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'''終戦日記'''(しゅうせんにっき、又は'''敗戦日記''' はいせんにっき)は、[[1945年]]([[昭和]]20年)[[8月15日]]の[[ポツダム宣言]]受諾による[[日本の降伏|終戦決定]]を境に、いかに社会情勢・人心・風俗が変転を余儀なくされていったかを、[[日記]]体で記した記録・文芸作品の総称である。<br />ただし、諸家が各自で書いたものを、後世の人がそう呼ぶ、あるいは特別に分類する人がいる、というだけであり、もともと共通の執筆目的があったわけではない。 |
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文学者では永井荷風の『[[断腸亭日乗]]』が著名で生前刊行され、荷風自身の代表作で度々版元を変え今日まで重版されており、私的な日記という体裁ではあるが、読者を意識した記述が多いことは複数の論者に指摘されている。政治家など(特に『木戸幸一日記』)は、「昭和史」の記述で引用参照が多くなされている。< |
文学者では永井荷風の『[[断腸亭日乗]]』が著名で生前刊行され、荷風自身の代表作で度々版元を変え今日まで重版されており、私的な日記という体裁ではあるが、読者を意識した記述が多いことは複数の論者に指摘されている。政治家など(特に『木戸幸一日記』)は、「昭和史」の記述で引用参照が多くなされている。<br />なお、[[回想録]]に関しては「[[第二次世界大戦を題材とした作品一覧|大戦を題材とした作品一覧]]」を参照。 |
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== 主な刊行一覧 == |
== 主な刊行一覧 == |
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:'''著者五十音順''' - 複数の場合、新版刊行のみ記載。※は、生前刊行か、生前から知られていた日記。 |
:'''著者五十音順''' - 複数の場合、新版刊行のみ記載。※は、生前刊行か、生前から知られていた日記。 |
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*『[[芦田均]]日記』 岩波書店(全7巻)、戦前の部は柏書房(全5巻)で刊行。<br> 主に記述は[[連合国軍最高司令官総司令部|GHQ]]下での[[連合国軍占領下の日本|占領期]]である(当事者として史書を著すため、詳細な記録を残した) |
*『[[芦田均]]日記』 岩波書店(全7巻)、戦前の部は柏書房(全5巻)で刊行。<br /> 主に記述は[[連合国軍最高司令官総司令部|GHQ]]下での[[連合国軍占領下の日本|占領期]]である(当事者として史書を著すため、詳細な記録を残した) |
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*『[[有馬頼寧]]日記 5 昭和十七年~昭和二十年』[[山川出版社]](全5巻)、1997-2003年 - 尚友倶楽部・伊藤隆編 |
*『[[有馬頼寧]]日記 5 昭和十七年~昭和二十年』[[山川出版社]](全5巻)、1997-2003年 - 尚友倶楽部・伊藤隆編 |
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*『[[石橋湛山]]日記 昭和20年~31年』(2巻組)、[[みすず書房]] - [[伊藤隆 (歴史学者)|伊藤隆]]ほか編 |
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*山田風太郎 『同日同刻 太平洋戦争開戦の一日と終戦の十五日』 [[学研|立風書房]]、1979年 / [[文春文庫]]、1986年 / ちくま文庫、2006年 |
*山田風太郎 『同日同刻 太平洋戦争開戦の一日と終戦の十五日』 [[学研|立風書房]]、1979年 / [[文春文庫]]、1986年 / ちくま文庫、2006年 |
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*[[河邑厚徳]]編『昭和二十年八月十五日 夏の日記』 博文館新社、1985年 / 角川文庫、1995年 |
*[[河邑厚徳]]編『昭和二十年八月十五日 夏の日記』 博文館新社、1985年 / 角川文庫、1995年 |
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*[[紀田順一郎]] 『日記の虚実』 [[新潮選書]]、1988年 / ちくま文庫、1995年 /「著作集 第7巻」三一書房、1998年<br> 永井荷風・伊藤整・古川ロッパら9名の日記を考察。 |
*[[紀田順一郎]] 『日記の虚実』 [[新潮選書]]、1988年 / ちくま文庫、1995年 /「著作集 第7巻」三一書房、1998年<br /> 永井荷風・伊藤整・古川ロッパら9名の日記を考察。 |
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*[[永六輔]]監修『八月十五日の日記』 講談社、1995年。103名の日記を編・解説 |
*[[永六輔]]監修『八月十五日の日記』 講談社、1995年。103名の日記を編・解説 |
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*[[野坂昭如]] 『「終戦日記」を読む』 [[朝日文庫]]、2010年 / 新編・中公文庫、2020年<br> 元版は〈[[NHK人間講座]]〉テキスト、2002年、[[NHK出版|日本放送協会出版]]、2005年 |
*[[野坂昭如]] 『「終戦日記」を読む』 [[朝日文庫]]、2010年 / 新編・中公文庫、2020年<br /> 元版は〈[[NHK人間講座]]〉テキスト、2002年、[[NHK出版|日本放送協会出版]]、2005年 |
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::山田風太郎、高見順、大佛次郎、永井荷風、渡辺一夫、徳川夢声、中野重治、海野十三、伊藤整らの日記を読み講ずる。 |
::山田風太郎、高見順、大佛次郎、永井荷風、渡辺一夫、徳川夢声、中野重治、海野十三、伊藤整らの日記を読み講ずる。 |
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*[[ドナルド・キーン]] 『日本人の戦争 作家の日記を読む』 [[角地幸男]]訳、[[文藝春秋]]、2009年 / 文春文庫、2011年、文春学藝ライブラリー文庫、2020年 |
*[[ドナルド・キーン]] 『日本人の戦争 作家の日記を読む』 [[角地幸男]]訳、[[文藝春秋]]、2009年 / 文春文庫、2011年、文春学藝ライブラリー文庫、2020年 |
2023年6月11日 (日) 01:15時点における版
終戦日記(しゅうせんにっき、又は敗戦日記 はいせんにっき)は、1945年(昭和20年)8月15日のポツダム宣言受諾による終戦決定を境に、いかに社会情勢・人心・風俗が変転を余儀なくされていったかを、日記体で記した記録・文芸作品の総称である。
ただし、諸家が各自で書いたものを、後世の人がそう呼ぶ、あるいは特別に分類する人がいる、というだけであり、もともと共通の執筆目的があったわけではない。
文学者では永井荷風の『断腸亭日乗』が著名で生前刊行され、荷風自身の代表作で度々版元を変え今日まで重版されており、私的な日記という体裁ではあるが、読者を意識した記述が多いことは複数の論者に指摘されている。政治家など(特に『木戸幸一日記』)は、「昭和史」の記述で引用参照が多くなされている。
なお、回想録に関しては「大戦を題材とした作品一覧」を参照。
主な刊行一覧
- 著者五十音順 - 複数の場合、新版刊行のみ記載。※は、生前刊行か、生前から知られていた日記。
- 『芦田均日記』 岩波書店(全7巻)、戦前の部は柏書房(全5巻)で刊行。
主に記述はGHQ下での占領期である(当事者として史書を著すため、詳細な記録を残した) - 『有馬頼寧日記 5 昭和十七年~昭和二十年』山川出版社(全5巻)、1997-2003年 - 尚友倶楽部・伊藤隆編
- 『石橋湛山日記 昭和20年~31年』(2巻組)、みすず書房 - 伊藤隆ほか編
- 伊藤整 『太平洋戦争日記』 新潮社(全3巻)、1983年 - 戦後編は平凡社
- 入江相政 『入江相政日記』 朝日新聞社(全6巻)、朝日文庫(全12巻)- 没時まで書き続けた。
- 内田百閒 『東京焼尽』※ 中公文庫(改版2004年)
- 『百鬼園戦後日記』 小澤書店(上下) / 中公文庫(新版 全3巻)
- 『海野十三敗戦日記』 橋本哲男編、中公文庫 - 元版・講談社、1971年
- 大木操『大木日記-終戦時の帝国議会』 朝日新聞社、1969年
- 大佛次郎 『終戦日記』 草思社 / 文春文庫(改訂版)- 執筆当時の書簡・エッセイを増補
- 『河井弥八日記 戦後篇1 昭和二十年~昭和二十二年』 信山社出版(全5巻)、2015-2020年。尚友倶楽部ほか編
- 木佐木勝『木佐木日記 4 昭和十九年-昭和二十三年』 現代史出版(全4巻)、1975年
- 木下道雄『側近日誌』 文藝春秋 / 中公文庫(改訂版)。高橋紘編
- 『木下杢太郎日記 第5巻 昭和16年~昭和20年』 岩波書店(全5巻)、1979~80年
- 『木戸幸一日記』※ 東京大学出版会(全2巻) - 続編『木戸幸一日記 「東京裁判期」』
- 清沢洌 『暗黒日記』 評論社(新版刊)/ ちくま学芸文庫(改訂版 全3巻)。橋川文三編・解説
- 楠山正雄 『楠山正雄の戦中・戦後日記』 冨山房(全2冊)。楠山三香男編
- 『最後の貴族院書記官長 小林次郎日記』尚友倶楽部史料調査室・今津敏晃編、芙蓉書房出版。昭和20年分のみ収録
- 澁澤秀雄『側面史百年』 時事通信社、1967年 ※。1942年1月1日〜1945年8月16日の戦中日記も収録
- 『重光葵手記』(正・続)、伊藤隆ほか編、中央公論社(日記ではなく、終戦前後の覚書)
- 『島尾敏雄日記』 新潮社、2010年 - 「加計呂麻島敗戦日記」、「終戦後日記」
- 『芹沢光治良 戦中戦後日記』 勉誠出版、2015年
- 『高見順日記』、「全日記」は没後に勁草書房(全17巻)
- 『田島道治日記 昭和天皇拝謁記6』岩波書店、2022年
- 高松宮宣仁親王 『高松宮日記』(全8巻)、中央公論社 - 大正10年から昭和22年まで記述。
- 谷崎潤一郎『月と狂言師』※ 中公文庫、改版2005年 - 「疎開日記」初出は「婦人公論」昭和24年9月号
- 新訂版『疎開日記-谷崎潤一郎終戦日記』中公文庫、2022年
- 徳川夢声 『夢声戦争日記 昭和16-20年』※ 中央公論社(全5巻)、中公文庫(全7巻)
- 『夢声戦争日記 抄 敗戦の記』 中公文庫、新版2001年
- 『夢声戦中日記』 中公文庫、新版2015年 - 各・新編抜粋版
- 『徳川義寛終戦日記』 朝日新聞社。御厨貴・岩井克己監修
- 徳富蘇峰 『終戦後日記 頑蘇夢物語』 講談社(全4巻) - 近年発見された。講談社学術文庫で再刊(第1巻のみ)
- 永井荷風 『断腸亭日乗』※ 岩波書店。「全集」全6巻・単行版で再刊
- 『摘録 断腸亭日乗』 岩波文庫(上下)- 磯田光一編。解説本が多く刊行
- 中野重治 『敗戦前日記』 中央公論社 - 松下裕編・解説
- 野口富士男 『海軍日記 最下級兵の記録』※ 文藝春秋 / 中公文庫、2021年。各・新版
- 穂積重遠 『終戦戦後日記 1945~50年』 大村敦志校訂、有斐閣
- 『福永武彦戦後日記』 新潮社 - 池澤夏樹解説。続編「新生日記」
- 福原麟太郎『かの年月』※ 吾妻書房
- 藤田信勝 『敗戦以後』※ リーダーズノート新書(新版)、2011年
- 古川ロッパ『古川ロッパ昭和日記』 晶文社(全4巻)滝大作監修 - 没時まで書き続けた
- 細川護貞 『細川日記』※ 中央公論社 / 中公文庫(改版・上下)
- 『松本学日記 昭和十四年~二十二年』尚友倶楽部・原口大輔・西山直志編、芙蓉書房出版、2021年
- 宮武外骨 『外骨 戦中日記』 河出書房新社、2016年。吉野孝雄編・解説
- 武藤章 『比島から巣鴨へ』 中公文庫 - 巣鴨日記も含む
- 森正蔵 『あるジャーナリストの敗戦日記 1945〜1946』(有山輝雄編)ゆまに書房、2005年
- 『矢部貞治日記』(全4巻)、同刊行会編(読売新聞社、1974-75年)- 没時まで書き続けた
- 山田風太郎 『戦中派不戦日記』※ 講談社文庫、改版2002年 / 角川文庫、2010年 - 没後に戦後編(全4巻)、小学館 のち小学館文庫
- 『戦中派虫けら日記』※ 未知谷、1994年 / ちくま文庫、1998年 - 大戦前半の日記
- 『山本周五郎 戦中日記』 角川春樹事務所、2011年、のちハルキ文庫
- 『湯川秀樹日記1945 京都で記した戦中戦後』 京都新聞出版センター、2020年 - 小沼通二編
- 『渡辺一夫敗戦日記』 博文館新社 - 二宮敬編・解説、前半部は『著作集(14)』筑摩書房
関連文献
- 山田風太郎 『同日同刻 太平洋戦争開戦の一日と終戦の十五日』 立風書房、1979年 / 文春文庫、1986年 / ちくま文庫、2006年
- 河邑厚徳編『昭和二十年八月十五日 夏の日記』 博文館新社、1985年 / 角川文庫、1995年
- 紀田順一郎 『日記の虚実』 新潮選書、1988年 / ちくま文庫、1995年 /「著作集 第7巻」三一書房、1998年
永井荷風・伊藤整・古川ロッパら9名の日記を考察。 - 永六輔監修『八月十五日の日記』 講談社、1995年。103名の日記を編・解説
- 野坂昭如 『「終戦日記」を読む』 朝日文庫、2010年 / 新編・中公文庫、2020年
元版は〈NHK人間講座〉テキスト、2002年、日本放送協会出版、2005年
- 山田風太郎、高見順、大佛次郎、永井荷風、渡辺一夫、徳川夢声、中野重治、海野十三、伊藤整らの日記を読み講ずる。
- ドナルド・キーン 『日本人の戦争 作家の日記を読む』 角地幸男訳、文藝春秋、2009年 / 文春文庫、2011年、文春学藝ライブラリー文庫、2020年
- 保阪正康 『〈敗戦〉と日本人』 ちくま文庫、2006年。日記回想を通じ戦争末期を描く。
- 保阪正康 『作家たちの戦争 昭和史の大河を往く 第11集』 毎日新聞社、2011年
- 山本一生 『日記逍遥 昭和を行く 木戸幸一から古川ロッパまで』 平凡社新書、2011年
- 井上太郎 『旧制高校生の東京敗戦日記』 平凡社新書、2000年
- 井上寿一 『昭和の戦争 日記で読む戦前日本』 講談社現代新書、2016年
- 御厨貴編 『近現代日本を史料で読む』 中公新書、2011年 - 編者ほか全20名で日記・史料を紹介。
- 土田宏成編 『日記に読む近代日本4 昭和前期』 吉川弘文館、シリーズ(全5巻)、2011-2012年
- 黒沢文貴・季武嘉也編 『日記で読む近現代日本政治史 史料で読み解く日本史②』 ミネルヴァ書房、2017年
脚注
- ^ “陸軍文書、焼かれたはずが 天皇印や「原子爆弾」の記載”. 朝日新聞デジタル. (2018年8月15日) 2020年12月1日閲覧。