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「ユナイテッド航空585便墜落事故」の版間の差分

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==参考文献==
==参考文献==
* 青木謙知『事故調査報告書が語る航空事故の真実』イカロス出版、2005年 ISBN-978-4871497091。
* 青木謙知『事故調査報告書が語る航空事故の真実』イカロス出版、2005年 ISBN 978-4871497091。


== この事故を扱った作品 ==
== この事故を扱った作品 ==

2016年11月15日 (火) 17:32時点における版

座標: 北緯38度44分09.4秒 西経104度42分42.4秒 / 北緯38.735944度 西経104.711778度 / 38.735944; -104.711778

ユナイテッド航空 585便
事故機と同型のボーイング737-200型
出来事の概要
日付 1991年3月3日
概要 サーボバルブの劣化によるラダー制御装置の作動不良
現場 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国コロラド州コロラドスプリングス近郊
乗客数 20
乗員数 3
負傷者数 0
死者数 25 (全員)
生存者数 0
機種 ボーイング737-200
運用者 アメリカ合衆国の旗 ユナイテッド航空
機体記号 N999UA
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ユナイテッド航空585便墜落事故(ゆないてっどこうくう585びんついらくじこ)とは、1991年3月3日アメリカ合衆国コロラド州コロラドスプリングス郊外で発生した航空事故である。本件事故発生以後も同様の墜落事故が発生していたが、当初は事故原因がまったくわからず、航空事故の謎の一つとされていたが、本件事故から数年後に別の機体で発生したトラブルの調査がきっかけとなり原因が判明した。

事故の概要

ユナイテッド航空585便の事故が起きた飛行区間は、コロラド州デンバー近郊のステープルトン国際空港から、ロッキー山脈に沿って同州コロラドスプリングスへと至る、20分程度の短距離フライトだった。当日の585便はボーイング737-200機体記号:N999UA、1982年製造)で運航されており、585便には運航乗務員2名と客室乗務員3名、乗客20名が搭乗していた。

585便はコロラドスプリングス空港への最終アプローチまで、気流が多少悪い以外は特に異常はなかったが、着陸のために高度1000フィートに降下したとき、突然右に傾斜し裏返しになった後で機首を下げ、ほぼ垂直に近い姿勢で午前9時44分に滑走路の南約7kmにあった公園敷地内へ墜落した。異常発生から墜落までは僅か33秒であった。墜落の衝撃で機体はアコーディオンのように蛇腹状に破壊され、墜落現場には大きなクレーターが出現した。この事故で585便の乗員乗客全員が死亡した。

事故調査

1年9ヵ月に渡りNTSBによる調査が行われたが最終的に事故原因を確定することは出来なかった。損傷したフライトレコーダー中のデータ読み取りには成功したものの、当時のFDRは5種類のデータを記録するだけであり、585便がなぜ突然致命的な傾斜を起こしたのか原因を立証するには不十分であった。そのため、NTSBは事故調査報告書にて、585便が山脈越えの山岳波に巻きこまれた可能性を示唆したが確定までには至らず、事故原因は不明とされた。

類似事故

その後、585便の事故と類似のものと思われる事故が発生したため、585便の事故も類似事故と同様の原因で起きたものと疑われている。

1994年9月8日シカゴからピッツバーグへ飛行中のUSエアウェイズ427便が着陸アプローチ中に突如ダッチロールを起こし、垂直に地上へ激突、乗員乗客132名全員が死亡した[1]。427便はボーイング737-200の派生型の737-300(機体記号N513AU、1987年製造)で運行されており、空港へのアプローチ中の事故だったことから、585便墜落事故との関連性が疑われた。しかし調査の結果、427便の前方を飛行中のデルタ航空ボーイング727後方乱気流の影響を受けて墜落した可能性があったものの、最終的に原因不明とされた[2]

この一連の事故はNTSBの調査官たちに大きなプレッシャーを与え、3件目の墜落事故発生が危惧されていた[3]。しかし、1996年6月9日に起きたイーストウインド航空517便の急傾斜事故が、ようやく一連の事故の原因を突き止める手掛かりとなる。この日、イーストウィンド517便は1970年製造のボーイング737-200(機体記号N221US)で運行されており、ニュージャージー州トレントンからバージニア州リッチモンドへ向かっていた。だが、空港への着陸数分前に、突如機体が傾くトラブルが発生した。517便の機体は操縦士の操縦に逆らって二度に亘り右に約30秒間傾斜した。異常は一時的なものだったため緊急着陸を行い、乗員乗客は全員無事だった。517便の機体は一連の事故と同機種だったことから詳細な調査が行われた結果、737型機の方向舵油圧装置は内部のサーボバルブが地上と上空の温度変化により劣化すると一時的に固着、作動油が逆流し、方向舵が操縦士の操作とは逆方向に動いてしまう現象(ラダーリバーサル)が発生することが判明した。過去2件の事故原因は、ラダーリバーサルに気づくことのできなかった操縦士が機体を制御しようとラダーを限界まで操作した結果、最終的にこれが折損して機体が制御不能に陥ったことだった。517便の場合は、操縦士が機転を利かせて異常動作しているであろう方向とは逆方向に方向舵ペダルを操作したためかろうじて墜落を免れていた。また、経年化した737型機では同様の動作が起き得ることが判明した。事故調査でこの油圧装置の構造上の欠陥が発見された結果、737型機の全機に対してサーボバルブの点検と交換が施された。

参考文献

  • 青木謙知『事故調査報告書が語る航空事故の真実』イカロス出版、2005年 ISBN 978-4871497091

この事故を扱った作品

外部リンク

引用・脚注

  1. ^ デビッド・ゲロー著、清水保俊訳「航空事故 増改訂版」 イカロス出版 1997年 240ページ
  2. ^ デビッド・ゲロー前掲書 241ページ
  3. ^ メーデー!:航空機事故の真実と真相』シーズン4第5話における、事故調査官のインタビュー内容より

関連項目