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広島電鉄550形電車

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
広島電鉄550形電車
554号 江波車庫(許可を得て撮影) 2004年6月撮影
基本情報
製造所 ナニワ工機
製造年 1955年
製造数 5両
運用終了 2006年3月
廃車 2013年4月
主要諸元
軌間 1435 mm
車両定員 80(着席36)人
車両重量 16.40t(冷房改造後)
15.55t(冷房改造前)
全長 12,000 mm
全幅 2,430 mm
全高 4,185(冷房改造後)mm
4,190(冷房改造前) mm
台車 FS68形(標準車)
FS69形(551号高性能時代)
ブリル(551号中古台車時代)
主電動機 SS-50(標準車)
主電動機出力 38kW×2(標準車)
30kW×4(551号高性能時代)
駆動方式 吊り掛け
制御装置 KR-8 直接式
間接式(551号高性能時代)
制動装置 SM-3 直通制動
電空併用制動(551号高性能時代)
備考 全金属製
スペックデータ、各車状況は『ローカル私鉄車両20年 路面電車・中私鉄編』P.155および『私鉄の車両3 広島電鉄』、『いこま 16 広島電鉄』P.31、『鉄道ファン』1989年3月号に基づく
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広島電鉄550形電車(ひろしまでんてつ550かたでんしゃ)は、広島電鉄に以前在籍していた路面電車車両である。

概要

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500形に引き続き、1955年に市内線車両として登場した。ナニワ工機で全5両が製造された。

551号がPCCカーの影響を受けて、新製当初は間接制御で電空併用ブレーキを装備、釣り掛け駆動ながらモーター出力も30kW×4に向上、また台車も新型のFS69形を使用した高性能車として作られ、この車両のみ宮島線への直通許可を受けていた。

552 - 555号は前年に作られた500形を踏襲し、直接制御、モーター出力は38kW×2だったが、使用台車はKS-7形からFS68形に変更された。

共通する新製時の外観の特徴は、正面中央窓が大型化された点。また側面腰板部には電照式のアクリル看板が1車両に付き4箇所設けられ、この電照式看板は、その後、850形2000形2500形に踏襲された。500形と異なり、正面の右・中央上部に通風口が設けられ、左側上部に小型の行先表示器が設けられた。また、車体の材質も500形までの半鋼製から、この車両から全金属製に変更された。

551号は1958年3月に貸し切り運用として宮島線と市内線との初直通運用に、850形とともに充当された。1962年1月に、定期直通運用が始まると850形・2000形・2500形などに混じって運用されたが、2000形および2500形の増備で再び市内線用車両となった。市内線用車両に戻った後は、駆動系のトラブルが多発したこともあって直接制御に改造され、台車も中古のブリル台車に履き替えている。

1974年に全車ワンマン車両になり、中央部に小型の行先表示器が設けられ、左側の表示器はワンマン表示に転用された。

552号が1975年11月1日の千田車庫火災で被災し、1977年4月4日に900形902号とともに廃車になった[注釈 1]

残存する4両に関しては、その後方向幕の電動・大型化が行われ、1983年7月に三菱電機の直流交流変換駆動方式(三菱MDA方式)CU77A集中型(21,000kcal/h×1)で冷房改造が行われた。床下スペースの関係で、350形・500形と同様に補助電源の静止形インバータ装置を屋根上に設置した。冷房改造に併せて、551号は火災で廃車になった552号の機器を流用し台車などを交換、他車との統合が図られた。

1980年代は標準色車の正面に菱形黄色の警戒塗装が施されたが、後に消されている。また、広告電車としても広く使われているほか、一方で当初設置していた電照式看板は埋められた。

2006年3月に運用離脱が始まり、同年6月改正で全て運用離脱となった。最後まで活躍した車両は553・554だった。

運用離脱後

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553・554は運用離脱後しばらく荒手車庫に留置されていたが、2006年8月に解体された。555は、廃車後三菱重工業に譲渡されている[1]

各車状況

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車番 竣工 ワンマン化竣工 冷房改造 所属車庫/
廃車(年月日)
備考
551 1955年11月16日 1974年1月 1983年7月7日 2013年4月18日 2013年4月解体
552 未実施 1977年4月4日 千田車庫火災で被災
553 1983年7月15日 2006年6月 2006年8月解体
554 1983年7月7日 2006年8月解体
555 1983年7月15日 三菱重工業に譲渡後、2021年に解体。

脚注

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注釈

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  1. ^ 同時に1100形1101号も被災したが、翌1976年1月20日に復旧した。

出典

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  1. ^ 鉄道ジャーナル2006年12月号参照

参考文献

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  • 寺田裕一『ローカル私鉄車両20年 路面電車・中小私鉄編』 JTBパブリッシング〈JTBキャンブックス〉 ISBN 4-533-04718-1
  • 長船友則『広電が走る街今昔』 JTBパブリッシング〈JTBキャンブックス〉 ISBN 4-533-05986-4
  • 飯島巌『私鉄の車両3 広島電鉄』 保育社 ISBN 4-586-53203-3
  • 大阪産業大学鉄道研究部『いこま 16 広島電鉄』非売品
  • 『鉄道ファン』1989年3月号
  • 『広島の路面電車65年』(毎日新聞ニュースサービス社・広島電鉄)