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「燧石」の版間の差分

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[[File:Krzemień pasiasty kula.jpg|thumb|ストライプフリントの玉]]
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'''燧石'''(ひうちいし、すいせき、flint、'''フリント''')または'''[[火打石]]'''は、非常に硬質な[[玉髄]]質の[[石英]]からできている[[岩石]]の一種<ref>[https://kotobank.jp/word/火打石-118858
'''燧石'''(ひうちいし、すいせき、flint、'''フリント''')または'''[[火打石]]'''は、非常に硬質な[[玉髄]]質の[[石英]]からできている[[岩石]]の一種<ref>[https://kotobank.jp/word/火打石-118858 火打石](コトバンク)</ref>。[[チャート (岩石)|チャート]]の一種であり硬い上に加工しやすいので、石器時代には[[世界遺産]]'''[[モンス市スピエンヌの新石器時代の火打石採掘地|スピエンヌの燧石鉱山]]'''に見られるように石器の材料として使用され、鉄器時代以降は[[火打石]]として利用されていた。[[モース硬度]]は6 - 7である<ref>Flint in Focus: Lithic Biographies in the Neolithic and Bronze Age p1</ref>。
火打石](コトバンク)</ref>。[[チャート (岩石)|チャート]]の一種であり硬い上に加工しやすいので、石器時代には[[世界遺産]]'''[[モンス市スピエンヌの新石器時代の火打石採掘地|スピエンヌの燧石鉱山]]'''に見られるように石器の材料として使用され、鉄器時代以降は[[火打石]]として利用されていた。[[モース硬度]]は6 - 7である<ref>Flint in Focus: Lithic Biographies in the Neolithic and Bronze Age p1</ref>。


日本の[[日本地質学会|地質学界]]ではフリントという語を使用することはまれで、成因的には[[続成作用]]の過程で生成された二次的濃集沈殿岩なので'''[[ケイ素|珪質]][[ノジュール]](団塊)'''と呼ばれることが多い<ref>[http://rcwasia.hass.tsukuba.ac.jp/kaken/NL/newsletter01/NL01_04.html 西アジアの先史時代の石材供給に関する地質学](筑波大学生命環境系 久田 健一郎教授)</ref>。
日本の[[日本地質学会|地質学界]]ではフリントという語を使用することはまれで、成因的には[[続成作用]]の過程で生成された二次的濃集沈殿岩なので'''[[ケイ素|珪質]][[ノジュール]](団塊)'''と呼ばれることが多い<ref>[http://rcwasia.hass.tsukuba.ac.jp/kaken/NL/newsletter01/NL01_04.html 西アジアの先史時代の石材供給に関する地質学](筑波大学生命環境系 久田 健一郎教授)</ref>。

2019年8月29日 (木) 00:02時点における版

石灰岩の地層の中で形成されたフリント
燧石が産出される海岸
新石器時代のフリント製石斧
フリントロックの構成部品
ストライプフリントの玉

燧石(ひうちいし、すいせき、flint、フリント)または火打石は、非常に硬質な玉髄質の石英からできている岩石の一種[1]チャートの一種であり硬い上に加工しやすいので、石器時代には世界遺産スピエンヌの燧石鉱山に見られるように石器の材料として使用され、鉄器時代以降は火打石として利用されていた。モース硬度は6 - 7である[2]

日本の地質学界ではフリントという語を使用することはまれで、成因的には続成作用の過程で生成された二次的濃集沈殿岩なので珪質ノジュール(団塊)と呼ばれることが多い[3]

成分

燧石の化学成分は、そのほとんどがケイ酸で、その他石灰などの無機物や炭素などを含む、それらの不純物によって黒色となることから焼却し除去すると白色となる。一部不溶性ケイ素の結晶で他は不定形状を示す[4][5]

約1000℃以上で焼却した場合、高温結晶形のクリストバライトとなる。

用途

石器
石器時代では、フリントから打製石器磨製石器等が作られた[6][7]
火打石
フリントを黄鉄鉱に強く打ちつけることで削られた金属粉末が酸素と反応し火花を放つことから発火具として利用された[8]
火器
フリントロック銃(燧石銃、燧発銃)の点火装置に使用される。フリントをフリズンと呼ばれる火蓋と当たり金を兼ねたL字型の金具に強くこすり付けながら蓋を上へ押し上げることで火花を中に誘導させ火薬を激発させる構造となっている。
砕石
陶芸の分野で釉薬などを粉砕するボールミルとして利用される[9]
陶芸
フリントから作られたクリストバライトを細かく砕いた物は、粘土セラミックの原料とされた[10][11][12][13]。しかし、現在では、フリントではなく石英を使うのが一般的となっている[14]
ガラス
を含んだ屈折率の高いガラスは、クリスタル・ガラスを発明したイギリス人ガラス貿易商ジョージ・レイブンスクロフト英語版が原料にフリントを使用したことからフリントガラスと呼ばれる[15]。屈折率の高さから見栄えのする食器プリズムなどの光学ガラスとして使用される[16]
宝飾
古代エジプトの遺跡ではフリント製のブレスレット古代エジプトのフリントジュエリー英語版)が多数見つかっている[17][18]。現在でも、縞柄のフリント(ストライプフリント)は宝飾品として利用されている。
建材
イギリス南部では、古くはローマ時代後期から現在まで、フリントをモルタルに混ぜて使用している。この影響で、中世ではレンガの普及が遅れ、1520年ごろになってからレンガ造りの建物が流行となった。特に15世紀から16世紀には、フリントを使った壁面を平坦に揃えたflushworkと呼ばれるゴシック建築の装飾的な建築技法が流行し、19世紀にもゴシック・リヴァイヴァル建築で使用された。

採石場

石器時代には多くの燧石採石場英語版から、燧石が採掘加工された。著名な場所を以下に記す。

脚注

  1. ^ 火打石(コトバンク)
  2. ^ Flint in Focus: Lithic Biographies in the Neolithic and Bronze Age p1
  3. ^ 西アジアの先史時代の石材供給に関する地質学(筑波大学生命環境系 久田 健一郎教授)
  4. ^ 工学博士北村弥一郎窯業全集, 第 1 巻 p238 著者: 北村弥一郎
  5. ^ 世界大百科事典 第2版ひうちいし【火打石∥燧石】(コトバンク)
  6. ^ Clarke, Grahame (1969). World Prehistory: a New Outline (2 ed.). Cambridge: Cambridge University Press. p. 31.
  7. ^ Neolithic Flint Mines of Petit-Spiennes Official web site
  8. ^ Fire from Steel - Custom forged fire steels from Roman through Fur Trade time periods”. Angelfire.com. 2013年7月21日閲覧。
  9. ^ "Thoroughly Modern Milling" J.D. Sawyer. American Ceramic Society Bulletin 86, No.6. 2007.
  10. ^ "Whitewares: Production, Testing And Quality Control." W.Ryan & C.Radford. Pergamon Press. 1987.
  11. ^ "Use Of Flint In Ceramics, Industrial Ceramics No.885, 1993.
  12. ^ "Silica". Oelef Heckroodt,Ceramic Review No. 254, March/April 2012, p.64
  13. ^ "Calcination Of Flint. Part 2: Continuous Process In A Vertical-Shaft Kiln." M. Manackerman & E.Davies. Research Paper 191. British Ceramic Research Association, 1952.
  14. ^ "Changes & Developments Of Non-plastic Raw Materials", A.Sugden. International Ceramics Issue 2, 2001.
  15. ^ Quentin R. Skrabec, Michael Owens and the glass industry, Gretna, Pelican publishing, 30 janvier 2007 P23
  16. ^ ウェブスター辞典
  17. ^ Graves-Brown, Carolyn (2010年). “AB29 Flint bracelet”. スウォンジ大学エジプトセンター. スウォンジ大学. 11 June 2012閲覧。
  18. ^ Capart, Jean (2010). Primitive Art in Egypt. Forgotten Books. pp. 49–51. ISBN 9781451000009. https://books.google.com/books?id=EV2FXFw2kVMC&pg=PA49 

関連項目

外部リンク

  • Flint (mindat.org) (英語)