「音声反訳」の版間の差分
表示
削除された内容 追加された内容
Ozawaseiji (会話 | 投稿記録) 編集の要約なし |
Ozawaseiji (会話 | 投稿記録) 編集の要約なし |
||
28行目: | 28行目: | ||
* 1978年 - 日本語[[ワードプロセッサ]]「JW-10」が[[東芝]]から発売。[[トランスクライバー]]([[カセットテープ]]再生専用機・ソニー「BM-76」など)が普及。 |
* 1978年 - 日本語[[ワードプロセッサ]]「JW-10」が[[東芝]]から発売。[[トランスクライバー]]([[カセットテープ]]再生専用機・ソニー「BM-76」など)が普及。 |
||
* 1996年 - (平成8)最高裁事務局の指導により、ソクタイプ方式だった全国の裁判記録を「テープ起こし」に変更。 |
* 1996年 - (平成8)最高裁事務局の指導により、ソクタイプ方式だった全国の裁判記録を「テープ起こし」に変更。 |
||
* 1998年 - [[ICレコーダー]]が、各社一斉に発売される。米国などでは |
* 1998年 - [[ICレコーダー]]が、各社一斉に発売される。その後、米国などではICレコーダーで録音された音声ファイルを各レコーダーメーカーの音声反訳ソフトに取り込み、付随する専用フットスイッチの使用で、音声反訳作業の効率化が可能になる。(フットスイッチの日本販売は未定) |
||
* 2004年 -アーク写本社はパソコン用USBフットスイッチ(OLYMPUS Foot Switch RS-23・RS-25)を米国より取り寄せ動作を確認。音声反訳用として米国より輸入。 |
|||
* 2009年 - (平成21)国会・参議院において、議事録の作成を「手書き速記」から音声聴取によるパソコン入力に変更。120年に及ぶ速記による議事録作成に終止符が打たれる。 |
* 2009年 - (平成21)国会・参議院において、議事録の作成を「手書き速記」から音声聴取によるパソコン入力に変更。120年に及ぶ速記による議事録作成に終止符が打たれる。 |
||
<ref>「[https://sokki.or.jp/manabu/history/]」「日本速記協会 日本の速記」から一部引用</ref> → 「日本速記協会 日本の速記」から一部引用 |
<ref>「[https://sokki.or.jp/manabu/history/]」「日本速記協会 日本の速記」から一部引用</ref> → 「日本速記協会 日本の速記」から一部引用 |
2021年5月21日 (金) 01:04時点における版
音声反訳(おんせいはんやく)・音声の文字化とは、会議・講演・座談・対談などで録音された音声を、ただ機械的にテキスト化するのではなく、内容・使用目的・分野なども考慮して反訳(文字化)する作業である。多種多様な音声データの文書化には、反訳者の豊かな知識、技術とノウハウが必要とされる。
反訳者の仕事内容
音声ファイルを音声反訳ソフトに取り込み、音声データを再生。音声を聞き取りながら文字化する。反訳ソフトに付随する専用フットスイッチを使用して、効率よく作業を行う。座談会・会議等の場合、音声だけでは話者の声を聞き分けることが出来ないため、依頼者に発言メモ(会議スタートから会議終了まで、発言者の番号と話し始めの言葉を少し書いたもの)の作成をお願いする。メモがあれば、完成原稿に正しく発言者名を入れることが可能となる。
文章の整え方
音声を反訳する際の整え方は、それを何に使うのか目的によって変わる。
- 「逐語反訳」。会話分析などの場合、登場人物の語り口や言葉ぐせは、一言一句をすべて正確に厳密に「聞こえたとおり」に反訳する。
- 「ケバ取り反訳」。間合いをとる言葉などのケバ(無機能語)は取る。ダブリ(重複言葉)を省く。会話中、間違った言葉の後に正しい言葉が続いた場合、正しい言葉で文字化する。助詞(てにをは)の誤りを訂正・補完する。その場の雰囲気が伝わる仕上げで、すべて「話したとおり」に反訳する。話された内容を確認したり編集のための資料として使う場合に適している。
- 「整文反訳」。ケバやダブリは取る。明らかな間違いは直す。助詞の誤りを訂正・補完する。適切な句読点を打つ。必要ならば倒置を直す。センテンスを短くするために(文意を変えずに)語尾をつくる。以上の限定された範囲内で「発言の趣旨は絶対に変えない」ということに注意を払いながら、書き言葉風に文章を整え、読みやすく誤りのない原稿にするのが整文反訳である。各種会議の会議録などを作成する場合に適している。
- 「編集反訳」。内容をカットせずに短くできる限界(ケバ取り字数の約7割程度)を目標に、話し言葉のムダをカットして簡潔にまとめる。発言内容のカットまで踏み込んだ字数指定の原稿作成や、小見出しの追加なども可能とするのが編集反訳である。
単に音声反訳といっても、逐語反訳から高度に整文・編集されたものまで、文章の整え方によってさまざまに変わる。音声反訳は、そのときの身体の動きや笑い・声の調子など、話し手の「気持ち」を酌み取りながら行うと、さらに良いとされる。
[1] → 「(株)アーク写本 文章の整え方」から一部引用
日本における音声文字化の推移
- 1875年 - (明治8)松島剛・畠山義成が、日本語速記法の整備に着手する。
- 1882年 - (明治15)9月19日、田鎖綱紀(たくさり こうき)氏が『時事新報』に、グラハム式を参考にした日本傍聴記録法として発表、同年10月28日、日本傍聴筆記法講習会を開設。田鎖式速記の指導を開始する。
- 1890年 - (明治23)帝国議会が開設。議会開設後の第一議会から、発言が速記録される。
- 1933年 - (昭和8)ドイツの電機メーカーAEGがテープレコーダーを開発。「マグネトフォン(Magnetophon)」名で発売。
- 1942年 - 衆議院式標準符号が定められる。
- 1950年 - 戦後、東京通信工業(ソニー)が日本初のオープンリール式「テープレコーダーG型」を発表。
- 1951年 - 髙橋鐵雄氏(写言堂)がG型を購入。埼玉県議会を録音。カナタイプ―モノタイプで速記録を作成。
- 1956年 - 藤村勝巳氏が連合通信社デスクとして、大阪からの電話送稿を東京で復唱録音、音声の文字化を行う。
- 1963年 - 田鎖式速記者の渡辺博史氏が事務所を設立(後のテープリライト社)、発売されたばかりのテープレコーダーを業務に導入。録音された音声を文字化する手法を開発する。
- 1965年 - フィリップスが、互換性厳守を条件にカセットテープのパテントを全世界に無償公開。
- 1973年 - 藤村勝巳氏(テープリライト社)が、話し言葉と書き言葉の違いを前提にしたテープ起こし原稿の作成を提唱、初めて「テープ起こし」の呼称を用いる。
- 1978年 - 日本語ワードプロセッサ「JW-10」が東芝から発売。トランスクライバー(カセットテープ再生専用機・ソニー「BM-76」など)が普及。
- 1996年 - (平成8)最高裁事務局の指導により、ソクタイプ方式だった全国の裁判記録を「テープ起こし」に変更。
- 1998年 - ICレコーダーが、各社一斉に発売される。その後、米国などではICレコーダーで録音された音声ファイルを各レコーダーメーカーの音声反訳ソフトに取り込み、付随する専用フットスイッチの使用で、音声反訳作業の効率化が可能になる。(フットスイッチの日本販売は未定)
- 2004年 -アーク写本社はパソコン用USBフットスイッチ(OLYMPUS Foot Switch RS-23・RS-25)を米国より取り寄せ動作を確認。音声反訳用として米国より輸入。
- 2009年 - (平成21)国会・参議院において、議事録の作成を「手書き速記」から音声聴取によるパソコン入力に変更。120年に及ぶ速記による議事録作成に終止符が打たれる。
[2] → 「日本速記協会 日本の速記」から一部引用
[3] → 「テープリライト(株) 企業ヒストリー」から一部引用
出典
- 藤村勝巳『録音テープ起こし入門/符号のいらない速記術』、1973年。
- 藤村勝巳『話し言葉と書き言葉 テープ取材のテクニック』(廣松書店)、1983年3月。
- 藤村勝巳『絵とき・テープ起こしのテクニック』(出版研究センター)、1989年10月。
- 吉川欽二『会議録作成入門 200のノウハウ・テクニック』(ぎじろくセンター)、2000年4月。
[4] → 藤村勝巳『話し言葉と書き言葉 テープ取材のテクニック』から一部引用
脚注
- ^ 「[1]」「(株)アーク写本 文章の整え方」から一部引用
- ^ 「[2]」「日本速記協会 日本の速記」から一部引用
- ^ 「[3]」「テープリライト(株) 企業ヒストリー」から一部引用
- ^ 藤村勝巳『話し言葉と書き言葉 テープ取材のテクニック』から一部引用