までの子供が通っている。
教育哲学
サドベリー・バレー・スクールの教育哲学は、幼年期に子供に信頼と責任を与えることによって、自分が何をしたいのか、なぜそれをしたいのか、どうやってそれを成し遂げるのかを子供は学ぶことができる、というものである。サドベリー・バレー・スクールの生徒は自分の時間をどう使うかを自由に決めることができる。 「民主的自由」もまたサドベリー・バレー・スクールの教育哲学の中心的な信念である。この学校は、毎週行われるスクール・ミーティング(School Meeting)という、伝統的なニュー・イングランド・タウン・ミーティングをベースとするミーティング(下記の「学校制度」を参照)によって運営されている。生徒たちには、権利章典(Bill of Rights) の下で学校内における完全な保護が保証されている。
学校制度
スクール・ミーティング
生徒とスタッフは、スクール・ミーティングを通して学校の運営に参加するよう求められる。ミーティングではすべての参加者に一票の権利が与えられる。ミーティングは「ロバートの議事手続き」(Robert's Rules of Order) を用いて運営される。スクール・ミーティングでは、財政、新しいルール、スタッフの選出など学校のすべての側面に関わる規則と規制が決められる。スクール・ミーティングは、円滑な学校運営を維持するために、書記(Clerks)・委員会・学校コーポレーション(School Corporation)を創設することができる。
書記・委員会・コーポレーション
書記は基本的に管理責任者であり、敷地のメンテナンスや出席記録など学校内の主な仕事をする。 委員会は、学校の美観やルールの侵犯などのより重要な仕事を扱う(司法委員会の会員資格は下に記されている)。他の全ての既存の委員会には誰もが参加することができる。どのスクール・ミーティングのメンバー(スタッフまたは生徒)も、10月の最初の 十日間か1月の最初の十日間に、どの委員会にも参加してよい。 学校コーポレーションは、伝統的な学校の学部あるいはクラブに相当する。すべてのスクール・ミーティングのメンバー(スタッフまたは生徒)はどれかのコーポレーションのメンバーであり、どのコーポレーションもその責任者を選ぶ。[1]。[2]
司法委員会
司法委員会は学校の規則の侵犯に関する申し立てを調査し、裁判を開き、評決を行い、処罰を下す(アメリカ合衆国の現在の司法制度 に非常に似ている)>。[3] 。もし評決に対して再審が求められたら、毎週行われているスクール・ミーティングで再審が行われる。生徒とスタッフは同様に司法委員会に召喚される。
スクール集会
また、学校の幅広い政策決定部門であるスクール集会(School Assembly)もある。)[4]スクール集会は一年に一度開かれ、スタッフ・生徒・生徒の親によって構成される。その主な目的は、スクール・ミーティングによって提起された学校予算の承認である。またスクール集会は評議会を選出するが、評議会は助言的な役割をするにすぎない。[5]評議会の目的はスクール集会から持ちかけられた問題を検討し、スクール集会に報告することである。
施設
その教育哲学により、サドベリー・バレー・スクールの施設は多くの学校とはある程度異なる。伝統的な教室やクラスは存在しない。しかし子供たちはどの教科の授業でもリクエストすることができ、ある関心についてどのスタッフ・メンバーとも話すことができる。[6] 主要な学校の建物はヴィクトリア様式の大邸宅である。一般的な用途の部屋が多くあり、読書用の部屋や音楽室など特別に用途が決められた部屋もある。工作や他の活動のための施設のある離れ家がいくつかあり、10エーカーの丘、森、伝統的な運動場、大きな池もある。インターネットにつながったコンピュータとビデオ・ゲームも利用できる。
スタッフ
サドベリー・バレー・スクールには終身在職権が存在せず、スタッフの選挙は毎年行われる。現在のスタッフたちが仕事としてサドベリー・バレー・スクールに関わってきた期間は、二年から四十年である。
カリキュラム
サドベリー・バレー・スクールでは強制されたり、行うように要求される活動もない。生徒たちは自分の望むように自由に時間を使うことができ、どんな設備やどのスタッフも利用できる。
カリキュラム
サドベリー・バレー・スクールは過去35年にわたる卒業生についての研究を二つ出版してきた。それらの研究によって分かったのは、生徒たちの8割はサドベリー・バレー・スクールを卒業した後に別の学校で学びつづけているということである。ほとんどの卒業生は第一志望の大学に受け入れられている。また生徒たちは自分たちの人生について幸せを感じていると報告し、多くの生徒は公的奉仕活動へのコミットメントを言明している。[7]
サドベリー・バレー・スクールをモデルとした日本のデモクラティック・スクール
- ^ The Sudbury Valley School Handbook
- ^ The Sudbury Valley School Management Manual
- ^ The Sudbury Valley School The Judicial System. Accessed 10 Aug 2006.
- ^ Scott David Gray: A Few Words on SVS Accessed 10 Aug 2006.
- ^ The Sudbury Valley School Handbook: How the School is Governed.
- ^ Hara Estroff Marano: Psychology Today Magazine: Education: Class Dismissed. May/Jun 2006.
- ^ Daniel Greenberg, Mimsy Sadofsky, and Jason Lempka The Pursuit of Happiness: The Lives of Sudbury Valley Alumni. Accessed 10 Aug 2006.