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「オツベルと象」の版間の差分

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== 解説 ==
== 解説 ==
[[白象 (動物)|白象]]や[[沙羅双樹]]が登場することから、[[インド]] - [[東南アジア]]を舞台とした物語ということがわかる。強欲なオツベルは、白象の善意を踏みにじって殺されてしまうが、白象は喜ばない。研究者の続橋達雄は、白象が「さびしく笑」ったのは、「オツベルの冷酷さを改心させられなかったことへの悲しみであろう」という見解を述べている<ref>続橋達雄「研究の眼(オツベルと象)」『宮沢賢治』小学館出版《群像日本の作家》、1990年、 ISBN:4-09-567012-6</ref>。
[[白象 (動物)|白象]]や[[沙羅双樹]]が登場することから、[[インド]] - [[東南アジア]]を舞台とした物語ということがわかる。強欲なオツベルは、白象の善意を踏みにじって殺されてしまうが、白象は喜ばない。研究者の続橋達雄は、白象が「さびしく笑」ったのは、「オツベルの冷酷さを改心させられなかったことへの悲しみであろう」という見解を述べている<ref>続橋達雄「研究の眼(オツベルと象)」『宮沢賢治』小学館出版《群像日本の作家》、1990年、 ISBN 4-09-567012-6</ref>。


かつては全集編集の際の手違いから「'''オッペルと象'''」というタイトルにされていたが、『校本 宮澤賢治全集』([[筑摩書房]]、1973 - 1977年)編集の際に誤りが正された。このうち「ッ」については初出誌『月曜』では、[[促音]]も通常の文字と同じ大きさになっているため、実際の発音・表記が「オ'''ツ'''ベル」なのか「オ'''ッ'''ベル」のいずれであるかは不詳である(下書きを含めて原稿が現存していない)。また、『月曜』では、末尾部に一字分が黒四角(■)になっている部分がある。前記の通り原稿が現存していないため、この部分は一字不明のままである。『校本 宮澤賢治全集』よりも前の全集ではこの箇所を「君」という文字に校訂していた。
かつては全集編集の際の手違いから「'''オッペルと象'''」というタイトルにされていたが、『校本 宮澤賢治全集』([[筑摩書房]]、1973 - 1977年)編集の際に誤りが正された。このうち「ッ」については初出誌『月曜』では、[[促音]]も通常の文字と同じ大きさになっているため、実際の発音・表記が「オ'''ツ'''ベル」なのか「オ'''ッ'''ベル」のいずれであるかは不詳である(下書きを含めて原稿が現存していない)。また、『月曜』では、末尾部に一字分が黒四角(■)になっている部分がある。前記の通り原稿が現存していないため、この部分は一字不明のままである。『校本 宮澤賢治全集』よりも前の全集ではこの箇所を「君」という文字に校訂していた。

2016年11月15日 (火) 13:54時点における版

オツベルと象」(オツベルとぞう)は、宮沢賢治の短編童話である。詩人尾形亀之助主催の雑誌『月曜』創刊号(1926年1月号)に掲載された。賢治の数少ない生前発表童話の一つ。教科書にも広く収録されているほか、公文式の教材にもなっている。

あらすじ

この物語は、「ある牛飼い」が物語るという形式になっている。

ある日、地主のオツベルのところに大きな白い象がやってくる。オツベルは象をうまく騙して自分の所有物にし、過酷な労働を課す。そうとは露知らず、初めは労働を楽しんでいた白象だが、徐々に食べ物を減らされて弱っていく。白象は月の助言で仲間たちに手紙を書き、それを読んだ仲間の象たちはオツベルの邸へと押し寄せていく。

登場人物

オツベル
この物語の主人公。大金持ちの大地主。頭がよく、迷い込んできた白象を言葉巧みに騙して、自分の財産にしてこき使うが、最期は報復に来た象の群れに押し潰され死亡する。
白象
森からやってきた白い象で鶯のような美声を持つ。オツベルに騙されて奴隷にされる。
白象が毎晩藁をたべながら話しかけていた月。白象が別れを示唆すると、重要な助言をする。
赤衣の童子
何処からか現れて、白象の手紙を仲間たちに届ける。
牛飼い
物語の語り手。
百姓
オツベルの家で働く百姓たち。

解説

白象沙羅双樹が登場することから、インド - 東南アジアを舞台とした物語ということがわかる。強欲なオツベルは、白象の善意を踏みにじって殺されてしまうが、白象は喜ばない。研究者の続橋達雄は、白象が「さびしく笑」ったのは、「オツベルの冷酷さを改心させられなかったことへの悲しみであろう」という見解を述べている[1]

かつては全集編集の際の手違いから「オッペルと象」というタイトルにされていたが、『校本 宮澤賢治全集』(筑摩書房、1973 - 1977年)編集の際に誤りが正された。このうち「ッ」については初出誌『月曜』では、促音も通常の文字と同じ大きさになっているため、実際の発音・表記が「オベル」なのか「オベル」のいずれであるかは不詳である(下書きを含めて原稿が現存していない)。また、『月曜』では、末尾部に一字分が黒四角(■)になっている部分がある。前記の通り原稿が現存していないため、この部分は一字不明のままである。『校本 宮澤賢治全集』よりも前の全集ではこの箇所を「君」という文字に校訂していた。

脚注

  1. ^ 続橋達雄「研究の眼(オツベルと象)」『宮沢賢治』小学館出版《群像日本の作家》、1990年、 ISBN 4-09-567012-6

外部リンク