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[[労働基本権]]に基づくもの。多くの国では[[労働者]]の基本的な権利として広く適用されているが、必ずしも全ての[[労働]]者に適用されるものではなく、外国人労働者は対象外とするような特定の層に対して減額や、適用除外が行われることがある。[[シンガポール]]のように清掃業と警備業を除き最低賃金制度は存在せず、賃金は労働力の需要と供給のバランスで決定される国家もある<ref>[http://www.mhlw.go.jp/wp/hakusyo/kaigai/16/dl/t5-09.pdf [2015年の海外情勢] 第5節 シンガポール共和国(Republic of Singapore)] 厚生労働省 </ref>。 |
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第5節 シンガポール共和国(Republic of Singapore)] 厚生労働省 </ref>。 |
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傾向としては、[[発展途上国]]や[[フランス語圏]]の国では、広範に最低賃金が適用されている<ref name="4saichin_removal">{{Cite report|url=http://www.mhlw.go.jp/shingi/2004/12/s1207-5.html |title=第4回最低賃金制度のあり方に関する研究会配付資料『諸外国の最低賃金制度における減額措置・適用除外の考え方について|publisher=厚生労働省}}</ref>。 |
傾向としては、[[発展途上国]]や[[フランス語圏]]の国では、広範に最低賃金が適用されている<ref name="4saichin_removal">{{Cite report|url=http://www.mhlw.go.jp/shingi/2004/12/s1207-5.html |title=第4回最低賃金制度のあり方に関する研究会配付資料『諸外国の最低賃金制度における減額措置・適用除外の考え方について|publisher=厚生労働省}}</ref>。 |
2017年1月11日 (水) 01:33時点における版
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労働 |
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最低賃金(さいていちんぎん、英語: Minimum wage)とは、最低限支払わなければならない賃金の下限額のこと。最賃(さいちん)とも略される(法律上は略称として定義されていないが、新聞記事の見出しや労働組合等では用いられている)。
概要
労働基本権に基づくもの。多くの国では労働者の基本的な権利として広く適用されているが、必ずしも全ての労働者に適用されるものではなく、外国人労働者は対象外とするような特定の層に対して減額や、適用除外が行われることがある。シンガポールのように清掃業と警備業を除き最低賃金制度は存在せず、賃金は労働力の需要と供給のバランスで決定される国家もある[1]。
傾向としては、発展途上国やフランス語圏の国では、広範に最低賃金が適用されている[2]。
歴史
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減額・適用除外について
以下の状況では、最低賃金の減額や、適用除外が行われることがある[2]。
- 労働生産性が低く、適用範囲から外れても危険が生じない状況においては最低賃金を払うことが困難な層
- 例:若年者、学生、障害者、見習生
- そもそも高い所得や手厚い加護を受けており、最低賃金の保護が必要のない層 (ホワイトカラーエグゼンプション)
- 雇用関係が特殊なため、最低賃金を適用しないことが正当化される層
- 公的部門の被用者
- 例:日本・フランスの政府一般職員
他には、事業所人数が10人未満のところは除外(バングラデシュ、スーダンなど)、事業所人数が15人未満の企業、家族経営の企業は対象外(ミャンマー)、農業は除外(カナダ、パキスタンなど)といった国もある。
減額と適用除外とでは、減額とする国が一般的である[2]。また、かつては女性に対する減額も一般的に行われていた[2]。
若年者への適用について
若年者に対しては、大多数の国が減額を適用していないが[2]、一部の国では企業の負担が軽減されることにより労働需要が生まれるとして、減額制度を適用している。
適用に際して、どの程度減額するか、何歳までを最低賃金の適用除外とするかは、国によって異なる。一般的には「18歳または17歳以下の労働者に5%から15%の間の率を減じた率を適用している。」[2]より引用(以下本文において若年者に対する減額率は、成人の最低賃金に対するもの)。
- オランダ
- 最低賃金の適用年齢がもっとも高い。23歳以上は最低賃金を適用。23歳未満は最低賃金が減額される。減額率は、1歳につき7.5%。
雇用との関係
最低賃金法の雇用に対する影響の良し悪しは論争になっている[3] [4]。最低賃金に関する蓄積された諸研究の解釈を巡って、最低賃金が雇用に与える影響が負だという証拠はないという者もいれば、最低賃金の研究についてコンセンサスはないと結論づける者もいる[5]。
理論的考察
元来、経済学者達は伝統的な完全競争モデルに基づき、最低賃金法を厳しく批判してきた[6]。一般に経済学では、雇用量と賃金は労働の需要量(求人量)と供給量の一致する点(均衡賃金)で決定するため、失業は存在しないとされている[7]。最低賃金法は社会保障の観点から、均衡賃金より低い場合は、それより高い水準に最低賃金を設定する[7]。したがって、最低賃金を下回る労働生産性しか持たない人は雇用機会を奪われ、失業が発生するとされている[7]。所得格差を是正するはずの最低賃金が、逆に格差を拡大させる可能性を生じさせるとされている[7]。
ミクロ経済理論の代表的なものの一つに、最低賃金の存在がかえって低賃金労働者の厚生を引き下げるという命題がある[8]。企業の労働コストを引き上げ、労働需要を減少させる最低賃金制度は、労働者の最低生活保証手段として有効なツールではないこと、労働市場の需給には直接介入せず、低賃金労働者への生活保障は事後的な政府からの所得移転によって行うべきであること、の二つの基本命題は、1990年代以降、主流派経済学者間のコンセンサスであり続けている[8]。
経済学者の飯田泰之は「最低賃金の引き上げによって、労働者の余剰は増えるかもしれないが、企業の余剰と労働者の余剰の合計である総余剰は減少する。さらに、最低賃金の引き上げによって、企業は労働者の解雇で対応しようとする。つまり、結果的に(非自発的)失業者が増加する[9]」「最低賃金の上昇による失業者の増大は『最も貧しい人から解雇される』作用をもたらす政策となってしまう[10]」と指摘している。飯田は「最低賃金制は、『貧者の救済』という善意から生まれた政策であるが、その善意が失業を生む可能性があることを冷静に考える必要がある」と指摘している[11]。また飯田は「最低賃金の問題もそうであるが、規制は管理コストが高い。規制強化ではみ出ると駄目という社会になると、管理型国家になってしまう」と指摘している[12]。
経済学者の岩田規久男は「賃金低下を防ごうとして、最低賃金を引き上げれば、企業は生産を縮小させるか、市場から撤退する。最低賃金を引き上げても、求職者がすべてその賃金で雇用されるわけではない」と指摘している[13]。
経済学者のデヴィッド・フリードマンは、最低賃金の引き上げは、企業に対する増税と同じだと主張している[14]。最低賃金が上がれば人件費の負担が増え、企業が雇用を減らそうとするため、労働者が失職する確率も高まると指摘している[14]。
エコノミストの山田久は「経済学的には、最低賃金の引き上げは、『賃金が生産性を上回る状況を生み出すことで企業業績を圧迫し、失業増などにつながる』というのが標準ケースであるが、潜在的な労働供給が需要を上回る状態が常態化している『需要独占』の場合は、賃金は生産性を下回っているため、最低賃金引き上げは賃金増と雇用増の双方をもたらし得る。アメリカでは、1990年代に入って『需要独占』の存在を示唆する研究が発表されたことを機に、その後研究の蓄積が進んだが、最低賃金の引き上げは失業増につながるとする、標準的な見方が有力である」と指摘している[15]。
経済学者の大竹文雄は「最低賃金の引き上げによって、就業者は高い賃金を得られ就業者間で格差は縮小するが、最低賃金の引き上げは失業者を増加させるため、失業者と就業者の間に格差は大きくなり、運・不運の差を拡大させる」と指摘している[16]。
しかし2013年現在、労働市場を完全競争だとみなすことの不備が、経済学者自身によって指摘されている[6]。まず賃金の上昇は労働者に一生懸命働くインセンティブを与えるので、生産性が向上し、転職が抑止される。従って雇用者はこうした効果を期待して、均衡水準より高い賃金を労働者に与える傾向がある[* 1]。ジョセフ・E・スティグリッツは、最低賃金法による賃金上昇は、こうした効果による賃金上昇により相殺されるため、最低賃金法は予想していたほどの悪影響を与えないかも知れないとしている[17]。
また最低賃金法が長期的には雇用によい影響を与えるという意見もある。最低賃金法は短期的には低賃金労働者によって成り立っていた産業を壊滅させるかもしれないが、結果としてそれは労働者への投資を増大させる事に繋がり、長期的には生産性を増大させる可能性があるからである。たとえばスタンフォード大学の経済史家であるゲイビン・ライトによれば、最低賃金法は南北戦争から大恐慌の頃までのアメリカ南部での低賃金の解消に決定的役割を演じ、アメリカ南部の労働市場をより高賃金の産業へとシフトさせる上でダイナミックな役割を果たしたとしている[17]。別の指摘としては、労働市場は完全競争ではなく需要独占である可能性がある、というものがある。このモデルによれば、企業はその独占的立場を利用し、雇用の不当な縮小と賃金の不当な値下げを行う事ができてしまう。最低賃金法はこうした状況を改善するのに役立つとしている[3]。
経済学者の鶴光太郎は「一般に完全競争的労働市場では、賃金が上がれば雇用は減るが、企業が労働市場で価格支配力を持つ買い手市場の場合では、賃金水準・雇用量とも競争市場より低く設定されており、賃金を上げてもコスト増加を上回る売り上げの伸びが期待できる余地があるため、企業は雇用を増やす可能性がある。賃金上昇による労働者の意欲向上・訓練機会増により生産性が向上し、雇用が減らないケースも理論的に考えられる」「最低賃金労働者の割合の高い中小企業・産業は相対的に不利になる一方で、高スキル労働者をより多く雇い、低スキル労働者も最低賃金より高い賃金で雇っている大企業・産業は相対的に有利になり、雇用を増やす可能性もある。また、雇用への影響以外に所得再分配・企業の収益や価格・長期的には人的資本への影響まで考慮する必要がある。雇用への影響がみられない場合でも、労働者の生産性が上がらない限り、労働者の労働時間の減少や企業の収益が悪化が起きる。企業がコスト増を価格に転嫁できれば、消費者が負担することになる」と指摘している[18]。
さらに高い水準の最低賃金はワーキング・プアの問題をなくすという利点がある。高い最低賃金は、労働から得られる収入が失業時に生活保護から得られる額よりも高い事を保証し、結果的に失業者に職探しをさせるインセンティブをもたらすとされている[17]。
カリフォルニア大学アーバイン校のニューマーク教授とFRBのワッシャーは、最低賃金が雇用へ与える影響を調べる上で、
- 賃金引上げの影響は短期ではなく、長期で出てくることが多いこと
- 特定の産業の影響だけでなく、低賃金労働者全体の雇用を分析すること
- 最低賃金の引き上げは、低賃金労働者の中で雇用の代替を発生させる可能性があること
に注意する必要があるとしている[19]。
大竹文雄は「最低賃金が引き上げられた場合、企業側は時間をかけて機械化を進めたり、より質の高い労働者に代替するのが一般的であり、すぐに労働者を解雇するということではない。ある程度時間を経た影響を調べる必要がある。また、狭い範囲の産業だけ分析対象にすると結論を誤る可能性がある」と指摘している[20]。大竹は「最低賃金の引き上げは、雇用量を低下させ、失業期間を長期化させるかもしれないが、安易に低賃金労働に従事する人を減らす可能性がある。また、未熟練の低賃金労働が禁止されることになるため、企業側は技能の高い労働者だけを採用するようになる。技能が低い労働者は失業することになるが、合理的な労働者は、教育・訓練を受けて技能を高めて就職しようとするかもしれない」と指摘している[21]。
山田久は「政策論的には、景気回復持続に向けたマクロ政策と生産性向上誘導策としてのミクロ政策の同時実施が、最低賃金引き上げを望ましい形につなげる条件である」「最低賃金引き上げと同時に、景気回復の持続・生産性向上、就業形態多様化・職業訓練強化など、総合的な政策をパッケージで行うことが必要性であるが、そうした政策によっても所得格差の解消は困難であり、勤労所得控除制度の創設など『所得再配分政策』が必要である」と指摘している[15]。
経済学者の中山惠子は「失業を回避し、セーフティ・ネットとして最低賃金を機能させるためには、政府が労働者に労働生産性の向上につながる教育訓練の機会をもうけ、企業には設備投資などの支援を実施するとともに、労働需要を増加させる政策を進めることが必要となる」と指摘している[7]。
特定最低賃金(産業別最低賃金)については、理論的には労働集約型産業に適用した場合には、労働者の厚生が高まるという理論的な裏づけがあるが、現実の適用業種は、支払能力が高い業種、産業に適用されており、理論的裏づけとは関係していない[誰?]。また、特定最低賃金には、その産業への新規参入への障壁となる効果もあるため、その産業側の利益という意味合いもある[要出典]。
実証
実証的には、最低賃金の雇用の縮小の効果が出るような大幅な最低賃金の上昇をした例がないため、雇用の縮小効果は小さく、好影響・悪影響を判断・確認できるような研究ができていない[17]。
ビル・クリントン政権であった1996年に最低賃金が引き上げられた際に、失業率の上昇はみられず、低所得者層の給料が増加した[22]。
オーストラリアでは、トヨタ、フォード、ホールデンなどの撤退が相次いでおり、2017年には自動車の生産拠点が無くなるなど、製造業全体が先細りして雇用が減少しているが、この原因として、経済成長で最低賃金が上昇し、国際的な競争力を失ったためとの意見がある[23][24]。
代替案
いくらかの経済学者は最低賃金に代わる制度を提案している。大竹文雄は「賃金規制という強硬手段で失業という歪みをもたらすのではなく、税・社会保障を用いた所得再配分政策で貧困問題には対応するべきである」と指摘している[25]。
『法と立法と自由』を著したフリードリヒ・ハイエクのように労働市場への不介入の原則と法の支配による個人の生存権の保護を両立させるために『ベーシックインカム』を主唱する経済学者もいる[26]。
各国の法定最低賃金
以下は、各国の法定最低賃金及びその推移である。なお、デフレート等物価変動の調整は行われていない。
- ルクセンブルク - 月1,922.96ユーロ(18歳以上の熟練工等、一部の労働者は2,307.46ユーロ)[2016年現在][27]
- アイルランド - 時給9.25ユーロ(2017年1月現在) ※18歳以上(但し、雇用されて2年以下の場合と研修期間中を除く。)[28]
- オランダ - 月1,537.20ユーロ(2016年7月現在)※23歳以上[29]
- ベルギー - 月1,411.71ユーロ(2015年1月現在)※20歳以上[30]
- フランス - 月1466.62ユーロ、時給9.67ユーロ(2016年1月より)[31]
- ドイツ - 時給8.50ユーロ(2015年1月より)
- オーストラリア - 週672.7、時給17.7豪ドル(2016年7月~2017年6月)[32]
- ニュージーランド - 時給15.25NZドル(2016年4月現在)※16歳以上。但し研修期間中を除く。[33]
- 中国の場合は地域により、最低賃金が異なる
- 香港 - 時給32.5香港ドル (2015年5月より)
- 韓国 - 時給6,030ウォン(2016年1月1日-12月31日)
- 台湾 - 時給133ニュー台湾ドル、月21,009ニュー台湾ドル(2017年1月1日開始)[37]
EUでも加盟国間における最低水準の格差が指摘されている。
アメリカ
アメリカ合衆国の最低賃金は、公正労働基準法(en:Fair Labor Standards Act, 1938年)によって連邦最低賃金が定められている。この他に、各州が定めている最低賃金もある。州の最低賃金が連邦最低賃金よりも高い場合には、州の最低賃金が適用される。
2014年現在、アメリカ合衆国の連邦最低賃金は7ドル25セントである[38]。また、アメリカ合衆国にはチップという習慣があり、これが賃金とみなされるため、チップを貰う職種の連邦最低賃金は2ドル13セントとなっている[39][38]。
減額・適用除外
アメリカでは、以下の場合において最低賃金が適用されない[2]。
- 管理職、専門職など
- 責任が重く、元々の給与が高いため
- 小規模の新聞社や農業従事者など
- コストの問題で、最低賃金を導入するのが厳しいため
- 新聞配達員
- 主に子供が従事する仕事であり、最低賃金を適用してしまうと費用が高くなり子供が雇われなくなるため
- 20歳未満の者
- 雇用促進の観点から、就業後90日間は最低賃金が減額される
なお、最低賃金以下の賃金を支給されている労働者は、全労働者の約2.2%(2015年時点)[40]となっている。
履行保証
最低賃金が履行されているかの調査、勧告は、労働省賃金時間部の調査官が行う。権限の法令根拠は、公正労働基準法11(a)条による[41]。
調査官は、
- まず公正労働基準法の対象となるかを調査する。
- 対象となる場合には、給料支払い状況、労働時間の調査や、労働者との面談を行う。面談の際に話したことなどを理由とした差別や解雇は禁止されている。
- 調査によって違反が認められる場合には、是正措置(未払い賃金の支払いなど)を取る。
なお、未払いに対しては、上記の是正措置の他にも労働者による訴訟が公正労働基準法によって認められている[41]。
経済学者による最低賃金引き上げ論
2006年の段階で、アメリカではジョセフ・E・スティグリッツ、ポール・クルーグマン、ローレンス・クライン、クライブ・グレンジャー、ケネス・アロー、ロバート・ソローなど幾多のノーベル経済学賞受賞者らによる最低賃金引き上げの重要性が論じられている[42]。最低賃金を緩やかに引き上げることで低所得労働者層の福利を増進させることができ、労働市場、さらには経済全体にも好影響を与えるとしている。
2012年にはスティグリッツをはじめ、ローラ・タイソン、ロバート・ライシュさらにはジェフリー・サックスなども協同し、米国議会へ2014年度までに現行の時給7.25ドルから9.80ドルへの最低賃金引き上げを求める手紙を送っている[43]。
2013年、米国大統領であるバラック・オバマが最低賃金を時給9ドルに引き上げる政策を提示しており、クルーグマンはこの政策が以下の理由により低所得者の給与水準を改善するとして、これを歓迎している[44]。
- ここ40年間のインフレの影響で、2013年2月現在の実質的な最低賃金はいかなる合理的水準よりもはるかに低い。従ってオバマが提案している程度の最低賃金の引き上げであれば、伝統的な経済学が予想する最低賃金の悪影響は顕在化しない[44]。
- 同様に米国経済の過去の実証研究も、最低賃金の多少の上昇が悪影響を顕在化させない証拠を数多くあげる事ができる[44]。
- 労働者という財は通常の財と比べてはるかに複雑である事が原因で最低賃金の多少の上昇は労働需要を減らさない[44]。
- 最低賃金の上昇は低賃金労働者を対象とした他の制度、特に勤労所得税額控除に影響を与える。この控除の利益の一部は低賃金労働者ではなく経営者に還元されてしまうが、最低賃金の上昇はその利益を低賃金労働者にある程度戻す[44]。
2014年1月、ジョセフ・スティグリッツやピーター・ダイアモンドを中心に、ロバート・ソロー、ケネス・アロー、マイケル・スペンス、エリック・マスキン、トーマス・シェリング、アラン・ブラインダー、ロバート・ライシュ、ローレンス・サマーズ、ローラ・タイソンなど総勢75名の米国の主要な経済学者が[45] [46]、米国の最低賃金を時給10.10ドルにまで引き上げるために米国の民主党が提示した最低賃金引き上げ法案を支持した。彼らは米国大統領と議会へ手紙を書き[46]、2016年までに最低賃金を10.10ドルにするよう請願した。最近[いつ?]の研究が示すように、最低賃金の上昇は低所得者の可処分所得を増加させ、消費が高まることで経済に好影響をあたえることがわかっている[46]。その最低賃金引き上げ法案はthe Fair Minimum Wage Actと呼ばれ、米国議会においてトム・ハーキンらによって提出された。その法案が可決されれば、最低賃金水準で生活する労働者の年収は2014年時の1万5千ドルから2万1千ドルへと上昇し[45]、貧困層の3世帯に1世帯が貧困から脱することができると見積られている。
最近の調査では[いつ?]、米国の主要な経済学者の約半数が、最低賃金を物価上昇とリンクさせて引き上げることによる経済的ベネフィットは最低賃金引き上げによる経済的コストを上回ると考えている。最低賃金の上昇は労働者の離職・転職率を減少させ、会社の労働生産性を向上させるとしている[誰?]。この労働生産性の上昇は、最低賃金引き上げによるビジネスコストの上昇を埋め合わせるとしている[誰?]。
明日山陽子は論文「米国最低賃金引き上げをめぐる論争」で「最低賃金の引き上げは、雇用への影響を中立的にしても貧困対策とならない」と指摘している[47]。また明日山は、労働需要の増加があれば、最低賃金引き上げがもたらす失業は減少するとしている[47]。
経済学者のジョセフ・サビアは、最低賃金引き上げはオバマ大統領が考えているような貧困撲滅にはならないと指摘している[48]。サビアは、最低賃金引き上げは高失業率の時期には特に未熟練労働者の雇用に大きな打撃を与えるとしており、「最低賃金引き上げに最適な時期などないが、経済的に不透明な時期や景気後退時は最悪である」と述べている[48]。
エイドリアナ・クルーガーは「非常に慎重な調査で通常、就業率に特に影響は出ていないことが明らかにされている」と指摘している[48]。クルーガーは、最低賃金の引き上げは先送りされすぎていると指摘しており、「10.10ドルへの最低賃金の引き上げによって200万人が貧困から抜け出せる」とし、「最低賃金の停滞は賃金分配の最下部で不平等の拡大を招いている」と指摘している[48]。
アメリカのウォール・ストリート・ジャーナル誌が2014年2月に48人のエコノミストを対象に行った調査では、54%が最低賃金引き上げは、雇用主の採用意欲を減退させ景気を損なうため実施すべきでないと回答しており、28%が最低賃金引き上げは景気に貢献すると回答、18%が特に有意な影響はないと回答している[48]
デイヴィッド・カードとその研究グループの1994年の論文では、アメリカの2州のファースト・フード店における最低賃金の引き上げと雇用実態を分析し、通説とは逆に、最低賃金の引き上げが、むしろ雇用量を増やす効果をもたらしているとしている[8]。最低賃金の引き上げが雇用量の減少をもたらすという事実は観察されないとしている[8]。一方で、カードらの研究に対する有力な反論も出現している[8]。
経済学者のディヴィッド・ニューマーク、ウィリアム・ワッシャーニューマークは、アメリカを中心とした膨大な実証研究を調べた上で、最低賃金は未熟練の雇用を減少させ、最低賃金の変化に直接影響を受ける人々に限れば、そのマイナス効果は明確だと指摘し、雇用への正の効果を示す論文は限られており、数の面では負の影響を示す研究が圧倒的で、最も納得できる実証に限ればその傾向はより鮮明だとしている[18]。彼らの約100本におよぶ最低賃金に関する研究の調査の結果、3分の2ほどの論文は最低賃金が雇用に対して負の効果をもつと示唆していた一方で、100本中10本ほどの論文は最低賃金が雇用に対して正の効果を持つことを示していた[5]。彼らは、信頼のおける分析だと判断した33の論文の内、28本が負の効果を示唆したものであることから、最低賃金の引き上げは雇用に対して悪影響をもつと結論づけている[5]。
エコノミストのジェフリー・トンプソンは2009年の論文で、10代の雇用を対象にアメリカの最低賃金の影響を分析し、アメリカ全体でみれば影響は小さく明確ではない一方で、最低賃金の影響が強い郡では雇用への負の効果がかなり大きいとしている[18]。
アランドラジット・デューブ、ウイリアム・レスター、マイケル・ライシュの2010年の論文では、アメリカの州の境界に隣接する郡を比較すると負の雇用効果はないことを示している[18]。
アメリカのシンクタンク「経済政策研究センター」(CEPR)は、最低賃金を上げれば、ファストフードの食品加工・レジ係・小売店の販売員などの職種の離職率が下がり、組織の効率性が上がるなど、好循環が生じることで、雇用にはほとんど影響を及ぼさないと結論づけている[49]。
日本
この節は特に記述がない限り、日本国内の法令について解説しています。また最新の法令改正を反映していない場合があります。 |
日本では、日本国憲法第25条の趣旨に基づき、最低賃金法(昭和34年4月15日法律137号)によって最低賃金が定められている。最低賃金制度の在り方について労働政策審議会の意見の提出があったときは、政府は速やかに必要な措置を講ずるものとされている(昭和43年法律第90号附則第8項)。
制度の目的は、全ての労働者を守るための安全網としての役割がもっとも重要であり、公正な賃金設定という役割は、あくまで補助的なものである[50]。
使用者は最低額以上の金額を賃金として労働者に支払わなければならない。これは全ての賃金に対して適用されるため、正社員やパート・アルバイトといった勤務形態の違いにかかわらず、最低賃金以上の賃金を支払わなければならない。ここで言う最低賃金は、基本的な賃金の額であり、例えば時間外割増賃金(いわゆる残業代)や通勤手当(いわゆる交通費)、精皆勤手当、家族手当は含まれない(住宅手当は含まれる)。
また、最低賃金には地域別(都道府県単位で設定)と特定の産業とが設定されている。優先順位は特定産業別賃金が地域別賃金より優先されることとなっており、特定産業別で設定されている特定産業(業種)については特定産業別の最低賃金が適用され、特定産業別で設定されていないその他の産業については、地域別の最低賃金が適用される。なお、厚生労働省ホームページにおいて全国の地域別最低賃金/特定産業別最低賃金が閲覧できるようになっている。地域別においての全国加重平均額は823円。最高額は東京の932円、次いで神奈川の930円、最低額は宮崎・沖縄の714円となっている(2016年10月20日現在)。地域別の最低賃金は都市部と地方で年々差が大きくなっており問題視する意見も増えている[誰?]。また日本の最低賃金はOECD加盟国の中でも最低ランクである[51]。 なお、地域別最低賃金は、派遣労働者であれば就業場所の最低賃金が適用されるが、出張による作業では、出張者が所属する事業所の地域の最低賃金が適用される。このため、地域別最低賃金には、地域別最低賃金の低い地域から出張の形態をとれば、その低い地域の最低賃金が適用されるという問題をはらんでいる。
額の決定、変更については、中央最低賃金審議会(厚生労働省)が厚生労働大臣へ引き上げ(引き下げ)の答申を行い、その答申を元に、各都道府県の地方最低賃金審議会(都道府県労働局)がそれぞれの最低賃金を審議・答申し、都道府県労働局長が定める形式となっている(法第10条)。
2007年(平成19年)11月28日、最低賃金法の改正により、ワーキングプア解消を目指し最低賃金を決める際、「生活保護に係る施策との整合性に配慮する」ことを明記し「労働者が健康で文化的な最低限度の生活を営むことができるよう」との文言も加えられた(法第9条)。最低賃金未満で働かせた企業への罰則も、労働者1人あたり「2万円以下」から「50万円以下」に引き上げられた[52]。
減額・適用除外
上記の様に最低賃金は全ての賃金に対して適用されるが、以下の要件に該当する場合で、都道府県労働局長の許可を得た場合は適用除外となる(法第7条)。
- 精神又は身体の障害により著しく労働能力の低い者[* 2]
- 試用期間中の者
- 職業能力開発促進法第24条第1項の認定を受けて行われる職業訓練のうち職業に必要な基礎的な技能及びこれに関する知識を習得させることを内容とするものを受ける者であつて厚生労働省令で定めるもの
- 軽易な業務に従事する者その他の厚生労働省令で定める者(断続的労働に従事する者。施行規則3条2項)
なお、2007年の改正により、適用除外について使用者が上記の通り都道府県労働局長の許可を得た場合に、厚生労働省令で定める率を減額した額を最低賃金額とすることができるように改正されるとともに、減額事由から「所定労働時間の特に短い者」が削除された。
最低賃金引上げの動向
地方自治体の中には発注する公共工事などを請け負う会社に対して、日本国政府の規定を上回る最低賃金を支払わせることを目的としている公契約条例が制定されている例もある。
小泉純一郎による構造改革やリーマンショックでの派遣切りや世帯主が非正規である家庭が増加したことが問題となり、低所得者の問題がクローズアップされ始め、2005年以降最低賃金は大幅引き上げの傾向にある。
2013年(平成25年)の最低賃金引き上げによって、北海道を除いて、生活保護問題で指摘されている逆転現象は、解消される見通しである。
日本共産党は、最低賃金を1000円以上に上げ、地域格差も無くすべきと主張している[53]。
諸議論
最低賃金を巡る議論をいくつか挙げる。
- 産業別賃金のあり方
- 産業別賃金を廃止も含めて検討すべきという意見が、「最低賃金制度のあり方に関する研究会」報告書で出されている。
経済学者の鶴光太郎は、日本の各種大規模なミクロデータを使った分析において、
- 最低賃金の影響を受けやすい10代の労働者に限れば、最低賃金上昇の雇用への負の効果は明確である
- 最低賃金の企業収益への負の効果も明確である
- 最低賃金引き上げは、比較的裕福な世帯主以外の労働者にも恩恵があるという意味では、貧困対策として漏れがある
としている[54]。
大竹文雄は「労働市場が買い手独占であれば、最低賃金の引き上げは、雇用も賃金も増やす可能性がある。日本国外での実証研究の多くは、最低賃金引き上げで雇用が減少するという報告が多いが、最低賃金が雇用に影響を与えないという研究結果も存在する。日本では、1990年代終わり頃から、最低賃金が雇用にマイナスの影響を与えているというものが多い。最低賃金の引き上げは、短期的には財政支出を伴わない政策であるため、貧困対策として政治的に好まれるが、最低賃金水準で働いている労働者の多くは、500万円以上の世帯所得がある世帯における世帯主以外の労働者であり、最低賃金は、貧困対策としては、あまり有効ではない政策である」と指摘している[55]。
大竹は「実証分析によれば、日本において最低賃金引き上げで雇用が失われるという意味で被害を受けてきたのは、新規学卒者・子育てを終えて労働市場に再参入しようとしている既婚女性・低学歴層といった生産性が低い人たちである。貧困対策として最低賃金を引き上げても、職を維持できた人たちは所得が上がるかもしれないが、失業した人たちは貧困になってしまう。最低賃金引き上げで雇用が失われるという実証的な結果は、労働市場が競争的な状況における最低賃金引き上げに関する理論的な予測と対応している。ただし、最低賃金引き上げによって仕事を失うのが、留保賃金が高い労働者から低い労働者という順番であれば、雇用が失われることによる社会的余剰の減少よりも、雇用を維持できた人たちの賃金が上昇する効果による余剰の増加の方が大きくなる可能性がある」と指摘している[56]。
経済学者の若田部昌澄は「企業側に最低賃金を引き上げるというインセンティブはないため、デフレで実質賃金が上がっている状態で、最低賃金を引き上げると、企業側は雇用に慎重になる。最低賃金の引き上げは、デフレ不況を解消するほどの需要にはならず、悪い効果を与える可能性が高い」と指摘している[57]。
経済学者の田中秀臣は「名目経済成長をないがしろにした最低賃金の引き上げは、地方・若年層の雇用を悪化させる可能性が大きい」と指摘している[58]。
賃金水準について
経済学者の川口大司は、最低賃金の水準については、最低賃金の推移を平均賃金の推移と比較すると、両者は乖離しているとしており、日本における最低賃金が実際は賃金水準の決定に大きな制約となっていない可能性が考えられてきたとしている[5]。
- 雇用との関係
- 2000年代の日本においては、2000年の最低賃金は659円、2012年の最低賃金は749円と13%の上昇を示しているが、2000年の完全失業率は4.7%、2012年の完全失業率は4.3%とむしろ低下している[誰?]。
- 川口大司、森悠子の2009年の論文では、2002年までのデータで、最低賃金上昇は10代男性、既婚中年女性の雇用に負の影響を与えることを示している[18]。また2010年までのデータで、10%の最低賃金の上昇は10代若年者の就業率(平均17%)を5ポイント程度低下させるという研究成果を報告している[18]。川口大司は「最低賃金の引き上げは、貧困対策としてまったく意味の無いものではないが、必ずしも期待された効果を挙げているわけではない。ただし、最低賃金労働者の半数は中高年の女性が占め、多くは世帯主ではないパート労働者であることから、雇用が失われても家計への影響は大きくない可能性がある」と指摘している[59]。
- 生活保護との関係
- 男女差
- 地域差
- 水準に対する労使対立
- 傾向として、労働者側は「できるだけ高くしてほしい」と願っているが、使用者(企業)側は「できるだけ低く抑えたい」というものがある[61]。また、日本の最低賃金は必ずしも高くないとされるが、これは、最低賃金変更者の経営使用者側への過度の配慮、最低賃金の引上げは雇用削減になる、高賃金の労働組合員の関心が低い、低賃金者の多くは既婚女性のパートタイマーや若年層である、という事情がある[要出典]。
- 経済学者の橘木俊詔は「正規労働者が主たる参加者である労働組合は、非労働組合員である非正規労働者との間で同一価値労働・同一賃金の原則を拒否することが多い。身分が保護されている正規労働者は、この原則が導入されれば、非正規労働者の一時間あたり賃金が上がるため、自分たちの賃金を下げられるためである」と指摘している[62]。橘木は「最低賃金の引き上げに関して、労働組合は表面上は賛成するが、実態は無関心である。非労働組合員の最低賃金が引き上げられると、組合員の賃金が下げられかねないと恐れる。労働組合員の権益を守りたいという労働組合の行動原理が存在することは否定できない」と指摘している[63]。
- 2006年12月労働政策審議会答申
- 2006年(平成18年)12月27日に、労働政策審議会は以下の内容で答申を行った[64]。
- 低賃金労働者が増加したため、安全網としての役割を十分果たすようにする必要がある
- →この役割は、地域別最低賃金で行う
- 社会保障との整合性を取る必要がある
- 罰則の強化
- 産業別最低賃金は、労使による届け出によって決めることができ、こちらについては罰則の適用はされない
- 派遣労働者については、派遣先の最低賃金を適用する
- 格差是正緊急措置法案
- 民主党は2007年3月1日、最低賃金を時給1,000円程度[* 4]とするなどを骨子とした「格差是正のための緊急措置等に関する法律案」を衆議院に提出[65]。低賃金労働者からはほぼ無条件に歓迎されているが、経営者は難色を示している[要出典]。
- 若田部昌澄は「民主党は賃金を上げると需要が増え景気が良くなると言っているが、最低賃金の引き上げによって景気が改善したという実例は無い」と指摘している[57]。
- 大竹文雄は「最低賃金を1000円に引き上げによる影響は、
- 時間当たりの生産性が1000円を下回る未熟練労働者(アルバイト学生・主婦)は職に就けなくなる
- 企業は、生産性が1000円未満の未熟練労働者を雇えないため、中長期的に未熟練労働者の仕事を機械で代替させようとする
- 規制改革会議による提言
- 2007年(平成19年)5月21日に、規制改革会議は以下の内容で提言を行った[68]。
- 労働者保護を強くしすぎることによって、正規雇用を抑制する結果を招いている。労働者の権利を強めることが労働者を保護するという考え方は間違い。
- →この観点から、考えなしに最低賃金を引き上げると、最低賃金に満たない生産性の業種の労働者の失業を招き、かえって失業者を増やす。
- 国連社会権規約委員会勧告
- 国際連合経済社会理事会の経済的、社会的及び文化的権利委員会(社会権規約委員会、CESCR)は、第50回会期に行なわれた日本の第3回報告審査の総括所見を2013年5月17日に採択し[69]、この中で、日本の最低賃金が最低限の生活水準、生活保護および生活費の増加を下回っているおそれがあるとの懸念を示した。その上で、労働者およびその家族が人並みの生活を営むことを可能とすることを最低賃金の決定要素として加えるべくその見直しを勧告するとともに、次回定期報告書において最低賃金未満の賃金支払いを受けている労働者の比率を報告するよう求めた。
地方最低賃金審議会の公平性について
地方最低賃金審議会では、経営者側の委員は中小企業の経営者等が多いにもかかわらず、労働者側の委員は大企業労働組合の代表が多く、地域別最低賃金により影響を受ける中小零細企業の労組代表がほとんど選任されていない。このことは国会でも取り上げられた。これは主に中小零細企業の労組では、労働者側委員を出せるだけの組織率を有している労組がないことが大きく影響しているといわれている[要出典]。
最低賃金との比較について
最低賃金を満たしているかどうかの計算式は以下によって求めることが出来る。なお、通勤手当・皆勤手当・家族手当・深夜割増手当・時間外労働または休日労働手当は算入しない。臨時に支払われる手当(結婚手当など)も算入しない。住宅手当は除外賃金に指定されていないので、参入して計算する。除外する賃金は最低賃金の種類ごとに指定できることになっているが、どの最低賃金も同じ手当が除外手当として指定されている。
- 基本給が月5,000円、住宅手当が月120,000円、職務手当が月25,000円、通勤手当が月8,000円で、1ヶ月の合計が158,000円。年間所定労働日数が250日、1日の所定労働時間が7時間30分。勤務地の最低賃金額が800円とする。
- 158,000円(1ヶ月の合計) = 5,000円(基本給) + 120,000円(住宅手当) + 25,000円(職務手当) + 8,000円(通勤手当)
- 通勤手当を差し引く。158,000円(1ヶ月の合計) - 8,000円(通勤手当)= 150,000円。
- 時間額に換算する。150,000円 ÷ 1ヶ月平均所定労働時間(250日 × 7.5時間 ÷ 12ヶ月) = 960円
- 最低賃金が800円なので、960円 > 800円 となり、正しい賃金体制となっていることが分かる。
以下に挙げるの計算式は簡略したもので、時間額に換算するものである。
- 時間給制 - 時間給 ≧ 最低賃金額(時間額)
- 日給制 - 日給 ÷ 1日の所定労働時間 ≧ 最低賃金額(日額)
- 月給制 - ((月給額 × 12ヶ月)÷(年間総所定労働日数 × 所定労働時間))≧ 最低賃金額(時間額)
- また、月給 ÷ 1ヶ月平均所定労働時間 ≧ 最低賃金額(時間額)という計算方法もある。
- 法定労働時間フルタイムで労働時間が曖昧な場合は法定労働時間の算出に月間所定労働時間を用いる(労働基準法第32条に準じる)。365日(1年の日数)÷ 7日(1週間の日数)×40時間(1週間の法定労働時間)=約2085.71時間(1年の推定労働時間)÷12ヶ月=約173.8時間(1カ月の推定月法定労働時間)、この時間以上の労働は法定労働時間外労働として割り増し賃金が付く[70]
- 法定の労働時間、休憩、休日を守り。変形労働時間制を採用せず。深夜業をしない、36協定を結んでの時間外労働や法定休日労働をしない場合。1日8時間労働、45分間休憩(または労働基準法の最低基準である45分間を超える1時間休憩など)、週の起算日の定め無し(起算日は日曜日となる)、公休として法定休日は日曜日、法定外休日は土曜日、平日祝日の法定外休日無し、週40時間労働の完全週休2日制。1月1日が日曜日から始まる平年。勤務地の最低賃金額が800円、各種手当て無しとする。
- 使用者は、原則として、1日に8時間、1週間に40時間を超えて労働させてはいけません。
- 使用者は、労働時間が6時間を超える場合は45分以上、8時間を超える場合は1時間以上の休憩を与えなければいけません。
- 使用者は、少なくとも毎週1日の休日か、4週間を通じて4日以上の休日を与えなければなりません。[71]
- 1年は52週あり土曜日52日+日曜日52日=104日となり、1年の総労働時間は平年2088時間、閏年2096時間。14種類ある暦パターンの内、日曜日から始まる平年は1月1日が日曜日、土曜日から始まる平年は12月31日が土曜日となり土曜日52日+日曜日52日+α=105日、1年の総労働時間2080時間。日曜日から始まる閏年は1月1日が日曜日、金曜日から始まる閏年は12月31日が土曜日となり土曜日52日+日曜日52日+α=105日、1年の総労働時間2088時間。土曜日から始まる閏年は1年が53週あり12月30日が土曜日+12月31日が日曜日となり土曜日53日+日曜日53日=106日となる、1年の総労働時間2080時間。
- 365日(1年の合計日数)-53日(日曜日)-52日(土曜日)=260日(労働日)
- 260日(労働日)×8時間(労働日1日の労働時間)=2080時間(1年の総労働時間)
- 最低賃金が800円なので、2080時間(1年の総労働時間)×800円(最低賃金)=1,664,000円(年収)
- 1,664,000円(年収)÷12ヶ月=約138,667円(平均月収)
- 実際の労働日は。3月、5月、8月は23日で147,200円(月収)。1月、6月、10月、11月は22日で140,800円(月収)。7月、9月、12月は21日で134,400円(月収)。2月、4月は20日で128,000円(月収)。
- 800円(最低賃金)÷60分(1時間)=13円33銭3厘3毛…(最低分給)
- 8時間(労働日1日の労働時間)×800円(最低賃金)=6,400(1日の日給)
- 約2087.20時間(1年の平均法定労働時間)×800円(最低賃金)=約1,669,760円(平均年収)
- 約2087.20時間(1年の平均法定労働時間)×800円(最低賃金)×45年(15歳中学卒業、就職~60歳定年)=約75,139,200円(生涯賃金)
- 時間外、休日及び深夜の割増賃金
- 1日8時間である法定労働時間以上の時間外労働。もしくは、1週間の合計法定労働時間40時間以上(時間外労働は合算しない)の時間外労働→2割5分以上の割増賃金{800円(最低賃金)+(800円(最低賃金)×0.25(割増率)以上)=1000円以上(最低賃金+割増賃金)}
- 時間外労働が36協定の限度時間(1週間15時間、2週間27時間、4週間43時間、1か月45時間、2か月81時間、3か月120時間、1年360時間。1年単位の変形労働時間制を採用している場合1週間14時間、2週間25時間、4週間40時間、1か月42時間、2か月75時間、3か月110時間、1年320時間。特別条項付の36協定を結ぶことにより年間で6ヶ月以下なら限度時間を超えることができる)を越えたときは、2割5分を超える率に制定する努力義務が発生する。
- 午後10時から翌日午前5時までの間。もしくは厚生労働大臣が必要であると認める場合においては、その定める地域又は期間については午後11時から午前6時までに労働する深夜業→2割5分以上の割増賃金{800円+(800円×0.25以上)=1000円以上}
- 法定休日労働→3割5分以上の割増賃金{800円+(800円×0.35以上)=1080円以上}
- 法定休日には法定労働時間が存在しないため、時間外労働に対する割増賃金は発生しない。
- 延長して労働した時間が1箇月について60時間を超えた分(60時間1分以上)の時間外労働→5割以上の割増賃金{800円+(800円×0.5以上)=1200円以上}
- 1日8時間である法定労働時間以上の時間外労働。もしくは、1週間の合計法定労働時間40時間以上(時間外労働は合算しない)の時間外労働→2割5分以上の割増賃金{800円(最低賃金)+(800円(最低賃金)×0.25(割増率)以上)=1000円以上(最低賃金+割増賃金)}
業種 | (1)資本金の額または出資の総額 | (2)常時使用する労働者数(企業全体) |
---|---|---|
小売業 | 5,000万円以下 | 50人以下 |
サービス業 | 5,000万円以下 | 100人以下 |
卸売業 | 1 億円以下 | 100人以下 |
その他 | 3 億円以下 | 300人以下 |
※業種は日本標準産業分類による、(1)(2)とも該当無しなら大企業[72]。
- 重複して加算する割増賃金
- 時間外労働が深夜業となった場合→2割5分(時間外労働)+2割5分(深夜業)=合計5割以上の割増賃金{800円+(800円×(0.25以上+0.25以上))=1200円以上}
- 法定休日労働が深夜業となった場合→3割5分(休日労働)+2割5分(深夜業)=6割以上の割増賃金{800円+(800×(0.35以上+0.25以上))=1280円以上}
- 延長して労働した時間が1箇月について60時間を超えた分(60時間1分以上)の時間外労働が深夜業となった場合→5割(60時間超の時間外労働)+2割5分(深夜業)=7割5分以上の割増賃金{800円+(800×(0.5以上+0.25以上))=1400円以上}
- 前出の法定労働時間に加え。1年の内6か月を限度時間を越え過労死ラインである80時間の時間外労働、6か月を1か月の限度時間である45時間の時間外労働をした場合。
- 60時間(時間外労働)×{800円(最低賃金)+(800円(最低賃金)×0.25(時間外労働割増率)以上)}+20時間(60時間超時間外労働)×{800円(最低賃金)+(800円(最低賃金)×0.5(60時間超時間外労働割増率)以上)}=60,000円以上(時間外労働残業代)+24,000円以上(60時間超時間外労働残業代)=84,000円以上(残業代合計)
- 中小企業への猶予措置が適応される場合、80時間(時間外労働)×{800円(最低賃金)+(800円(最低賃金)×0.25(時間外労働割増率)以上)}=80,000円以上(時間外労働残業代)
- 45時間(時間外労働)×{800円(最低賃金)+(800円(最低賃金)×0.25(時間外労働割増率)以上)}=45,000円以上(時間外労働残業代)
- 84,000円以上(残業代合計)×6か月+45,000円以上(時間外労働残業代)×6か月=504,000円以上+270,000円以上=774,000円以上(年間残業代合計)
- 中小企業への猶予措置が適応される場合、80,000円以上(時間外労働残業代)×6か月+45,000円以上(時間外労働残業代)=480,000円以上+270,000円以上=750,000円以上(年間残業代合計)
- 1,664,000円(年収)+774,000円以上(年間残業代合計)=2,438,000円以上(時間外労働した場合の年収)
- 中小企業への猶予措置が適応される場合、1,664,000円(年収)+750,000円以上(年間残業代合計)=2,414,000円以上(時間外労働した場合の年収)
[73][74][75][76][77][78][79][80][81]
派遣者における最低賃金
- 派遣者における最低賃金は、派遣元ではなく、派遣先の都道府県における最低賃金が適用される。
イギリス
イギリスの最低賃金は、全国最低賃金法 (National Minimum Wage Act)(1998年)によって定められている。なお、イギリスは判例法(コモン・ロー)が重要な役割を担っており、制定法は補助・追認的な位置づけとなっている。
歴史的には、1909年に賃金委員会法を制定し、特に低賃金労働者が多い一部の産業について、最低賃金を定めた(1945年に賃金審議会法に改正)[82]。その後、労働市場の硬直化、生産性低下の回避等を理由として、1993年に「労働組合改革及び雇用権に関する法律」によっていったん廃止されている(当時政権は保守党)。その後、1998年にブレア首相時代に全国最低賃金法が施行、翌1999年に制度が復活した(当時政権は労働党)[83]。2004年からは、義務教育修了(16-17歳)への最低賃金が定められた。
最低賃金の額は、低賃金委員会が諮問機関となり、政府に答申を行うことで決定される。なお、1945年から1993年までは、賃金審議会が各産業の賃金を定めていた(1993年の廃止時には、26の各産業の審議会が存在した)[82]。
履行保証
最低賃金が履行されているかの調査、勧告は、内国歳入庁 (The Inland Revenue) の最低賃金監督官 (National Minimum Wage Compliance Officers) が行う。権限の法令根拠は、全国最低賃金法13条などによる。
飯田泰之は「最低賃金規制をした場合、企業側はほとんど守らない。工夫をして事実上の最低賃金以下の雇用を行おうとする。表面上は守られているとされる日本の最低賃金の遵守率は、実質はかなり低い。サービス残業などを活用しどこも守っていない」と指摘している[84]。
減額・適用除外
労働者育成の観点から、就業後訓練を行っている間は、最低賃金が減額される。
「これは、16-17歳は完全な労働力というよりは職業生活の準備をしており、労働市場の中で異なる区分を形成しているという我々の見解を反映したもの」[2]より引用
その後、若年労働者を使用者の搾取から守るという観点から制度の改定が行われている。
なお2014年時点で、最低賃金未満で働いている労働者の割合は、0.8%である。[85]また最低賃金から5ペンス以内の賃金水準の労働者は約140万人(就業者全体の5.3%)と推計されており、その内21歳以上が120万人、18-20歳層が13万9000人、16-17歳層が4万人となっている。[86]
議論
イギリスでは、雇用への影響も実証分析が積み重ねられたが、最低賃金の上昇が緩やかだったこともあり、「明確な影響はない」という研究者のコンセンサスが得られている[18]。
ミルコ・ドラカ、ステファン・マヒン、ジョン・ファンリーネンの2011年の論文では、イギリスで低賃金労働者を雇っている企業の収益率は他の企業に比べより減少していることを示している[18]。
ジョナサン・ワーズワースの2009年の論文では、最低賃金労働による消費者サービス価格の上昇は一般消費者物価上昇よりも高いことを示しており、企業の収益・価格への影響は明確となっているとしている[18]。
山田久は「イギリスで最低賃金の引き上げが失業増につながらなかったのは、景気回復の持続のもと、外資導入・地域再生策の効果もあり、生産性の持続的向上が人件費増を吸収できたためである」と指摘している[15]。
また、ブリストン大学のホール教授、プロッパー教授とロンドン大学のヴァン・リーネン教授は、イギリスの看護師の賃金が、全国率一律で決められていることが、高賃金地域での患者の死亡率を高めていることを明らかにしており、「賃金規制が、死亡率を高めている」と主張している[87]。
ドイツ
ドイツはEU参加国のうち最低賃金法を導入していない7つの国の一つであった。だが2014年7月、ドイツ下院はドイツ国内の最低賃金を時給8.50ユーロとする法案を可決した[88]。この法律は2015年1月から施行される。下院での採決では法案賛成が圧倒的多数であり[89]、投票数605のうち賛成が535票、反対が5票、棄権が61票という結果だった[90]。この最低賃金水準はフランスの時給9.43ユーロには劣るが、英国の6.31ポンド(換算値約6.50ユーロ相当)や米国の7.25ドル(約4.20ユーロ相当[89])よりも高い。最低賃金導入はアンゲラ・メルケル政権の連立与党である中道左派ドイツ社会民主党の重要課題だった[90]。ドイツ副首相のジグマール・ガブリエルは「これはドイツにとって歴史的な日である」として最低賃金法の立法化を歓迎した[89]。
フランス
フランスの最低賃金は、全業種を対象に法律が定める基準(SMIC)と、業種別に労働協約によって定められた基準とがあり、双方を上回る必要がある。均等待遇の原則(同一労働同一賃金 )が根付いているため同種の職種で賃金格差が付きづらいが、職歴の浅い者は最低賃金に近い水準となっている[91]。
2016年現在、フランスの最低賃金は、9.67ユーロとなっている。[92]
最低賃金で働く者の割合は、全労働者のうち11.1%。。[93] また、産業別・業種別にみてみると、IT産業で最も低く2.5%である一方、ホテル・レストラン関連業務では39.5%にのぼる。また、フルタイム労働者では8.1%であるが、パートタイムでは28.6%に跳ね上がる。更に企業規模に見ると、500人以上は5.5%(フルタイムは3.1%、パートタイムは17.9%)に対して、10人未満は27.6%(フルタイムは21.9%、パートタイムは40.9%)であり、小規模なほど最低賃金水準で働く労働者の割合が高くなる傾向がある。(2013年現在)[94] なお、週39時間制から週35時間制に移行したときには、労働者の賃金を保証するために最低賃金を上げ、使用者側に対しては補償措置として社会保障費の減免を行った[91]。
履行保証
最低賃金が履行されているかどうかの監視については、官庁に所属する監督官によって行われる。監督先の企業を選ぶ方法は2種類あり、一つは労働者側からの監督要請、もう一つは監督者による任意の選定となっている[41]。
調査の方法は、給与支払い明細やタイムカードを調べることによって違反が無いかをチェックする[41]。
違反があった場合には、まず使用者に対し書類によって改善勧告が行われる。勧告によって改善されなかった場合には、刑法手続きが取られるが、手続きに1年半ほどかかるため、その間に改善されることがほとんどであるという[41]。
スイス
スイスでは、全国一律の最低賃金は定められていない。2014年5月18日、最低賃金を22スイスフラン(約2500円)という、世界最高額の最低賃金を定めるかどうかの国民投票が行われた。結果は賛成24%、反対76%で否決された。スイスの労働組合は、最低限の生活も維持できない労働者が約33万人に上ると指摘している[95]。スイスの労働者の9割は、すでに時給22スイスフラン以上の賃金を得ているとされるが、スイスの物価を考えると十分ではないとする意見もある[96]。
関連項目
脚注
- ^ 、これは労働市場が実際には完全競争ではないことに起因している。雇用者は労働市場の不完全情報性により、労働者の良し悪しを完全には把握できない。したがって労働の良し悪しとは無関係な所でインセンティブを生み出す必要が生じるのである。
- ^ しかし、障害者権利条約第27条第1節の(b)においては障害のある人にも、『他の者と平等に』、同一労働同一賃金を含めた公正で好ましい労働条件の保護を締約国に求めている。
- ^ 「四十七都道府県、産業ごとにばらばらに決める現行制度では、格差は広がるばかりです。これ以上に格差と貧困を広げないためにも、全国どこでも、だれが働いても、生計費を基準にした最低賃金が保障される「全国一律最低賃金制度」でなければなりません。世界の多数がこの制度です。」(2007年2月11日付しんぶん赤旗)
- ^ 解釈によっては「全国での平均額が1,000円程度」とも受け取れる[誰?]。「1,000円程度」を言い換えると、「どの地域・どの職業でも時給が必ず1,000円以上となるとは限らない」ことになり、場合によっては時給が1,000円を下回る可能性も高くなる[誰?]。
出典
- ^ [2015年の海外情勢] 第5節 シンガポール共和国(Republic of Singapore) 厚生労働省
- ^ a b c d e f g h 第4回最低賃金制度のあり方に関する研究会配付資料『諸外国の最低賃金制度における減額措置・適用除外の考え方について (Report). 厚生労働省.
- ^ a b 『米国最低賃金引き上げをめぐる論争』
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参考資料
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- 村木宏吉『元監督官が教える労働基準法・最低賃金法の申請・届出一切』(日本法令、2014年7月)ISBN 978-4-539-72381-4
- 山田浩之『新興国・開発途上国における最低賃金法の雇用等への影響』(三菱経済研究所、2013年9月)ISBN 978-4-943852-45-2
- 大竹文雄、川口大司、鶴光太郎:編著『最低賃金改革 日本の働き方をいかに変えるか』(日本評論社、2013年7月)ISBN 978-4-535-55700-0
- 最低賃金を引き上げる会『最低賃金で1か月暮らしてみました。』(亜紀書房、2009年5月)ISBN 978-4-7505-0910-5
- 労働調査会出版局『最低賃金法の詳解 改訂3版』(労働調査会、2009年2月)ISBN 978-4-86319-032-0
- 労働新聞社『わかりやすい最低賃金法』(労働新聞社、2008年10月)ISBN 978-4-89761-061-0
- OECD:編著、日本労働組合総連合会総合政策局:訳『図表でみる世界の最低生活保障OECD給付・賃金インディケータ 働くための福祉の国際比較』(明石書店、2008年7月)ISBN 978-4-7503-2829-4
外部リンク
- “最低賃金制度”. 厚生労働省. 2012年12月19日閲覧。
- “最低賃金制度のあり方に関する研究会」報告書について”. 厚生労働省 (2005年3月31日発表). 2012年12月19日閲覧。
- 図2 主要企業春季賃上げ率/早わかり グラフでみる長期労働統計|労働政策研究・研修機構(JILPT)労働政策研究・研修機構)