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西山本門寺

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
西山本門寺

境内
所在地 静岡県富士宮市西山671
位置 北緯35度14分14.1秒 東経138度33分51.5秒 / 北緯35.237250度 東経138.564306度 / 35.237250; 138.564306
山号 富士山
宗派 法華宗興門流
寺格 本山
本尊 十界曼荼羅
創建年 1344年康永3年)
開山 日代
開基 大内安清
正式名 富士山本門寺
文化財 紺紙金字法華経、法華経 8巻、法華證明鈔、日蓮遷化記録(重要文化財)ほか
法人番号 3080105003499 ウィキデータを編集
西山本門寺の位置(静岡県内)
西山本門寺
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西山本門寺(にしやまほんもんじ)は、静岡県富士宮市西山にある寺院で法華宗興門流の大本山。日興の法脈を継承し、勝劣派富士門流に属する。上条大石寺重須本門寺下条妙蓮寺小泉久遠寺とともに同門流の「富士五山」を構成し、さらに京都要法寺伊豆実成寺保田妙本寺とあわせて「興門八本山」の1つにも数えられる。

境内は全体で360町歩の広さがあり、黒門から本堂裏手の墓地まで直線で2kmの敷地がある。織田信長の遺体もこの地にあるという説もある。

歴史

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信長公首塚(写真左、塚上に県指定天然記念物の大ヒイラギがある)

近世まで

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日興の弟子日代は、師が没すると重須本門寺を相承した。その後、重須の地頭石川実忠や信徒らと対立し、子弟を連れて重須本門寺を離山した。1344年(康永3年)西山の地頭大内安清から寺地の寄進を受け、西山本門寺を建立した[1]

18世日順は、京都上行院を通じて後水尾天皇の皇女常子内親王の帰依を受けた。常子内親王は、1678年(延宝6年)後水尾天皇の位牌を当寺に納め、1683年(天和3年)には書写した法華経を両親の菩提のために納めた。常子内親王の夫近衛基熙が関白になった際、書写した祈祷経を納め、西山本門寺を祈祷所と定めた。

寺伝によると、日順の父である原宗安(原志摩守)は、本因坊日海(本因坊算砂)の指示により、織田信長の首を西山本門寺まで持ち帰り、柊を植え首塚に葬ったという。信長の首塚の傍に植樹されたは推定樹齢450~500年とされ、年代的にも符合している[2]。20世日圓は、水戸徳川家の出身により、徳川光圀の寄進を受けて伽藍を整えた。

近代以降

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  • 1876年明治9年)末寺12箇寺とともに、富士門流の統一教団日蓮宗興門派の結成に参加。
  • 1899年(明治32年)日蓮宗興門派は日蓮本門宗(本門宗)と改称。
  • 1941年昭和16年)本門宗は一致派日蓮宗勝劣派顕本法華宗とともに三派合同を行い日蓮宗を結成。49世・由比日光が宗派の代表として合同手続きを執行。
  • 1957年(昭和32年)西山本門寺、塔頭、末寺は日蓮宗を離脱(末寺の一部は日蓮宗に残留)し単立となった。その後、由比日光の主導で、西山本門寺は塔頭、末寺、檀家総代の了解を得ないまま日蓮正宗に合流した。反対派による「合流」措置無効の確認をもとめる訴訟おこる。
  • 1960年(昭和35年)由比日光の遷化。由比日光の後継指名により、日蓮正宗は吉田日勇(下条妙蓮寺)を兼任住職として任命。
  • 1975年(昭和50年)裁判は最高裁まで争われたのち、檀家側の勝訴。吉田日勇は本寺より退去し、旧門末の福正寺の森本日正が正式に後任住職として着任。
  • 現住は52世・森本日重(福正寺より晋山)。

西山本門寺の歴代貫主

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歴代貫首は次表の通り[3]

日号 阿闍梨号・院号 在位 御遷化年月日 享年 備考
宗祖 日蓮 1282年弘安5年)10月13日 61歳
2祖 日興 白蓮阿闍梨[注釈 1] 1333年正慶2年)2月7日 88歳
3祖 日代 蔵人阿闍梨、伊予房 1394年応永元年)4月18日[注釈 1] 1394年(応永元年)4月18日 98歳
4世 日任 由比阿闍梨 1427年(応永34年)4月25日[注釈 1] 1427年(応永34年)4月25日 76歳
5世 日盛 1442年嘉吉2年)3月5日
6世 日琳 1451年宝徳3年)3月17日
7世 日顕 1457年長禄元年)8月16日
8世 日眼 1486年文明18年)4月8日
9世 日出 1491年延徳3年)5月4日
10世 日典 1499年明応8年)8月25日
11世 日心 1557年弘治3年)7月5日 60歳
12世 日建 大珠院[注釈 1] 1577年天正5年)7月14日
13世 日春 妙円坊 1611年慶長16年)8月20日
14世 日悟 1641年寛永18年)10月18日 駿河・善能寺開山
15世 日胤 1624年(寛永元年)3月23日
16世 日映 1652年慶安5年)6月9日
17世 日隆 1674年延宝2年)9月25日
18世 日順 法性阿闍梨 1688年元禄元年)10月20日 87歳 河内・上行院開山
19世 日教 1677年(延宝5年)3月19日 48歳
20世 日円 1693年(元禄6年)5月12日 46歳
21世 日意 1712年正徳2年)11月15日 63歳 下総・福正寺開山

摂津・壽光寺開山

22世 日通 1714年(正徳4年)8月19日 66歳
23世 日観 1726年享保11年)8月12日 46歳
24世 日命 1718年(享保3年)10月10日 52歳 摂津・壽光寺4代
25世 日泉 1760年宝暦10年)8月15日 61歳
26世 日感 1744年延享元年)12月23日 46歳
27世 日中 1749年寛延2年)6月29日 46歳
28世 日長 1752年(宝暦2年)8月12日 43歳 下総・福正寺7代
29世 日悦 1757年(宝暦7年)7月17日
30世 日実 1789年寛政元年)7月11日
31世 日令 1779年安永8年)5月4日 54歳 下総・福正寺9代
32世 日言 1781年天明元年)7月22日 56歳 河内・上行院10代
33世 日静 1789年(寛政元年)6月22日 52歳
34世 日啓 1795年(寛政7年)11月13日 53歳 摂津・壽光寺10代
35世 日元 1814年文化11年)5月1日 河内・上行院12代
36世 日祥 本妙院 1834年天保5年)2月30日 54歳 細草83世
37世 日帝 1866年慶應2年)3月21日 66歳
38世 日忍 1858年安政5年)7月24日 57歳 下総・福正寺17代
39世 日顓 1871年(明治4年)5月11日 56歳 下総・福正寺18代
40世 日晥 堅樹院 1880年(明治13年)9月1日 59歳 由井氏

細草90世 駿河・代信寺15代

摂津・壽光寺20代

41世 日顗 最勝院 1908年(明治41年)1月16日 81歳 壽氏

下総・福正寺20代

42世 日恩 法性阿闍梨、龍恩坊 1893年(明治26年)3月25日 高橋氏

下総・福正寺22代

43世 日昶 円実坊 1893年(明治26年)12月7日 45歳 由井氏
44世 日顗 最勝院 1908年(明治41年)1月16日 81歳 41世再任
45世 日源 1920年大正9年)2月19日 72歳 森田氏

下総・福正寺23代

46世 日明 大弐阿闍梨、賢寿坊 1923年(大正12年)9月28日 75歳 吉山氏
47世 日相 三島阿闍梨、珖寿坊 1925年(大正14年)6月21日 72歳 寿氏

下総・福正寺25代

駿河・安立寺13代

48世 日省 一如阿闍梨、誠諦坊 1954年(昭和29年)3月23日 87歳 石井智明[注釈 2]伊豆・上行院28代
49世 日光 信受坊 1960年(昭和35年)年4月23日[注釈 1] 1965年(昭和40年)4月23日 76歳 由比氏

下総・福正寺26代

駿河・代立寺18代

(除歴) 日勇 常健院 1960年(昭和35年)- 1975年(昭和50年) 2014年平成26年)6月16日 92歳 下条妙蓮寺45代、元・日蓮正宗重役

吉田義誠

50世 日正 恵光坊 1975年(昭和50年)- 1995年(平成7年) 1995年(平成7年)9月21日 85歳 下総・福正寺28代

末寺福正寺(千葉県)より晋山。

森本正明

51世 日敬 恵妙坊 1995年(平成7年)- 2012年(平成24年) 2012年(平成24年)2月27日 96歳 末寺光栄寺(静岡県)より晋山。

村田政明

52世 日重 2012年(平成24年)- 下総・福正寺29代

末寺福正寺(千葉県)より晋山。 森本重光

西山本門寺の末寺

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本山とともに単立の末寺として

  • 福正寺(千葉県千葉市中央区)
  • 光栄寺(静岡県伊東市)
  • 代世寺(静岡県富士宮市)
  • 本妙寺(静岡県富士宮市)
  • 妙円坊(静岡県富士宮市)本山塔頭
  • 浄圓坊(静岡県富士宮市)本山塔頭
  • 大詮坊(静岡県富士宮市)本山塔頭
  • 長谷山弘宣寺(栃木県鹿沼市上久我1663)50世日正猊下より。

等がある。本山が日蓮宗から独立し、日蓮正宗に移籍する時、追随せず日蓮宗に留まった末寺は12箇寺ある(詳細は興統法縁会を参照)。

境内

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鐘楼
  • 本堂
  • 尊霊殿
  • 大庫裡
  • 納屋
  • 御宝蔵 
  • 黒門
  • 日映堂
  • 三師塔(日蓮・日興・日代)
  • 浄圓坊(じょうえんぼう)
  • 大詮坊(だいせんぼう)
  • 妙圓坊(みょうえんぼう)
  • 鐘楼 1644年(嘉永21年)築
  • 正八幡宮
  • 信長公首塚

年中行事

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  • 1月1日 午前0時 元旦祝祷会
  • 4月18日 正午 お虫払い法要
  • 11月第2日曜日 信長公黄葉まつり
  • 11月23日 午後1時 お会式
  • 12月31日 午後11時40分 越年会、除夜梵鐘つき

文化財

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重要文化財(国指定)

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  • 紺紙金字法華経(開結共)10巻 
  • 法華経 8巻 常子内親王筆
  • 法華證明鈔 日蓮筆
  • 日蓮遷化記録 日興筆 弘安5年(1282年)

静岡県指定有形文化財

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  • 西山本門寺本堂厨子

静岡県指定天然記念物

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  • 西山本門寺の大ヒイラギ

富士宮市指定天然記念物

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  • 西山本門寺のシダレマキ

交通アクセス

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脚注

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注釈

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出典

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  1. ^ 大内安清寄進状
  2. ^ 山川志典「地域の伝承に関連する文化遺産保護の新展開-研究動向と富士山麓での展望-」『環境考古学と富士山』4号、2020年
  3. ^ 日蓮宗寺院大鑑編集委員会 1981, pp. 1142–1143-ただし、49世までの一部(別途明記)と除歴以降を除く。

参考文献

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  • 日蓮宗寺院大鑑編集委員会 編『日蓮宗寺院大鑑』(初版)大本山池上本門寺、1981年1月1日。ASIN B000J80LMKNCID BN01669639OCLC 33874438