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2023年7月29日 (土) 00:00時点における版
スクリーンショット ファイル:Telegram Chats List on iOS.png スクリーンショット (iPhone) | |
開発元 | Telegram Messenger LLP |
---|---|
初版 | 2013年8月14日 |
最新版 | |
最新評価版 | |
リポジトリ | |
プログラミング 言語 | C++ |
プラットフォーム | Android, iOS, Windows, macOS, GNU / Linux, Webプラットフォーム |
対応言語 | 19言語[11][12] |
種別 | インスタントメッセージ |
ライセンス | GNU GPLv2 or GPLv3 (クライアント)[13], プロプライエタリ (サーバー) |
公式サイト |
telegram |
URL |
telegram |
---|---|
設立 | 2013年3月 |
本社所在地 |
イギリス領ヴァージン諸島, トルトラ島 (本籍地) アラブ首長国連邦, ドバイ (運営本部) |
事業地域 | 世界中 |
設立者 | |
CEO | パーヴェル・ドゥーロフ |
業種 | ソフトウェア |
従業員数 | 351人 (2019年)[14] |
Telegram(テレグラム)は、アラブ首長国連邦、ドバイに拠点を置くロシア人プログラマー・実業家のニコライ・ドゥーロフとパーヴェル・ドゥーロフ兄弟によって2013年に開発されたインスタントメッセージアプリケーションである。現在はTelegram Messenger LLPが運営している。租税回避(タックス・ヘイヴン)のためにイギリス領ヴァージン諸島、 トルトラ島に登記上の本籍地を置いている。
スマートフォンのモバイルアプリケーションとして無料で利用できる。メッセージは暗号化されることでプライバシーを担保し、一定の時間が経つと消える機能もあるため秘匿性が高い。全てのファイルフォーマットを送受信できる。
また、APIが公開されているため、ユーザーが非公式クライアントを作成することが可能である[15]。クライアント側はオープンソースで、サーバ側はプロプライエタリソフトウェアである。
旧ソ連圏のロシア、カザフスタン、ウクライナ、ベラルーシ、アルメニア、アゼルバイジャン、キルギス、モルドバとヨルダン、カンボジア、エチオピアではWhatsAppやMessenger等をしのぎ、最大のインスタントメッセージアプリケーションである。
ロシア国内では2022年3月時点での利用者の割合は63%と次点のWhatsAppの32%を引き離し圧倒的なシェアを占めている。
歴史
ロシア連邦最大のSNSであるフコンタクテ(以下略称の「VK」と記述)の創設者であるニコライ・ドゥーロフとパーヴェル・ドゥーロフ兄弟が2013年に立ち上げた[16]。Telegram Messenger LLPはドイツのベルリンに拠点を置く独立系非営利企業であり[17]、VKとの直接的関係はない[18]。ニコライはパーヴェルによる自身のデジタル・フォートレスファンドを通しての金融支援やインフラ提供により新たなメッセンジャープロトコルであるMTProtoを開発した[19]。
2013年10月時点で、1日当たり約10万人のアクティブユーザーがいたが[16]、2014年3月24日、月当たりのユーザー数が3,500万人に、1日当りのアクティブユーザーが1,500万人に達したことを発表した[20]。
2013年12月21日、ロシアのITコミュニティがTelegramのセキュリティ欠陥を発見し、発見したユーザーには修正後にTelegramより10万ドルが贈られた[21]。
2014年3月1日、初回のコンテストは優勝者無しで終了し、通信内容の暗号化を解除する鍵が公開された[22][要説明]。Telegramによれば、この暗号を突破する挑戦は永続的なプロジェクトであると表明し、より激しい攻撃ができる新たなコンテストを発表した[22][23]。
2014年11月、電子フロンティア財団による安全なメッセージング審査でTelegramは7点満点のうち5点と採点された[24]。
2018年、TelegramはICOで約17億ドルの資金調達に成功した[25]。
ロシア連邦政府による規制
ロシア通信監督庁は2018年4月、Telegramの使用を禁止し、首都モスクワで抗議デモが起きた。IPアドレスの遮断など封じ込めの取り組みに対して、Telegramは様々な技術的対抗手段を講じてロシア向けサービスを継続し、ロシア政府のネット検閲に抵抗する象徴的存在とみなされた。新型コロナウイルス感染症の流行 (2019年-)下で国民への情報提供ツールとして利用する公的機関もあり、規制は形骸化していた。
ロシア政府は2020年6月18日、Telegramが薬物犯罪やテロリズムとの闘いに協力するようになったことを理由に規制解除を発表。さらに7月には、Telegramのペレコプスキー副社長が、カザンで開かれたミハイル・ミシュスティン首相とIT業界の討論会に参加するに至った。パーヴェル・ドゥーロフは規制解除を「素晴らしいニュースだ」と歓迎した。
2022年に始まったロシアのウクライナ侵攻で、ロシア、ウクライナや西側諸国でのインターネット規制・検閲が強まったが、テレグラムが暗号化機能を持っており、ロシア側、ウクライナ側双方からの情報発信ツール、またはアメリカ合衆国政府の規制・検閲を受けるビッグ・テック管轄外のツールとして利用されており、世界中に利用は広がっている。利用者数は延べ7億人に上る。
機能
- 多くのプラットフォームに対応
- Android、iOS、Windows Phone、Windows、macOS、Linuxと公式、非公式含めて多くのプラットフォームに対応している[26]。
- 様々なファイルの送受信
- 音声メモ、写真、ビデオを始めとする全てのファイルフォーマットを送信することが出来る上、200,000人までのグループを集めることが出来る[27]。また、WhatsAppと同じチェック1回で送信、チェック2回で受信というメッセージリードステータスのシステムを使用している[28]。
- 高度な暗号化
- さらに、WhatsAppやLINEといったシェアの高いメッセンジャーアプリ以上に安全性が高いと主張しており、自社が開発したMTProtoというプロトコルを使用することでやりとりはAES-256で暗号化されているとしている[16][29][30]。
- 2種類のチャット機能
- 使用できるチャットは2種類あり、通常のチャットではクライアントとサーバー間で暗号化され、複数の端末からアクセスできるが、プライベートチャットではエンドツーエンドの暗号化でアクセスは2つの参加端末のみに限られている。Telegramによれば第三者はもちろん、自社の管理者すらユーザーのメッセージを覗き込むことは出来ないとしている[31]。
- 一定時間後に自動削除
- プライベートチャットでのメッセージやファイルも読んだ後に設定した時間で自動的に消去できるようになっており、一度時間が経ったら両方の端末からメッセージが消去される[32]。
アーキテクチャ
暗号化
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ニコライが開発したMTProtoというプロトコルによって種類に関係なく全てのチャットは暗号化されている。このプロトコルは256ビット対称のAES暗号とRSA 2048暗号、ディフィー・ヘルマン鍵共有をベースにしている[33]。
ライセンス
全ての公式クライアント(一部非公式クライアント)はオープンソースになっているが[34]、サーバー側のソフトウェアはクローズドソースのプロプライエタリソフトウェアである。パーヴェル・ドゥーロフによればサーバーのコードがフリーソフトウェアでない理由は、各サーバーがデータをやりとりしたり統合された自社のクラウドの一部として動作させるために、アーキテクチャの大規模な再設計が必要だからとしている[35]。
FAQでは「全てのコードは将来オープンソース化するつもりだ。我々は開発者が新たなTelegramのアプリケーションを開発出来るようにする良い形で文書化した、APIやセキュリティのスペシャリストからのお墨付きが得られるオープンソースクライアントと最も便利な点から始めている。」としている[36]。
評価
セキュリティ問題
セキュリティ研究者のモクシー・マーリンスパイクやテイラー・ホーンビーといった複数の暗号化コミュニティはTelegramによる暗号解読コンテストはセキュリティ上の根拠がなく、一般へミスリードを招いていると批判している[37][38][39][40]。
犯罪グループでの使用
プライベートチャットでのメッセージやファイルも読んだ後に設定した時間で自動的に消去できることや、暗号化による高い安全性などから、特殊詐欺の犯行グループ間の連絡手段、児童ポルノや薬物の取引、強盗やブラジルの議会の襲撃など犯罪にしばしば利用されている[41][42][43]。
脚注
- ^ “Telegram”. Google Play. 2022年11月28日閲覧。
- ^ “Telegram X”. Google Play. 2022年1月18日閲覧。
- ^ “Telegram Messenger”. App Store. 2022年3月19日閲覧。
- ^ “Telegram Desktop latest release”. GitHub. 2022年3月19日閲覧。
- ^ “Telegram Desktop”. Microsoft Store. 2021年2月24日閲覧。
- ^ “Telegram”. Mac App Store. 2022年3月19日閲覧。
- ^ “Telegram Beta 2 – HockeyApp”. rink.hockeyapp.net. 2019年10月6日閲覧。
- ^ “Join the Telegram Messenger beta”. testflight.apple.com. 2019年10月6日閲覧。
- ^ “Releases · telegramdesktop/tdesktop”. GitHub. 2022年1月18日閲覧。
- ^ “Telegram Beta for macOS by Mike Renoir”. App Center. 2022年1月18日閲覧。
- ^ “Telegram Messenger”. Telegram Messenger LLP. 2021年2月24日閲覧。
- ^ Telegram Messenger - App Store
- ^ “List of Telegram applications”. 2014年2月6日閲覧。
- ^ Telegram Company profile
- ^ Webogram
- ^ a b c Meet Telegram, A Secure Messaging App From The Founders Of VK, Russia’s Largest Social Network, TechCrunch, (2013-10-27)
- ^ Surveillance drives South Koreans to encrypted messaging apps, The Verge, (2014-10-07)
- ^ [1]
- ^ Russia’s Zuckerberg launches Telegram, a new instant messenger service, Reuters, (2013-08-30)
- ^ Telegram Hits 35M Monthly Users, 15M Daily With 8B Messages Received Over 30 Days, TechCrunch, (2014-03-24)
- ^ Crowdsourcing a More Secure Future, Telegram blog, (21 Dec 2013) 3 March 2014閲覧。
- ^ a b Winter Contest Ends, Telegram blog, (2 Mar 2014) 3 March 2014閲覧。
- ^ Telegram Contest FAQ 3 March 2014閲覧。
- ^ Secure Messaging Scorecard. Which apps and tools actually keep your messages safe?, Electronic Frontier Foundation, (2014-11-04)
- ^ “コラム:「テレグラム」のICO成功、金融・IT業界が警戒”. ロイター. 2022年10月23日閲覧。
- ^ List of Telegram applications 2014年2月23日閲覧。
- ^ what-makes-telegram-groups-cool?, (2019-10-19)
- ^ Telegram F.A.Q.: What do the green ticks mean?, (2014-02-23)
- ^ Telegram F.A.Q.: How secure is Telegram?
- ^ Description of MTProto Mobile Protocol
- ^ New instant messenger Telegram protected even from spy intrusions, VentureBeat, (2013-11-12)
- ^ “Telegram FAQ”. 10 February 2014閲覧。
- ^ Telegram technical FAQ for Advanced users
- ^ Telegram source code links 2013年2月12日閲覧。
- ^ “Pavel Durov: "No application is 100% safe"”, El Diario Turing, (2014-02-02) 2014年2月12日閲覧。
- ^ “Telegram FAQ”. Telegram. 10 October 2014閲覧。
- ^ Moxie Marlinspike (19 Dec 2013). “A Crypto Challenge For The Telegram Developers”. 2 March 2014閲覧。
- ^ Taylor Hornby (19 Dec 2013). “Telegram's Cryptanalysis Contest”. Crypto Fails. 2 Mar 2014閲覧。
- ^ Robin Wauters (19 Dec 2013). “Cracking contest: first one who breaks Telegram gets $200,000 in bitcoins (but really, nobody wins)”. Tech.eu. 2 March 2014閲覧。
- ^ Thijs Alkemade (2 April 2014). “Breaking Half of the Telegram Contest”. 2 April 2014閲覧。
- ^ “関東で多発する強盗との関連は 「テレグラム」でターゲットを指示? 東京・狛江の強盗殺人事件:東京新聞 TOKYO Web”. 東京新聞 TOKYO Web. 2023年1月22日閲覧。
- ^ “ブラジル連邦議会襲撃、「テレグラム」に罰金命令…アカウント停止命令に従わず”. 読売新聞オンライン (2023年1月26日). 2023年1月27日閲覧。
- ^ INC, SANKEI DIGITAL (2018年8月22日). “機密性高い海外開発の無料通信アプリ「テレグラム」「シグナル」犯罪使用相次ぐ 消去後の復元困難 警察当局、拡大に警戒”. 産経ニュース. 2019年11月16日閲覧。
外部リンク
- Telegram Messenger
- Telegram Web
- Telegram Messenger (@telegram) - X(旧Twitter)