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2021年11月10日 (水) 09:29時点における版

新幹線E4系電車
上越新幹線向けE4系 朱鷺色帯
(2021年02月 大宮駅付近)
基本情報
運用者 東日本旅客鉄道
製造所 川崎重工業車両カンパニー
日立製作所笠戸事業所
製造年 1997年 - 2003年
製造数 26編成208両
運用開始 1997年12月20日[1]
運用終了 2021年10月1日(定期運行)[2]
引退 2021年10月17日(臨時列車)[2]
投入先 東北上越新幹線
主要諸元
編成 8両編成 (4M4T[3])
軌間 1,435 mm
電気方式 交流25,000V 50Hz
(一部編成は50Hz/60Hz、架空電車線方式
最高運転速度 240 km/h[3]
設計最高速度 240 km/h[3]
起動加速度 1.65 km/h/s[3]
減速度(常用) 2.69 km/h/s
減速度(非常) 4.04 km/h/s
編成定員 計817名(54名)[3]
()内はグリーン車
編成重量 428.0 t[3]
編成長 201 m[3]
全長 25,700 mm(先頭車)[3]
25,000 mm(中間車)[3]
全幅 3,380 mm[3]
全高 4,485 mm[3]
車体 アルミニウム合金
台車 SUミンデン式ボルスタレス台車
DT208(電動車),TR7007(付随車)
主電動機 三相交流誘導電動機 MT206
主電動機出力 420 kW
駆動方式 WNドライブ
歯車比 94:26(3.615)[3][4]
編成出力 6,720 kW[3]
制御方式 IGBT素子VVVFインバータ制御
制動装置 回生併用電気指令式空気ブレーキ応荷重装置付)
保安装置 ATC-2型DS-ATC
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新幹線E4系電車(しんかんせんE4けいでんしゃ)は、1997年平成9年)12月に営業運転を開始した東日本旅客鉄道(JR東日本)新幹線車両である。

概要

東北上越新幹線の開業時に導入された200系初期車両の老朽取替と、E1系導入後も増え続ける通勤旅客需要に対応するため、1997年(平成9年)10月に1次車3編成(24両)が落成し[5]12月20日から営業運転を開始した[4]

その後、1999年(平成11年)2月から7月にかけて2次車7編成(56両)、2000年(平成12年)7月から2001年(平成13年)11月にかけて3次車14編成(112両)、2003年(平成15年)11月に4次車2編成(16両)、計8両編成26本(208両)が製造された[5]

E1系と同様に全車2階建車両であり、「Max」の愛称が与えられている。

8両編成(定員817名)でE2系の10両編成(813 - 814名)に匹敵する定員数を実現しており、これを2本連結した16両編成時には定員1,634名(ジャンプシート使用時)となり、1本の高速列車としては世界最大となる[6]

設計時のデザインコンセプトは「BIG WAVE」(雄大)とし、エクステリアキーワードはELASTIC(しなやか)[7]WAVE MOTION(躍動、いきいき)とした[5]

2021年10月1日をもって定期運行を終了した[8]

構造

車体

車体はE1系では普通鋼製であったが、本系列は車内販売ワゴン用の昇降機(ワゴンリフタ)の設置など重量増分を補うため大型押し出し型材によるアルミ合金製である。トンネルドンと呼ばれるトンネル微気圧波現象および高速走行時の騒音対策で先頭車両の前頭部はE1系よりロングノーズになった[9](ノーズ長E1系:9.4メートル、E4系:11.5メートル[9])。車体の高さは4485mm[9]

車体塗装は飛雲ホワイト [7]と紫苑ブルー [7]のツートーンでその境目に山吹イエローの帯が入る[7]

前照灯はE3系に引き続いて、外側にシールドビームライト、内側にHIDランプを使用している。尾灯は、赤色LEDが長方形に敷き詰められたものが使用されている。

先頭車には分割・併合装置が収められ、400系[注 1]E3系(L編成)との連結運転、またはE4系同士の連結運転が可能である。

主要機器

電源・制御機器

床上機器室

本系列ではE1系と比較して先頭形状を変更したことから、先頭車の床下(前位寄り台車直後)に水タンク、補助電源装置、空気圧縮機、空調装置の室外機を取り付けた[5]。補助電源装置を床下に取り付けたことから、2・6号車の平屋部分(東京寄り)を客室スペースとした[5]

中間車ではE1系と同様に水タンク、汚物タンク、主電動機電動送風機を床下取り付けとし、主変圧器主変換装置は機器室として、車端部の床上に搭載する[5]。機器室は室内とは気密壁によって仕切られており、気密外としている。

4両(T+M1+M2+T)で1ユニットを構成し、M1車に主変換装置を、M2車に主変圧器・主変換装置を搭載する。

主回路制御には可変電圧可変周波数制御(VVVFインバータ制御)が採用された。主変圧器(TM209)は強制風冷式を採用し、4,150kVAの容量を備える[10]。重量は3,460kgで、二次巻線出力が 3,550 kVA、三次巻線(補助回路用)出力が 600 kVAである[4]。主変圧器により、交流 25,000 V は交流 2,600 V に降圧されて、主変換装置(CI)に供給される[4]

主変換装置 (CI 9)は、IGBT素子を使用した3レベルコンバータ + 3レベルインバータで構成されている。E1系に対して編成中の電動車の絶対数が減少しているため(E1系:6両、E4系:4両)、故障などの非常時に冗長性を持たせることを目的に、モーター制御を従来の1両単位での制御から台車単位での制御に変更した[9]。E1系と異なり、主変換装置はコンバータ部とインバータ部を一体化しており、車両左右側面に1群分(2台で2群分を制御)を搭載することで、左右重量の均等化や小型軽量化を実現している[11]

電動機(MT206)はかご形三相誘導電動機を採用し、E1系よりも連続定格出力を増強した420kWとした[9][12]。これによって、編成でのMT比が1:1でありながらも、起動加速度1.65km/h/sとし、E1系より向上させた。

補助電源装置東洋電機製造で、IGBTを使用した高周波コンバータ/インバータ変換方式を採用した[13]。主変圧器三次巻線からの単相交流 400V を電源として、出力電圧は直流100Vが 60 kW、交流100Vは16 kVA である[13]。補助電源装置は1編成に2台のため、1台が故障しても健全な装置1台で編成全体の電力を供給できる容量を持たせている[13]。機器の冷却用に送風機(ブロアー)を設置している(強制風冷方式)。

電動空気圧縮機は低騒音型で、スクロール回転式MH1128-C1200Eを採用する[12][4]

空調装置は、集約分散式のAU815(冷房能力37,500kcal/h)を1両あたり2基搭載するが、先頭車両はAU815とAU218(冷房能力18,000kcal/h)を1基ずつ搭載する[12]

保安装置は、ATC-2型を搭載するが、2001年度落成車(P18編成以降)は当初からATC-2型とDS-ATCを搭載している[12]。それまでに落成した編成に関しては、2003年度にDS-ATC取り付け工事が行われた[12]

本系列ではE2系、E3系に引き続いて車両情報制御装置(MON12型)を採用している[14]。車両内の伝送経路を32ビットCPUと、伝送速度 2.5 Mbps を有するコンピュータの情報伝送システムに移行した[4]。伝送経路は双方向ループ形伝送方式で、伝送路には光ファイバーケーブルを採用している[14]。継電器回路や総括配電盤機能もソフトウェア化を図っており、車両内の配線数を大幅に削減することで、E1系では機器スペースとしていた車端部を旅客スペース化している[14][4]

台車

台車は、ゴム併用板バネ式ボルスタレス台車である。電動台車はDT208[15]、付随台車はTR7007と称する[15]。車輪径や軸距は200系やE1系と同値であり(それぞれ910mm、2,500mm)[16]、台車枠や歯車装置はE1系と互換性を持たせている[17]。また、車軸軸受には従来の油浴潤滑に代えてグリース潤滑が採用されている[17]

ブレーキ

ブレーキシステムは回生ブレーキ併用電気指令式空気ブレーキ[18]であり、E1系と同等に高速域からの減速では電動車の回生ブレーキで付随車のブレーキ力も負担する遅れ込め制御を導入している[15]定速運転機構ならびに抑速ブレーキ機能を有している。

4M4Tの編成の中で、基礎ブレーキは電動台車(M車)・付随台車(T車)とも各車輪に油圧式ブレーキキャリパーによるディスクブレーキ(車輪ディスクブレーキ)を装備するほか、付随台車のみ1軸2枚のディスクブレーキを併用する[15]

集電装置

集電装置は200系と同様の下枠交差型パンタグラフが採用された(工進精工所製)。PS201と呼称される。集電舟(架線と接触する部分)が可動式となった微動すり板を採用したことにより架線追従性が向上し、台枠をFRP製にすることで誘導障害の低減を図った[19]。また、降雪対策として押上げ力を5.5kgから7.5kgまで向上させた[19]

車体が車両限界一杯で作られているためパンタグラフカバーはなく、パンタグラフ設置部の屋根が一段低くなっている。

性能

最高速度は240km/h。8両編成で定員は817人[注 2]。2本連結した16両の定員は1,634人で高速鉄道車両としては世界最大級となる。E1系の12両編成から8両編成としたのは需要の関係により必ずしも12両編成で運行する必要がないことがあり、逆に輸送需要の多い時間帯の列車については2本連結した16両編成として、需要の多寡に応じた運用を可能とするのと、東北新幹線の場合、「つばさ」・「こまち」といったミニ新幹線車両を併結する場合にプラットホーム有効長などの地上設備が新幹線車両の標準である25m級車両16両分であることから、併結相手の車両運用についても冗長性を持たせるためでもある。一部、北陸新幹線の急勾配区間走行に対応した編成や、それに加えて軽井沢駅以西の商用電源周波数60Hzに対応した編成が存在する(後述)。

8両編成中の電動車1.5両(3台車分)をカットした状態で(2.5M5.5Tの状態)、25パーミル上り勾配での起動を可能としている[9]

車内

客室内

デッキにある階段
階段の真中にワゴン用の昇降機がある。

車内はADVACE(先進性、魅力的、未来的)、COMFORT(くつろぎ)をキーワード[5]に、グリーン車は高品質で落ち着きのある車内、普通車2階部はワクワクする楽しみある車内、普通車1階部は明るくくつろげる暖かみある車内をめざした[5]

客室天井はE1系と同一[9]で、1階席が1970mm[9]・2階席グリーン車が1975mm[9]・2階席普通車が1955mmとなっている[9]。なお、2・4・6号車の車端部に設置されている(ホーム高さと同じ)中2階席に関しては2000mm[20]となっている。カーテンは全車でフリーストップタイプのロールカーテンを採用[20]

定員確保の観点から、普通車はE1系と同様に東京寄り3両(1 - 3号車)の階上部分の座席は横3列+3列の6アブレスト[20]で、リクライニング機能や座席中央の肘掛が省略された回転クロスシートである。シートピッチは980mm、座席幅は窓側・通路側430mm、中央席450mmとE1系と比べて10mmずつ拡大されており、横3列+2列の座席と同じ寸法となった(ただし肘掛けは通路側にしか無いため、体感的な座席幅は横3列+2列席よりも30 - 50mm狭い。)。過去に数度繁忙期にこの部分も指定席として供用されたことがあるが、基本的に自由席である。この3両の新潟寄りのデッキには「ジャンプシート」と称する通常は収納されている補助席が1両につき2席ずつ設置されている[21]

それ以外の普通車座席(1 - 3・7・8号車の階下席と4 - 6号車)は200系などと同様の横3列+2列の5アブレスト[20]で、中央には肘掛があるフリーストップ式リクライニング機能付回転クロスシートであり、座面スライド機構も備える[20]。シートピッチは980mm。

また、7・8号車の階上席(グリーン席)は2列+2列の4アブレストのリクライニングシートで、フットレストはないが各席レッグレストを装備。壁際席の足置き台のみは移動できる。リクライニングと連動して座面が沈むことで姿勢の維持を容易にしている。テーブルはE1系では肘掛内蔵だったのに対しE4系では前席背面に設置されている。一部の編成では枕が上下可動式となっている。

普通車のシートモケットは階上席は紫色が、階下席はオレンジ色が用いられ、グリーン席のモケットには濃い緑色地に黄色の幾何学模様が描かれている。

また普通車においては、階上席の天井デコラは青色系、階下席は黄色系で統一されている。座席カバーは普通席は白であるがグリーン席は黄色である。照明の色も、普通席は白色の直接照明[7]、グリーン席は電球色の間接照明となっている[7]。普通席は光が途切れることのないように蛍光灯間にダウンライトが採用され、グリーン車では照明カバーに丸い穴を開ける加工が施されている[7]

バリアフリー設備としては、6号車1階席と8号車2階席に車椅子を固定することが可能な座席が用意されている。8号車には急病人などの対応のために多目的室があり、室内に折りたたみ式ベッドや座席を設置している[11]

このほかに車内にはFMラジオ放送とTVの音声を受信して、受信した電波を増幅して輻射する装置を搭載している[20]

車内は、Googleストリートビュー上で公開されている[22]

運転室

運転室は、運転士の取り扱いや使用部品の共通化などを考慮して、基本的にE2系E3系と同様の配置とした[11]

計器盤は運転席正面に速度計モニター画面を配置し、右側に運転士知らせ灯と時計置き、さらに運転支援用モニター画面、車両情報用モニター画面を配置している[11]

左手操作のブレーキ設定器は常用ブレーキ7段[4]非常、右手操作のマスコンは最大10ノッチまである[4]

空調装置

空調装置はE1系と同様に、1階と2階を個別に独立した温度管理で制御することが可能となっている[20]。全自動運転モードもあり、コンピューター内に収録されたカレンダーに基づいて[20]、季節に応じた温度管理をすることが可能となっている[20]。また、当系列からの新機能として「暑い」「寒い」の2ボタンを各車両の空調制御機に設けることにより[20]、利用者からの要望に対応出来るように配慮がなされている。

車内設備

設備は売店・洗面所・化粧室・カード専用公衆電話・車椅子昇降装置(エレベーター)・ジャンプシートがある。エレベーターは車いす対応のバリアフリー設備として8号車に設置されており[6]、車内販売用ワゴンの移動用にも使用される[6][18]。出入口付近では駅停車時に「まもなく止まります。手すりにおつかまりください」という注意喚起のアナウンスが流れる。

洗面所は鏡の両側がフロスト加工が施されたガラス[18]となっており、その部分に蛍光灯が入っている[18]。洗面台は全自動で陶器製のものが設置されている[18]

化粧室

当系列には複数の化粧室(男性用小便所・多目的用・女性専用・男女兼用)が設置されている[18]。5号車と8号車にはバリアフリー設備として車いす対応の多機能トイレが設置されている[18]が、この多機能トイレ内にはベビーベッドも設けられている[18]。多目的用のドアは全自動引き戸となっており[18]、タッチスイッチに触れることによりドアが開閉する[18]

男女兼用・女性専用・多目的用に設置されている便器はいずれもすべて洋式[18]で、真空式コンパクトトイレシステムを採用している[18]。また、便座は脱臭機能付きの暖房便座が設置[18]されており、便座シートを使用することも可能である[18]

男性用小便所は臭気対策とメンテナンス性向上のため[18]、当系列より真空式のものが採用されている[18]。臭気対策のため、使用後の洗浄はセンサー感応式による自動で行われるが、毎回清水を流して洗浄するシステムが採用されている[18]。天井には空気清浄機としてオゾン発生装置が設置されており[18]、臭気対策が行われている[18]

車内販売設備

5号車(E459形200番台)には売店が設置されている。ショーケース冷蔵庫コーヒーメーカーを有しており[18]、円形の下がり天井が採用されている[18]ほか、光ファイバー方式のダウンライトが設けられている[18]。E1系では階段がある関係でワゴンが使用できないためにバスケットを使用していたが、各車両に昇降機が設けられたことで他編成と同様にワゴンを使用することが可能になった[6]。ただし、8(16)号車のみ昇降機が車椅子用のため、ワゴンでの販売を行わない。

自動販売機はワゴン販売が営業していることから、4号車(E458形)にのみ設置されている[18]

形式および車種

奇数形式と偶数形式2両ずつ、計4両(電動車 (M) 2両と付随車 (T) 2両)のT+M1+M2+Tで1ユニットを構成する。

番台区分は2階部分が3列+3列の6アブレストとなっている1 - 3号車は「100番台」、売店のある5号車は「200番台」だが、その他の車両は「0番台」である。

E4系(P編成) 編成表
 
← 東京
新潟 →
号車 1(9) 2(10) 3(11) 4(12) 5(13) 6(14) 7(15) 8(16)
形式 E453形
(T1c)
E455形
(M1)
E456形
(M2)
E458形
(T)
E459形
(Tk)
E455形
(Mp)
E446形
(M2s)
E444形
(Tpsc)
番台 100番台 0番台 200番台 0番台
座席 普通車 3+3列(2階) 普通車 3+3列(2階) 普通車 3+2列
(2階&1階)
普通車 3+2列
(2階&1階)
普通車 3+2列
(2階&1階)
グリーン車 2+2列(2階)
普通車
3+2列(F*)
普通車
3+2列(F*)
普通車
2+2列(F*)
普通車 3+2列(1階) 普通車 3+2列(1階) 普通車 3+2列(1階)
定員 75 133 119 124 110 122 91 43
重量 53.3t 52.3t 56.9t 50.3t 51.2t 52.9t 56.9t 54.2t
ユニット 1ユニット 2ユニット

※F:フラットシート(階段を使用せず着席可能座席)

E444形 (Tpsc)
普通席(1階)とグリーン席(2階)を備える制御付随車。P編成8号車として使用。新潟向き運転台、多目的室、トイレ、洗面所(ともに東京寄り・車椅子対応)、車椅子対応設備(2階グリーン席・車椅子昇降機)を備え、床下に補助電源装置、空気圧縮機などを搭載する。定員43名。2011年4月29日より、東北地方太平洋沖地震東日本大震災)の復興支援スローガンである「がんばろう日本! がんばろう東北!」のステッカーが貼り付けされた[注 3]
E446形 (M2s)
普通席(1階)とグリーン席(2階)を備える中間電動車。P編成7号車として使用。公衆電話(東京寄り)を備え、主変圧器、主変換装置などを搭載する。定員91名。
E453形 (T1c)
普通席を備える制御付随車。P編成1号車として使用。東京向き運転台、業務用室とトイレ、洗面所(ともに新潟寄り)を備え、床下に補助電源装置、空気圧縮機などを搭載する。定員75名。0番台は存在しない。2011年4月29日より、東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)の復興支援スローガンである「つなげよう日本」(1号車)のステッカーが貼り付けされた。
E455形 (M1,Mp)
普通席を備える中間電動車。主変換装置を搭載する。
0番台 (Mp)
P編成6号車として使用。車椅子対応座席を備え、集電装置を搭載する。定員122名。
100番台 (M1)
P編成2号車として使用。定員133名。公衆電話(東京寄り)を備える。
E456形 (M2)
普通席を備える中間電動車。P編成3号車として使用。公衆電話(東京寄り)を備え、主変圧器、主変換装置などを搭載する。定員119名。0番台は存在しない。
E458形 (T)
普通席を備える中間付随車。P編成4号車として使用。自動販売機とトイレ、洗面所(ともに東京寄り)を備え、集電装置を搭載する。定員124名。
E459形 (Tk)
普通車を備える中間付随車。P編成5号車として使用。東京寄りに乗務員室(車掌室)、売店、公衆電話、新潟寄りにトイレ、洗面所(車椅子対応)を備える。定員110名。0番台は存在しない。

ラッピング

2008年(平成20年)7月19日からは、「ピカ乗りサマー2008」キャンペーンPRラッピングの一環としてP11・P21編成にポケモンラッピングが施された。

2009年(平成21年)7月18日から、2008年同様「ピカ乗りサマー2009」キャンペーンPRラッピングの一環としてP9・P17編成にポケモンのラッピングが施された。

2009年(平成21年)2009年9月10日から12月にかけて、「新潟デスティネーションキャンペーン」の開催に伴い、P11 - P14編成に「うまさぎっしり 新潟」のラッピングが施された。

2010年(平成22年)7月17日から、2009年同様「ピカ乗りサマー2010」キャンペーンPRラッピングの一環としてP19・P21編成にポケモンのラッピングが施された。

2012年(平成24年)11月上旬から当面の間、P81編成に朱鷺のラッピングが施された。これは、同年10月28日に営業運転を終了したE1系に代わり、本系列に施工された。E1系と同様、「Max」のロゴマークの右上に施工されている[23]

2012年(平成24年)11月15日には上越新幹線開業30周年を記念し、P7・P8・P17・P18編成にSuicaペンギンの「ご当地ラッピング」が施工された。

2020年(令和2年)9月2日から、P22編成に新潟観光PRのラッピングが施されている[24]。また、全13編成の車内売店スペース(5号車または13号車)には装飾が施され、Wi-Fiサービスや、モバイル端末の充電サービス、車内限定のカプセルトイの販売も行なわれている。これらの装飾は2021年3月頃まで実施された[25][26]

2021年(令和3年)3月12日から、ラストランロゴのラッピングが残された全7編成に施工されている[27]

塗装変更

2014年4月1日から同年6月30日まで開催される新潟デスティネーションキャンペーンに合わせて塗装変更が順次実施された[28]。車体色は2012年に引退したE1系のリニューアル塗装に準じたもので、帯色が「朱鷺色と称されるピンク色となり、ロゴマークには朱鷺3羽のイラストが加えられている[注 4]

2015年度末までに8両編成24本全ての塗装変更が完了する予定と発表され、2014年4月7日の「Maxとき 491号」(長岡始発新潟行き)より新塗装車の運用を開始した。P5編成が塗装変更の第一編成となり、過渡期には旧塗装車と新塗装車の併結も見られた。

2016年秋に塗装変更化以前に廃車となったP2・P3編成を除く全ての編成が新塗装に統一された。

編成

東北新幹線上越新幹線専用のP1 - P22編成と、北陸新幹線の一部区間への乗り入れが可能な3次車(P51・P52編成)、4次車(P81・P82編成)がある。26編成すべてがデジタルATCに対応している。

なお、4次車は2004年(平成16年)3月13日本庄早稲田駅開業に伴う、輸送力増強として製造された[29]ものであり、この区分のみ新潟新幹線車両センターに配置された。

3次車のうち2編成(P51・P52編成)は30‰の急勾配区間走行に対応[5]し、軽井沢駅まで入線可能である[5]。4次車(P81・P82編成)ではこれに加えて、軽井沢駅 - 佐久平駅間の電源周波数切り替え装置(60Hz対応)を搭載し、長野駅まで入線可能となっている[5]。ただし、関連機器はすべて50Hzでの使用を考慮しているため、長時間の運転や頻繁に入線することは不可能で、あくまで緊急時に長野駅に乗り入れるためとされている。

運用

新製時は全ての編成が仙台総合車両所(現:新幹線総合車両センター)に配置されており、東北新幹線の東京駅 - 盛岡駅間で営業運転を開始した。2001年より新潟新幹線第一運転所(現:新潟新幹線車両センター)への転属が開始された。2016年4月から本格的な廃車が開始されたことにより、2021年4月現在はP11- P14・P17・P20 - P22・P52・P81・P82編成の11編成が在籍している[30]

この他営業運転の実績はないが、東北新幹線延伸開業区間の試運転として盛岡駅 - 新青森駅間に入線したことがある[31]

営業運転の変遷

  • 1997年(平成9年)12月20日:東北新幹線で営業運転を開始[1]
  • 1999年(平成11年)4月28日:山形新幹線つばさ」との併結運転を開始[1]
  • 2001年(平成13年)
    • 5月7日:上越新幹線での営業運転を開始[1]
    • 7月22日:長野新幹線(当時)の臨時列車Maxあさま」として、軽井沢駅 - 東京駅での営業運転を開始[1][注 5]
  • 2003年(平成15年)9月15日:長野新幹線(当時)軽井沢駅 - 東京駅間における、臨時列車の営業運転から撤退。
  • 2005年(平成17年)12月10日:東北新幹線仙台駅以北での定期運用を終了[1]
  • 2012年(平成24年)
    • 3月17日:上越新幹線越後湯沢駅以北で本系列による16両編成での営業運転を開始[1][32]、東北新幹線大宮駅以北で本系列による16両編成での営業運転が消滅[33]
    • 9月28日:東北新幹線大宮駅以北での定期運用を終了[1]。同時に、山形新幹線「つばさ」との併結も終了し[1]、E4系同士の併結のみとなる[34]。売店の定期的営業も終了[注 6]
  • 2017年(平成29年)
  • 2021年(令和3年)
    • 3月13日:「Maxとき」「Maxたにがわ」の運転本数をそれぞれ5往復に縮小し、越後湯沢駅以北で16両編成での営業運転が消滅。同年秋頃の運転終了に向けたラストラン企画が始まる[36]
    • 10月1日:定期運行を終了 [2]
    • 10月17日:旅行商品専用列車「サンキューMaxとき」をもってラストラン。

東北新幹線からの撤退

2005年に東北新幹線仙台駅以北での定期運用終了後、動きがなかった本系列ではあるが、2011年から投入が開始されたE5系の増備に伴う高速化により、東北新幹線運用が減少し始めた。

まず、2012年3月17日実施のダイヤ改正で本系列充当列車20往復のうち、12往復がE2系に置き換えられ、山形新幹線「つばさ」を併結する「やまびこ」の運用を中心にE2系へ置き換えられた。同時に東北新幹線大宮駅以北にて、16両編成の定期運用が廃止された。

2012年7月7日、JR東日本は9月29日実施のダイヤ改正で東北新幹線内の本系列充当列車を全てE2系へ置き換え、東北新幹線大宮駅以北での定期運用終了を発表した。

上り定期運用最終列車は「Maxやまびこ150号」、下り定期運用最終列車は「Maxやまびこ155号」(いずれも東京駅 - 福島駅間は「つばさ」併結)であった。

定期運用終了を記念し、2012年9月22日に仙台駅→東京駅間で団体専用列車「ありがとう!Maxやまびこ号」が運転された[37]

運転日 列車名 運転区間(始発・終着時刻) 途中停車駅 使用
編成
備考
9月22日 ありがとう!Maxやまびこ号 仙台 7:20発 → 東京 9:20着 福島郡山新白河大宮上野 P8 団体専用列車

廃車

本系列の廃車計画については過去2011年(平成23年)3月9日付の毎日新聞において、2012年(平成24年)以降順次廃車とし、2016年(平成28年)度を目処に全廃すると報じられた。実際には2013年(平成25年)から順次廃車されているものの、輸送力の問題から2016年(平成28年)度末の時点では廃車された編成数が半数以下にとどまっている。

2017年(平成29年)4月4日付のJR東日本定例社長会見で、2018年(平成30年)度より上越新幹線にE7系12両編成[注 7](11編成132両)を順次投入し、2020年(令和2年)度末までに本系列を全て置き換え、上越新幹線の車種をE7系とE2系に統一すると発表した[38]。これによりE4系16両編成での定員1634人は、E7系12両編成で924人に減少するが、「輸送力が必要な朝の通勤時間帯に増発するなど、対応を検討する」としていた。

ところが、2019年(令和元年)10月に発生した令和元年東日本台風(台風19号)の影響で千曲川が氾濫し、長野新幹線車両センターも浸水する被害を受け、北陸新幹線車両の半分にあたるE7系・W7系10本計120両が水没し、廃車となった[39]。これに伴い、上越新幹線に投入済み、または投入予定のE7系を北陸新幹線に転用することとなり、本系列は延命処置を施されて引き続き運用された[40][41]

2020年(令和2年)12月18日、JR東日本は2021年3月のダイヤ改正で、2021年(令和3年)秋を目処に運転を終了することを発表し[42]、2021年10月1日運転の「Maxとき」5往復・「Maxたにがわ」下り5本・上り7本(「Maxとき」との併結運転3本を含む)を最後に定期運行を終了した。

定期運行終了を記念し、2021年10月9日に新潟駅→盛岡駅間、10日に盛岡駅→新潟駅間で旅行商品専用列車「サンキューMaxとき&やまびこ」が、16・17日に新潟駅→東京駅間、東京駅→新潟駅間で旅行商品専用列車「サンキューMaxとき」が運転された[2][43]

運転日 列車名 運転区間(始発・終着時刻) 途中停車駅 使用
編成
備考
10月9日 サンキューMaxとき&やまびこ 新潟 9:29発 → 盛岡 13:58着 燕三条長岡浦佐越後湯沢大宮仙台 P82 旅行商品専用列車
10月10日 盛岡 10:04発 → 新潟 14:18着 仙台、大宮、越後湯沢、浦佐、長岡、燕三条
10月16日 サンキューMaxとき 新潟 9:29発 → 東京 11:32着 燕三条、長岡、浦佐、越後湯沢
東京11:44発 → 新潟 13:54着 越後湯沢、浦佐、長岡、燕三条
10月17日 新潟 9:29発 → 東京 11:32着 燕三条、長岡、浦佐、越後湯沢
東京11:44発 → 新潟 13:54着 越後湯沢、浦佐、長岡、燕三条

保存車両

2016年3月まで運用され、2016年4月に廃車されたP1編成の先頭車(E444-1)が、2017年6月19日に新津鉄道資料館に有償で譲渡され、2017年7月15日から展示されている[44]。車内は車内公開イベント時にのみ開放されており、通常時立ち入ることはできない。また、元車両は不明だが、旧塗装時代のロゴマークも同博物館に保存されている。

脚注

注釈

  1. ^ 併結運転時では引張力・加減速特性等を400系と同じ性能に調整していた。
  2. ^ 定員はE2系J編成(10両編成、813人または814人)とほぼ同数である。
  3. ^ 上越新幹線開業30周年ご当地Suicaペンギンラッピング編成(P7, P8, P17, P18編成)については、ラッピング施工時にステッカーを剥がしている。
  4. ^ E1系とは異なり、「Max」の文字は小さくなる。
  5. ^ 乗客を乗せた状態で安中榛名駅 - 軽井沢駅間の急勾配を登ることができない可能性があったため、上り列車のみの運用となった。
  6. ^ ワゴンサービスが困難な多客期、および不定期に売店を継続的に営業する。
  7. ^ 車両は北陸新幹線と同じく、グランクラス連結となる。

出典

  1. ^ a b c d e f g h i j E4系 Maxの軌跡”. 東日本旅客鉄道. 2021年9月3日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年9月4日閲覧。
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  3. ^ a b c d e f g h i j k l m 日本機械学会 編『高速鉄道物語 -その技術を追う-』成山堂書店、1999年、p.61頁。ISBN 4-425-92321-9 
  4. ^ a b c d e f g h i 日本鉄道技術協会「JREA」1998年1月号「東北・上越新幹線用E4系新幹線電車の開発」16-20P記事。
  5. ^ a b c d e f g h i j k 東日本旅客鉄道「東日本旅客鉄道株式会社二十年史」146-147P。
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  7. ^ a b c d e f g 交友社 (1998年1月1日). 鉄道ファン1998年1月号 特集:近郊型電車進化論 新車ガイド:JR東日本E4系 P55. 交友社 
  8. ^ “「E4系」がラストラン…国内唯一の2階建て新幹線車両”. 読売新聞. (2021年10月1日). オリジナルの2021年10月1日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20211001040545/https://www.yomiuri.co.jp/hobby/railway/20211001-OYT8T50019/ 2021年10月5日閲覧。 
  9. ^ a b c d e f g h i j 交友社 (1998年1月1日). 鉄道ファン1998年1月号 特集:近郊型電車進化論 新車ガイド:JR東日本E4系 P58. 交友社 
  10. ^ 車両システム・推進制御システム・主変圧器--製品紹介--三菱電機 車両システム
  11. ^ a b c d 日本鉄道車両機械技術協会「ROLLINGSTOCK&MACHINERY」1997年12月号「東北・上越新幹線用E4系新幹線電車の開発」22-25P記事。
  12. ^ a b c d e ジェー・アール・アール『JR電車編成表』2010夏、交通新聞社、2010年、p.9
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  16. ^ 日本機械学会 編『高速鉄道物語 -その技術を追う-』成山堂書店、1999年、p.62頁。ISBN 4-425-92321-9 
  17. ^ a b 佐藤芳彦 編『新幹線テクノロジー』山海堂、2004年、p.140頁。ISBN 9784381088277 
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  19. ^ a b 日本国有鉄道200系新幹線電車用電気機器 富士時報 第55巻第6号(1982年)” (PDF). 富士電機 (2012年9月12日). 2012年9月16日閲覧。
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参考文献

  • 東日本旅客鉄道『東日本旅客鉄道株式会社二十年史』pp.146-147
  • 日本鉄道車両機械技術協会『ROLLINGSTOCK&MACHINERY』1997年12月号研究と開発「JR東日本オール2階建E4系新幹線電車の開発」pp.22-25
  • 日本鉄道技術協会『JREA』1998年1月号「東北・上越新幹線用E4系新幹線電車の開発」pp.16-20
  • 鉄道ジャーナル社『鉄道ジャーナル』2004年9月号「JR東日本における車両情報システム」pp.44-53
  • 東洋電機製造『東洋電機技報』第101号(1998年5月発行)「東日本旅客鉄道(株)向け E4系新幹線二階建電車用電機品」p.3

関連項目

外部リンク