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[[不良債権]]化した土地の多くは[[外資系企業]]の手に渡っていたが、増田が会社に赴いて、構想を説明し「日本の[[公的機関]]に売って欲しい」頼み込んだ。そして、[[1999年]]から都市基盤整備公団(現:[[都市再生機構]])が虫食い地の買い取りを始め、再開発面積の約3分の1を取得。[[2002年]]には、[[都市再生]]を掲げた[[小泉純一郎]]政権が「[[都市再生緊急整備地域|緊急整備地域]]」の一つに選んだ<ref name="asahi20151012" />。
[[不良債権]]化した土地の多くは[[外資系企業]]の手に渡っていたが、増田が会社に赴いて、構想を説明し「日本の[[公的機関]]に売って欲しい」頼み込んだ。そして、[[1999年]]から都市基盤整備公団(現:[[都市再生機構]])が虫食い地の買い取りを始め、再開発面積の約3分の1を取得。[[2002年]]には、[[都市再生]]を掲げた[[小泉純一郎]]政権が「[[都市再生緊急整備地域|緊急整備地域]]」の一つに選んだ<ref name="asahi20151012" />。


土地の集約化が図られる一方で、[[2001年]]に住民は[[プロジェクト]]を[[市街地再開発事業]]して進めていくこと、高層マンションと[[ペントハウス]]の複合型開発とすることの2点を総会で確認し、新宿区西富久地区市街地再開発準備組合を設立。[[2008年]]に[[都市計画]]決定、翌年に西富久地区市街地再開発組合設立認可を受け、 [[2015年]]9月に全体が竣工し引き渡しを迎えた<ref name="kinn53" /><ref name="nikkei20150910>「新宿の再開発 富久クロス 今月中旬に街完成 野村不など」『日経産業新聞』2015年9月10日</ref>。事業費は約650億円<ref name="asahi20151012" />。
土地の集約化が図られる一方で、[[2001年]]に住民は[[プロジェクト]]を[[市街地再開発事業]]して進めていくこと、高層マンションと[[ペントハウス]]の複合型開発とすることの2点を総会で確認し、新宿区西富久地区市街地再開発準備組合を設立。[[2008年]]に[[都市計画]]決定、翌年に西富久地区市街地再開発組合設立認可を受け、 [[2015年]]9月に全体が竣工し引き渡しを迎えた<ref name="kinn53" /><ref name="nikkei20150910">「新宿の再開発 富久クロス 今月中旬に街完成 野村不など」『日経産業新聞』2015年9月10日</ref>。事業費は約650億円<ref name="asahi20151012" />。


富久クロスは、約2.6haの開発区域内に超高層分譲住宅(富久クロスコンフォートタワー)、賃貸中心の中層住宅(富久クロスグリーンレジデンス)、[[権利者]]向けに3階と中層7階に配置された[[ペントハウス]]住宅(ペントテラス)および低層部に配置された大型スーパー、[[認定こども園]]、権利者店舗による施設部分で構成されている<ref name="kinn54">『近代建築』2016年1月号 p.54</ref>。また、地区内に計画された[[外苑西通り]]([[東京都市計画道路幹線街路環状第4号線]])の延伸等の整備も一体的に行うとした<ref name="kinn53" />。
富久クロスは、約2.6haの開発区域内に超高層分譲住宅(富久クロスコンフォートタワー)、賃貸中心の中層住宅(富久クロスグリーンレジデンス)、[[権利者]]向けに3階と中層7階に配置された[[ペントハウス]]住宅(ペントテラス)および低層部に配置された大型スーパー、[[認定こども園]]、権利者店舗による施設部分で構成されている<ref name="kinn54">『近代建築』2016年1月号 p.54</ref>。また、地区内に計画された[[外苑西通り]]([[東京都市計画道路幹線街路環状第4号線]])の延伸等の整備も一体的に行うとした<ref name="kinn53" />。


=== 富久クロス コンフォートタワー ===
=== 富久クロス コンフォートタワー ===
[[山手線]]内では最高層クラスとなる高さ約180m、55階建て、[[制振構造]]による1,084戸の超高層住宅である。縦に伸びる柱をリブ形状とすることで高さ方向への意識付けを行い、よりシャープなデザインとし、頂部に印象的なフレームを設けることにより、[[ランドマーク]]性を高めた<ref name="kinn54" />。[[2013年]]9月に販売を始め、販売終了まで約6ヵ月間と、通常のおよそ半分の期間で売り終える人気ぶりだった<ref name="nikkei20150910 />。
[[山手線]]内では最高層クラスとなる高さ約180m、55階建て、[[制振構造]]による1,084戸の超高層住宅である。縦に伸びる柱をリブ形状とすることで高さ方向への意識付けを行い、よりシャープなデザインとし、頂部に印象的なフレームを設けることにより、[[ランドマーク]]性を高めた<ref name="kinn54" />。[[2013年]]9月に販売を始め、販売終了まで約6ヵ月間と、通常のおよそ半分の期間で売り終える人気ぶりだった<ref name="nikkei20150910" />。


=== 富久クロス グリーンレジデンス ===
=== 富久クロス グリーンレジデンス ===

2020年1月11日 (土) 01:16時点における版

富久クロス
富久クロスコンフォートタワー
施設情報
所在地 東京都新宿区富久町
状態 完成
着工 2012年5月[1]
竣工 2015年9月[1]
用途 共同住宅、保育施設、物販店舗、飲食店舗、事務所[1]
地上高
高さ 191.003m[1]
各種諸元
階数 地下2階 地上55階[1]
敷地面積 16,246.97 [1]
建築面積 11,325.74 [1]
延床面積 138,961.87 [1]
構造形式 RC造一部S造[1]
戸数 タワー 1,084戸
グリーンレジデンス 138戸
ペントテラス 22棟[2]
駐車台数 480台[1]
関連企業
設計 基本構想、基本設計 まちづくり研究所
実施設計・管理 久米設計
設計協力 戸田建設一級建築事務所
デザイン監修 ミサワアソシエイツ一級建築事務所[1]
施工 戸田建設・五洋建設共同体[1]
デベロッパー 西富久地区市街地再開発組合(参加組合員 野村不動産三井不動産レジデンシャル積水ハウス阪急不動産[1]
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富久クロス(とみひさクロス、英:Tomihisa Cross)は、東京都新宿区富久町で行われた大規模再開発事業。タワーマンションを中心に約3000人が暮らす新しい街が整備された。

概要

新宿区西富久地区はバブル期に、地上げ地価がつり上がったが、バブル崩壊後、駐車場や空地が虫食い状態のまま放置された。若い世代が多く転出していったことで、街は少子高齢化が進み、商店の売り上げは激減し、空き家には人が入り込み、火災も相次ぎ、地区内のコミュニティは崩壊の危機に見舞われた[3][2]

そうした中、地元住民が地上げ問題に対する勉強会を始め、1997年に街づくり組合を立ち上げる。それを当時、早稲田大学の研究員だった増田由子(現:まちづくり研究所代表)らが支援し、研究テーマでもある「高齢者が元気で暮らせる街づくり」の構想を住民たちと練った[2]

不良債権化した土地の多くは外資系企業の手に渡っていたが、増田が会社に赴いて、構想を説明し「日本の公的機関に売って欲しい」頼み込んだ。そして、1999年から都市基盤整備公団(現:都市再生機構)が虫食い地の買い取りを始め、再開発面積の約3分の1を取得。2002年には、都市再生を掲げた小泉純一郎政権が「緊急整備地域」の一つに選んだ[2]

土地の集約化が図られる一方で、2001年に住民はプロジェクト市街地再開発事業して進めていくこと、高層マンションとペントハウスの複合型開発とすることの2点を総会で確認し、新宿区西富久地区市街地再開発準備組合を設立。2008年都市計画決定、翌年に西富久地区市街地再開発組合設立認可を受け、 2015年9月に全体が竣工し引き渡しを迎えた[3][4]。事業費は約650億円[2]

富久クロスは、約2.6haの開発区域内に超高層分譲住宅(富久クロスコンフォートタワー)、賃貸中心の中層住宅(富久クロスグリーンレジデンス)、権利者向けに3階と中層7階に配置されたペントハウス住宅(ペントテラス)および低層部に配置された大型スーパー、認定こども園、権利者店舗による施設部分で構成されている[5]。また、地区内に計画された外苑西通り東京都市計画道路幹線街路環状第4号線)の延伸等の整備も一体的に行うとした[3]

富久クロス コンフォートタワー

山手線内では最高層クラスとなる高さ約180m、55階建て、制振構造による1,084戸の超高層住宅である。縦に伸びる柱をリブ形状とすることで高さ方向への意識付けを行い、よりシャープなデザインとし、頂部に印象的なフレームを設けることにより、ランドマーク性を高めた[5]2013年9月に販売を始め、販売終了まで約6ヵ月間と、通常のおよそ半分の期間で売り終える人気ぶりだった[4]

富久クロス グリーンレジデンス

ワンルーム中心の賃貸住宅。7階建て138戸。従前アパート経営をしていた権利者が従後も同様に賃料収入を得られるよう、建てられた[2][6]

ペントテラス

平屋や2階建ての計22棟のペントハウス[2]。元々戸建て住宅に住んでいた権利者が、元の生活形態を継続できることを目的にし、路地のある、専用庭付き戸建て風住宅を人工地盤上に再現した。なだらかな坂により道路から直接アプローチし、接地性を高める工夫を行った。この計画における最大の特徴である[6]

施設

低層部分に、イトーヨーカドー食品館新宿富久店と新宿区の認定こども園を核として配置し、道路に面して権利者店舗・クリニック等の生活支援施設を並べ、街並みの賑わい創出を図った[5]

沿革

  • 1990年 - 地元住民が地上げ問題に対する勉強会を開始。
  • 1997年 - 街づくり組合を立ち上げる。
  • 2001年 - 新宿区西富久地区市街地再開発準備組合を設立。
  • 2008年 - 都市計画決定。
  • 2009年 - 西富久地区市街地再開発組合設立認可。
  • 2012年5月 - 着工。
  • 2015年9月 - 竣工、引き渡し。
  • 2018年9月 - 再開発組合解散[7]

近隣施設

脚注

  1. ^ a b c d e f g h i j k l m 『近代建築』2016年1月号 p.59
  2. ^ a b c d e f g 「超高層&旧ご近所 同居 新宿再開発 富久クロス完成」『朝日新聞』東京版 2015年10月12日
  3. ^ a b c 『近代建築』2016年1月号 p.53
  4. ^ a b 「新宿の再開発 富久クロス 今月中旬に街完成 野村不など」『日経産業新聞』2015年9月10日
  5. ^ a b c 『近代建築』2016年1月号 p.54
  6. ^ a b 『近代建築』2016年1月号 p.55
  7. ^ “西富久地区第一種市街地再開発事業”. 新宿区. (2018年10月22日). https://www.city.shinjuku.lg.jp/kusei/file13_05_00023.html 2019年12月28日閲覧。 

外部リンク