「猫伝染性腹膜炎」の版間の差分
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猫伝染性腹膜炎ウイルスは[[コロナウイルス科]]コロナウイルス属に属する。[[犬コロナウイルス]]や[[豚伝染性胃腸炎ウイルス]]と[[血清学]]的に交差する。このウイルスは、通常自然界には存在せず、猫腸コロナウイルス(Feline Enteric [[:en:Felin_Coronavirus|Coronavirus]] FECV)という病原性に乏しいウイルスが、ある時、猫の体内で突然変異したものである。 |
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なお、発症した猫からほかの猫へFIPウイルスが感染することは、事実上ないようである。<ref name="web">石田 卓夫(赤坂動物病院医療ディレクター 日本臨床獣医学フォーラム代表)監修 |
なお、発症した猫からほかの猫へFIPウイルスが感染することは、事実上ないようである。<ref name="web">石田 卓夫(赤坂動物病院医療ディレクター 日本臨床獣医学フォーラム代表)監修 [http://www.p-well.com/health/clinic/cat/cat-fip.html 猫伝染性腹膜炎(FIP)]</ref> |
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*石田 卓夫(赤坂動物病院医療ディレクター 日本臨床獣医学フォーラム代表)監修 |
*石田 卓夫(赤坂動物病院医療ディレクター 日本臨床獣医学フォーラム代表)監修 [http://www.p-well.com/health/clinic/cat/cat-fip.html 猫伝染性腹膜炎(FIP)] |
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*清水悠紀臣ほか 『動物の感染症』 近代出版 2002年 ISBN 4874020747 |
*清水悠紀臣ほか 『動物の感染症』 近代出版 2002年 ISBN 4874020747 |
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*獣医学大辞典編集委員会編集 『明解獣医学辞典』 チクサン出版 1991年 ISBN 4885006104 |
*獣医学大辞典編集委員会編集 『明解獣医学辞典』 チクサン出版 1991年 ISBN 4885006104 |
2016年11月15日 (火) 14:12時点における版
猫伝染性腹膜炎(ねこでんせんせいふくまくえん、feline infectious peritonitis;FIP)とは猫伝染性腹膜炎ウイルス(FIPV)感染を原因とするネコの感染症。
原因
猫伝染性腹膜炎ウイルスはコロナウイルス科コロナウイルス属に属する。犬コロナウイルスや豚伝染性胃腸炎ウイルスと血清学的に交差する。このウイルスは、通常自然界には存在せず、猫腸コロナウイルス(Feline Enteric Coronavirus FECV)という病原性に乏しいウイルスが、ある時、猫の体内で突然変異したものである。 なお、発症した猫からほかの猫へFIPウイルスが感染することは、事実上ないようである。[1]
疫学
猫腸コロナウイルスは、世界のほとんどの地域に存在し、糞便中に排泄され、経口、経鼻的に感染が成立する。垂直感染も起こる。
症状
感染初期に、発熱、食欲不振、嘔吐、下痢、体重減少など非特異的な症状を示し、進展すると滲出型(ウェットタイプ)あるいは非滲出型(ドライタイプ)の症状を示す。滲出型では進行性の腹部膨満、胸膜滲出による呼吸困難を呈する。非滲出型では眼病変、黄疸、化膿性肉芽腫形成による腎腫大、発作や四肢の麻痺などの神経症状、腸間膜リンパ節炎を呈する。特に滲出型では予後が悪い。
診断
猫胎子株化細胞(fcwf-4細胞)を用いてのウイルス分離、RT-PCR、蛍光抗体法、ELISAが用いられる。但し、血清診断では猫腸コロナウイルスとの鑑別はできない。
治療
有効な治療法はなく、対症療法で症状緩和と延命を図るしかない。致死性は子猫に高く、老齢猫では発症後のインターフェロンやステロイド剤投与で二年以上生存するケースもある。[1]
予防
アメリカで生ワクチンが開発されているが、日本では使用されていない。 免疫力が低下した猫が発症しやすいため、条件の悪い多頭飼いや、猫免疫不全ウイルス(FIV)、猫白血病ウイルス (en:feline leukemia virus: FeLV)などに感染している場合は注意が必要である。室内での快適な生活環境を確立して、猫の自己免疫力を高めることが、重要だとされている。[1]
関連項目
参考文献
- 石田 卓夫(赤坂動物病院医療ディレクター 日本臨床獣医学フォーラム代表)監修 猫伝染性腹膜炎(FIP)
- 清水悠紀臣ほか 『動物の感染症』 近代出版 2002年 ISBN 4874020747
- 獣医学大辞典編集委員会編集 『明解獣医学辞典』 チクサン出版 1991年 ISBN 4885006104
脚注
- ^ a b c 石田 卓夫(赤坂動物病院医療ディレクター 日本臨床獣医学フォーラム代表)監修 猫伝染性腹膜炎(FIP)