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2019年8月29日 (木) 00:04時点における版
ノーザンテースト | |
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ファイル:ノーザンテーストと吉田善哉.jpg ノーザンホースパーク内にあるノーザンテーストと吉田善哉の像 | |
品種 | サラブレッド |
性別 | 牡 |
毛色 | 栗毛 |
生誕 | 1971年3月15日 |
死没 | 2004年12月11日(33歳没) |
父 | Northern Dancer |
母 | Lady Victoria |
母の父 | Victoria Park |
生国 | カナダ |
生産者 | Edward P.Taylor |
馬主 | 吉田善哉 |
調教師 | John Cunnington(フランス) |
競走成績 | |
生涯成績 | 20戦5勝 |
獲得賞金 | 73万8125フラン+1743ポンド |
ノーザンテースト(英: Northern Taste、1971年 - 2004年)はカナダ生まれの競走馬、種牡馬。
来歴
1972年7月のアメリカ・ニューヨーク州サラトガ競馬場のセリ市で社台グループ総帥吉田善哉からノーザンダンサー産駒の(牡の仔馬)購入命令を受けた吉田照哉(現社台ファーム代表)が10万ドル(当時のレートで3080万円)で落札。当時はノーザンダンサー産駒がそれまでのサラブレッドの常識を打ち破るほどの目覚ましい活躍を遂げており、その経緯から競走馬として、また将来的には種牡馬として供用することを前提に購入された。
その後フランスに渡り、2歳時はG3レースを連勝するなど4戦2勝。翌年緒戦のジェベル賞を勝つと、フランスのクラシックレースではなく、1枚レベルの高いイギリスのクラシックへと挑戦。英2000ギニーで4着、エプソムダービーで5着と好走。フランスへ帰国後も好走するも勝ち切れないレースが続いたが、フォレ賞でG1を初制覇した。翌年も競走生活を続けたが、目立った活躍はなく引退。通算の競走成績は20戦5勝。なお、クラシックレースを勝つ事はできなかったものの、同期の仏2000ギニー馬ムーリン(後に種牡馬として日本に輸入される)を2度に渡って下している。
1975年4歳時に当初の予定通り種牡馬として社台グループが日本に輸入。種牡馬入りした当初は、その独特の容貌(短い足と大きな頭部)から、日高の一部生産者から「犬のような馬」「わざわざアメリカからヤギを買ってきたのか」と揶揄され、嘲笑に近い言葉を浴びせられたこともあったという。しかしその後、ノーザンテーストは数多くの勝ち馬を輩出し、日本競馬の血統を大きく塗り替えた名種牡馬としてかつてない賞賛を受けることになる。
1982年にテスコボーイから日本リーディングサイアーの座を奪い取ると、通算10回のリーディングサイアーに輝いた[1]。また、1990年から2006年まで17年連続リーディングブルードメアサイアーにも輝いている[2]。
記録としては1979年から1996年までの18年連続、また1977年産から1996年産までの20世代連続で重賞馬が輩出。1979年から2006年まで中央競馬28年連続で産駒が勝利を収めた。2004年にサンデーサイレンスに更新されるまで産駒JRA勝利数で第1位だった[3]。
1999年に13頭の繁殖牝馬に種付けを行ったのを最後に、2000年種牡馬を引退。
2004年12月11日午後3時20分、北海道勇払郡早来町の社台スタリオンステーションで老衰のため死亡。33歳の大往生だった。死後、遺体は社台スタリオンステーション敷地内の高台に埋葬されている。
馬名の由来
吉田照哉はセールで同馬を落札したことを善哉に電話報告した。善哉は照哉に「お疲れ様。日本に帰ったら何が食べたい?」と労った。照哉は「寿司が食べたい。」と答えた。善哉は寿司から魚を連想し、父Northern Dancerから“北の味”に至り、英訳しNorthern Taste(ノーザンテースト)と名づけられる事となった。
エピソード
- 前述されている通りサラブレッドとしては非常に体が小さく、決して見栄えの良い馬ではなかった。内藤繁春によると、ノーザンテーストを見た吉田善哉は「こんな小柄で、にぎやかな顔の馬は、成功するわけない」と言い、照哉に任せたのが失敗だったと嘆いたという[4]。しかしこの馬を購入した吉田照哉は「セリに出ていた馬の中では、骨格・筋肉の付き方など馬体は最高のものを持っていた」と後に述懐している。その言葉を証明するかのようにノーザンテーストは老いても若々しさを保ち続け、晩年も外見は20代の頃とさほど変わらなかった。
- 1972年に10万ドルで購入された同馬だが、同じ父を持つ馬たちが世界各地で次々と活躍し、ニジンスキーなどが後継種牡馬としても大成功した事などから、数年後にはノーザンダンサー直仔の取引価格が10倍以上に跳ね上がっている。
- この馬の活躍により全弟のサドンソーも日本で種牡馬生活を送った。さすがに兄のようにはいかなかったが、七夕賞勝ちのシーキャリアーのほか母父としてナムラコクオーを出している。また半弟のタンゾア(父ニジンスキー)も日本で種牡馬生活を送った。
- 晩年、当馬は社台グループ最大の功労馬として、専用の馬房と自由に出入りできるパドックを与えられていた。
- ノーザンテースト産駒の活躍ぶりから、「ノーザンテーストの産駒は3度変わる(成長する)」と評されることがある。
- ドリームジャーニー・オルフェーヴル全兄弟(父ステイゴールド・母オリエンタルアート)はノーザンテーストの4×3というインブリード(奇跡の血量)を持っている。
主な産駒
- ダイナガリバー(東京優駿(日本ダービー)、有馬記念、共同通信杯4歳ステークス)
- アンバーシャダイ(有馬記念、天皇賞(春)、目黒記念(秋)、アメリカジョッキークラブカップ2回)
- ギャロップダイナ(天皇賞(秋)、安田記念、東京新聞杯)
- シャダイアイバー(優駿牝馬)
- ダイナカール(優駿牝馬)
- アドラーブル(優駿牝馬)
- シャダイソフィア(桜花賞、阪急杯、函館3歳ステークス)
- アスワン(NHK杯、京成杯)
- ダイナアクトレス(毎日王冠、スプリンターズステークス、京王杯スプリングカップ) ※1987年、1988年最優秀古馬牝馬
- レジェンドテイオー(アルゼンチン共和国杯、セントライト記念)
- マチカネタンホイザ(目黒記念、アメリカジョッキークラブカップ、高松宮杯)
- スルーオダイナ(ステイヤーズステークス、ダイヤモンドステークス)
- ダイナフェアリー(オールカマー、エプソムカップ、新潟記念)
- クリスザブレイヴ(富士ステークス) ※最後の平地重賞優勝馬
- ノーザンレインボー(中山大障害(春)、東京障害特別(秋))
- ビッグテースト(中山グランドジャンプ) ※最後のGI (J・GI) 勝馬
アンバーシャダイからメジロライアン-メジロブライトと牡馬産駒が活躍し、父系を伸ばしている(詳しくはノーザンテースト系を参照)。なお、メジロブライトは2004年5月に死亡、メジロライアンは2006年9月にシンジケートが解散した後、2007年に種牡馬引退しており、2010年にマチカネタンホイザが種牡馬を引退した時点でノーザンテースト系種牡馬はすべて生産界から退いている状況となっている。
2013年11月2日に父メジロライアン、母メジロダーリングの仔、メジロカトリーヌがJRAの登録を抹消し、これでJRAからノーザンテースト系の競走馬は姿を消した。
ブルードメアサイアーとして
父サンデーサイレンス×母父ノーザンテースト
ノーザンテーストはブルードメアサイアー(母の父)としても優秀であり、下記に示すように数多くのGI馬を輩出している。一方で、「父サンデーサイレンス×母父ノーザンテースト」の組合せでは、1995年にサンデーサイレンスの産駒がデビューしてから長年に渡ってGI馬が出ない時期があった。2003年にデュランダルがスプリンターズステークスを制して以降はGI優勝馬も出始めたが、この組み合わせでの活躍馬には短距離を中心に活躍した馬が多く、その後両馬が死亡したため、結果的にこの組み合わせでクラシックを制覇したのは2004年の皐月賞を制したダイワメジャーのわずか1勝にとどまった[5]。
母の父としての代表産駒
GI・JpnI馬のみ記載
- ダイナコスモス 父ハンターコム(皐月賞)
- サッカーボーイ 父ディクタス(阪神3歳ステークス、マイルチャンピオンシップ)
- バンブービギン 父バンブーアトラス(菊花賞)
- イブキマイカグラ 父リアルシャダイ(阪神3歳ステークス)
- レッツゴーターキン 父ターゴワイス(天皇賞(秋))
- サクラバクシンオー 父サクラユタカオー(スプリンターズステークス2回)
- サクラチトセオー 父トニービン(天皇賞(秋))
- サクラキャンドル 父サクラユタカオー(エリザベス女王杯)
- フラワーパーク 父ニホンピロウイナー(高松宮杯、スプリンターズステークス)
- エアグルーヴ 父トニービン(優駿牝馬、天皇賞(秋))※母はダイナカール
- ファストフレンド 父アイネスフウジン(帝王賞、東京大賞典)
- アドマイヤコジーン 父コジーン(朝日杯3歳ステークス、安田記念)
- テレグノシス 父トニービン(NHKマイルカップ)
- ギルデッドエージ 父ティンバーカントリー(中山大障害)
- ユートピア 父フォーティナイナー(全日本2歳優駿、ダービーグランプリ、マイルチャンピオンシップ南部杯2回)
- デュランダル 父サンデーサイレンス(マイルチャンピオンシップ2回、スプリンターズステークス)
- ダイワメジャー 父サンデーサイレンス(皐月賞、天皇賞(秋)、マイルチャンピオンシップ2回、安田記念)※母はスカーレットブーケ
- アドマイヤマックス 父サンデーサイレンス(高松宮記念)
- エアメサイア 父サンデーサイレンス(秋華賞)※母はエアデジャヴー
- グレイスティアラ 父フジキセキ(全日本2歳優駿)
- キストゥヘヴン 父アドマイヤベガ(桜花賞)
- ダイワスカーレット 父アグネスタキオン(桜花賞、秋華賞、エリザベス女王杯、有馬記念)※母はスカーレットブーケ
- カンパニー 父ミラクルアドマイヤ(天皇賞(秋)、マイルチャンピオンシップ)
- トーセンジョーダン 父ジャングルポケット(天皇賞(秋))
- レインボーダリア 父ブライアンズタイム(エリザベス女王杯)
血統表
ノーザンテーストの血統(ノーザンダンサー系 / Lady Angela3×2=37.50%) | (血統表の出典) | |||
父 Northern Dancer 1961 鹿毛 カナダ |
父の父 Nearctic 1954黒鹿毛 カナダ |
Nearco | Pharos | |
Nogara | ||||
Lady Angela | Hyperion | |||
Sister Sarah | ||||
父の母 Natalma 1957鹿毛 |
Native Dancer | Polynesian | ||
Geisha | ||||
Almahmoud | Mahmoud | |||
Arbirator | ||||
母 Lady Victoria 1962 黒鹿毛 カナダ |
Victoria Park 1957 鹿毛 |
Chop Chop | Flares | |
Sceptial | ||||
Victoriana | Windfields | |||
Iribelle | ||||
母の母 Lady Angela 1944栗毛 カナダ |
Hyperion | Gainsborough | ||
Selene | ||||
Sister Sarah | Abbots Trace | |||
Sarita F-No.14-c |
主要なサイアーライン
- ノーザンテースト
- |アンバーシャダイ
- ||メジロライアン
- | |メジロブライト
- |アスワン
- ||メジロアルダン
- |ダイナガリバー
- |ギャロップダイナ
- |ダイナレター
- ||ダイナマイトメール
- |ダイナサンキュー
- |マンジュデンカブト
- |ノーザンレインボー
脚注
参考文献
- 内藤繁春『定年ジョッキー あっと驚く馬バカ物語!』アールズ出版、2005年。ISBN 978-4-86204-006-0。