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ドイツのための選択肢

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AfDから転送)
ドイツのための選択肢
Alternative für Deutschland
略称 AfD
共同党首
名誉会長 Alexander Gauland
創立 2013年2月6日 (11年前) (2013-02-06)
分離元 ドイツキリスト教民主同盟[1]
青年部 ドイツのための青年の選択肢ドイツ語版
党員・党友数 増加 34,000[2](2023)
政治的思想 ドイツ・ナショナリズム英語版[3][4]
過激派保守主義
右派ポピュリズム[5]
欧州懐疑主義[6]
保守主義[7]
国民保守主義[8][9]
直接民主主義[10]
経済的自由主義[11]
反イスラム[12][13][14][15][16]
反移民政策[15][17][16]
政治的立場 右派[6][18][19][20][21] - 極右[22][16][23][24]
欧州連携 アイデンティティと民主主義(2023-)[6]
欧州議会会派
公式カラー     淡い青色(水色
連邦議会
81 / 736
(2021年9月26日)
連邦参議院
0 / 69
連邦州議会英語版
228 / 1,884
欧州議会(ドイツ選挙区)
9 / 96
公式サイト
www.afd.de

^ A: AfDはCDU/CSUに代わる中道右派政党として誕生したが、2015年以降、民主主義に反対しない極右の一部である急進右派に属すると考えられている[25]

ドイツのための選択肢(ドイツのためのせんたくし、: Alternative für Deutschland、略称:AfD〈アーエフデー〉)[26]は、ドイツ右派ポピュリスト政党[27][8]欧州(EU)懐疑主義[28]ドイツへの移民に反対している[29]右派極右政党と形容され[18][19][20][21][23][24]、欧州政党の中でも極右の一部である急進右派に位置づけられる[22]民主主義を否定はしないものの[30][31]ドイツの司法当局過激派ではないかと疑っている[32]

概説

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2013年4月、ゴーラント、ベルント・リュッケ、元ドイツキリスト教民主同盟(CDU)のメンバーらによって、中道右派だが親欧州派のCDUに代わる右派で穏健な欧州懐疑派の政党として、ユーロ圏の政策に反対するために結成された。結成当初は、経済的にリベラルで[33]、欧州懐疑的で、保守的な運動を展開していた[34][35][36]。その後、さらに右傾化し[37]、歴代指導者の下で移民[13][10]イスラム教[38]欧州連合への反対を含む政策を拡大した[39]。2015年以降、イデオロギーはドイツ民族主義[40][41][42]フォルキッシュ民族主義[43]国家保守主義を特徴とし[9][44][45]反イスラム[46][47][14]反移民[48]福祉排外主義[43]欧州懐疑主義に政策の重点を置いている[49]。連邦議会で唯一、人為的な気候変動の否定に基づいた環境・気候政策に掲げている政党である[50][51]。AfDのいくつかの州会と他の派閥は、PEGIDANeue Rechteアイデンティタリアン運動などの極右民族主義や非合法運動とつながりを持ち[52]歴史修正主義[53]排外主義的なレトリックを使っていると非難されている[54][55][56]。2018年以降、憲法保護のために様々な州政府機関によって監視されている[57]。AfD指導部は、党が人種差別主義的であることを否定しており、そのようなグループを支持するかどうかについて党内で意見が分かれている[58]。2022年1月、イェルク・モイテン党首は、AfDが全体主義的な特質を持つ極右に発展し、大部分がもはや自由民主主義的な基本秩序に基づいていないことを認め、党首を辞任してAfDを離脱した[30][31]

2013年の設立後、2013年のドイツ連邦選挙連邦議会に議席を獲得するための5%の選挙基準をわずかに下回った。2014年のドイツ欧州議会選挙では、欧州保守改革グループ(ECR)の一員として7議席を獲得した。2017年10月までにドイツ16州議会のうち14議会で代表を獲得した後、2017年のドイツ連邦選挙で94議席を獲得し、第3党となり、最大野党となった。主な候補者は、アレクサンダー・ゴーラント共同副議長と、第19回連邦議会で党グループリーダーを務めたアリス・ワイデルだった。2021年のドイツ連邦選挙では、第5党に後退したが[59]東部諸州(旧東ドイツ)では得票を伸ばした[59]。旧東ベルリンでは得票率20.5%でSPDに次いで2位となり、西では得票率8.4%で5位となった[59]。同党は旧ドイツ民主共和国東ドイツ)の地域、特にザクセン州テューリンゲン州で最も勢力を伸ばしているが[60][61][62]、これは東ドイツの有権者が強権政治を好む傾向にあることに加え、統一後も続く経済・統合問題が主な原因である[63]。2023年以降の世論調査では、AfDは第2位の人気政党となっている[64][65]

歴史

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党結成から2014年までの党の歩み

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メルケル政権によるギリシャほか欧州連合諸国への救済措置に不満を抱く勢力が中心となって結成された。欧州連合からの脱退を目標とし、ユーロ圏からの離脱とドイツ・マルクの復活を当面の最優先課題に挙げている。党の政策は全体的に右派色が強いが、国粋主義移民排斥は掲げていないとされる[66]

結成から2か月後に開かれた党大会に1500名余りが参加するなど当初から強い注目を集め、同年9月の連邦議会選挙では阻止条項(得票率5%)を下回り議席獲得には至らなかったものの、連立与党の自由民主党FDPエフデーペー)に肉薄する得票率4.7%を記録し一定の存在感を見せた。なおAfDFDPの支持基盤を主に奪ったため、FDPも得票率4.8%で阻止条項を下回る結果に終わり、1948年の結成以来守り続けてきた連邦議会の議席を失った[66]

なお第2投票(比例区)の得票率を州別で見た場合、メクレンブルク=フォアポンメルン州 (5.6%)、ブランデンブルク州 (6.0%)、ザクセン州 (6.8%)、ヘッセン州 (5.6%)、テューリンゲン州 (6.2%)、バーデン=ヴュルテンベルク州 (5.2%)、ザールラント州(5.2%)の7州で5%を上回る支持を集めることに成功した[67]。ただし連邦議会選挙と同日に行われたヘッセン州議会議員選挙では得票率4.1%に留まり、議席を獲得するには至らなかった。

2014年5月に行われた欧州議会議員選挙では、得票率7.4%で7議席を獲得した[68][69]

欧州議会ではイギリス保守党が率いる会派「欧州保守改革グループ」(ECR)に属していたが、国境管理を巡って意見が相違した結果、2016年に会派を離脱。その後、2016年5月までに、ドイツのための選択肢の欧州議会議員は欧州懐疑派の会派「自由と民主主義のヨーロッパ」(EFDD)に加わった。

また同年8月のザクセン州議会議員選挙(得票率9.7%)で初めて州議会の議席を得ると[70]、翌9月のブランデンブルク(同12.2%)・テューリンゲン(同10.6%)両州議会議員選挙でも阻止条項を突破し、州議会への進出を果たしている[71]

2015年7月の党分裂

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ペギーダをめぐる党内不一致

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ドイツのための選択肢は2014年10月に旧東独ザクセン州の州都ドレスデンに登場したペギーダ[72]の略称を持つ西洋のイスラム化に反対する欧州愛国者運動と密接な関係を持っていた。事実、AfD党員や支持者たちがドレスデンにおいてペギーダと共に活動していた。2014年11月以降、ドレスデンAfDはペギーダのデモに歓迎され合流していた。AfDザクセン支部ハンス=トーマス・ティルシュナイダーの指導下にある愛国者プラットフォームはペギーダを最初から支持し、ペギーダの要求を支持し受け入れることをAfD連邦指導部に迫った。ケルンにおけるサラフィスト反対運動に参加することを禁止した2014年のAfD指導部の決定に反対するAfD党員たちはペギーダのメンバーたちと連帯して不満の声をあげた。2014年12月に旧東独ブランデンブルク州のAfDを率いるアレクサンダー・ガウラントがドレスデンのデモ行進と集会を見物し、ペギーダ運動を支持し連携することはAfD党員として当然なことと語った。フラウケ・ペトリーはザクセン州議会でペギーダと合同幹部会を開催した。反対に当時の指導部にいたベルント・ルッケとハンス=オーラフ・ヘンケルはペギーダ運動とは距離を保つことを主張した。2015年1月になって、メルケル首相によるペギーダ批判に対抗する形で、AfD指導部がペギーダを擁護した。ペギーダ代表ルッツ・バッハマンによる外国人嫌悪発言が明るみに出ると、AfD連邦指導部はペギーダから離れた。けれどもAfDの州支部段階においてペギーダに対する姿勢はアンビバレントであった。フランクフルトのペギーダ系運動に極右政党のドイツ国家民主党が関与しているとして、ヘッセン州AfDはペギーダへの党員参加を批判した。しかし、ヘッセン州北部のカッセルで開かれた集会には党員の参加を促していた[73]。2015年7月にエッセンで開催されたAfD臨時党大会の挨拶において、開催地のノルトライン=ヴェストファーレン州AfDの代表マーカス・プレッツェルドイツ語版はドイツのための選択肢はペギーダ運動の政党であると述べた[74]

エアフルト決議

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2015年5月、旧東独テューリンゲン州のAfD代表ビョルン・ヘッケと同じく旧東独のザクセン=アンハルト州AfD代表アンドレ・ポッゲンブルクはAfD指導部に抗してテューリンゲン州の古都エアフルトでエアフルト決議と呼ばれる狼煙をあげた。その決議において彼らはより保守的な政治姿勢に立つようにAfD指導部に要求した[75]。エアフルト決議の支持者たちはドイツのための選択肢党をドイツの現代社会に定着しているジェンダー・メインストリーミング多文化主義に対抗するドイツ民族の運動体として理解していた。加えて、ドイツのアイデンティティーと独立の更なる希薄化に対抗する運動体という理解も彼らに存在していた。とりわけ、エアフルト決議はペギーダ運動との関係を批判した。大勢のAfD党員や支持者たちがペギーダのデモに参加しているにもかかわらず、ドイツのための選択肢AfD党は市民的抗議運動であるペギーダから距離を置いて、手を切るべきであると言い切っている[76]。少し後に、党内穏健派ハンス=オーラフ・ヘンケルは3人の欧州議会議員たちと共に「ドイツ決議」という名の対抗宣言を明らかにし、エアフルト決議の提唱者たちを党の団結を壊すものたちとして批判した。2015年3月25日までに1800人のAfD党員たちが署名したとエアフルト決議の主唱者は語った。署名した党員たちの中に、ブランデンブルク州代表のアレクサンダー・ガウラントも含まれていた。

ヴェクルーフ2015

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2015年5月になって、ベルント・ルッケはヴェクルーフ2015と呼ばれる分派集団を作った。複数の欧州議会議員と若干の州の代表者と幹部たちがAfDの穏健派グループとしてベルント・ルッケの下に集まった[77]。そこに集まった党員たちは新右派の代表者たち(エアフルト決議の提唱者)による権力把握によってドイツのための選択肢AfD党の存立と一体性が脅かされていると見なした。その時点では、ヴェクルーフ2015に集った党員たちは新党を結成しようとしたのではなく、穏健派党員たちの離党を食い止め、穏健派を強めようとしていたのである[78]。2015年5月末に州支部の結成が始まり、その内部においてヴェクルーフ2015集団が党に発展すると語られ始めていた[79]。ヴェクルーフ2015と呼ばれる分派集団結成はルッケの支持者たちの多量離党を可能にするための準備と周囲では見なされた[80]AfD指導部にいたフラウケ・ペトリーとアレクサンダー・ガウラントはルッケらの分派結成を党則違反行為であって、党を傷つけたと批判した[81]。その分派集団ヴェクルーフ2015においてベルント・ルッケの支持者約4千人が集まった[82]。ルッケのドイツのための選択肢AfD離党後の2015年7月に約2,600人が新たな欧州懐疑主義政党の結成を支持し集まったのである[83]

エッセン臨時党大会

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エッセン臨時党大会 2015

党内抗争後の2015年7月4日にノルトライン=ヴェストファーレン州の工業都市エッセンで開催された臨時党大会において、党首選出選挙がおこなわれた。決選投票において、フラウケ・ペトリーがベルント・ルッケの代わりに第一党首に選ばれた[84]。党首選出の決戦選挙においてペトリーには60%の支持票が集まったのに対して、ルッケへの支持票は38.1%に過ぎなかった[85]。加えてイェルク・モイテンが同等の権限を持つ党首に選ばれた[86]。ベルント・ルッケの党首選における敗北は政治学者たちから党の右傾化と経済自由主義派に対する国民保守主義派の勝利と評論された[87][88]

ペトリーによると、エッセン臨時党大会はAfDを破壊的な党内権力闘争から救うための強行策だった。それによってドイツのための選択肢は再び独立と自由を回復したのである。新指導部の下でもユーロ救済策への批判が最重要課題として継続しており、難民対策や難民亡命者庇護政策が党の前面に躍り出ているわけではない。中産階級と家族を守るための直接民主主義の更なる導入も重要政策として党は継続しており、社会政策経済政策も同様である。単に欧州連合改革に関連する変更事項が生じたに過ぎない。党大会後のAfD新指導部は自国であるドイツ連邦共和国のメルケル政権よりもイギリス保守党デーヴィッド・キャメロン首相に親近感を持っていることを認めている[89]

党設立者ベルント・ルッケ

新党「進歩と新たな出発の連盟」の結成

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党首選に敗れたベルント・ルッケは離党し、2015年7月19日に新たに進歩と新たな出発の連盟(ALFA)を設立し[90]、5人の欧州議会議員、3人のブレーメン市議会議員、一人のテューリンゲン州議会議員を含む大勢の支持者たちを新党に呼び込んだ[91][92]。新たに結党された「進歩と新たな出発の連盟」との今後の関係を、ドイツのための選択肢党に残った党員たちが指導部に問い合わせたが、AfD指導部はあくまでも新党を無視し、彼らを決してリスペクトしないように残ったAfD党員たちに求めた[93]。党分裂は決定的であった。

2016年

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オーストリア自由党との協力関係構築

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2016年初め、ドイツのための選択肢党首フラウケ・ペトリーとノルトライン=ヴェストファーレン州党支部代表マルクス・プレッツェル、オーストリア自由党(FPÖ)党首ハインツ=クリスティアン・シュトラッヘFPÖ幹事長 ハラルト・ヴィリムスキはデュッセルドルフでシンポジウム「欧州のための未来像」に出席し、会談をおこなった[94][95]。その後、ドイツのための選択肢バイエルン州支部がオーストリア自由党との協力関係(ブラウ同盟)を構築することで一致した[96]。引き続き、ブランデンブルク州ナウエンでの選挙演説会に際して、FPÖ幹事長のハラルト・ヴィリムスキとドイツのための選択肢副党首のアレクサンダー・ガウラントが演壇に共に上がった[97]。2016年5月1日、シュトゥットガルトで開催されていた党大会においてマルクス・プレッツェル党ノルトライン=ヴェストファーレン州支部代表がオーストリア自由党も加盟を希望している欧州議会内政治会派「自由と民主主義のヨーロッパ」に入ることを明かした[98]。さらに、マルクス・プレッツェルが党大会の場でオーストリア自由党への歓迎メッセージを読み上げた[99]

2016年3月州議会議員選挙での躍進

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2016年3月13日、バーデン=ヴュルテンベルク州、ラインラント=プファルツ州、ザクセン=アンハルト州でおこなわれた州議会議員選挙でドイツのための選択肢は阻止条項(5%)を突破し、それぞれの州議会で議席を獲得した。バーデン=ヴュルテンベルク州では15,1%を獲得し、州議会では緑の党(30.3%)、キリスト教民主同盟CDU(27.0%)に次ぐ第3党の位置を確保した[100]。ドイツのための選択肢はドイツ社会民主党SPD(12.7%)と自由民主党(8.3%)にも競り勝っており、この州での支持が広がっていることを示している。ラインラント=プファルツ州では12.6%を獲得し、州議会ではドイツ社会民主党(36.2%)、キリスト教民主同盟(31.8%)に次ぐ第3党の位置を確保した[101]。この州ではドイツのための選択肢は自由民主党(6.2%)、同盟90/緑の党(5.3%)に競り勝っている。旧東独のザクセン=アンハルト州では24.2%を獲得し、州議会ではキリスト教民主同盟(29.8%)に次ぐ位置を獲得した[102]。この州では旧東独で強い支持基盤を持つ左翼党(16.3%)を大きく上回り、ドイツ社会民主党(10.6%)と同盟90/緑の党(5.2%)も引き離した。事前の調査の通り、旧東独地区でAfDへの支持が厚いことが今回の州議会議員選挙で明らかになった。

欧州議会内会派・欧州保守改革グループからの離脱

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2016年1月にベアトリクス・フォン・シュトルヒ欧州議会議員兼副党首が国境侵犯者に対して銃器使用を可能にすべきと発言した後、2016年3月になってドイツのための選択肢所属欧州議会議員が「欧州保守改革グループ 」(EKR)から2016年3月31日までに離れることを求められた。これを受け入れない場合は、議員団から除名すると警告された。この離脱要求はオランダキリスト教民主主義者ペター・ファン・ダーレンの提起から来ていた[103]。その結果、2016年4月8日にベアトリクス・フォン・シュトルヒ議員兼党副党首は欧州保守改革グループを自ら離脱し、欧州懐疑派の欧州議会内政治会派「自由と民主主義のヨーロッパ」に加わった[104]。その3日後に、欧州議会議員のマルクス・プレッツェル党ノルトライン=ヴェストファーレン州支部代表が欧州保守改革グループから除名された[105]。彼も2016年5月1日に「自由と民主主義のヨーロッパ」会派に入った[98]

ザールラント州支部の解散

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2016年3月24日、ドイツのための選択肢連邦指導部はザールラント州支部の解散決定を告知した。ザールラント州支部において政治的目的の逸脱と党内秩序に関する違反行為があったことをドイツのための選択肢連邦指導部が確認したからである[106]。ドイツのための選択肢ザールラント州支部とドイツ国家民主党(NPD)幹部との協力活動が連邦憲法擁護庁によって裏づけられたというドイツの週刊誌シュテルンの調査記事がその処分理由になった[107]

基本綱領の決定

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2016年4月30日から5月1日までシュトゥットガルトで開催されたドイツのための選択肢党大会で、綱領草案が提案され、多数の派閥と約1000人の党員が参加して基本綱領を議決した[108]。その基本綱領では、イスラムはドイツに属していないと見なされ、ミナレット建設、アザーンの呼びかけ、ブルカやニカブで顔を覆うことを禁止している。難民としての資格付与が認められない国の出身者には最初から庇護手続き申請自体を認めない。他方で、高度な能力を持ち、ドイツ社会に融合する準備や能力を兼ね備えている移住希望者を歓迎する。欧州連合(EU)は経済共同体としてのみ存続し、共通通貨ユーロは廃止すべきものと見なしている。ユーロ圏(欧州連合加盟、ユーロ導入国)にドイツが留まるかどうかは、国民投票で決定すべきであるとしている。スイスをモデルにして直接民主主義的要素を強め、連邦大統領を直接投票で選出させ、反対に議員の有する権限を制限縮小させていく。育児手当を保育所に子供を預けない家庭に支給させ、家庭内保育を保育所と同列に扱い、家庭内育児自体を優遇する。男女共同参画政策、クオータ制は誤ったフェミニズムであると見なし否定する。子供のいる家庭と子沢山家庭は称賛されるべきであり、その育児は支援されるべきであり、堕胎は許されない。租税法を簡素化し、中間所得者と低所得者、とりわけ中下層所得の家族に向けた税の控除制度を拡充させる。原子力発電所の操業期間延長を許容し、シェールガス採掘も肯定し水圧破砕法の研究を推進する。男性に兵役義務を再び課すこと、NATO加盟国であることを否定せず、NATOのあり方をドイツの利害に合致させていくようにする。

ペギーダ(西洋のイスラム化に反対する欧州愛国者)との境界

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2016年5月、ドイツのための選択肢指導部は、AfD党員たちが講演者としてペギーダ(西洋のイスラム化に反対する欧州愛国者)集会の演壇に上がることや、AfD党旗等を持参して集会に参加すべきではないと決定した。同時にペギーダ関係者によるAfD集会での登壇やペギーダの旗等の持参を断ることも決定した[109]。この党指導部の決定に対して、党内右派からは不満の声が上がった[110]

2016年9月メクレンブルク=フォアポンメルン州議会選挙

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2016年9月4日、ドイツのための選択肢はメクレンブルク=フォアポンメルン州議会選挙で20.8%を得て州議会第2党になった。州議会選に際して、ドイツのための選択肢州代表ライフ=エリク・ホルムは州首相候補として第1党になる目標を掲げていたが、その達成には失敗した。州議会選挙前において、党全国代表モイテンはメクレンブルク=フォアポンメルン州議会でのドイツ国家民主党との連携を示唆した[111]。しかしながら、ドイツ国家民主党が阻止条項によって州議会での議席獲得に失敗したので、このような状況が現実になる可能性は消えた。

ベルリン州(特別市)議会選挙

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2016年9月18日におこなわれたベルリン州(特別市)議会選挙で、ドイツのための選択肢は得票率14.2%、25議席を獲得した。ドイツのための選択肢への支持は旧西ベルリン側よりも旧東ベルリン側の方が高く、東側のマルツァーン=ヘラースドルフ区リヒテンベルク区パンコウ区トレプトウ=ケーペニック区にある小選挙区で首位になり当選を決めた[112]。なお、ベルリン西側で当選した議員は全て比例代表選出であり、東側のように小選挙区で当選した者はいない。

2017年

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2017年ケルン党大会

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2017年4月、ドイツのための選択肢はケルンで全国の代議員を集めて党大会を開催した。2017年秋に行われるドイツ連邦議会選挙を前にして、連邦議会選挙時の筆頭候補選出に関する白熱した議論がおこなわれた。なお、2016年11月の段階で連邦党指導部は2017年連邦議会選挙筆頭候補を選出していた[113]。党員たちの質疑を経て執行部からの提案は承認された[114]。ケルン党大会の少し前に、フラウケ・ペトリーは選挙筆頭候補からの辞退を表明していた[115]。党の選挙筆頭候補として、 アレクサンダー・ガウラントとアリス・ワイデルが代議員の67.7%の支持を得て選出された[116]。党大会代議員たちは党をより現実路線に向かわせようとしたペトリーが携わったいわゆる「未来に向けた提案」を却下した。この議決結果はペトリーと現実路線の敗北と広く認識された[117]

2017年ドイツ連邦議会選挙

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2017年9月24日に投票が行われたドイツ連邦議会選挙で、ドイツのための選択肢は政党名簿投票分(間接投票の比例代表)で12.6%を獲得し、94議席を得た[118][119]。加えて、旧東独南部のザクセン州では直接投票の小選挙区で3人当選している[120][121]。ザクセン州でドイツのための選択肢は第2投票の比例代表においても27%を獲得し、ドイツ国内で最も強い支持を得た[122]。全体として、ドイツのための選択肢(AfD)は旧東独地区において、西側諸州よりも強い支持を得ていることが明らかになった。さらに分析するとドイツのための選択肢(AfD)は旧東独地区のポーランドチェコとの国境に隣接している地域で最も高い支持を得ている。支持の度合を自治体レベルで見ると、大都市よりも地方の小都市や郡部自治体で、より強い支持を得ている。最大の支持層は東西共に中年男性であると言われている。このような支持動向に関して、社会学者でライプツィヒ大学教授ホルガ―・レングフェルトは必ずしも個々の経済的社会状況は投票に際して重要な働きはせず、むしろグローバル化という世界の趨勢への嫌気に左右された結果であると見なしている[123]

しかし、総選挙からほどなく党共同代表のペトリーが辞任・離党した[124]。2017年12月2日にハノーファーで開かれた党大会で、イェルク・モイテンとアレクサンダー・ガウラントが党代表に選ばれた[124]

2019年

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2019年の州議会選挙

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9月1日、旧東ドイツのザクセン州、ブランデンブルク州で投開票された州議会選挙では両方で第2党に躍進した。ザクセン州での得票率は前回2014年の3倍近い27.5%、ブランデンブルク州でも前回から11.3ポイント増の23.5%となった[125]

10月27日、テューリンゲン州議会選挙では前回の2倍を超える23.8%を獲得し、第1党の左翼党に次いで第2党となった。与党キリスト教民主同盟は第3党に転落した[126]

2021年

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コロナの規制解除を訴えて臨んだ連邦議会選挙ではザクセン、テューリンゲンの東ドイツ2州最多得票であったが全国的には失速した[127]

2024年

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2024年の欧州議会選で、ドイツで第2党となった[128][65]

9月1日、AfDは東部チューリンゲン州議会選挙で32.8%を獲得し、全88議席のうちの32議席を獲得して第1党となった。同日、AfDはザクセン州選挙で30.6%の票を獲得し、120議席のうち40議席を獲得して第2党となった[129]。同22日のブランデンブルク州議会選挙でも支持を伸ばし、得票率29%で第2党となった[130]

政策

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2013年4月14日のドイツのための選択肢創立党大会において、ユーロ圏の解体を強調するAfDの選挙公約を決定した。共通通貨ユーロは挫折し、欧州統合の追い込まれた状況に対応した党の施策であった。共通通貨導入によって欧州諸国の国民経済が破壊され、現役世代が重い負担を背負わされ貧困化し、欧州統合の前提となる諸民族の融合が崩されてしまったからである。加盟国に対する欧州連合の権限の縮小と更なる直接的な民主主義導入(住民投票制度)をAfDは求めている。党創立年における他のテーマは憲法学者パウル・キルヒホーフの提起を基にした税制改革案、および莫大な予算措置が取られている政治亡命者、難民庇護政策を移民対策費の枠内に含めて費用を削減していくことを提起した[131][132]。2014年3月の党大会において、詳細な欧州議会選挙公約が決定された[133]。さらに党員による投票制度に関する政治的ガイドラインを作成した[134]。政治亡命者、難民庇護対策と定住外国人政策、さらにイスラム主義対策を強調する基本政策集も党指導部の戦略文書として作られた[135]

欧州政策

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欧州財政政策

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共通通貨ユーロの廃止と各国独自通貨の再導入、あるいはより小規模で安定した通貨同盟の再結成がこの党の中心的要求である。さらに欧州連合基本条約を改正させることによって通貨同盟からの自発的な脱退を全ユーロ加盟国に可能にさせることも求めている。欧州安定メカニズム(ESM)から補助金貸付の停止させるようにドイツ連邦議会に圧力をかけ、負債が増え続けている債務国には債務カットを行わせ、その際には再び補助金を支給しないように求めている[136][137]

欧州政策

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ドイツのための選択肢は自党を反EU政党として見なしておらず、党の見解によれば欧州連合に原則的には敵対してはいない[138]。党は共同市場を支持し、国会を通して為される官庁会計を維持しようとしているが、移転連合(ある国から別の国へと富を『移転』させるための連合)と欧州統一国家を拒絶している。立法権限を各国議会に戻すことを求める。さらに、ドイツのための選択肢はキャメロン首相と同様に欧州連合を自由に競争できる状況にすることに同意している。そのために、結党時の2013年4月においてイギリス保守党との欧州政治協力を実現することを論議していた[139]。ドイツ連邦共和国の主権を欧州連合に売り渡すことを阻止するために、党はスイスの国民投票制度を倣った国民投票制度を要求している[136][140]

国内政策

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エネルギー政策

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代替エネルギー導入のための補助金が一般税収から回されているので、ドイツの再生可能エネルギー法(EEG)は廃止されるべきであるとしている。あらゆる方策の中でエネルギー創出のための永続的な補助金助成制度は許すべきではないとしている[136][137][141]エネルギー政策国民国家の主権事項である。しかしながら、送電網省エネルギー政策に見られるように欧州の協力事業はエネルギーのかなりの分野において有効で、必要とされている。古いエネルギーを廃するための技術革新に関する研究が支援促進されなければならない。他の先進工業諸国の状況を顧みないまま、代替エネルギーの導入拡大を優先したドイツの2020年エネルギー活用目標を党は批判している。

社会政策、金融政策と税制改正

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ドイツのための選択肢は欧州域内市場(共同市場)を支持している。党はルートヴィヒ・エアハルトによる社会的市場経済路線に倣った持続的経済政策社会政策の実現に全力を尽くす[142]。労働政策と社会政策は欧州連合加盟国の国内課題に含まれる。党は低所得層向け社会保障制度を支持し拡充する。法的に決定された広範囲に及ぶ最低賃金をその社会保障制度が実現する。しかしながら最低賃金制度がドイツ国内労働市場に負担をかけ、危険に晒してはいけない。収入補助という形で社会的援助が国家によって為されることを党は要求する。 党は財政赤字解消を目標にして金融政策に努める。ユーロ救済策と銀行救済策査定というような金融政策の立案において国民の補償負担リスクを明示させなければならない。キルヒホーフモデルによって党は租税法を簡素化させる[136][137]

健康政策

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欧州連合において保健衛生制度の調整が広範囲におこなうことを党は拒否する。欧州連合段階において認められる調整は新薬認可のような国境を越え出ることの可能な保健衛生業務に限定される。さらにコストを下げるために、統一された薬価システムを導入していく。保健衛生に従事する職業の吸引力は官僚機構改革とネットワーク構築と職能給導入のような措置を導入することによって自律的に高められる[133]

家族政策、男女共同参画政策

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年金の将来を顧慮するならば子供の養育が重要になるので、家族の位置づけを高めるべきであるとしている。よって所得税における扶養控除制度の拡充を支持していく[143]。2013年6月、党ベルリン支部は同性愛生活同伴者における税的平等性を肯定した[144]バーデン・ヴュルテンベルク州における緑の党とドイツ社会民主党連立州政府は同性愛を授業の主要課題にする新教育カリキュラムを提案した。2014年1月、ドイツのための選択肢バーデン・ヴュルテンベルク州支部は緑赤連立州政府のこの新教育カリキュラムを拒否した[145]。異なったジェンダーアイデンティティーを認めた上で、党は性の平等とその社会的役割を支持し促進する。他方、ジェンダーアイデンティティーを解消させる恒常的なジェンダー格差解消策(ジェンダーフリー)を党は否定している。欧州連合が加盟国に強いている財政上の支援を伴うジェンダーフリー促進策の停止を党は求めている。ジェンダー格差解消策に欧州連合EU予算が使われていることを明示すべきとしている。

企業公共機関の人員採用において求職者の能力や必要な資格が審査照会されるべきであり、性差別があってはならない。女性と男性における機会均等はあらゆる社会領域において促進されなければいけない。男女機会均等規定を法律として発布する場合は政治による強制的な目標規定を導入してはならない。求職活動において、身障者と障害を持つ被保護者は健常者と同じ資格を持つ場合、優遇されなければならない。共同社会による扶助と保護を受ける権利が身障者と障害の持つ被保護者にあるからである[133]

教育政策

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学校職業訓練大学運営に関する教育政策は各地域の伝統と要望を取り入れた上で、国家の権限の下で決定される。最良の学校教育システムの導入によって一定の教育水準がドイツ連邦共和国全体に行き渡ることを党は要求している[146]。 ディプローム試験と国家試験課程を可能な限り昔の形態に戻さなければならない。親による子供の人格形成と教育をサポートすることが国家の課題である。全日制託児所と学校の働きは子供の人格形成と教育において有意義なものにする[136]

移民政策

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ドイツにおける民主主義的発展には専門的能力を有する移民は必要と見なしている。高齢者の生活保障を維持しドイツ経済を支える高度な技能を有する労働力を確保するために、専門的能力を持つ移民が必要と見なしているからである。高度な専門的能力を持つ移民を支援しドイツに移住させるために、党はカナダモデルによって移民関係の法制度を改正するように要求している。他方、未熟練労働者や専門的知識の無い者はドイツの社会システムを破壊する恐れがあるので、移民の対象にはならない。政治的迫害を受けている者をドイツ政府が庇護し、働く場を提供することをこの党も否定しない。その場合でも政治的迫害が具体的に認められる場合に限って庇護が適用されるように求めている。2015年における流入難民の大幅な増加に対応して、連邦党指導部は2015年9月に移民と庇護政策に関する戦略的文書を明らかにした。その文書において、党はドイツ国境において入国管理を再開させ、迅速な手続きと、難民申請期間中におけるドイツ政府による難民申請者たちにいわゆる小遣い銭支給の廃止を求めている。加えて難民としての資格付与が認められない国の出身者には最初から庇護手続き申請をさせないように求めている。

2015年11月に開催されたドイツのための選択肢党大会において、ドイツ国家と国民の安全を最優先し、外国人の庇護権をその下位に置くことを決議した。加えて、難民の受け入れに上限を設定し、ドイツへの家族の呼び寄せを禁止することを政府に要求している[147]

イスラム教徒に対する見解

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ドイツのための選択肢の基本綱領によると、イスラムはドイツに属していないと見なしている。とりわけ、党はミナレット建設、アザーンの呼びかけ、ヒジャブの着用等を禁止するように求めている。フランスと同様に、公職にある者において被り物は禁止されなければならない。ブルカとニカブは公共の場において全面的に禁止すべきとしている。ドイツのための選択肢は無条件に信教の自由を支持することを明らかにしている。法に忠実でドイツ社会に統合されているイスラム教徒はドイツ社会を構成する共同体の成員であると認めている。ドイツ基本法を憎悪する団体をイスラム教徒が結成し活動することを禁じるように党は求めている。同様にイスラム国による国際的資金調達、イスラム国への個人的資金提供、献金も禁じられなければならない。さらに、ドイツにおけるイマームはドイツ語で大学で教育される必要があるとしている[148][149]

2018年1月、党幹部のアーサー・ワグナードイツ語版が前年10月にイスラム教に改宗したことが報じられた[150][151]教会が同性婚を認めたり、ゲイパレードに司祭が参加したことなどから改宗したと述べており、幹部は辞任したが党員としては留まる[150]

外交

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バイデン政権を鋭く批判している[152]

親ロシア運動

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AfDのメンバーの大部分は、 ロシアとその外交政策を支持している。連邦憲法擁護庁は、ロシアがドイツの民主主義体制を様々なレベルで不安定化させようとしているとの調査結果を報告した。同機関のトーマス・ハルデンワン長官によると、ロシアの主張はAfDの一部によって広められており、右翼過激主義の拡大に寄与している[153][154]。AfDのメンバーは、ロシアの政治家と密接な関係を持ち、OCCRPの調査で金銭的利益を受けているとリストにあげられた[155]

主張

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極右政党だという外部からの評価に対し、党側は、その政策は移民排斥を訴えるものではなく、難民による強姦殺人事件の多発を受け[156]治安改善のために犯罪者の国外追放、軋轢を生むイスラム主義者の入国拒否などを主張している。また、高度な専門的能力を持つ移民に関してはドイツへの移住を支援している[157]

また、AfD側は、党内にはタムホンのようなベトナム系ドイツ人女性やホミブ・メブラフトゥのような黒人系ドイツ人男性もおり、ホミブはAfDバーデン=ヴュルテンベルク州ライン=ネッカー郡の役員になっていることや、彼はインタビューで「国の難民政策を恐れ、自衛のためにAfDに参加した」と語ったことから、単に人種差別を謳う極右政党とは一線を画していると主張している[158][159]

党組織

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ドイツのための選択肢における党組織は指導部、傘下団体、州支部に分けることが出来る。2013年2月6日にベルリンで開催された創立党大会においてコンラート・アダム、ベルント・ルッケ、フラウケ・ペトリーら3人が同等権限を有する党代表者が選ばれた。2015年7月4日、ノルトライン=ヴェストファーレン州の工業都市エッセンで開催されたドイツのための選択肢臨時党大会において、フラウケ・ペトリーイェルク・モイテンが党首に選ばれた(二人代表制)。

その後、2017年12月2日にハノーファーで開かれた党大会で、イェルク・モイテンとアレクサンダー・ガウラントが党代表に選ばれている[124]

連邦党指導部

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党首 イェルク・モイテン

イェルク・モイテン

副党首 アレクサンダー・ガウラント、アルブレヒト・グラザー、ベアトリクス・フォン・シュトルヒ
連邦党財務担当 クラウス・フォールマン(副担当:ボード・ズーレン)
党指導部メンバー ディルク・ドリーザング、ユリアン・フラック、アルミン=パウル・ハンペル

ゲオルク・パズダルスキ、アンドレ・ポッゲンブルク、アリス・ワイデル

州支部

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AfDはドイツの全土の州議会に野党として議席を有し、各州に支部を置いている。

  州支部 設立日時 州支部代表 党員数[160]
2017年4月現在
州議会選挙結果 2017年ドイツ連邦議会選挙結果 2019年欧州議会選挙結果
バーデン=ヴュルテンベルク州 2013年04月22日 3,750人 15.1% (2016) 12.2% 10.0%
バイエルン州 2013年05月31日
  • マルティン・ズィッヒャート
3,683人 10,2 % (2018) 12.4 % 8.5%
ベルリン州 2013年04月27日
  • ベアトリクス・フォン・シュトルヒ
1,204人 14.2% (2016) 12.0% 9.9%
ブランデンブルク州 2013年04月28日
  • アンドレアス・カルビッツ
1,091人 29% (2024) 20.2% 19.9%
ブレーメン州 2013年05月12日
  • フランク・マグニッツ
134人 06.1% (2019) 10.0% 7.7%
ハンブルク州 2013年04月07日 509人 06.1% (2015) 7.8 % 6.5%
ヘッセン州 2013年05月05日
  • ローベルト・
    ラムブロウ
  • クラウス・
    ヘルマン
2,271人 013,1 % (2018) 11.9% 9.9%
メクレンブルク=フォアポンメルン州 2013年04月21日
  • ライフ=エリク・ホルム
  • マティアス・マンタイ
606人 20.8% (2016) 18.6% 17.7%
ニーダーザクセン州 2013年05月01日 2,376人 06.2 % (2017) 9.1% 7.9%
ノルトライン=ヴェストファーレン州 2013年04月12日 4,355人 7.4% (2017) 9.4% 8.5%
ラインラント=プファルツ州 2013年04月09日
  • ウーヴェ・ユンゲ
1,716人 12.6% (2016) 11.2% 9.8%
ザールラント州 2013年05月03日
  • ヨーゼフ・デーア
371人 06.2% (2017) 10.1% 9.6%
ザクセン州 2013年04月28日
  • イェルク・
    ウアバーン
1690人 030.6 % (2024) 27.0% 25.3%
ザクセン=アンハルト州 2013年04月05日
  • アンドレ・ポッゲンブルク
670人 24.2% (2016) 19.6% 20.4%
シュレースヴィヒ=ホルシュタイン州 2013年04月27日
  • トーマス・トムセン
  • マルクス・シーブ
941人 05.9% (2017) 8.2% 7.4%
テューリンゲン州 2013年04月27日 911人 32.8% (2024) 22.7% 22.5%

ドイツのための若い選択肢

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ドイツのための若い選択肢(JA)は、AfDの青年団として活動しているが、2023年以降、連邦憲法擁護庁(BfV)によって過激派組織と認定されている[161]。ドイツの主流メディアからは、「極右すぎる」、政治的に後退的であり、反フェミニズム的であると繰り返し非難されている[162][163]

党員

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党創立後、多数の入党者がいたことが記録されている。党のウェブサイトによると18日間で5千人以上の党員たちが個人の意思で手続きを経て入党した。7週間後にはすでに1万人の党員がいた[164]。党の記録によると、当時10,476人の登録された党員がいたが、その内2.795人は他党に入党した経歴があった。1,008人がキリスト教民主同盟 (CDU)、587人がドイツ自由民主党 (FDP)、558人がドイツ社会民主党 (SPD)、220人がキリスト教社会同盟 (CSU)、143人が海賊党、106人が同盟90/緑の党の党員だった[165]。さらに、南独に基盤を有する自由な有権者党からの入党者もいた。ベルリン支部党員の部分は州支部代表を含めて他党出身者であった。自由な有権者党を離党してドイツのための選択肢のハンブルク代表になったイェーン・クラウゼは支持者たちを連れて来た[164]。極右政党ディ・フライハイトから約350人がくら替えして入党している[166]。ヘッセン州議会において、所属会派からのくら替えによってドイツのための選択肢党員が無所属議員として短期間であったが存在しており[167]、複数の市議会にも議員が存在していた。2013年5月段階において党員における女性の比率は約14%、全党員の平均年齢は51歳であった[168]

2014年の夏以降、多くのドイツ・メディアはドイツのための選択肢党員たちの離党、とりわけ経済自由主義者グループに属するメンバーたちの離党を頻繁に報道した。彼らはいわゆる党の右傾化のために離党したのである[169]。例えば、マルティナ・ティゲス=フリードリヒスを挙げることが出来る。彼女は5週間ニーダーザクセン州党副代表であったが、党内でイスラム恐怖症が増大していることを理由に離党した[170][171]。 2014年2月初めまでテューリンゲン州の党代表だったミカエラ・メルツは、同年9月に離党してしまった[172] [173]メソジストの信徒神学者セバスチャン・モルは2014年10月にドイツのための選択肢から離党した[174]

党の創設者ベルント・ルッケは2015年7月のエッセン臨時党大会後にドイツのための選択肢から離党してしまった。党創立時よりも、イスラム嫌悪や外国人嫌悪感情がドイツのための選択肢党内において高まっていることを彼は離党理由に挙げた。さらに、党内において反西欧的傾向が見られ、ロシアの外交安全保障政策を支持する者(親プーチン派)が増え、議会制民主主義への批判すら台頭して来ていることも指摘した[175]。 「ドイツのための選択肢をプロテスト政党に変質させようと画策した大勢の党員がいたことに気づいた時はすでに手遅れだった」とベルント・ルッケは明らかにした[176]。 この彼の見解に対して、ドイツのための選択肢に批判的なコメンテーターたちはベルント・ルッケの以前の政治姿勢、つまり右派の有権者の方に目を向けて、右派ポピュリストたちの力を借りようと動いたことを指摘した[177]。 ルッケの党首解任後、離党の波が党を襲い2015年7月10日まで2千人以上がこの党から去った[178]。その中には副党首でIBMヨーロッパのCEO(最高経営責任者)という経歴を持ったハンス=オーラフ・ヘンケルもいた。極端な右寄り偏向、粗野で抵抗至上主義的傾向、偏見に満ちた態度がドイツのための選択肢の多数派に現れていることを彼は訴えた[179]

2015年8月末までにドイツのための選択肢党員の約20%が離党したと党の文書には記録されている[180]。 2015年10月中旬にはドイツのための選択肢は再び19.000人の党員数を記録した。毎日約40人の新規入党者がいたからである[181]。2015年11月末に開催されたハノーファー党大会前には約2万人の党員になっていた。その時点でベルント・ルッケの支持者たちの集団離党以前の党勢に戻っていた[182]。 党則によると、極右団体や極右政党に以前入っていた者の入党を原則的には認めていない[183]。その党則に合致しない事例が連邦憲法擁護庁の報告書に記されている[184]。党指導部の了承がある場合に限って、極右組織にかつて所属していた者の入党が可能になっている[185]ハンデルスブラット紙のディトマー・ノイアラー記者によると、ドイツのための選択肢は極右とは一線を画そうとしているが、極右政党の党員だった者たちには入党の門戸を広げている。党指導部の二三の幹部はメディアの報道によると、ドイツ・ブルシェンシャフトのメンバーであり、党本部において組織と企画に関する担当者が右派系週刊誌「ユンゲ・フライハイト」の広報出身者だった[186][187]。2013年ドイツ連邦議会選挙後に極右政党ディ・フライハイトから働きかけがあったことはよく知られているが、党の周辺団体として別の選挙に関与することは拒否された。当時の党首ルッケは極右小政党からの入党を停止することを求めていた。外国人を嫌悪する者、人種主義者、反ユダヤ主義者、イスラムを嫌悪する者や極右、極左にはドイツのための選択肢の党員資格は与えられないことになっていた[188]。 しかしながら、旧東独の多くの地方支部は極右政党ディ・フライハイトからの離党者の入党要請を審査しようとした[189]

世論調査で明らかになった支持者像

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2013年ドイツ連邦議会選挙に際して、AfDは女性よりも男性有権者から支持されたことが選挙分析から明確になっていた[190]。当時、この党は労働者階層から支持を受けた。さらに、この党はドイツ自由民主党と左翼党のかつての支持者たちから投票先として選択された。さらに、AfDへの投票者の60%は党への強い一体感からではなく、他党への失望から投票していた[191]

ライプツィヒ大学で調査編集されるドイツ極右思想第8回中間研究報告が2014年6月に刊行され、2432人に質問した結果、52人が今後おこなわれるドイツ連邦議会選挙でAfDに投票すると回答したと発表した。AfDに投票すると回答した52人の内26人が外国人嫌悪感情を持ち、15人が排外主義的かつ国家主義的で、7人が反ユダヤ主義的傾向を示していた。このような回答から、この党支持者らは極右政党支持者の一歩手前に位置しているとこの調査は見なしている[192]

ドイツ社会民主党に近いフリードリヒ・エーベルト財団の委託を受けて実施され2014年11月に公表された世論調査では、1915人中68人が今後のドイツ連邦議会選挙においてAfDに投票すると回答。その分析によるとAfDに投票すると答えた68人には平均値を上回る排外主義者(41%)、外国人嫌悪感情を持つ者(16%)、国家社会主義の危険を軽視する者(14%)が存在していた報告されていた[193]

2014年6月に世論調査会社フォルサが発表した世論調査結果によれば、AfD支持者は他の極右政党支持者とは明らかに異なった傾向を示していた。AfD支持者は比較的収入が高い中上層の社会階層出身者が多く、高学歴の傾向を示した。けれども、この党もドイツ連邦議会に議席を持つ政党として持つべき信頼性が共に欠けていた。支持者たちに見られる経済に関する悲観的見解や、平均を上回る無宗派比率と男性比率の多さが党への信頼性の低さに結びついている。とりわけ、ホワイトカラー年金生活者AfD支持者において目立ち、反対に個人事業主公務員労働者たちがAfD支持層に少ない。AfD支持者の55 %が自らの政治的位置を中間派と見なしており、政治的右翼であると見なしているのは28%、政治的左翼であると見なしている支持者は17%いた[194]

アレンスバッハ世論調査研究所の研究報告によると、世論調査専門家レイナーテ・ケッヘナーはAfDを2014年10月において欧州統合に距離を持ち、移民は不快感をもたらす存在と見なす有権者たちから支持を集めている党と定義している。通貨同盟と欧州連合はAfD支持者たちからは国民全体の平均値よりも批判的であった。AfD支持者たちは欧州連合EUをドイツの豊かさにとってリスクになると見なしており、さらに国家としての特徴づけを失わせる厄介な存在と受け取っている。それに比べて、平和問題と共通経済圏としてのユーロ圏への関心は一般国民の平均値よりも低い。AfD支持者たちにとって何よりも重要なことは、AfDが既成政党による政治的合意や妥協を破壊することにある。多くの支持者たちは、AfDは他党とは明確に異なる政治的立場を代表していると見なしている。彼らは党首だったルッケが政治に新鮮な風をもたらしたと見なしている。党の目的として支持者たちは移民を制限すること、現行の亡命者難民庇護法を改正し受け入れを厳しく制限することを求めている。さらに共通通貨ユーロを廃止し、欧州連合の価値や重要性を否定し、昔のように国家の利益を決定的なものとして何よりも優先することも求めている。同時に彼らは市民の政治参加促進(直接民主制導入)、国内安全保障(テロ対策等)、改革遅延解消、社会正義と経済と中産階級の利益維持の擁護者としてAfDを見なしている。支持者のおよそ4分の3はAfDのみが他の政党よりも最上の未来構想を持っていると信じていた。支持者の党に寄せる信頼の高さはキリスト教民主同盟(CDU)/キリスト教社会同盟(CSU)でも同様であった[195]

ドイツ公共放送連盟から委託されたインフラテスト・ディマップ研究所の世論調査結果が2015年10月に発表された。その世論調査において調査対象者の6%がAfDに投票すると回答した。AfD支持者の95%はドイツ政府に不満を持ち(満足しているのは5%)、その不満足と回答した比率はドイツの政党支持者の中で最も高かった。移民流入の結果をAfD支持者の93%はドイツにとってマイナスと見なし(利益に適ったと見なしたのは1%)、79%はクリミア危機後における対ロシア制裁の緩和することに賛成し、ロシア制裁継続の21%を大きく上回った[196]。2015年11月に発表された同研究所の別の世論調査において、国境における出入国管理施設の拡充にAfD支持者の93%が賛成を表明(反対は5%)、83%がドレスデンで活動しているペギーダ運動西洋のイスラム化に反対する欧州愛国者に大きな理解を示した。その世論調査において全回答者の8%(西部ドイツが7%、東部ドイツが12%)がAfDに投票すると回答した[197]。2013年のドイツ連邦議会選挙以降において、ドイツのための選択肢はキリスト教民主同盟(CDU)、ドイツ社会民主党(SPD)、左翼党(Die Linksparteiディー・リンクスパルタイ)の支持層から新たな支持者を獲得している[198]

メディアとの関係

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ドイツのための選択肢党員たちやシンパたちによって取材をするジャーナリストたちが脅されたり、集会会場から追い出されたりしていることをドイツ・ジャーナリスト連盟は再三非難している[199][200][201][202]

ドイツのための選択肢は結党当初から実際的な傾向を示す新右派系週刊新聞ユンゲ・フライハイト(JF)によるバックアップを受けて来た。これまで、ユンゲ・フライハイトは党の非公式広報紙として見なされ、党内派閥による論争に紙面を提供した[203]。ユンゲ・フライハイト編集長ディーター・シュタインはかなり前からキリスト教民主・社会同盟より右に位置する政党を設立しようと動いていた[204]。 さらに、ディーター・シュタインはドイツのための選択肢内において最初はベルント・ルッケを支持していたが、後にフラウケ・ペトリーへの支持に変わった[205] 。 右派系インターネット政策誌ゼツェシオン発行人ゲッツ・クビチェックは既成政党への不満からドイツのための選択肢テューリンゲン州支部代表ビヨルン・ヘッケと一緒に活動した。クビチェックは雑誌ゼツェシオンを2003年に創刊していた[206]。ゲッツ・クビチェックはビヨルン・ヘッケの党内新右派集団を支援した[207]

マインツ大学教授で政治学者のカイ・アルツハイマーによると、2015年のエッセン党大会においてベルント・ルッケら経済自由主義者たちが離党するまでは、ドイツのための選択肢に好意的な社説が保守的な新聞(フランクフルター・アルゲマイネ、ハンデルスブラット、ディ・ヴェルト)に掲載されていた。しかしながら、2015年の党分裂を境に、ドイツ国内の主要メディアの報道内容はドイツのための選択肢に対して完全に否定的になった[208]

評価

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2015年

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  • ドイツの政治学者たちはドイツのための選択肢を2015年7月の党分裂以前の2014年において既に、政治的スペクトルにおいてキリスト教民主同盟CDUツェーデーウー)よりも右に位置しているとし、右派ポピュリズムに支配された、あるいは右派ポピュリズムに影響された政党と見なしている。2015年7月のベルント・ルッケとその支持者たちの離党は党の右傾化の結果であり、経済自由主義者に対する国民保守主義者の勝利と多数の政治学者たちは見なしている。その後、何人かの政治学者たちはドイツのための選択肢の一部と特定の指導者たち(テューリンゲン州代表ビョルン・ヘッケ等)は極右、極右ラディカル派、あるいはドイツ特有のフェルキッシュ思想の持主であると見ている。
  • 2015年6月のドイツのための選択肢エッセン臨時党大会以後、ドイツの政治学者フランク・デッカーはドイツのための選択肢において右傾化が起きたことを確認した。さらに、一時的に右傾化したわけではないことも彼は指摘している[209]。後に発表された論文で、彼はドイツのための選択肢を右翼ポピュリスト政党として分類した[210]
  • ドイツの政治学者でベルリン自由大学教授オスカー・ニーダーマイアーは2015年6月のエッセン臨時党大会において、党の政治路線に関する抗争が極右勢力とのつながりを持ち続けている党内右派保守派に有利になる形で終わったと見なした。党内右派保守派はフラウケ・ペトリーの指導する派閥である[211]
  • 2015年11月28-29日にハノーファーで開催された第4回定期大会後、ドイツのための選択肢にドイツ国内の保守から極右にまで至る政治的潮流が結集していることをオスカー・ニーダーマイアーは明確に認めた。事実、ドイツのための選択肢は今や保守派からフェルキッシュ思想(民族主義)信奉者までの多様で幅広いドイツ右派勢力を網羅しているからである[212]
  • 歴史学者フォルクハルト・クニッゲはドイツのための選択肢はフェルキッシュ‐国家主義的党であると説明している。エアフルト決議以後、この党はそのイデオロギー的プログラムを明確にしている。テューリンゲン州党代表ビョルン・ヘッケを少しばかり白い体毛を持つオオカミとして彼は特徴づけている[213][214]
  • 政治学者カール=ルードルフ・コルテは以下の様に結論づけている。事実、ビョルン・ヘッケは現代ドイツにおいて1920年代から1930年代に展開されていたフェルキッシュ(民族主義的)思想を広めている。それ故、コルテはビョルン・ヘッケによる発言をかび臭くて、極右的なフェルキッシュ(民族主義的)なものと見なしている[215]
  • 極右研究者ハーヨ・フンケはドイツのための選択肢を右翼ポピュリストではなく、むしろ大半は極右化していると見なしている。ブランデンブルク州のアレクサンダー・ガウラントの少なからぬ発言は極右的であると理解しているからである[216]
  • ドイツ公共放送局(ドイチェラントフンク)でハーヨ・フンケは「ドイツのための選択肢は大半が極右化している。この党はメクレンブルク=フォアポンメルン州のロストックネオナチが横断幕看板を掲示していたデモに理解を示したのだ。詳しく言うと、ブランデンブルク州代表アレクサンダー・ガウラントと彼の指導する党支部は極右運動に理解を示したのである[217]」と語った。しかもメクレンブルク=フォアポンメルン州とテューリンゲン州の党支部、とりわけテューリンゲン州党代表ビョルン・ヘッケはドイツのための選択肢内の極右ラディカル派であるとフンケは見ている。ヘッケはファシストアジテーションを行っているからである[218]
  • 歴史学者アンドレアス・レーダーによると、ドイツのための選択肢は政治的コンセンサスを壊す側に常に立とうとしている。キリスト教民主社会同盟(CDU/CSU)の中道左派路線推進によって、ドイツのための選択肢はCDU/CSUの右側という新たな居場所を見つけ出したのである。ドイツのための選択肢は共通通貨ユーロを否定する政党として常に欧州諸国の連合体に向かい合うことになる。難民問題に対峙しながら、ドイツのための選択肢は2015年の党分裂後、今までのドイツにおいて支配的であった多文化共存思潮や、反差別運動に明確に距離を置くことを選択したのである。言い換えると、ドイツのための選択肢は西欧的伝統から離れてドイツの民族主義伝統に向かっているのである[219]
  • 政治学者トルステン・オッペルラントによると、政治路線の違いよりも政治スタイルや優先する政策項目の違いによって、2015年7月の党分裂時まで党内抗争が続いていたのである。分裂後のドイツのための選択肢の政治的指針においても、リベラル保守と国民保守主義派の見解が同様な形で再び見出すことが出来るからである[220]

不祥事、出来事

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2024年

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不祥事が続いており、また、所属していた欧州議会会派のIDからも除名されたが、2024年6月の欧州議会選挙で勢力を拡大した[65]

  • 1月、党幹部らが移民の大規模な追放計画を協議していた疑惑が浮上。最大200万人の移民を追放して北アフリカに移住させる案を話し合っていたとみられている[232]。AfDの一部の議員は移民を「家畜」と呼び、国外追放を呼びかけている[232]
  • 2月、ウクライナ侵略を続けるロシアを支援したとの情報もある。独誌シュピーゲルは、AfDの連邦議会議員の顧問(当時)が露連邦保安局(FSB)の諜報員とみられる人物と連絡を取り合った疑惑を報道した。顧問はFSBの指示を受け、独政府によるウクライナへの兵器供与の停止を求める訴訟をAfDと協力して起こそうとしたという[232]
  • 4月、独連邦検察庁は、欧州議会の情報を中国側に流したスパイ行為の容疑でAfDに所属する欧州議会議員のスタッフを拘束した[232]
  • 5月、AfDの地方支部代表が演説でナチスのスローガンを使ったとして罰金刑を受けた[128]
  • 5月下旬、AfD主席候補者のマクシミリアン・クラー欧州議員によるナチス親衛隊を擁護する発言が原因で、所属していた欧州議会の極右会派「アイデンティティと民主主義(ID)」から除名された[128]

脚注

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出典

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  232. ^ a b c d ドイツ極右、度重なるスキャンダルでも勢い 欧州議会選で移民問題が追い風”. 産経新聞 (2024年6月7日). 2024年6月13日閲覧。

参考文献

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Monografien

  • David Bebnowski:Die Alternative für Deutschland. Aufstieg und gesellschaftliche Repräsentanz einer rechten populistischen Partei. Springer VS, Wiesbaden 2015, ISBN 978-3-658-08285-7.
  • Alexander Häusler, Rainer Roeser:Die rechten ›Mut‹-Bürger. Entstehung, Entwicklung, Personal & Positionen der »Alternative für Deutschland«. VSA Verlag, Hamburg 2015, ISBN 978-3-89965-640-4.

Beiträge in Sammelbänden

  • Frank Decker:Alternative für Deutschland und Pegida:Die Ankunft des neuen Rechtspopulismus in der Bundesrepublik. In:Frank Decker, Bernd Henningsen, Kjetil Jakobsen (Hrsg.):Rechtspopulismus und Rechtsextremismus in Europa. Die Herausforderung der Zivilgesellschaft durch alte Ideologien und neue Medien (=International Studies on Populism. Bd. 2). Nomos, Baden-Baden 2015, ISBN 978-3-8487-1206-9, S. 75–90.
  • Helmut Kellershohn:Die AfD, die jungkonservative Neue Rechte und die Demokratiekritik von Rechts. In:Wolfgang Kastrup, Helmut Kellershohn (Hrsg.):Kapitalismus und / oder Demokratie? Beiträge zur Kritik „marktkonformer“ Demokratieverhältnisse (=Edition DISS. Edition des Duisburger Instituts für Sprach- und Sozialforschung. Bd. 36). Unrast, Münster 2014, ISBN 978-3-89771-765-7, S. 127–140.
  • Oskar Niedermayer:Eine neue Konkurrentin im Parteiensystem? – Die „Alternative für Deutschland“. In:ders. (Hrsg.):Die Parteien nach der Bundestagswahl 2013. Springer VS, Wiesbaden 2014, ISBN 978-3-658-02852-7, S. 175–207.
  • Jan Rohgalf:Subsidiarität als Kampfbegriff. Politik und Emotionalisierung am Beispiel der AfD. In:Karl-Rudolf Korte (Hrsg.):Emotionen und Politik. Begründungen, Konzeptionen und Praxisfelder einer politikwissenschaftlichen Emotionsforschung. Nomos, Baden-Baden 2015, ISBN 978-3-8487-2246-4, S. 297–316.
  • Aiko Wagner, Marcel Lewandowsky, Heiko Giebler:Alles neu macht der Mai? Die Alternative für Deutschland (AfD) und die Europawahl 2014. In:Michael Kaeding, Niko Switek (Hrsg.):Die Europawahl 2014. Spitzenkandidaten, Protestparteien, Nichtwähler. Springer VS, Wiesbaden 2015, ISBN 978-3-658-05737-4, S. 137–148.
  • Alexander Häusler, Rainer Roeser:Die »Alternative für Deutschland« – eine Antwort auf die rechtspopulistische Lücke?. In:Stephan Braun, Alexander Geisler, Martin Gerster (Hrsg.):Strategien der extremen Rechten:Hintergründe – Analysen – Antworten. 2. aktualisierte und erweiterte Auflage, Springer Fachmedien, Wiesbaden 2015, ISBN 978-3-658-01983-9, S. 101–128.

Fachartikel

  • Sara Ceyhan:Konservativ oder doch schon rechtspopulistisch? Die politischen Positionen der AfD-Parlamentskandidaten im Parteienvergleich. In:Zeitschrift für Politikwissenschaft, 2016, S. 1–28.
  • Alexander Häusler:Zerfall oder Etablierung? Die Alternative für Deutschland (AfD) als Partei des Rechtspopulismus. In:Zeitschrift für Geschichtswissenschaft 63 (2015), S. 741–758.
  • Marcel Lewandowsky:Eine rechtspopulistische Protestpartei? Die AfD in der öffentlichen und politikwissenschaftlichen Debatte. In:Zeitschrift für Politikwissenschaft (ZPol) Jahrgang 25 (2015), Heft 1, S. 119–134, doi:10.5771/1430-6387-2015-1-119, Nomos Elibrary
  • Christian Nestler, Jan Rohgalf:Eine deutsche Angst – Erfolgreiche Parteien rechts von der Union. Zur AfD und den gegenwärtigen Gelegenheitsstrukturen des Parteienwettbewerbs. In:Zeitschrift für Politik, 2014, Heft 4, S. 389–413, Nomos Elibrary

外部リンク

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