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「1916年のメジャーリーグベースボール」の版間の差分

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=== 記録===
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* [[タイ・カッブ]]は打率.371で[[トリス・スピーカー]]の打率.386に及ばず惜しくも10年連続首位打者は成らなかった。しかし盗塁68で5度目の盗塁王となった。カッブは翌1917年から3年連続首位打者をとっている。
* [[タイ・カッブ]]は打率.371で[[トリス・スピーカー]]の打率.386に及ばず惜しくも10年連続首位打者は成らなかった。しかし盗塁68で5度目の盗塁王となった。カッブは翌1917年から3年連続首位打者をとっている。
* [[フィラデルフィア・フィリーズ]の[[ピート・アレクサンダー]]はこの年も投手三冠(最多勝33勝・最多奪三振167・最優秀防御率1.55)を達成した。その中で38試合に完投して完封が16試合あり、このシーズン完封16は現在までメジャーリーグ記録である。但し19世紀の1876年に[[セントルイス・ブラウンストッキングス (1875-1877年)]] の[[ジョージ・ブラッドリー]] が同じ16完封を記録しておりタイ記録であった。またアレクサンダーは生涯通算90完封で、史上2位でナショナルリーグ記録である。(1位はウォルター・ジョンソンの110)
* [[フィラデルフィア・フィリーズ]]の[[ピート・アレクサンダー]]はこの年も投手三冠(最多勝33勝・最多奪三振167・最優秀防御率1.55)を達成した。その中で38試合に完投して完封が16試合あり、このシーズン完封16は現在までメジャーリーグ記録である。但し19世紀の1876年に[[セントルイス・ブラウンストッキングス (1875-1877年)]] の[[ジョージ・ブラッドリー]] が同じ16完封を記録しておりタイ記録であった。またアレクサンダーは生涯通算90完封で、史上2位でナショナルリーグ記録である。(1位はウォルター・ジョンソンの110)
* ニューヨーク・ジャイアンツの26連勝(正確には26勝1引き分け)の記録は、現在までのメジャーリーグ記録である。但し引き分けを挟んでいるので完全な連勝記録は2017年に[[クリーブランド・インディアンス]]が作った22連勝である。
* ニューヨーク・ジャイアンツの26連勝(正確には26勝1引き分け)の記録は、現在までのメジャーリーグ記録である。但し引き分けを挟んでいるので完全な連勝記録は2017年に[[クリーブランド・インディアンス]]が作った22連勝である。
== 最終成績 ==
== 最終成績 ==

2018年3月1日 (木) 00:10時点における版

以下は、メジャーリーグベースボール(MLB)における1916年のできごとを記す。

1916年4月12日に開幕し10月12日に全日程を終え、ナショナルリーグブルックリン・ロビンス(後のドジャース)が1900年以来16年ぶり3度目の優勝で、アメリカンリーグボストン・レッドソックスが2年連続5度目の優勝となった。

ワールドシリーズはボストン・レッドソックスがブルックリン・ロビンスを4勝1敗で破り、ワールドシリーズ3度目の制覇であった。

できごと

アメリカン・リーグはボストン・レッドソックスがトリス・スピーカー(この年に打率.386で首位打者)とスモーキー・ジョー・ウッド投手を放出したが、若手のベーブ・ルースが23勝、しかも最優秀防御率1.75でこの年にレッドソックスのエースとなった。そしてアーニー・ショアとダッチ・レナードの強力な投手陣を揃えてリーグ優勝を果たした。

ナショナル・リーグは、ブルックリン・ロビンス(現ロサンゼルス・ドジャース)がウィルバート・ロビンソン監督の下で主砲ザック・ウィート(この年29試合連続安打して打率.312)と1913年と1914年に首位打者となったジェイク・ドーバート、エースのジェフ・フェファー(25勝)を中心に活躍して長い低迷から抜け出して、16年ぶりにリーグ優勝だった。

ワールドシリーズでは、レッドソックスが大方の予想通り完勝でブルックリン・ロビンスを圧倒した。

トリス・スピーカー

かつてはハリー・フーパーダフィー・ルイスとの3人でレッドソックスの「100万ドルの外野陣」と呼ばれたが、この年にクリーブランド・インディアンスに移り、打率.386で首位打者となった。これは彼にとって最初で最後の首位打者であった。生涯通算打率.345で首位打者が1回だけであったのは同時代にタイ・カッブ(首位打者12回)がいたためである。しかしトリス・スピーカーの真骨頂は守備であった。外野手(センター)として1試合捕殺4、ダブルプレー5回を記録(いずれもリーグ歴代1位)し、さらに生涯通算捕殺450(449とする資料もある)、ダブルプレー135回はメジャーリーグ史上トップの記録である。スピーカーの守備力は高い評価を受けており、外野フライを取ったあとそのまま2塁へ走って踏んでのダブルプレーを4回達成(これはメジャーリーグのタイ記録)している。通算打率.345(史上5位)、通算安打3514本(史上5位)、通算二塁打792本(史上1位)、通算三塁打222本(史上6位)、通算本塁打117本の生涯記録は中距離打者として見事なものである。守備と打撃を加えた総合力ではカッブよりもスピーカーの方が上という意見が強くあったと言われている。1919年から選手兼任監督となり、そして1926年のシーズン終了後にカッブとの八百長疑惑事件に巻き込まれて、翌年セネタースに移り、さらに次の1928年にコニー・マック監督のアスレチックスに移ったが、皮肉にもそこにはタイ・カッブがいて、両者ともこの年に揃って引退した。(1937年に殿堂入り)

ブルックリンの再建

ブルックリン・ロビンス(旧スーパーパス)は1899年と1900年に優勝して以降20世紀に入ってから成績が低迷し、チームは1904年から11年連続で負け越しを続けた。1913年に本拠地をワシントン・パークからエベッツ・フィールドへ移し、1914年に「アンクル・ロビー」ことウィルバート・ロビンソンが監督に就任しチーム名も「ロビンズ」(この名称はロビンソン監督に由来している)に変えたことで、ようやくチームは再建された。ロビンソンは19世紀のアメリカンアソシェーションのフィラデルフィア・アスレチックス(コニー・マックのアスレチックスとは別球団)や19世紀のナショナルリーグのボルチモア・オリオールズ(後のヤンキースや現在の同名球団とは別球団)の選手(捕手であった)で、世紀の変わり目にチームをリーグ優勝に導いたネッド・ハンロンの愛弟子であり、ジョン・マグローと行動を共にして、20世紀に入ってアメリカンリーグ創設時のボルチモア・オリオールズ(後のニューヨーク・ヤンキース)にも在籍した。選手を引退してから1911年からマグローのジャイアンツのコーチを経て1914年から1931年まで18年間ブルックリン・ロビンスの監督を務めた。選手として、コーチ・監督として約50年の球歴の持ち主である。1934年死去。(1945年殿堂入り)

マグローのチーム改造

ニューヨーク・ジャイアンツは前年最下位となり、この年も前半は不調でついにマグロー監督は7月20日に意を決して衰えが見えてきたエースのクリスティ・マシューソンら3人をシンシナチ・レッズに放出し、8月26日にはフレッド・マークル、マカーティ捕手をブルックリン・ロビンスに放出し、さらにシカゴ・カブスとの間で幻の三冠王ヘイニー・ジマーマン遊撃手を獲得するために主将のラリー・ドイル二塁手ら2名をトレードに出した。ジャイアンツはこれで立ち直った。9月7日から9月30日に敗れるまで破竹の26連勝を記録したが順位は4位のままであった。しかし、翌年はジャイアンツの6度目の優勝となった。

記録

最終成績

レギュラーシーズン

アメリカンリーグ

チーム 勝利 敗戦 勝率 G差
1 ボストン・レッドソックス 91 63 .591 --
2 シカゴ・ホワイトソックス 89 65 .578 2.0
3 デトロイト・タイガース 87 67 .565 4.0
4 ニューヨーク・ヤンキース 80 74 .519 11.0
5 セントルイス・ブラウンズ 79 75 .513 12.0
6 クリーブランド・インディアンス 77 77 .500 14.0
7 ワシントン・セネタース 76 77 .497 14.5
8 フィラデルフィア・アスレチックス 36 117 .235 54.5

ナショナルリーグ

チーム 勝利 敗戦 勝率 G差
1 ブルックリン・ロビンス 94 60 .610 --
2 フィラデルフィア・フィリーズ 91 62 .595 2.5
3 ボストン・ブレーブス 89 63 .586 4.0
4 ニューヨーク・ジャイアンツ 86 66 .566 7.0
5 シカゴ・カブス 67 86 .438 26.5
6 ピッツバーグ・パイレーツ 65 89 .422 29.0
7 シンシナティ・レッズ 60 93 .392 33.5
8 セントルイス・カージナルス 60 93 .392 33.5

ワールドシリーズ

  • レッドソックス 4 - 1 ロビンス
10/ 7 – ロビンス 5 - 6 レッドソックス
10/ 9 – ロビンス 1 - 2 レッドソックス (延長14回)
10/10 – レッドソックス 3 - 4 ロビンス
10/11 – レッドソックス 6 - 2 ロビンス
10/12 – ロビンス 1 - 4 レッドソックス

個人タイトル

アメリカンリーグ

打者成績

項目 選手 記録
打率 トリス・スピーカー (CLE) .386
本塁打 ウォーリー・ピップ (NYY) 12
打点 デル・パレット (SLA) 103
得点 タイ・カッブ (DET) 113
安打 トリス・スピーカー (CLE) 211
盗塁 タイ・カッブ (DET) 68

投手成績

項目 選手 記録
勝利 ウォルター・ジョンソン (WS1) 25
敗戦 ジョー・ブッシュ (PHA) 24
防御率 ベーブ・ルース (BOS) 1.75
奪三振 ウォルター・ジョンソン (WS1) 228
投球回 ウォルター・ジョンソン (WS1) 369⅔
セーブ ボブ・ショーキー (NYY) 8

ナショナルリーグ

打撃成績

項目 選手 記録
打率 ハル・チェイス (CIN) .339
本塁打 デーブ・ロバートソン (NYG) 12
サイ・ウィリアムズ (CHC)
打点 ヘイニー・ジマーマン (CHC / NYG) 83
得点 ジョージ・バーンズ (NYG) 105
安打 ハル・チェイス (CIN) 184
盗塁 マックス・キャリー (PIT) 63

投手成績

項目 選手 記録
勝利 ピート・アレクサンダー (PHI) 33
敗戦 リー・メドウズ (STL) 23
防御率 ピート・アレクサンダー (PHI) 1.55
奪三振 ピート・アレクサンダー (PHI) 167
投球回 ピート・アレクサンダー (PHI) 389
セーブ レッド・エイムズ (STL) 8

出典

  • 『アメリカ・プロ野球史』第3章 揺さぶられる大リーグ 88-89P参照  鈴木武樹 著  1971年9月発行  三一書房
  • 『米大リーグ 輝ける1世紀~その歴史とスター選手~』≪1916年≫ 59P参照 週刊ベースボール 1978年6月25日増刊号 ベースボールマガジン社
  • 『米大リーグ 輝ける1世紀~その歴史とスター選手~』≪ウイルバート・ロビンソン≫ 58P参照
  • 『オールタイム 大リーグ名選手 101人』164P参照 「トリス・スピーカー」 1997年10月発行 日本スポーツ出版社
  • 『メジャーリーグ ワールドシリーズ伝説』 1905-2000  89P参照 上田龍 著 2001年10月発行 ベースボールマガジン社

外部リンク