ルービックキューブ
ルービックキューブ (Rubik's Cube) はハンガリーの建築学者エルノー・ルービックの考案した立方体パズル。
概要
各面は3×3=9個の色の付いた正方形で構成されているが、立方体全体を見ると、頂点にあるコーナーキューブ8個、辺にあるエッジキューブ12個、各面の中央にあるセンターキューブ6個で構成されているのが判る。 これらのキューブを、各列(行)ごとに自由に回転させることができる。回転に伴い、コーナーキューブやエッジキューブ(サブキューブとも言う)は場所が移動するが、センターキューブは回転するだけで移動しない所がポイントである。後に出た上位版のルービックリベンジでは各面が4×4に分割されておりセンターキューブ自体も他の面に移動できてしまうため格段に難しい。オフィシャルのバリエーションでは他に、各面が5×5に分割されているプロフェッサーキューブや、2×2に分割されているポケットキューブがある。センターキューブに文字が入り、向きを揃えないと駄目なものもある。
遊び方は、キューブを回して色をバラバラに崩し、それを再度揃えるだけというシンプルなもの。シンプルなだけに最初は誰でもすぐに完成すると思いがちであるが、一旦揃えた場所を崩さずに他の場所を揃える方法に気付かないといつまで経っても完成しない。
色の構成は白・青・赤・橙・緑・黄というのが正式なもので、日本国内で正式にライセンスを受けて販売しているのはメガハウスである。 日本国内で流通しているメガハウス製品では、白の裏が青、赤の裏が橙、緑の裏が黄という配色になっているが、実はルービックのオフィシャル配色では、白を手前に見ると奥が黄色、そして側面が時計回りに青赤緑橙という順序が正しいとされている。国内版と比べると黄と青が入れ替わっている。 メガハウス製品はツクダオリジナル時代の製品に比べ、シールの品質が低く剥がれやすいという問題を抱えていたが、改善された。 日本では1980年に大ブームとなり、いかに速く6面を揃えるかを競う大会なども催された。
このパズルで考えられる配置は (8!×38-1)×(12!×212-1)/2 = 43,252,003,274,489,856,000(4,325京2,003兆2,744億8,985万6千) 通りである。群論で解ける典型的な問題という事で、数学的な話題に上る事もままある。
スピードキュービング
ルービックキューブを解くまでの時間の速さを競うことをスピードキュービングと呼ぶ。1回計測するだけでは誤差が大きいため、12回計測して、その中から最も速かった回と最も遅かった回を除外した10回の時間の平均を用いることが多い。世界トップクラスのレベルになると平均11秒台という速さで解いてしまう(2007年4月現在)。
ルービックキューブの解法には製品付属の解説書に記載されている方法やCF(Corner First)などがあるが、スピードキュービングで用いられている最もポピュラーな解法はLBL(Layer By Layer)と呼ばれるものである。これは、基本的にキューブの各層を下から順に揃えていく方法である。解いている過程が分かりやすく、短時間で揃えることができる。ある程度のパターンを暗記しなければならないのが欠点である。
速く解くにはキューブを速く回さなければならないため、潤滑剤を使用して回しやすくする人も多い。また、フィンガーショートカット(一度の動作で複数の箇所を回すテクニック)を用いたりもする。 このような動きをすることからパズルというよりはスポーツ競技だと取られることが多く、欧米ではスポーツになりつつある。
公式大会
公式の競技ルールはWorld Cube Association(世界キューブ協会)[1]によって毎年アナウンスされる。WCAに認められる公式大会は世界中で行われており、日本では日本ルービックキューブ協会(JRCA)[2]によって開催される。また、世界大会も2年ごとに10月頃に行われており、世界中のキュービストが一堂に会することとなる。
2007年の世界大会は10月5日~7日にハンガリーのブタペストで行われ、メインイベント(3x3x3 Cube 5回の平均)で日本の中島悠(16歳・釧路高専2年)が優勝、郡司光貴(15歳・土浦日大高1年)が3位となり、日本人の実力を見せつけた。2位はアメリカのAndrew Kang。中島の優勝記録は平均12.46秒であった。優勝賞金は5000ユーロ。なお2007年の日本大会では郡司が優勝、中島は3位だった。
公式に認められている種目を以下に示す。
- 2x2x2 Cube (ベスト, 5回の平均)
- 3x3x3 Cube (ベスト, 5回の平均)
- 4x4x4 Cube (ベスト, 5回の平均)
- 5x5x5 Cube (ベスト, 5回の平均)
- Clock (ベスト, 3回の平均)
- Magic (ベスト, 5回の平均)
- Master Magic (ベスト, 5回の平均)
- Megaminx (ベスト, 3回の平均)
- Pyraminx (ベスト, 5回の平均)
- Square-1 (ベスト, 3回の平均)
- 3x3x3 Cube 片手 (ベスト, 5回の平均)
- 3x3x3 Cube 足 (ベスト, 3回の平均)
- 3x3x3 Cube 最小手順 (ベスト手順数)
- 3x3x3 Cube 目隠し (ベスト)
- 4x4x4 Cube 目隠し (ベスト)
- 5x5x5 Cube 目隠し (ベスト)
- 3x3x3 Cube 複数目隠し (ベスト)
種目名の後に示したのは認められる競技方法である。太字で示したものは、種目の決勝で行われることを推奨されるものである。ベストとは一定数計測した中で最も速い記録であり、3回の平均は3回計測した平均の記録である。5回の平均は、5回計測した中で最も速い記録と最も遅い記録を除いた3回の平均を競うものである。
片手や、足だけを使ってキューブを解く特殊な競技も行われている。これらは通常より離れ業的要素を強くした競技である。
目隠しで行う競技は、まずキューブの状態を「見て」記憶し、その後目隠しをしてこれを解くものである。見て記憶し始め、完全にパズルを解くまでの時間が競技者の記録となる。記憶に要する時間に制限はなく、審判員は目隠しを1秒以内にすませなければならない。
また、複数のキューブの状態を同時に記憶し、目隠しをしたまま解く競技もある。この競技はタイムを競うというよりは、キューブの個数を競う要素が強い。ただし、1つのキューブにつき15分(6個を超える分は1つにつき10分)を超えた場合は失格となる。
最小手順競技は独特のルールで、競技者にはキューブを回すある手順を示した紙が与えられる。競技者はそれを元に戻しなるべく短い手順を60分以内に求めるという競技である。競技者が使うことができるのは紙とペン、3つの実際のキューブとステッカーである。
特許
ルービックキューブの動作原理についての特許をエルノー・ルービック以外にも取得している人がいる。
- 日本では石毛照敏が特許を得ている。
- アメリカではラリー・ニコルスが特許を得ており、アイデアルトイ Ideal Toy Company(アメリカでの発売元)に勝訴している。
その他
このような機構のパズルの中には、上記のルービックリベンジ、プロフェッサーキューブ、ポケットキューブ等の立方体のバリエーション以外にも正四面体のピラミンクスや正十二面体の物もある。また、形状は立方体だが立方体の角が回転するスキューブなどもある。
正多面体以外の形状のものとしては、八角柱や立方八面体の形状のものもある。2006年に発表された「フロッピーキューブ」は、1×3×3 の直方体の形状をしている。この作品は国際パズルパーティーのコンペティションで入賞している。
また2×2の分割系ではキャラクターを模した物もあり、ハローキティを頭部と胴体部の間・全身の前後の間で分割している物や、ガンダムの頭部を分割した物などがある。
ノースイースタン大学でスーパーコンピュータを用いて行われた計算により、どのような状態からも各面が揃った状態に戻すことができる「神様の数字(God's Number)」は高々26手であることが証明され、2007年8月に発表された。
関連項目
- ポケットキューブ(2×2×2)
- ルービックリベンジ(4×4×4)
- プロフェッサーキューブ(5×5×5)
- ルービックスネーク(スネークキューブ)