「西遊記 (1960年の映画)」の版間の差分
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2016年11月15日 (火) 16:04時点における版
西遊記 | |
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ALAKAZAN THE GREAT[1] | |
監督 | 藪下泰司、手塚治虫、白川大作(「演出」名義) |
脚本 | 植草圭之助 |
製作 |
大川博 渾大坊五郎(「企画」名義) |
出演者 |
小宮山清 新藤乃里子 木下秀雄 篠田節夫 関根信昭 |
音楽 | 服部良一 |
撮影 | 大塚晴郷、石川光明、杉山健児 |
編集 | 宮本信太郎、井草寛二郎 |
製作会社 | 東映動画 |
配給 | 東映 |
公開 | 1960年8月14日 |
上映時間 | 88分 |
製作国 | 日本 |
言語 | 日本語 |
前作 | 少年猿飛佐助 |
次作 | 安寿と厨子王丸 |
『西遊記』(さいゆうき 英文表記:ALAKAZAN THE GREAT[1])は、1960年公開の長編漫画映画(アニメ映画)である。東映動画(現:東映アニメーション)スタジオの長編漫画映画第3作目。手塚治虫の『ぼくの孫悟空』が原案である。
キャッチコピーは「全世界のよい子が待ちに待った、唄と笑いの孫悟空の大冒険!!」[2]。
1960年8月14日公開。上映時間88分。東映スコープ。なお本作から長編アニメにも、オープニングに「荒磯に波」を使用する。
製作
演出を務めた白川大作の後年の回想によると、「西洋ものではディズニーにかなわない」という発想から、白川自身が本作の企画を出したという[3]。1958年12月から1959年2月頃に白川と同僚の渾大坊(こんだいぼう)五郎が初台にあった手塚の自宅を訪れ、構想を話すと手塚は賛同した[3]。アニメーションに興味を持っていた手塚はストーリーボードから参加する希望を伝え、実際に作業もおこなったものの、本業の漫画執筆との兼ね合いから次第に打ち合わせが困難になった[3]。そこで手塚は自身の代わりとして、アシスタントだった月岡貞夫と、漫画家デビュー間もない石ノ森章太郎を東映動画に派遣した[3]。二人は当初手塚の描いたラフなストーリーボード(連続性のない、イメージを描いたもの)を清書する作業を手がけた[3]。絵コンテは、手塚のストーリーボードからスタッフの討議を経て植草圭之助が脚本をおこし、それを藪下泰司がカット割りする形で作られた[3]。大塚康生は、アイデアを並列に配置しラストもあっさりした手塚の構成が、起承転結をがっちりと組み立てた劇映画で観客を満足させる東映の作風と合致せず、東映動画側は手塚の絵コンテを改変して使用せざるを得なかったと説明している[4]。
やがて月岡と石ノ森はともに東映動画入りを希望、月岡は入社が決まったが、石ノ森については白川が「個性が強すぎる」という理由で漫画家を続行するよう説得したという[3][注 1][注 2]。
月岡は動画のクレジットながら実際には原画も担当し、その才能は社内でも注目された[5]。原画は森康二・大塚康生・熊川正雄・大工原章・古沢日出夫がクレジットされているが、実際にはメインの原画スタッフの判断で、動画のメンバーでも月岡のように原画を担当したスタッフがいたという[5]。
キャラクターについては手塚が原案を起こしたが、東映動画のアニメーターからは反発を受け、月岡がかなりの部分でリライトしたものをベースに、キャラクターの登場場面を担当するアニメーターが修正する形で決定された[3]。
ストーリー面では、手塚は悟空のガールフレンドである燐々を死なせて悲劇とすることを主張したが、白川をはじめとする東映動画のスタッフは強く反対し、最終的に手塚もそれに従ったという[3][注 3]。
受賞等
選定・推薦
- 文部省選定
- 優秀映画鑑賞会推薦
- 東京都教育委員会推薦
- 大阪府教育委員会推薦
- 大阪市教育委員会推薦
- 大阪市映画教育協議会特選
- 兵庫県青少年映画審議会推薦
- 関西主婦連合推薦[1]
受賞
スタッフ
- 演出:藪下泰司、手塚治虫、白川大作
- 製作:大川博
- 企画:高橋秀行、渾大坊五郎
- 構成:手塚治虫
- 脚本:植草圭之助
- 撮影:大塚晴郷、石川光明、杉山健児
- 美術:矢野雅章、沼井肇
- 編集:宮本信太郎、井草寛二郎
- 作詞:西沢爽
- 音響効果:加納米一
- 音楽:服部良一
キャスト
- 小宮山清:孫悟空
- 新道乃里子:燐々
- 木下秀雄:猪八戒
- 篠田節夫:沙悟浄
- 関根信昭:三蔵法師
- 武田国久:釈迦如来
- 尾崎勝子:観世音菩薩
- 白坂道子:小竜
- 巌金四郎:牛魔王
- 加藤玉枝:羅刹女
- 川久保潔:金角大王
- 風祭修一:銀角大王
挿入歌
全て、作詞:西沢爽 / 作曲:服部良一
- 「光の歌」(歌:合唱)
- 「滝つぼの歌」(歌:ダーク・ダックス)
- 「リンリンの歌①」(歌:佐藤茂美)
- 「リンリンの歌②」(歌:佐藤茂美)
- 「孫悟空の歌」(歌:山東昭子)
- 「でたらめの歌」(歌:木下秀雄、三遊亭小金馬)[6]
リバイバル
- 本作はその後、1964年3月22日にリバイバル上映され、また1976年12月19日には『冬休み東映まんがまつり』内の一本として、一部地域のみでリバイバル上映された。
- なお、前年(1975年)に7年振りに再開した『東映まんがまつり』の冬興行は再び中断、次に冬興行が行われるのは、8年後の1984年12月公開の『お年玉東映まんがまつり』(全国公開)まで待たなければならなかった。
同時上映
- 1960年版
- 1964年版
- 1976年版
1964年版と1976年版の同時上映作は、全てTVブロウアップ作品。
映像ソフト
- まず東映ビデオからビデオソフト(VHS。年代不明)が発売&レンタルされ、続いて1992年に同じく東映ビデオからレーザーディスクが発売されたが、いずれも廃盤。現在は2002年8月9日より東映ビデオからDVD発売&レンタルされている。なおDVDには、2008年6月28日発売の廉価バージョン「名作アニメ DVDセレクション」もある。
- いずれも本編や「予告編」の他、大川博社長と孫悟空が会話する「特報」も収録されている。
- なお「復刻! 東映まんがまつり」バージョンは、今のところ発売されてない。
派生作品
手塚治虫は、悟空の恋人として登場する燐々(リンリン)を主人公とした漫画『リンリンちゃん』を秋田書店の『ひとみ』に連載した。
脚注
注釈
- ^ このとき白川は、石ノ森が漫画家として成功したらアニメの原作として使うと話し、それが『サイボーグ009』の映画第1作につながった。
- ^ 石ノ森自身は『トキワ荘の青春 ぼくの漫画修行時代』に「漫画(自分の仕事)と東映動画との両立が厳しい事が判ったから」(同書p.96)と記している。
- ^ 当時はまだ東映動画には入社していなかった宮崎駿はこの話を伝聞として記している(宮崎駿『出発点 1979~1996』徳間書店、1996年、p.234)。
- ^ 東京地区のみ、3月28日より『狼少年ケン トーテムポールの魔人 ピストル騒動』に変更(これもブロウアップ作品)。
出典
- ^ a b c d 「東映動画 長編アニメ大全集 上巻」(徳間書店)69頁 1978年
- ^ 「東映動画アーカイブス」(ワールドフォトプレス)14頁 2010年
- ^ a b c d e f g h i 東映長編研究 第10回 白川大作インタビュー(2) 手塚治虫と『西遊記』 - WEBアニメスタイル(2004年11月15日)
- ^ 大塚康生『作画汗まみれ 増補改訂版』徳間書店、2001年、pp.108-109
- ^ a b 東映長編研究 第11回 白川大作インタビュー(3) 『西遊記』と各スタッフの活躍 - WEBアニメスタイル(2004年11月24日)
- ^ 「東映動画 長編アニメ大全集 上巻」70頁