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2008年2月29日 (金) 14:06時点における版
盗作(とうさく)とは、他人の著作物にある表現、その他独自性・独創性のあるアイデア・企画等を盗用し、それを独自に考え出したものとして公衆に提示する反倫理的な行為全般を指す言葉。オマージュ、パロディとは区別される。
音楽における盗作
16世紀以前の西洋では著作権という概念はほとんど存在せず、ローマ楽派の対位法は先生も弟子も全て同一の物を使用しており、なおかつ「似たような」作品に仕上がるのを「完成された芸術」とした。現在ならば明らかに著作権侵害に該当することも作曲家同士で行いあうのが常であった。これは生活がパトロンによって保障された者同士での情報交換であったために、価値をめぐる競争が過熱しなかった時代の産物とも言われる。
オリジナルを他と区別する時代が到来したのは近代以降、明確には解っていないが、恐らくは19世紀であると推察されている[要出典]エラー: タグの貼り付け年月を「date=yyyy年m月」形式で記入してください。間違えて「date=」を「data=」等と記入していないかも確認してください。。この時代に「~の主題によるパラフレーズ」が流行したということは、「オリジナルが書けなくなった」という理由でもあった。機能和声の枠内でロマンティックに振舞う時代が100年強続くということは、当然、旋律断片の重複が避けられなくなる。
21世紀に入った現在のポピュラー音楽業界は、洋の東西を問わず独創的なアイディアの枯渇が深刻なものとなっており、日本では稀だが、海外では法廷でも盗作を否認し続けるアーティストが見られる。これは個人の保身のみならず、業界全体の保身といった問題も抱えている。また、近代音楽は基本的に7個(半音も含めれば12個)の音の組み合わせで作られているため、これほど世の中に無数の音楽が日々作られている以上、似たようなメロディーが偶然作られてしまう可能性は確率的にも十分ありえてしまうという問題もある。長期的には盗作やオリジナルといった概念自体も見直しが行われる可能性もある。
日本のポピュラー音楽業界は、盗作云々についての書物への検閲をかなり厳しく行っており、「ドロボー歌謡曲」は邦楽アーティストの名誉を不当に損ねるものとして、これを発禁処分にしたことがある。しかし、本の内容が事実であったかどうかについての議論は、当時行われないままであった。日本人の音楽嗜好の盲点が、やっと浮き彫りになったのがこの事件である。また「4小節までのコピーであれば盗作にはならない」とも言われるが現時点での法的根拠は全くなく、JASRACもこれを否定している。
盗作と「盗作疑惑」
大抵、盗作行為の有無は、作者側または裁判所等の第三者機関が認めるなど、何らかの経緯を経て確定されることとなる。そのため、ある作品に盗作の疑惑がもたれても、すぐにそれを盗作とみなすことができず、結果的に、いわゆる「盗作疑惑」の段階で終わってしまう事例も多い。
欧米の法律・判例では、既存の作品の盗作が発覚した場合、その原作品の著作権者にそれなりの対価を払う事が一般的である。日本国の著作権法では、公衆に提示された作品が盗作であっても、具体的な表現でないアイディア・設定などの盗用である場合は、こうした法的制裁を設けていない。ただし、著作権法で保護されるものが表現であってアイデアではない点は、世界共通の認識である。
ちなみに、偶然他者の著作物と類似した作品が完成したときに、他者の著作物を盗用せずにそれを作っていたのであれば作品は盗作とならず、その作者のオリジナルであるとして認められる。また時折誤解されることがあるが、盗作とは他者の表現や独創性のあるアイディアを盗用して類似した作品を作ることであり、類似した作品を作ること全てが盗作となるわけではない。「~に影響を受けた作品」「~風の作品」と称されるものは作風の模倣であって、盗作には該当しない場合が多い。
インターネット普及後は、個人が「盗作疑惑」を議論し、公表することが容易になった。しかし、このようなインターネットにおける検証は、原作品の著作権者の意思に基づかないなど、本来の当事者が不在のまま行われる場合が多く、また、ありふれた類似点(物語の類型など)を羅列して根拠としているなど、問題点も少なくない。
盗作を摘発するには、民事訴訟を提起するほかに、マスコミなどのアクセス権を利用して世間に広く知らしめる方法がある。しかし、事実が確定していないものを盗作と断じ世に広めることは、事実の提示をした場合においても名誉毀損とみなされることがあり、その場合民事・刑事双方の案件となりえる。また、事実の提示をしない場合であっても侮辱罪となりえる。
なお、著作権侵害、名誉毀損及び侮辱罪は、いずれも親告罪である。
パクリ
盗作の類義語として用いられる用語に「パクリ」がある。「パクリ」とは、盗んだもの、盗んだことを意味する名詞である。また、盗作よりも広義であるため、必ずしも著作権侵害とは関係のない場面においても使われている。→ぱくりを参照
二重投稿
既に発表された自作品を他の新聞・雑誌・放送などのマスメディアに複数投稿する「二重投稿」も、投稿先が著作権者となるような場合などには盗作と位置づけられることがある。
関連項目
外部リンク
- 創作・二次創作 問題提起・検証サイトリンク集(リンクトラブル、ネットトラブル、盗作検証・考察サイトへのリンク集)
- 忙しい人のための簡略「提言騒動」話(盗作にからんだネットトラブルも含めた考察、検証サイトへのリンク集)