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2018年5月11日 (金) 01:11時点における版

『大人(アダルト)』
東京事変スタジオ・アルバム
リリース
録音 2005年
ジャンル J-POP
時間
レーベル 東芝EMIVirgin Music
プロデュース 東京事変、井上雨迩
専門評論家によるレビュー
Allmusic 星4 / 5 link
チャート最高順位
ゴールドディスク
  • プラチナ(日本レコード協会
  • 東京事変 アルバム 年表
    教育
    (2004年)
    大人
    (アダルト)

    (2006年)
    娯楽
    (バラエティ)

    (2007年)
    『大人(アダルト)』収録のシングル
    1. 修羅場
      リリース: 2005年11月2日
    テンプレートを表示

    大人 (アダルト)』は、日本バンド東京事変の2枚目のスタジオ・アルバム2006年1月25日東芝EMI/Virgin Musicより発売された。

    概要

    本作は1stアルバム『教育』からおよそ1年2ヶ月ぶりの発売となる通算2作目のオリジナル・アルバム。また新メンバーの伊澤一葉浮雲の2人を迎えてからは最初のアルバムであり、シングルとアルバムを通じてバンドとしては初のオリコンチャート1位を獲得している[1]

    前作『教育』のコンセプト教育番組であったが、今作は「大人」、つまり専門チャンネルのアダルトチャンネルをコンセプトに製作された[注 1][2]。歌詞を手掛けた椎名林檎が「女性が生活しているなかで、いろいろな弊害があるなか、いかにポジティヴに進むかという様子を綴りたかった」と語っているように、特別なシチュエーションではなく日常生活の中での女性の姿が綴られている[3]。サウンドについては、ロックジャズソウルファンクボサノバ歌謡曲という椎名のルーツ音楽を明らかにしながらもそれらを2006年仕様にアップデートした、前作以上に緻密に編み上げられたバンド・アンサンブルとなっている[2]

    初回生産限定盤“HOMME”仕様(CD+DVD:2枚組)と通常盤“FEMME”仕様(CDのみ)の2タイプでの発売[4]。“HOMME”仕様はデジトレー付ワンピースボックスとなっており、ジャケット写真香水の瓶も“HOMME”仕様と“FEMME”仕様の2種それぞれで異なる。

    楽曲制作

    制作期間は椎名の自宅スタジオでの伊澤とのプリプロダクションに2カ月、リハーサルも含むレコーディングが始まってから2カ月の計4か月[5][6]。以前は3日間スタジオを借りたらその日に3曲ずつ録ってあとはエンジニアの井上雨迩に委ねるというやり方を取っていたが、今回は何度も立ち返って曲を再考したので時間がかかってしまった[6]。しかし、まず曲があってアレンジする期間があってという具合に、レコーディングの工程はしっかりしていた[7]

    レコーディングに入る2ヶ月前の5月に一人だけ先にスタジオに入っていた伊澤があらかじめ曲のアレンジを組み立て、椎名刄田も参加した7月のリハーサルからは伊澤と椎名の二人でアレンジを詰めていった[5][7]。もし時間があれば5人でスタジオに入って作っていってもよかったが、亀田は多忙でほとんど参加できず、浮雲にいたっては加入が決まったのはレコーディングのわずか2、3日前だったため、本作では椎名が作ったデモやそれに駄目出しして伊澤が自分の機材で一から打ち込み直したものに歌を乗せて曲を仕上げていった[5]。曲によっては6パターンほどのアレンジがあった[5]

    浮雲が参加した時にはすでに収録曲もリズムのパターンも決まっていたため、レコーディングでは、椎名曰く「そこに上もの[注 2]をのせるというスタジオ・ミュージシャンのような仕事をしてくれた」という[7]。また伊澤は初めてメンバー全員が揃う日の前日に腱鞘炎が悪化したためレコーディングに参加出来ず、1人だけ1ヶ月遅れで録音した[7]。その時にはすでに他のメンバーは全て録り終わった後だったので曲にどうアプローチをすれば良いかかなり悩まされたが、おかげで緻密で濃密な詰まったアレンジになったと語っている[7][8]

    収録内容

    CD

    1. 秘密(A Secret)
      • ライブツアー「東京事変 live tour 2005“dynamite!”」で新曲としてすでに披露されていた曲。その時よりキーが半音下げられ、ダイナミックなバンド・サウンドから一転してピアノスウィングする洗練されたアレンジとなっている[2]。編曲は伊澤が単独で行っている。
      • 教育』製作時点でメンバーの間では次のアルバムの1曲目は本楽曲にしようとあらかじめ決めていたという。
      • 別バージョンとして「秘密 for DJ」が配信限定でリリースされ、アナログ盤アルバム「ADULT VIDEO ORIGINAL SOUND TRACK」に収録された。ミュージック・ビデオも製作され、DVD「ADULT VIDEO」に収録されている。このバージョンでは、浮雲のギターソロ前にギターについて唄ったラップが挿入されており、ラップ詞も浮雲が担当した。
    2. 喧嘩上等(Active Fighting)
      • ミュージック・ビデオが製作され、DVD「ADULT VIDEO」に収録されている。
    3. 化粧直し(Powder up my mind)
    4. スーパースター(Super Star)
      • ライブツアー「東京事変 live tour 2005“dynamite!”」で新曲として披露されていた曲で、椎名は野球選手イチローをイメージして作詞したという[注 3]
    5. 修羅場 adult ver.(The Rat's-nest)
    6. 雪国(Niigata)
    7. 歌舞伎(The Kabuki)
      • メンバー紹介の曲で、冒頭は各メンバーの担当楽器の見せ場となっている。
      • ミュージック・ビデオが製作され、DVD「ADULT VIDEO」に収録されている。
    8. ブラックアウト(Black Out)
    9. 黄昏泣き(Don't cry my child)
      • 別バージョンとして「黄昏泣き for mother」が配信限定リリースされ、アナログ盤アルバム「ADULT VIDEO ORIGINAL SOUND TRACK」に収録された。ミュージック・ビデオも製作され、DVD「ADULT VIDEO」に収録されている。
    10. 透明人間(Invisible Man)
      • ライブツアー「東京事変 live tour 2005“dynamite!”」で新曲として披露されていた曲。作曲者の亀田は自分の息子をイメージして作詞担当の椎名に渡すデモテープに彼の名前のイニシャルを書いておいたのでそれだけで察して歌詞を書いてくれたと思っていたが、椎名の方は単にストック曲の通し番号か何かだと思っていた[9]
      • 2012年2月29日に日本武道館で行われた解散ライブにおける最終演奏曲目であり、東京事変が演奏した最後の曲[10]
      • 2018年3月 ライオン『NONIO』CMソングに抜擢される。
    11. 手紙(A Mail)
      • 伊澤があっぱ結成前に組んでいたバンド「NAM」の楽曲「umareku」をリメイク・セルフカバーした曲。編曲は椎名が単独で行っており、本作では唯一ストリングスが参加している。
      • ある時期まで椎名はシングル「修羅場」のカップリング曲「落日」でアルバムを締めくくるつもりだったが、伊澤との作業が充実し彼にこの曲をもらったことで「もっと笑っている状態で終われるはずだしそちらの方がいい」と思うようになり、ラストは彼の曲に変えて「落日」はシングルに収録することにした[5]

    DVD

    ※初回生産限定盤“HOMME”仕様のみ

    1. 秘密(「東京事変 live tour 2005“dynamite!”」より)
      • ライブ映像集「Dynamite out」ではカットされ未収録となっていたもの。
      • 演奏は東京事変第一期のメンバーで、バンドの新旧の違いを比較するために収録された。

    楽曲クレジット

    トラックリスト

    全作詞: 椎名林檎。
    #タイトル作詞作曲編曲時間
    1.「秘密」椎名林檎椎名林檎伊澤一葉
    2.「喧嘩上等」椎名林檎椎名林檎東京事変
    3.「化粧直し」椎名林檎椎名林檎東京事変
    4.「スーパースター」椎名林檎亀田誠治東京事変
    5.「修羅場 adult ver.」椎名林檎椎名林檎東京事変
    6.「雪国」椎名林檎椎名林檎東京事変
    7.「歌舞伎」椎名林檎椎名林檎東京事変
    8.「ブラックアウト」椎名林檎椎名林檎東京事変
    9.「黄昏泣き」椎名林檎椎名林檎東京事変
    10.「透明人間」椎名林檎亀田誠治東京事変
    11.「手紙」椎名林檎伊澤一葉椎名林檎
    合計時間:

    演奏

    全曲
    その他

    脚注

    注釈

    1. ^ 先行シングル修羅場」のアートワークなどでも示唆されており、アルバムタイトルにも「アダルト」とルビが振られている。
    2. ^ ドラムやベースやリズムギターなどにのせる歌やリードギターなどのこと。
    3. ^ テレビ番組の対談内で感想を聞かれたイチローは「嬉しかったですね。朝からジーンときてしまいました」と答えている。イチローは万人のスーパースターになることはできないという考えを持っているためこの曲の印象が初めは良くなかったと対談内で明かしたが、歌詞の内容に触れ「ひとりだけのスーパースター」にはなりたいと望んでいるので、それに気付いてからは印象が変わったという旨の発言をした。

    出典

    1. ^ オリコン (2006年1月30日). “東京事変、シングル、アルバム通じて初の№1獲得!”. 2007年6月1日閲覧。
    2. ^ a b c 東京事変『第二期東京事変、遂にアルバムをリリース!』”. ORICON STYLE (2006年1月25日). 2017年12月30日閲覧。
    3. ^ 東京事変、アルバムは「女性のポジティヴに進む様子」を表現”. BARKS (2006年1月26日). 2017年12月30日閲覧。
    4. ^ 東京事変、2ndアルバム決定! タイトルは……”. BARKS (2005年11月2日). 2017年12月30日閲覧。
    5. ^ a b c d e 東京事変. "オフィシャルインタビュー 1/2" (Interview). 2005年11月25日時点のオリジナルよりアーカイブ。2016年8月1日閲覧 {{cite interview}}: 不明な引数|deadlinkdate=は無視されます。 (説明); 不明な引数|program=は無視されます。 (説明)
    6. ^ a b 東京事変. "『椎名林檎 独占インタビュー』PART2" (Interview). Interviewed by MTV Japan. 2006年3月26日時点のオリジナルよりアーカイブ。2016年8月7日閲覧 {{cite interview}}: 不明な引数|deadlinkdate=は無視されます。 (説明); 不明な引数|program=は無視されます。 (説明)
    7. ^ a b c d e 東京事変 (10 July 2007). "ニューシングル「OSCA」インタビュー" (Interview). Interviewed by 小野田雄. 2016年8月7日閲覧 {{cite interview}}: 不明な引数|program=は無視されます。 (説明)
    8. ^ 東京事変 (10 September 2007). "2007.8.22New Single『キラーチューン』スペシャル・インタビュー" (Interview). Interviewed by 小野田雄. 2016年8月7日閲覧 {{cite interview}}: 不明な引数|program=は無視されます。 (説明)
    9. ^ 東京事変. "「閃光少女」インタビュー" (Interview). Interviewed by 小野田雄. 2016年8月7日閲覧 {{cite interview}}: 不明な引数|program=は無視されます。 (説明)
    10. ^ 「本当にありがとう」東京事変、武道館で有終の美飾り解散”. 音楽ナタリー (2012年3月5日). 2013年9月29日閲覧。