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徳山バイパス

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
一般国道
国道417号標識
徳山バイパス
一般国道417号バイパス
路線延長 13.7 km
開通年 2006年
起点 岐阜県揖斐郡揖斐川町鶴見
終点 岐阜県揖斐郡揖斐川町塚奥山
接続する
主な道路
記法
岐阜県道270号藤橋根尾線
冠山峠道路
林道塚線(塚管理用道路経由)
テンプレート(ノート 使い方) PJ道路

徳山バイパス(とくやまバイパス)は、徳山ダム建設に伴う一般国道417号付替道路である。加えて、旧道の冬季通行止めや大型車のすれ違い困難といった諸問題を解消する目的も兼ね備えている。2006年平成18年)9月22日に全線が供用開始された。本項では、徳山バイパス以外の付替道路についても記述する。

概要

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徳山ダム建設に伴い、揖斐川沿いを走るこれまでの国道417号はダム湖に水没するため、既存道路の機能回復を目的にその付替道路として建設された。国道417号は1982年昭和57年)4月1日に主要地方道29号鯖江藤橋線が一般国道へ昇格した路線であり、1977年(昭和52年)3月1日以前は一般県道124号根尾今立線として整備されていたため、狭隘道路区間・線形不良区間が点在し、冬期には積雪による通行不能区間も存在した。そのため、付替工事ではそれらの諸問題の解消も併せて行っている。

2000年(平成12年)5月23日、付替道路の一部(鶴見ダムサイト線、および漆原乙女隧道までの区間)は、徳山ダムの工事用道路を兼ねて先行して供用が開始された。残りの区間について、当初はダム湖の湖岸沿いにバイパス道路を建設する計画だったが、計画ルートがイヌワシクマタカ等の猛禽類の行動範囲と重なったため、線形を見直して該当箇所をトンネル区間に変更した。同様に付替道路の建設に伴う地形改変(法面擁壁の設置)を低減するため、全線に渡ってトンネル化・橋梁化を図った。それによりトンネル区間は全体の約7割、橋梁区間は約2割となり、改変面積を大幅に減少させている。

なお、徳山バイパスのルート案としては、ダム湖を渡河してダム湖の左岸側を通過する申請案(現行ルート:延長18,800m)、ダム湖の右岸側を通過して終点付近でダム湖の左岸側に渡河する右岸ルート案(延長18,240m)、徳山ダムの下流側で揖斐川を渡河してダム湖の左岸側を通過し、白谷川のダム湖を渡河してダム湖の左岸側を進む左岸ルート案(延長20,330m)の3案が存在したが、自然環境的条件、技術的条件、経済的条件を比較して申請案(現行ルート)が採用されている[1]

2006年(平成18年)9月22日、揖斐川町塚に至るバイパス道路の完成に伴い、徳之山八徳橋の橋上で開通式典を実施し、同日午後2時より全線が供用開始された。

また、2023年令和5年)11月19日に開通した冠山峠道路と接続されたため、岐阜県福井県の短絡ルートとしても期待されている[2]。国道417号は冠山付近が同年11月18日まで自動車通行不能区間の点線国道であり、冠山峠を経由する林道冠山線を代替路として福井県側の河内田代バイパスと接続していた。冠山峠道路が供用されるまで、徳山バイパスの終点は駐車場として整備されていたが[注 1]、冠山峠道路の開通に併せて「冠山ポケットパーク」として再整備され、岐阜県知事古田肇揮毫による「冠山峠道路 開通記念碑」が設置されている[3]。その先は徳山ダムの管理用道路である塚管理用道路(冠山連絡道路)を経て林道塚線及び林道冠山線と接続している。

路線データ

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  • 起点:岐阜県揖斐郡揖斐川町鶴見
  • 終点:岐阜県揖斐郡揖斐川町塚
  • 事業延長:13.7km(付替国道全体では18.8km)
  • 構造規格:第3種第4級
  • 設計速度:50km/h
  • 車線数:2車線
  • 道路幅員:7.0m(漆原乙女隧道以南のトンネル部は6.5m)
  • 事業期間:1990年度(平成2年度) - 2006年度(平成18年度)
  • 計画交通量:1,500台/日
  • 全体事業費:151億円

沿革

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  • 1990年平成2年)度:事業化(都市計画決定なし)、用地買収着手、工事着手
  • 2000年(平成12年)5月23日:付替国道417号(徳山ダム区間)開通式実施、藤橋村(現・揖斐川町)鶴見 - 藤橋村開田間、一部供用開始[4]
  • 2006年(平成18年)9月22日:付替国道417号(徳山バイパス区間)開通式典実施、全線供用開始[5]
  • 2023年令和5年)11月19日:冠山峠道路と接続[2]

主な構造物

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徳之山八徳橋(2007年10月)
カンノセ合掌隧道(2020年9月)
櫨原義徳隧道と扇谷姫街道橋
(2014年11月)
塚白椿隧道(2016年8月)

下記は鶴見ダムサイト線、及び徳山バイパスの構造物一覧である。これらのトンネルや橋の名称には、旧徳山村地名名勝伝説伝承を基に命名されている。なお、トンネルは全て「隧道」と表記されている。難読地名から付けられた名称も多いので、振り仮名も併記する。

道路名 施設名 名称の読み方 完成年 全長 建設時名称 備考(構造、その他)
鶴見ダムサイト線 鶴見杉原橋 つるみすぎはらはし 1998年 112.0m 鋼π型ラーメン橋
池太沢夜叉隧道 いけんだざわやしゃずいどう 1982年8月 [注 2]881.0m 鶴見トンネルとも呼ばれる
藤橋川太郎橋 ふじはしかわたろうはし 1988年 125.0m 鋼橋
花房猿巻橋 はなふささるまきはし 1996年 20.6m PC単純T桁橋
花房ビッキ橋 はなふさびっきはし 1996年 20.6m PC単純T桁橋
雷倉大岩魚橋 かみなりくらおおいわなばし 1996年 220.8m PC橋
犬返歩危橋 いぬかえりほきばし 1998年 84.6m 鋼橋
はるま平太郎橋 はるまへいたろうばし 1998年 193.0m 鋼上路アーチ橋
小津瀬くらしし橋 おづせくらししばし 1988年 61.0m 2径間連続PC箱桁橋
小津瀬もるぞ橋 おづせもるぞばし 1986年 41.0m 2径間連続RCホロースラブ橋
小津瀬天狗橋 おづせぐひんはし 1994年 95.0m 鋼橋
境の尾一里岩隧道 さかいのおいちりいわずいどう 1993年12月 [注 3]761.0m
大津瀬こえぐら橋 おおつせこえぐらばし 1995年 67.0m 鋼単純合成鈑桁橋
大津瀬三本松橋 おおつせさんぼんまつばし 2000年 108.87m 鋼橋
徳山バイパス (徳之山悠久橋) とくのやまゆうきゅうばし (58m) ダムサイト公園及びダム堤体道路への連絡橋
大徳之山隧道 だいとくのやまずいどう 1999年7月 [注 4][注 5][6]954.0m 建設時は3本のトンネルだったが、現在は
スノーシェッドで一体化されている[注 6][注 7]
院谷百丈滝見橋 いんだにひゃくじょうたきみばし 1993年 62.0m 2号橋[7] 鋼橋
美徳千丈滝見橋 びとくせんじょうたきみばし 1994年 55.0m 3号橋[7] 鋼橋
雪姫万丈滝見橋 ゆきひめばんじょうたきみばし 1994年 94.0m 4号橋[7] 鋼橋
道場山隧道 どうじょうやまずいどう 1996年10月 431.5m 3号トンネル
鏡山恵水橋 かがみやまけいすいはし 1997年 240.0m 5号橋[7] 3径間連続PCラーメン箱桁橋ディビダーク橋
漆原乙女隧道 しっわらおとめずいどう 1996年7月 559.0m 4号トンネル[8] 発破NATMのミニベンチ工法[8]
徳之山八徳橋 とくのやまはっとくばし 2006年6月 503.0m 6号橋 3径間連続PCエクストラドーズド箱桁橋
洞山鬼岩隧道 ほらやまおにゅわずいどう 2006年7月 330.0m 5号トンネル[9] NATM工法[9]
クツ尾山之神橋 くぞやまのかみはし 2006年 126.0m 7号橋 鋼3径間連続非合成箱桁橋
クツ尾杉の木橋 くぞすぎのきはし 2006年 36.0m 8号橋 鋼単純非合成鈑桁橋
クツ尾みかぐら橋 くぞみかぐらはし 2006年 66.5m 9号橋 鋼2径間連続非合成鈑桁橋
クツ尾ギソ見橋 くぞぎそみはし 2006年 46.5m 10号橋 鋼単純非合成鈑桁橋
つだウズキ橋 つだうずきはし 2006年 42.0m 11号橋 PC単純コンポ橋
クツ尾ゴンニョ橋 くぞごんにょはし 2006年 26.5m 12号橋 鋼単純非合成鈑桁橋
本郷カンタク隧道 ほんごうかんたくずいどう 2006年7月 1,630.0m 6号トンネル
漆谷上原橋 しったにあんぎゃらはし 2006年 322.5m 17号橋 3径間連続PCラーメン箱桁橋
カンノセ合掌隧道 かんのせがっしょうずいどう 2006年6月 [注 8]1,462.0m 7号トンネル NATM工法
磯谷ベロリ橋 いそんたにべろりはし 2006年 252.0m 25号橋[10] 3径間連続PCラーメン箱桁橋[10]
櫨原義徳隧道 はぜはらぎとくずいどう 2006年7月 1,292.0m 9号トンネル NATM工法
扇谷姫街道橋 おうぎたにひめかいどうはし 2006年 280.0m 27号橋 3径間連続PCラーメン箱桁橋
村平コト谷橋 むらたいらことたにはし 2006年 69.5m 28号橋 鋼2径間連続非合成鈑桁橋
シッペ由定橋 しっぺよしさだはし 2006年 119.0m 29号橋 2径間連続PCラーメン箱桁橋
塚白椿隧道 つかしろつばきずいどう 2006年3月 [注 9]3,330.0m 10号トンネル
  • 全長はトンネルの扁額、銘板、及び橋脚看板に記載された値、または国土交通省「道路メンテナンス年報」(各年度版)による。()はGISデータ(県域統合型GIS ぎふ)に基づく推定値。
  • 橋の構造は、岐阜県揖斐土木事務所による各橋梁の補修に伴う入札公告等による。

交差する道路

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脚注

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注釈

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  1. ^ 冠山峠道路の工事が本格化するまでは簡易ヘリポートも兼ねた比較的大きな駐車場だったが、冠山峠道路の工事に伴い、公衆便所の周辺を除いて駐車スペースが削減されていた。
  2. ^ 銘板が大日本土木施工の「1982年5月完成 延長440.5m」(北側)と佐藤工業施工の「1982年8月完成 延長440.5m」(南側)の2枚存在する。
  3. ^ 銘板が日本国土開発施工の「1982年5月完成 延長378.9m」(北側)と竹中土木福田組JV施工の「1993年12月完成 延長382.1m」(南側)の2枚存在する。
  4. ^ 銘板が大日本土木施工の「1993年5月完成 延長232m」(北側)、市川工務店施工の「1999年7月完成 延長210m」(南側)、トンネル内の淺沼組施工の「1998年12月完成 延長408m」の3枚存在する。
  5. ^ 国土交通省の道路メンテナンス年報データ集(平成29年度)の「道路メンテナンス年報データ集(施設名)」では850mとされている。
  6. ^ 大徳之山隧道(210m)・同1号(408m)・同2号(232m)及び境の尾アツン谷橋(25m)等で構成。
  7. ^ 県域統合型GISぎふでは、北から順に大徳山第1隧道・同第2隧道・同第3隧道と表記している。
  8. ^ 銘板が飛島淺沼特定JV施工の「2006年6月完成 延長662m(全長1462m)」(西側)と鉄建土屋特定JV施工の「2005年3月完成 延長800m(全長1462m)」(東側)の2枚存在する。
  9. ^ 銘板が前田特定JV施工の「2005年11月完成 延長1706m(全長3330m)」(西側)と大豊不動特定JV施工の「2006年3月完成 延長1624m(全長3330m)」(東側)の2枚存在する。

出典

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  1. ^ 一般国道417号(徳山バイパス)改築工事(岐阜県揖斐郡藤橋村大字開田字ホキ山地内から同郡藤橋村大字塚字塚奥山地内までの間)及びこれに伴う附帯工事並びに県道藤橋根尾線改築工事(岐阜県揖斐郡藤橋村大字徳山字フツコ地内から同郡藤橋村大字徳山字白谷地内までの間)及びこれに伴う附帯工事に関する事業認定理由国土交通省中部地方整備局、2003年4月10日
  2. ^ a b 国道417号 冠山峠道路 令和5年11月19日(日)に開通します ~県境を結ぶ冬期の安定的な交通が確保されます~』(プレスリリース)国土交通省近畿地方整備局 福井河川国道事務所、2023年9月29日https://www.kkr.mlit.go.jp/fukui/press/r05/pdf/2023092901.pdf 
  3. ^ 令和5年11月”. ようこそ!知事室へ. 岐阜県庁秘書課 (2023年11月19日). 2023年12月1日閲覧。
  4. ^ 徳山ダム建設所「徳山ダムは「揖斐の守人、濃尾の水瓶」 旧徳山村村民を招いて起工式」『水登ともに』No.437、財団法人水資源協会、2000年6月20日、19頁、doi:10.11501/3213863 
  5. ^ 付替国道417号(徳山バイパス)区間が開通しました』(プレスリリース)独立行政法人水資源機構 徳山ダム建設所、2006年9月22日。オリジナルの2006年11月18日時点におけるアーカイブhttps://web.archive.org/web/20061118013256/http://www.water.go.jp/chubu/tokuyama/news/n-180922.html 
  6. ^ 公共 道路メンテナンス補助(トンネル修繕・付属物修繕)他工事に関する一般競争入札公告 - ウェイバックマシン(2021年10月31日アーカイブ分)、岐阜県揖斐土木事務所、2020年11月17日
  7. ^ a b c d 竹内宏「徳山ダム建設事業の概要と現状」『建設界』第19巻第2号、建設界通信社、1994年2月、33-37頁、doi:10.11501/3314252 
  8. ^ a b 日本トンネル技術協会(編)「藤橋どんどん祭り」『トンネルと地下』第26巻第3号、土木工学社、1995年3月1日、38頁、doi:10.11501/3234549 
  9. ^ a b 平成16年度 徳山ダム 国道付替5号トンネル工事”. 青協建設. 2016年3月4日時点のオリジナルよりアーカイブ。2009年8月1日閲覧。
  10. ^ a b 磯谷ベロリ橋」『PC 設計 NEWS』NO.90、三井住友建設 

参考資料

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関連項目

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外部リンク

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