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== 人物 ==
* [[安倍晋三]]・元首相の[[側近]]として知られていたが<ref>[https://www.news-postseven.com/archives/20220805_1781734.html?DETAIL 稲田朋美・元防衛相に疑惑 地元後援会を旧統一教会関係者が設立していた|NEWSポストセブン]</ref>、稲田が[[LGBTQ]]理解増進法案の与野党交渉の中心的役割を果たしたことで、LGBTQ理解増進法案に否定的な安倍との溝が深まったとされる<ref>[https://www.fnn.jp/articles/-/387986?display=full 安倍元首相を師と仰ぐ稲田朋美元防衛相が語る「LGBTQ法案でバッシングを受けた私を常に心配してくれた」 フジテレビ解説委員 鈴木款|FNNプライムオンライン]</ref>。
* [[安倍晋三]]・元首相の[[側近]]として知られていたが<ref>[https://www.news-postseven.com/archives/20220805_1781734.html?DETAIL
稲田朋美・元防衛相に疑惑 地元後援会を旧統一教会関係者が設立していた|NEWSポストセブン]</ref>、稲田が[[LGBTQ]]理解増進法案の与野党交渉の中心的役割を果たしたことで、LGBTQ理解増進法案に否定的な安倍との溝が深まったとされる<ref>[https://www.fnn.jp/articles/-/387986?display=full 安倍元首相を師と仰ぐ稲田朋美元防衛相が語る「LGBTQ法案でバッシングを受けた私を常に心配してくれた」 フジテレビ解説委員 鈴木款|FNNプライムオンライン]</ref>。
* [[2011年]]8月1日、[[鬱陵島]]を視察する自民党議員団の一員として[[大韓民国|韓国]]に訪問した([[佐藤正久]]と[[新藤義孝]]も参加)が、韓国外務省より全員が反韓活動者として[[ペルソナ・ノン・グラータ]](外交上好ましくない人物)通告、入国を拒否された<ref>「自民党議員団の入国、韓国が拒否 鬱陵島視察」『[[朝日新聞]]』2011年8月1日朝刊</ref>。
* [[2011年]]8月1日、[[鬱陵島]]を視察する自民党議員団の一員として[[大韓民国|韓国]]に訪問した([[佐藤正久]]と[[新藤義孝]]も参加)が、韓国外務省より全員が反韓活動者として[[ペルソナ・ノン・グラータ]](外交上好ましくない人物)通告、入国を拒否された<ref>「自民党議員団の入国、韓国が拒否 鬱陵島視察」『[[朝日新聞]]』2011年8月1日朝刊</ref>。
* 父親の[[椿原泰夫]]は生前、郷里の京都で「京都讀書會」を主宰していた他、「[[頑張れ日本!全国行動委員会]]」で[[頑張れ日本!全国行動委員会#支部・友誼団体一覧|京都本部]]会長も務めていた。
* 父親の[[椿原泰夫]]は生前、郷里の京都で「京都讀書會」を主宰していた他、「[[頑張れ日本!全国行動委員会]]」で[[頑張れ日本!全国行動委員会#支部・友誼団体一覧|京都本部]]会長も務めていた。

2022年8月29日 (月) 00:01時点における版

稲田 朋美
いなだ ともみ
2017年2月4日撮影
生年月日 (1959-02-20) 1959年2月20日(65歳)
出生地 日本の旗 日本 福井県越前市
出身校 早稲田大学法学部卒業
前職 弁護士
所属政党 自由民主党安倍派
称号 法学士(早稲田大学・1981年
弁護士
税理士
公式サイト 衆議院議員 稲田朋美公式サイト

日本の旗 第15代 防衛大臣
内閣 第3次安倍第2次改造内閣
在任期間 2016年8月3日 - 2017年7月28日

内閣 第2次安倍内閣
在任期間 2012年12月26日 - 2014年9月3日

選挙区 福井1区
当選回数 6回
在任期間 2005年9月12日 - 現職

その他の職歴
第6代 自由民主党幹事長代行
(総裁:安倍晋三
2019年9月11日 - 2020年9月15日
第56代 自由民主党政務調査会長
(総裁:安倍晋三)
2014年9月3日 - 2016年8月3日
第8代 自由民主党総裁特別補佐
(総裁: 安倍晋三
2018年 - 2019年
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稲田 朋美(いなだ ともみ、1959年昭和34年〉2月20日 - )は、日本政治家弁護士旧姓は、椿原(つばきはら)。自由民主党所属の衆議院議員(6期)。実父は政治運動家の椿原泰夫

防衛大臣第15代)、内閣府特命担当大臣(規制改革)国家公務員制度担当大臣初代)、自由民主党政務調査会長(第56代)、自民党幹事長代行(第6代)、自民党福井県支部連合会会長を歴任。

来歴

1959年2月20日福井県今立郡今立町(現・越前市)に、椿原泰夫の娘として出生(現住所は、福井市中央3丁目)[1][2]

1977年3月、京都府立乙訓高等学校卒業。1981年3月、早稲田大学法学部卒業。

1982年司法試験合格。1983年司法修習生となる(37期、同期に西村眞悟中村和雄定塚誠など。夫の稲田龍示も同期)。1985年、弁護士登録(大阪弁護士会2008年12月以降は福井弁護士会)。

1989年、弁護士の稲田龍示と結婚。1990年税理士登録。西梅田法律事務所に勤務。

2004年、弁護士法人光明会(大阪市北区)代表に就任。なお、この代表就任は初当選時の選挙公報に記載されていた。学校法人森友学園国有地問題に端を発した2017年3月8日の参院予算委員会での野党からの質問に対し「代表となったことはない」と答弁した。その後、3月15日の同委員会において、民進党杉尾秀哉から、選挙公報の記載との矛盾を問われ「04年12月の法人設立当初は代表社員を置かない社員2人体制で、業務執行上、弁護士各自が会を代表していることから代表と記述した。選挙公報は誤りではない」とし、また2008年に定款を変更して夫を代表社員にしたため「正確な記述とするため、訂正を申し出ることにした」と答弁した[3]

政治家になった経緯

早稲田大学法学部在学中、当時男女雇用機会均等法も無く就職先がほとんど無かったので、司法試験を受けようと考えた。1日約16時間勉強して司法試験に合格し、弁護士になると5年間法律事務所の雇われ弁護士として法律の仕事を習得したが、子供ができたのを機にやめた。その頃夫が『産経新聞』と『正論』を読んでいたので稲田も読むようになり、やがて「いまの教育はおかしいんじゃないでしょうか」などといった投稿をたびたびするようになった。その後弁護士の高池勝彦から電話で「南京事件についていっしょに裁判をやらないか」と声をかけられる。本人はその当時の心境を「東京日日新聞、現在の毎日新聞が戦意高揚で書いた南京事件の際の「百人斬り競争」の〕嘘の記事が唯一の証拠になって、戦後の南京の軍事裁判のBC級戦犯として〔競争をしたと書かれた野田毅少尉と向井敏明少尉の〕2人が処刑された。まったく嘘のことが、日本の名誉を傷つけるようなことが教科書でも教えられているし、本当のこととして流布されているという現状を私は日本人として放置できないと思ったんです」と述べている[4]。最終弁論の日、向井少尉の次女の向井千恵子に出会い、女性ひとりで戦っている姿を見て感銘を受ける。これがきっかけで野田少尉と向井少尉の遺族が『毎日新聞』『朝日新聞本多勝一らを相手取り、名誉毀損の裁判を起こすことになった。稲田は「私は政治には全然興味がなかったんですけど、嘘のことで日本の名誉が毀損されているという状況を何とかしたいと思ったんですね」と述べている[4]

2005年の郵政解散のちょうど2週間ほど前、自民党本部で「『百人斬り競争』はでっち上げである」という内容の講演をした。これを聴講していた安倍晋三幹事長代理(のち内閣官房長官、総理総裁歴任)の目に留まり、衆院選候補にスカウトされた[4]

政歴

2016年8月23日潜水艦こくりゅう」の甲板に搭乗

防衛大臣としての経歴

2016年8月28日富士総合火力演習を視察

2016年8月15日、海賊対処活動などのため自衛隊が駐屯しているアフリカ東部ジブチを訪問して隊員たちを激励、その後、同国のイスマイル・オマル・ゲレ大統領、アリー・ハサン・バードンフランス語版国防相とそれぞれ会談した[21]。これが防衛大臣としての初の外遊となる。また、この行事参加のために終戦記念日靖国神社参拝は見送られた[22]

10月8日、デイヴィッド・ヤウ・ヤウ英語版国防副大臣およびエレン・マルグレーテ・ロイ英語版国連事務総長特別代表と会談を行い、続いて中力修1等陸佐が隊長を務める南スーダン派遣施設隊等(第10次要員)を視察し、隊員の現地での生活や活動について意見交換しただけでなく、隊員が日本に残してきた家族についても配慮しながら、任務遂行に当たっている隊員たちを激励した[23]

12月29日、終戦記念日の靖国神社参拝は見送られていたが、この日に参拝した[24]

政策

稲田朋美(2016年)

経済政策

「財政再建派」として知られている[25]2015年、自民党内の財政再建に関する提言をめぐり、歳出削減にこだわる稲田は経済成長路線の立場を取る甘利明と対立した[26]。稲田は「当てにならない(経済)成長を当てにして、雨乞いをしてPB黒字を達成させるとか、そういう話ではない」と甘利が掲げる経済成長路線を批判した[27]。2020年度までに基礎的財政収支(プライマリーバランス)を黒字化しないと、金利の急上昇によって日本の財政が破綻状態になりうるとの見解を示している[28]

最新型原子力リプレース推進議連の会長に就任し、「2050年カーボンニュートラル」や、「2030年までに温室効果ガス46%削減(2013年比)」という世界からも注目をされている国際公約が再生可能エネルギーだけで達成するのは非常に難しいとした上で、「しっかりと経済を前に進めていくためにも、原子力の将来像を示さなければなりません。」と語っている[29]

社会保障

未婚ひとり親支援

「未婚でも、離婚していても、女性でも男性でも等しい税制度が必要」と述べており、未婚のひとり親に対して、配偶者と離婚・死別したひとり親に対する「寡婦控除・寡夫控除」と同等の税優遇制度の創設を後押しした[30]

選択的夫婦別氏制度の法制化問題

選択的夫婦別氏制度の法制化について、「家族の崩壊につながりかねない制度は認められない」(2006年[31])、「一夫一婦制の婚姻制度を破壊」(2007年[32])、「別姓推進派の真の目的は『家族解体』にある」(2011年[33])と主張していた。また、2014年の調査でも選択的夫婦別姓制度導入に改めて反対していた[34]。さらに2016年には、対案として通称使用の緩和を掲げ、「女性が社会進出するほど旧姓を使うべき場面は増えます。ただ、家の中で両親子供は同じ名前が望ましい。子供は選べませんしね。私たちは女性が望めば通称を使える社会を目指しています」などと主張していた[35]

しかし、2018年に、「これまで親子別姓となる選択的夫婦別姓には反対してきた」ものの「通称使用で2つも姓を用いるのは混乱を招く」「高齢者同士の結婚も多い」として、肯定的な発言をしている[36]

2019年には、選択的夫婦別姓に関し「人生100年時代になり、いろいろな家族の形ができている。固定概念にとらわれず議論してもいいのではないか」と述べるとともに、従前は「家族の一体感を損なう観点から反対の論陣を張ってきた」が「いろいろな方の事情を聴き、考えが進化した」と述べた[37]

男女共同参画社会基本法

女性議員の立場から、男女共同参画社会基本法に反対しており[38]、見直すべきと主張している[39]。その中では男女共同参画社会基本法について「おいおい気は確かなの?と問いたくなる」「女性の割合を上げるために能力が劣っていても登用するなどというのはクレージー以外の何ものでもない」と述べている[40][38]

女性の社会進出

稲田は2021年4月、文藝春秋でのコラムにて、「女性活躍を主張すれば、リベラル、左翼と批判されてしまう。」と現代の社会について前置きしたうえで「私は2年前から同期当選の仲間とともに議員連盟「女性議員飛躍の会」を立ち上げ意識改革を訴えてきました。未婚の1人親に対する所得控除を実現させたことを皮切りに、養育費の不払い問題、子供への性暴力問題からコロナ緊急支援まで、党本部や政府に政策を提案しています。しかし「飛躍の会」立ち上げから現在まで、私のもとに届くのは、「失望した」「左に転向したのか」という批判や罵倒の嵐。ある程度覚悟はしていましたが、日本の政治に対する意識がいかに遅れているかを身をもって感じ愕然としています。」と述べた。

さらに、東京五輪組織委員会の森会長が女性軽視発言で辞任したことをうけて「いま私たちに求められているのは、今回の件を単なる舌禍問題で終わらせるのでなく、これを機に政界の女性進出をスピード感をもって進め、政治に多様性をもたらすことです。」とし、世界と比べても日本の女性社会進出が遅れている一因に「女性議員の少なさ」を挙げた。「なかでも自民党は衆議院の女性議員の割合が7%と極めて低い。私が初当選した2005年の郵政解散選挙では16人の女性議員が初当選しました。女性でも能力があれば議員になれるし、この調子で女性議員は増えていくだろう。助成枠を設けるのは間違っている。ーそう考えていましたが甘かった。この16年間で衆議院議員における自民党女性議員は増えていないどころか5人も減っているのです。と女性の社会進出の難しさを指摘している[41]

国会において女性議員を増やすことについて、「"男女問わず、能力があれば登用される"。それが理想です。」と語るが、一方では、「そうやって自然体に任せた結果、日本の女性政治家は10%にとどまっています。抽象的な数値目標ではなく、ある程度の強制力をもった制度を導入しないと、女性議員を増やすことは現実的に難しいと思います。」と女性議員を増やすことの難しさを指摘している。さらに諸外国の例を挙げ「諸外国は30年ほど前まで女性の政治参加は非常に少なかった。そこから、クオータ制を導入して女性議員を増やしました。日本は後れを取っているんです」と日本の現状を指摘している[42]

尊属殺人規定

「家族を特別視しない価値観が蔓延すれば、地域共同体、ひいては国家というものも軽んじるようになってしまいます。帰属意識というものが欠如して、バラバラの、自分勝手な個人だけが存在するようになるでしょう」と述べ、尊属殺人規定の復活を主張している[43][38]

国籍法改正問題

2008年11月18日の国会審議において、「『最高裁から(判決が)出たんだから変えるのは当然だ』という無責任な考え方で改正をしてもらっては困る」と反対意見を展開し、「司法権による立法府への介入の恐れがあったのではないか」と述べた[44]

表現規制

コミックアニメゲームソフトだけでなく成人女性や成人男性が18歳未満の児童に扮するポルノグラフィーにまで規制範囲を広げることを求めた児童ポルノ禁止法改正案の請願を下村博文高市早苗とともに国会へ提出した[45]

部落問題

部落差別の法規制に前向きである[46]2015年11月16日、東京平河町のホテルで「人権課題解決に向けた和歌山県集会」と銘打った「人権フォーラム」に参加した稲田は「不当な人権侵害、匿名のインターネットで人権侵害が広がっている事態を放置できないと思っている」[46]、「人権擁護法案や人権委員会設置法のような差別や人権侵害に対応した包括的な法律は考えていないが、部落問題については問題が起こっているのでなんとかしなければならない」などと述べた[47]

2019年5月23日に自由民主党本部に於いて開催された「令和元年度 自由同和会第34回全国大会」に稲田は参加し、祝辞を述べている[48]。また同年11月19日に開催された「自由同和会 令和元年度幹部研修会」に稲田は参加し、祝辞を述べている[49]

その他

日本の核武装について、「今後の国際情勢によっては検討すべき」としている[12]。「日本独自の核保有を、単なる議論や精神論ではなく国家戦略として検討すべき」と述べている[50]

受動喫煙防止を目的に飲食店などの建物内を原則禁煙とする健康増進法改正に賛成。ただし、経営規模の小さな既存の飲食店については、事業継続への配慮の観点から、「経過措置を設ける必要がある」としている[51]

思想信条

歴史観

A級戦犯と戦争責任について

靖国神社参拝問題に関連し、「A級戦犯を規定する東京裁判(極東国際軍事裁判)はポツダム宣言と近代法の大原則(罪刑法定主義)に違反した二重の意味での国際法違反である」と述べ、「東京裁判は『占領政策』『戦後体制』の中心であり、東京裁判史観の克服なしに戦後体制の歪みを是正することはできない」と述べている。また、「A級戦犯がいたから日本が無謀な戦争に突入し、そして敗れたというような単純なものではない」とし、「その責任をA級戦犯だけに帰すことはできない」と述べている[52]2015年2月には、「自分たちで真偽を検証する態度を持つべきだ」と発言した[53]

百人斬り競争について

百人斬り競争は実際には無かった」との立場をとる[54]

弁護士時代に、百人斬り競争をおこなったとして処刑された旧日本軍少尉2人の遺族が、朝日新聞毎日新聞本多勝一を相手取り、名誉棄損の損害賠償と出版差し止めを求めた訴訟(百人斬り競争#名誉毀損裁判)に、原告代理人の1人として参加した[55]。稲田は「南京虐殺の象徴とされる百人斬りは虚偽だと立証できたと思っていた[55]」が、最高裁で原告側主張は棄却されている[55]。裁判に負けたことで弁護士としての活動に限界を感じ、政治の場から取り組みたいとしている[55]。また、「事実と異なることはきちんと反論することで遺族や国の名誉を守りたい。それと日中友好は両立できる」と述べている[55]

靖国神社

靖国神社におけるA級戦犯合祀昭和天皇の親拝中止の間に、因果関係がない」と主張。

2006年8月15日日本会議などが靖国神社において主催した集会では、神道に基づく靖国神社の国家護持を提唱し、「首相の靖国参拝を阻止しようとする忘恩の輩に道徳・教育等を語る資格はない」と発言。同年発行の『WiLL』では、「靖国神社というのは不戦の誓いをするところではなくて、『祖国に何かあれば後に続きます』と誓うところでないといけないんです」と述べている[56]2006年春、中曽根康弘は稲田率いる保守派政策集団伝統と創造の会に講師として招かれた際は小泉総理の靖国参拝を期待する稲田ら新人代議士達に「個人的信条も大事だが、それ以上に国家的利害も重要だ」とたしなめた。衆議院議員になって以来、毎年、終戦の日(8月15日)とサンフランシスコ講和条約発効の日(4月28日)に靖国神社を参拝してきたが、防衛大臣に就任した2016年の終戦の日は8月12日から8月16日の日程でジブチの自衛隊基地を訪問する公務により参拝しないこととなった。同時に8月15日の全国戦没者追悼式も、防衛庁長官防衛大臣としては初の欠席となる[57]

映画「靖国 YASUKUNI」

2008年2月、日本在住の中国人が監督を務める映画「靖国 YASUKUNI」に日本芸術文化振興会から公的助成金が支出されていることを知り、助成金基準に合致しているかどうかを確認するために文化庁を通して試写会を要請した[58]。同庁より連絡を受けた配給会社のアルゴ・ピクチャーズは全議員を対象とした試写会を承諾し、3月12日に開催された。このとき稲田は、「検閲の意図は全くないが、政治的に中立な映画かどうかは若干の疑問を感じた。イデオロギー的なメッセージを強く感じた」と述べている[59]

稲田は「問題にしたのは、文化庁所管の日本芸術文化振興会が750万円の公的助成をしたこと、その一点」と主張。製作会社の取締役、製作総指揮者、監督、プロデューサーがすべて中国人であり、靖国神社をテーマにしていることから政治性が強いとして、この映画が助成の要件である

  1. 日本映画であること
  2. 政治的、宗教的宣伝意図がないこと

を満たしておらず助成金の支出に妥当性はないと結論付けた。また「表現の自由の名のもとに政治家の言論を封殺しようとすることは背理である」と述べている[58]

稲田は試写を求めたことについて「一種の国政調査権で、上映を制限するつもりはない」と話しているが、アルゴ・ピクチャーズは「事実上の検閲だ」と反発した[60]他、日本映画監督協会日本映画撮影監督協会日本マスコミ文化情報労組会議日本ジャーナリスト会議も抗議声明を発表した[61][62][63]

後に、本映画は、2008年の12月に行われた試写会をきっかけに週刊新潮が「中国人監督が作った反日映画」と論評したことにより、上映予定の映画館前に街宣車が現れるようになり上映中止を決定する映画館が続出。アルゴ・ピクチャーズは4月12日に予定していた上映の中止を決定した[64]

沖縄戦集団自決軍命強制問題

沖縄戦で発生した集団自決について、旧日本軍現地指揮官と親族が『沖縄ノート』の著者で軍指揮官の命令によるものとした大江健三郎と出版社の岩波書店を名誉毀損で訴えた大江健三郎・岩波書店沖縄戦裁判において原告側の弁護人をつとめる。判決は「自決命令それ自体まで認定することには躊躇を禁じ得ない」とする一方、大江の記述には合理的根拠が認められ、書籍発行時において大江が「真実であると信じる相当の理由があったと言える」とされ敗訴した。

慰安婦問題

2007年6月14日に歴史事実委員会の全面広告「THE FACTS」に賛同者として名を連ねた[65]。2013年5月に日本維新の会会長代行の橋下徹従軍慰安婦を容認する発言をおこなったことについて、「女性人権への侵害だ」と批判した[66]。一方で、慰安婦制度が「戦時中は合法であったのもまた事実だ」と述べている[67]

家族観・性別観

LGBT(性的少数者)について

2016年5月に開催されたLGBTのイベント「東京レインボープライド2016」に参加している。このことについて稲田は「私が参加したら、会場で『えっ!』と驚かれました。また、性的少数者の差別解消を目的としたLGBT法案を検討している時には、『自民党らしくない!』という批判を受けたりしました。いわゆる保守層である私のファンには『なぜ稲田さんがそんなことを言うの?』と離れた人もいる。LGBTを支持すると、逃げていく人もいるのです」「『左翼』の運動ではなく『人権』の問題と理解してもらうのに苦労しました」と述べている[68]

また、性的指向は不可逆的なものであるため、LGBT問題は人権問題として考えるべきであるとし、「彼らが誤解に苦しんでいるのなら、自分らしく生きられる社会をつくらねばなりません」「少子高齢化が進む中で、(自民党は)女性が輝く社会の実現を目指してきているが、LGBTと呼ばれる人々にも同じようにチャンスが与えられるべき」と述べている[69]

同性結婚については、「同性婚。これは欧米各国で激しい議論が行われており、一部の国では同性婚が認められるようになっている。この問題について、日本で意見が収斂するのはまだ先であろう。私はこの問題で日本の社会が二分されるのは望んでいない。あくまでも原点は、生まれながらにおかれた境遇や身体的状況によって差別がなされてはいけないということ。当事者の意見を聞きながら議論が進んでいくことを期待する」「渋谷区の(パートナシップ制度の)条例に関しては、憲法上の婚姻の条項や家族のあり方とか、少数者に対する差別をなくすということはその通りなのですけれども、それをどこまで法的に保護していくかということなどは、憲法に関るような非常に大きな問題なので条例という形ではなくて大きな議論をすべきと考えています」と慎重な姿勢を見せている[70][71]。2018年には「自民党的にはまだ認めてないし、今の段階で一足飛びに認めるのは少し難しいと思う」「いっぺんに差別禁止、同性婚解禁に行くんじゃなくて。少しずつ、まずは理解を進めるのが第一だと思う」と述べつつも、「(保守派は)家族制度を壊すとか、少子化対策に逆行するというけれど、もちろん他の人に迷惑をかけるということもない」と同性婚に理解を示す発言もしている[72]

「LGBT理解増進法案」について、自民党が法案の提出の見送りを決めたが、「私はまだ諦めていない」と訴えた。稲田氏は党の「性的指向・性自認に関する特命委員会」委員長を務め、超党派議連で法案の交渉役を担った[73]

発言

ドメスティックバイオレンスについて

「今や『DV』といえば全てが正当化される。DV=被害者=救済とインプットされて、それに少しでも疑いを挟むようなものは、無慈悲で人権感覚に乏しい人非人といわんばかりである。まさに、そこのけそこのけDV様のお通りだ、お犬さまのごとしである」「DVという言葉が不当に独り歩きすれば、家族の崩壊を招きかねない」と述べている[74][38]

徴農制について

2006年8月29日、「『立ち上がれ! 日本』ネットワーク」(事務局長:伊藤哲夫日本政策研究センター所長)主催のシンポジウム「新政権(第1次安倍内閣)に何を期待するか?」で「ニート問題を解決するために、徴農制度を実施すべきだ」と主張した[75]。「真のエリートの条件は、いざというときに祖国のために命をささげる覚悟があること。そういう真のエリートを育てる教育をしなければならない。若者農業に就かせる『徴農』を実施すれば、ニート問題は解決する。」と述べている。

国民の生活が第一なんて政治は間違っている

民主党政権下(野田佳彦第1次改造内閣)、野党議員時代の2012年4月16日に行われた「衆議院議員稲田朋美と道義大国を目指す会」で「(民主党政権のキャッチコピーである)国民の生活が第一なんて政治はですね、私は間違っていると思います」と発言した[76]

生長の家関連

2012年4月30日、「自身が司法試験合格に向けて励んだときに大きな心の支えになった、祖母から代々受け継がれた」という、谷口雅春著の「生命の實相」(敗戦後に発禁となっている、所謂"黒表紙版")を示し、「生長の家本流運動」の一派である谷口雅春先生を学ぶ会において講演した[77][78]

徴兵制度について

佐藤守との対談で、「教育体験のような形で、若者全員に一度は自衛隊に触れてもらう制度はどうか」「『草食系』といわれる今の男子たちも背筋がビシッとするかもしれない」と述べている[50][38]。2016年10月11日の参議院予算委員会で福島瑞穂に上記の発言を質された際、「学生に見て頂くのは教育的には非常に良いものだが、意に反して苦役で徴兵制をするといった類いは憲法に違反すると思って、そのようなことは考えていない」と答弁した[79]

共働き関係

「保育所増設の政策などを見ていると『ほんとに母乳を飲んでいる赤ちゃんを預けてまで働きたいと思っているかな』と疑問に思う」と述べている[80][81]

女性大臣美人発言

2017年6月初旬にシンガポールで開かれた「アジア安全保障会議(シャングリラ・ダイアローグ)」で、オーストラリアフランスの国防大臣(両者とも女性)ととも登壇した際、「私たち3人には共通点がある。みんな女性で、同世代。そして、全員がグッドルッキング(美しい)!」と発言。現場で取材していた外国人の記者たちは、「互いに顔を見合わせ、仏豪の両大臣も心なしかこわばった表情をした」と報道されている[82]

保守について

自身に対しての「保守ではない」との批判を受けて「「これを守らないと保守じゃない」とか、そういうことじゃないと思う。私にとっても、"じゃあ保守って何を守るのか"ということを自分なりに突き詰めて考えるきっかけにはなった。"伝統的家族"というような形式ではなく、"日本らしさ"とか"温かさ"というものを守ろうとしてきたんだというところまで考えられたことは良かった。」と自身の保守についての考え方を述べている[83]

政治資金

日本歯科医師連盟からの寄付

2014年の衆院選投開票前に、「稲田が代表を務める自民党県第1選挙区支部が日本歯科医師連盟(日歯連)から30万円の寄付を受けている」と報じられている[84]

白紙領収書の後日記入

他の国会議員の政治資金パーティーに参加した際の費用の領収書を白紙でもらい、事務所で金額を記入したことについて、日本共産党小池晃参議院議員が参議院予算委員会で追及し、稲田は事実と認めた。小池は、「2012年から2014年の政治資金収支報告書に添付された領収書で、約260枚(約520万円)の筆跡が同じだ」と指摘。「金額を勝手に書いたら領収書にならない」と批判した。

菅義偉官房長官も同問題の当事者であり、「パーティー主催者の了解のもと、実際の日付、宛先、金額を正確に記載した」とし、「数百人規模の出席者全員の宛先と金額を書いてもらうと、受け付けが混乱する」と釈明し、稲田も同様の説明をした。

政治資金規正法を所管する高市早苗総務大臣は「領収書作成方法の規定はない。主催者から了解を得ていれば法律上の問題は生じない」との見解を示したが、小池は「『面識があれば金額はあとで書いていい』なら、中小企業の社長はみんな取引先と面識がある。でたらめな話だ」と批判した[85]。総務省の手引では受領者側が領収書に追記するのは不適当とされている。自民党では白紙領収書が慣例かと思わせるとも取られており、政治資金の移動はすべて銀行口座間で行うなどの方法も議論されているが、実現していない。「政治とカネ」の問題は、必要な法改正も含めあらゆる観点から透明化への努力を払うべきだとする見解もある[86]

人物

  • 安倍晋三・元首相の側近として知られていたが[87]、稲田がLGBTQ理解増進法案の与野党交渉の中心的役割を果たしたことで、LGBTQ理解増進法案に否定的な安倍との溝が深まったとされる[88]
  • 2011年8月1日、鬱陵島を視察する自民党議員団の一員として韓国に訪問した(佐藤正久新藤義孝も参加)が、韓国外務省より全員が反韓活動者としてペルソナ・ノン・グラータ(外交上好ましくない人物)通告、入国を拒否された[89]
  • 父親の椿原泰夫は生前、郷里の京都で「京都讀書會」を主宰していた他、「頑張れ日本!全国行動委員会」で京都本部会長も務めていた。
  • トレードマークは網タイツと眼鏡。これは選挙区の福井の経編(繊維業)の技術を発信するため網タイツと、「視力も1.5と2.0で良いんですけど(鯖江に代表される)福井のメガネを発信する」ためとしており、ミニスカート、厚底のピンヒールに網タイツと黒縁のダテメガネというファッションスタイルで選挙応援演説など人前に出ている[90]
  • 2015年6月17日、ロイター通信の主催する講演会後の質疑で「女性初の首相を目指すのか」と問われ「政治家であるなら、誰でも首相を目指している」と応答した[91]。事実、女性初の総理大臣候補の一人[92]とされており、稲田自身も何度も自民党総裁選への出馬意欲を表明しているが、推薦人20人を集める必要があり、断念している。2016年2月、安倍晋三首相(当時)は企業の女性幹部らが集まるシンポジウムの歓迎会で、「稲田を森雅子とともに、きわめて有力な総理候補者である」と答えた[93]
  • 北海道新聞は、稲田が2006年8月29日に「『立ち上がれ!日本』ネットワーク」が「新政権に何を期待するか」と題して東京都内で開いたシンポジウムの席上、靖国参拝反対派の加藤紘一と対談した[94]ことを紹介し、加藤の実家が右翼団体幹部に放火された事件(加藤紘一宅放火事件)については、「対談記事が掲載された15日に、先生の家が丸焼けになった」と「軽い口調で話した」とし[95]、発言に対する会場の反応について、「約350人の会場は爆笑に包まれた」「言論の自由を侵す重大なテロへの危機感は、そこには微塵もなかった」と報じた[95]

世界平和統一家庭連合(旧・統一教会)との関係

  • 2006年4月、世界平和統一家庭連合(旧・統一教会)の関連団体である世界平和女性連合のイベント『春のつどい』に参加した[96]
  • 2008年6月、世界平和統一家庭連合の関係者が後援会ともみ・越の会を立ち上げ、設立総会で挨拶した[97][98][99]
  • 2009年11月、世界平和統一家庭連合の関連団体である世界平和連合のイベントに参加した[96]
  • 2010年4月、統一教会の関連団体世界平和女性連合のイベント『春のつどい』に参加した。参加の経緯について稲田は「12年ほど前のことなので経緯は不明です。当日はひと言挨拶をし途中退席しました。講演はしていません」と説明した[96]

支援団体

評価

  • 雑誌『正論』の特集「2012年注目の政治家50人を値踏みする」では、中山恭子とともに10点満点の評価を受けた[106]
  • 古谷経衡は「よく言えば無垢、悪く言えば無教養。防衛大臣という重責を果たす実力がないにもかかわらず、ゲタを履かされた状態で任され、そして自業自得の如く自滅した」と分析した[107]
  • 中島岳志は、稲田がLGBT法案に取り組むなかで「変質した」との批判が支持者からも相次いだり、支持団体・神道政治連盟の国会議員懇談会事務局長ポストから外されるなどしていた稲田が、2021年3月8日インタビューにおいて「虚構の部分も含めて、保守の中のジャンヌダルク的な存在を担わされていましたが、等身大の私はそういう感じはなかったんです」と発言したこと[103]を受け、例え「虚構」であっても「稲田の激烈な発言によって、深く傷ついた人たちの痛みと向き合う覚悟はあるのか。そうできない限り、稲田の言論や行動は空転し続ける。」と評した[104]

番組出演

テレビ

ラジオ

著書

単著

  • 『百人斬り裁判から南京へ』(文春新書、2007年)
  • 『日本を弑(しい)する人々』 (PHP研究所、2008年)
  • 『私は日本を守りたい 家族、ふるさと、わが祖国』(PHP研究所、2010年)
  • 『強くて優しい国』(幻冬舎、2021年)

共著

論文

所属団体・議員連盟

脚注

注釈

脚注

  1. ^ 稲田朋美:プロフィール
  2. ^ ともみ組 政治資金収支報告書(平成29年分定期公表)” (PDF). 総務省 (2018年11月30日). 2019年10月31日閲覧。
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関連項目

外部リンク

公職
先代
中谷元
日本の旗 防衛大臣
第15代:2016年 - 2017年
次代
岸田文雄
先代
甘利明 → 一時廃止
日本の旗 特命担当大臣
規制改革

第14代:2012年 - 2014年
次代
有村治子
党職
先代
高市早苗
自由民主党政務調査会長
第56代:2014年 - 2016年
次代
茂木敏充
先代
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自由民主党幹事長代行
第6代:2019年 - 2020年
次代
野田聖子
先代
柴山昌彦
自由民主党総裁特別補佐
第8代:2018年 - 2019年
次代
吉田博美
先代
柴山昌彦小泉進次郎
自由民主党筆頭副幹事長
第8代:2018年 - 2019年
次代
高鳥修一