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ISBN 9784000246163)<ref>[http://ci.nii.ac.jp/naid/110004854381 杉田英明『葡萄樹の見える回廊:中東・地中海文化と東西交渉』SUGITA Hideaki, The Corridor Looking onto Grapevines: The Middle East/Mediterranean Cultures and the East-West Relations]</ref>で、明治初期にも翻案があったと記されている。<!--「この伝承」の意味がよくわからなかったので、勝手ながら自分でギリシャ神話の事と解釈して書き改め、かつ章のはじめに移動しました。私の勝手な間違いでしたら、申し訳ありませんが復旧願います。-->
ISBN 9784000246163)<ref>[http://ci.nii.ac.jp/naid/110004854381 杉田英明『葡萄樹の見える回廊:中東・地中海文化と東西交渉』SUGITA Hideaki, The Corridor Looking onto Grapevines: The Middle East/Mediterranean Cultures and the East-West Relations]</ref>で、明治初期にも翻案があったと記されている。<!--「この伝承」の意味がよくわからなかったので、勝手ながら自分でギリシャ神話の事と解釈して書き改め、かつ章のはじめに移動しました。私の勝手な間違いでしたら、申し訳ありませんが復旧願います。-->


また、シラーの詩については、最近の研究で、[[小栗孝則]](20世紀前半の独文学者)が[[1937年]](昭和12年)[[7月]]にシラーの[[バラード]][[:de:Die Bürgschaft|{{De|''Die Bürgschaft''}}]]の初版<ref>シラーの作品は古代ローマの[[ガイウス・ユリウス・ヒュギーヌス]]の著作を基にしている。なお、ギリシャ神話のエピソードについては人物の名がDamonとPythiasとなっている伝承があり、ヨーロッパではそちらが有名であったため(ドイツ語版[[:de:Damon und Phintias]]、英語版[[:en:Damon and Pythias]]参照)シラーは初版の後作品名を{{Lang|de|''Damon und Pythias''}}([http://www.netzfit.de/portfolio/blog/schiller.html Schiller - Damon und Pythias])に改訂し、主人公名もDamonに改訂。また[[1910年]]([[明治]]43年)[[11月]]に[[鈴木三重吉]]がその伝承を翻訳し『[[赤い鳥]]』に「デイモンとピシアス」([http://www.aozora.gr.jp/cards/000107/card18333.html 青空文庫])という小説を掲載している。</ref>を訳した「人質」(『新編シラー詩抄』改造文庫)とされている<ref>「レフェレンス共同データベース」[[http://crd.ndl.go.jp/reference/detail?page=ref_view&id=1000034123]]。<br />さらに、小栗は訳注にメロスの友人の名がセリヌンティウスであることを記しており、太宰の書く「古伝説」とはこれを指す。<br />[http://hdl.handle.net/2433/68656 五之治昌比呂 「『走れメロス』とディオニュシオス伝説」Hashire Meros and Dionysius Legends 西洋古典論集 16, 39-59, 1999-08-31]</ref>。<!--シラーの詩にはないセリヌンティウスの名など表現が一致している部分も多い。--><!--「シラーの詩にはない」という「セリヌンティウスの名など」が、なぜ「(『走れメロス』とシラー作の『人質』において)表現が一致している」という事になるのか、私の悪い頭では意味不明ですので、勝手ながらコメントアウトいたしました。単なる私の理解不足、又は充分な説明が与えられた場合は解除して下さい。-->「内面的動機」は[[檀一雄]]との間に起きた昭和11年([[1936年]])の「熱海」事件ではないかという説もある<ref>これは壇の『太宰と安吾』と『小説太宰治』で有名になったエピソードである。[[猪瀬直樹]]の『ピカレスク 太宰治』にも出てくるが、二人で豪遊して熱海で借金まみれになったので壇を「人質」にして太宰が[[井伏鱒二]]のところに「三日間」通って、ようやく井伏が羽織袴を質屋に入れにいくのを確かめてから、太宰は壇に「待つ身が辛いかね、待たせる身が辛いかね」と言った。この話も含めた検証が[[大岡玲]]が『本に訊け!』([[光文社]]2014年)pp.9-21にある。</ref>。
また、シラーの詩については、最近の研究で、[[小栗孝則]](20世紀前半の独文学者)が[[1937年]](昭和12年)[[7月]]にシラーの[[バラード]][[:de:Die Bürgschaft|{{De|''Die Bürgschaft''}}]]の初版<ref>シラーの作品は古代ローマの[[ガイウス・ユリウス・ヒュギーヌス]]の著作を基にしている。なお、ギリシャ神話のエピソードについては人物の名がDamonとPythiasとなっている伝承があり、ヨーロッパではそちらが有名であったため(ドイツ語版[[:de:Damon und Phintias]]、英語版[[:en:Damon and Pythias]]参照)シラーは初版の後作品名を{{Lang|de|''Damon und Pythias''}}([http://www.netzfit.de/portfolio/blog/schiller.html Schiller - Damon und Pythias])に改訂し、主人公名もDamonに改訂。また[[1910年]]([[明治]]43年)[[11月]]に[[鈴木三重吉]]がその伝承を翻訳し『[[赤い鳥]]』に「デイモンとピシアス」([http://www.aozora.gr.jp/cards/000107/card18333.html 青空文庫])という小説を掲載している。</ref>を訳した「人質」(『新編シラー詩抄』改造文庫)とされている<ref>「レフェレンス共同データベース」[http://crd.ndl.go.jp/reference/detail?page=ref_view&id=1000034123]。<br />さらに、小栗は訳注にメロスの友人の名がセリヌンティウスであることを記しており、太宰の書く「古伝説」とはこれを指す。<br />[http://hdl.handle.net/2433/68656 五之治昌比呂 「『走れメロス』とディオニュシオス伝説」Hashire Meros and Dionysius Legends 西洋古典論集 16, 39-59, 1999-08-31]</ref>。<!--シラーの詩にはないセリヌンティウスの名など表現が一致している部分も多い。--><!--「シラーの詩にはない」という「セリヌンティウスの名など」が、なぜ「(『走れメロス』とシラー作の『人質』において)表現が一致している」という事になるのか、私の悪い頭では意味不明ですので、勝手ながらコメントアウトいたしました。単なる私の理解不足、又は充分な説明が与えられた場合は解除して下さい。-->「内面的動機」は[[檀一雄]]との間に起きた昭和11年([[1936年]])の「熱海」事件ではないかという説もある<ref>これは壇の『太宰と安吾』と『小説太宰治』で有名になったエピソードである。[[猪瀬直樹]]の『ピカレスク 太宰治』にも出てくるが、二人で豪遊して熱海で借金まみれになったので壇を「人質」にして太宰が[[井伏鱒二]]のところに「三日間」通って、ようやく井伏が羽織袴を質屋に入れにいくのを確かめてから、太宰は壇に「待つ身が辛いかね、待たせる身が辛いかね」と言った。この話も含めた検証が[[大岡玲]]が『本に訊け!』([[光文社]]2014年)pp.9-21にある。</ref>。


== あらすじ ==
== あらすじ ==

2016年11月15日 (火) 15:48時点における版

走れメロス』(はしれメロス)は、太宰治短編小説。処刑されるのを承知の上で友情を守ったメロスが、人の心を信じられない王に信頼することの尊さを悟らせる物語。

概要

初出 新潮』1940年5月号
単行本 女の決闘』(河出書房、1940年6月15日)
執筆時期 1940年3月23、24日までに完成(推定)[1]
原稿用紙 26枚

作品の最後に「古伝説とシルレルの詩から」と記述され、ギリシア神話のエピソードとドイツの「シルレル」、すなわちフリードリヒ・フォン・シラーFriedrich von Schiller)の詩をもとに創作した事が明らかにされている。

古伝説すなわちギリシャ神話について論じているのは杉田英明『葡萄樹の見える回廊』(岩波書店 2002年11月 ISBN 9784000246163[2]で、明治初期にも翻案があったと記されている。

また、シラーの詩については、最近の研究で、小栗孝則(20世紀前半の独文学者)が1937年(昭和12年)7月にシラーのバラードDie Bürgschaftの初版[3]を訳した「人質」(『新編シラー詩抄』改造文庫)とされている[4]。「内面的動機」は檀一雄との間に起きた昭和11年(1936年)の「熱海」事件ではないかという説もある[5]

あらすじ

純朴な羊飼い[6]の青年メロス(Moerus[7])は、妹の結婚のために[8]必要な品々を買い求めにシラクス[9]の町を訪れたが、町の様子がひどく暗く落ち込んでいることを不審に思い、市民に何が起きているのかを問う。そして、その原因である人間不信のために多くの人を処刑している暴君ディオニス王(ディオニュシオス2世)の話を聞き、激怒する。メロスは王の暗殺を決意して王城に侵入するが、あえなく衛兵に捕らえられ、王のもとに引き出された。人間など私欲の塊だ、信じられぬ、と断言する王にメロスは、人を疑うのは恥ずべきだと真っ向から反論する。当然処刑される事になるが、メロスはシラクスで石工をしている親友のセリヌンティウスを人質として王のもとにとどめおくのを条件に、妹の結婚式をとり行なうため3日後の日没までの猶予を願う。王はメロスを信じず、死ぬために再び戻って来るはずはないと考えるが、セリヌンティウスを処刑して人を信じる事の馬鹿らしさを証明してやる、との思惑でそれを許した。

メロスは急いで村に帰り、誰にも真実を言わず妹の結婚式を急ぎ、夫を信じて誠心誠意尽くすように言い含め、式を無事に終えると3日目の朝まだき、王宮に向けて走り出した。難なく夕刻までに到着するつもりが、川の氾濫による橋の流失や山賊の襲来[10]など度重なる不運に出遭う。濁流の川を懸命に泳ぎ切り、山賊を打ち倒して必死に駆けるが、無理を重ねたメロスはそのために心身ともに疲労困憊して倒れ込み、一度は王のもとに戻る事をあきらめかけた。セリヌンティウスを裏切って逃げてやろうかとも思う。しかし近くの岩の隙間から湧き出てきた清水を飲み、疲労回復とともに義務遂行の希望が生まれ、再び走り出す。人間不信の王を見返すために、自分を信じて疑わない友人の命を救うために、そして自分の命を捧げるために。

こうしてメロスは全力で、体力の限界まで達するほどに走り続け、日没直前、今まさにセリヌンティウスが磔にされようとするところに到着し、約束を果たす。セリヌンティウスに、ただ1度だけ裏切ろうとした事を告げて詫び、セリヌンティウスも1度だけメロスを疑った事を告げて詫びた。そして、彼らの真の友情を見た王は改心したのである。

創作の発端

懇意にしていた熱海の村上旅館に太宰が入り浸って、いつまでも戻らないので、妻が「きっと良くない生活をしているのでは……」と心配し、太宰の友人である檀一雄に「様子を見て来て欲しい」と依頼した。

往復の交通費と宿代等を持たされ、熱海を訪れた檀を、太宰は大歓迎する。檀を引き止めて連日飲み歩き、とうとう預かってきた金を全て使い切ってしまった。飲み代や宿代も溜まってきたところで太宰は、檀に宿の人質(宿賃のかたに身代わりになって宿にとどまる事)となって待っていてくれと説得し、東京にいる井伏鱒二のところに借金をしに行ってしまう。

数日待ってもいっこうに音沙汰もない太宰にしびれを切らした檀が、宿屋飲み屋に支払いを待ってもらい、井伏のもとに駆けつけると、二人はのん気に将棋を指していた。太宰は今まで散々面倒をかけてきた井伏に、借金の申し出のタイミングがつかめずにいたのであるが、激怒しかけた檀に太宰は「待つ身が辛いかね。待たせる身が辛いかね。」 と言ったという。

後日、発表された『走れメロス』を読んだ檀は「おそらく私達の熱海行が少なくもその重要な心情の発端になっていはしないかと考えた」と『小説 太宰治』に書き残している。

派生作品

映像

朗読

舞台

CLIEが製作する朗読演劇シリーズで舞台化された。キービジュアルはしりあがり寿

  • 極上文學 第7弾『走れメロス』(2014年12月、製作:CLIE・企画:MAG.net・制作:Andem)

出演

宮﨑秋人大河元気佐藤永典椎名鯛造西村ミツアキ鈴木裕斗村田充萩野崇川下大洋名高達男)

スタッフ

パロディ等

この作品は、メッセージ性の高さや尺加減のよさなどから、義務教育の国語教科書などで扱われ、知名度が高いため、一話完結系の連載物などでパロディの材料にされる事も多い。

  • ヤッターマン』(第1作)第74話「ハシレメドスの友情だコロン」(1978年5月27日放送、フジテレビ) - ハシレメドス(←メロス)を塩沢兼人が演じている。
  • オバケのQ太郎』(第3作)第184話「走れメロQ」(1985年11月7日放送、テレビ朝日) - 国語の授業で「走れメロス」を取り上げていたのだが、宿題を忘れた正太は立たされていた。正太は「宿題はやってあるが持ってくるのを忘れただけ」と言い、Q太郎はそれを信じ家まで宿題を取りに行く。先生には「時間内に持ってこなければトイレ掃除だ」と言われ、正太はQ太郎がなかなか戻らないため焦りだす。やがてQ太郎が学校に戻り正太と泣きながら抱き合い、「本当は宿題もやっていなかった」とウソをついたことを明かした。それを聞いていた先生も一応は感動するのだが、程なく「でもトイレ掃除はやってもらうぞ」とあっさり言った。
  • ザ・ウルトラマン (漫画)』「鎧を着込んだウルトラマン」というコンセプトのオリジナルキャラクター・メロスの名前の由来になっている。
  • AKB48 teamK 4thの楽曲『メロスの道』はこの作品をモチーフにしている。作詞は秋元康
  • 蒼き流星SPTレイズナー』オープニング主題歌『メロスのように-LONELY WAY-』(歌:AIRMAIL from NAGASAKI)はこの作品をモチーフにしている。作詞はやはり秋元康。
  • 『走れセリヌンティウス』漫画家ながいけんが、このタイトルのパロディ作を「ファンロード」誌上で発表している(後に「チャッピーと愉快な下僕ども」に収録)。原作とは全く逆で、王がメロスを信じつつも苦渋の決断をする善人、メロスは犯罪者で妹の結婚式をでっち上げ、セリヌンティウスを勝手に身代わりにたてて脱走をはかろうとする極悪人で、セリヌンティウスはメロスが戻らない事を最初から確信しており、処刑をまぬがれるために脱走、メロスを捉えて「親友を救うために走る」というシナリオを実行させようとする。劇中の台詞も原作をいちいち反転させた利己的・邪悪なものばかりで、最後の落ちも含めて全編にブラックユーモアが溢れる怪作となっている。
  • 新・必殺仕置人』第32話「阿呆無用」佐渡へ出張仕事に向かう念仏の鉄(と仲間たち)が、寅の会の掟に際して、仲間の一人・巳代松を人質に置いていく。
  • もーれつア太郎』(第1作)第71話「走れニャロメロス」
  • ケロロ軍曹』(6thシーズン)第275話Bパート「ケロロ 走れケロロ であります」
  • 『【新釈】走れメロス』(【新釈】走れメロス 他四篇森見登美彦
  • 『セリヌンティウスの舟』石持浅海
  • 風雲児たち 幕末編』(みなもと太郎) 第2巻にて脱藩した吉田松陰をメロス、その罪をかぶった来原良蔵をセリヌンティウスに喩えたギャグを展開。 
  • 団地ともお』第4話Bパート「あの坂をのぼっていくともお」
  • 燃える!お兄さん』第11巻「走れメロス!早見先生の巻」
  • かのこん』第8巻「恋の骨折り損?」で、冒頭が「走れメロス」のパロディ。

自由研究

  • 一般財団法人理数教育研究所が開催した「算数・数学の自由研究」作品コンクール中学生部門における村田一真著「メロスの全力を検証」[13]に於いて、作品中の記述を元にメロスの平均移動速度を算出した結果、往路前半は2.7km/h、山賊との戦い後死力を振りしぼって走ったとされるラストスパートも5.3km/hと算出されている。感想欄で著者は感想を「『走れメロス』というタイトルは『走れよメロス』のほうがあっているなと思いました」と記している。ただしこれは「深夜出発の記述=午前0時に設定」「村人たちは仕事を始めていた=午前10時と設定」「雨の中の速度を考慮しない」「森の中の速度を考慮しない」「実際に歩いていた距離を考慮しない」「濁流の川の中を泳いだことを考慮しない」「山賊と戦ったのを30分と設定」「メロスがまどろんでいた時間を考慮しない」「少しずつ沈んでゆく太陽の、十倍も早く走ったという記述の無視」など独自研究の度合いが強い。

その他

津軽鉄道・津軽21形気動車「走れメロス」
  • 津軽鉄道津軽21形気動車に「走れメロス」と車両の愛称が付けられている。
  • 青森市中央市民センター前に、この作品の一節を刻んだ文学碑「友情の碑」が設置されている。
  • 本作品をモチーフにしたパチスロ機がJPSよりリリースされた。

脚注

  1. ^ 『太宰治全集 第3巻』筑摩書房、1989年10月25日、423頁。解題(山内祥史)より。
  2. ^ 杉田英明『葡萄樹の見える回廊:中東・地中海文化と東西交渉』SUGITA Hideaki, The Corridor Looking onto Grapevines: The Middle East/Mediterranean Cultures and the East-West Relations
  3. ^ シラーの作品は古代ローマのガイウス・ユリウス・ヒュギーヌスの著作を基にしている。なお、ギリシャ神話のエピソードについては人物の名がDamonとPythiasとなっている伝承があり、ヨーロッパではそちらが有名であったため(ドイツ語版de:Damon und Phintias、英語版en:Damon and Pythias参照)シラーは初版の後作品名をDamon und PythiasSchiller - Damon und Pythias)に改訂し、主人公名もDamonに改訂。また1910年明治43年)11月鈴木三重吉がその伝承を翻訳し『赤い鳥』に「デイモンとピシアス」(青空文庫)という小説を掲載している。
  4. ^ 「レフェレンス共同データベース」[1]
    さらに、小栗は訳注にメロスの友人の名がセリヌンティウスであることを記しており、太宰の書く「古伝説」とはこれを指す。
    五之治昌比呂 「『走れメロス』とディオニュシオス伝説」Hashire Meros and Dionysius Legends 西洋古典論集 16, 39-59, 1999-08-31
  5. ^ これは壇の『太宰と安吾』と『小説太宰治』で有名になったエピソードである。猪瀬直樹の『ピカレスク 太宰治』にも出てくるが、二人で豪遊して熱海で借金まみれになったので壇を「人質」にして太宰が井伏鱒二のところに「三日間」通って、ようやく井伏が羽織袴を質屋に入れにいくのを確かめてから、太宰は壇に「待つ身が辛いかね、待たせる身が辛いかね」と言った。この話も含めた検証が大岡玲が『本に訊け!』(光文社2014年)pp.9-21にある。
  6. ^ メロスの職業を牧人とするのは太宰の創作。元の伝説ではDamonとPythiasはピタゴラス学派であったとされる。五之治昌比呂 「『走れメロス』とディオニュシオス伝説」Hashire Meros and Dionysius Legends 西洋古典論集 16, 39-59, 1999-08-31
  7. ^ 西井奨『西洋古典と『走れメロス』(2)』日本西洋古典学会の公式ホームページ
  8. ^ メロスにはすでに両親はなく、妹と二人暮らしで、妹の結婚もメロスが取り仕切る事になっている。
  9. ^ 現在のシラクサ(Siracusa)。イタリア半島の南に位置するシチリア島にある都市。ドイツ語ではSyrakusと綴られる。
  10. ^ メロスは、彼の命が欲しいと言う山賊を王の差し向けた刺客と見做すが、作中では真相は不明。
  11. ^ 岩波書店 | 太宰治作品集 文芸カセット 日本近代文学シリーズ
  12. ^ 朗読の時間 太宰治 東京書籍株式会社
  13. ^ メロスの全力を検証 村田 一真

関連項目

外部リンク