小沢訪中団
小沢訪中団(おざわほうちゅうだん)とは、小沢一郎民主党幹事長を名誉団長[1]とする民主党議員143名と一般参加者など483名で構成され、2009年12月10日から12月13日までの4日間の日程で中華人民共和国を訪問した団体の通称[1][2]。2006年7月に小沢が訪中した際の合意[3]に基づく民主党と中国共産党の定期協議も兼ねたもの[2]で、日中関係史上最大規模の訪中団ともされている[4]。
なお、訪中直後の2009年12月15日、習近平国家副主席との天皇特例会見が行われている。
概要
[編集]2006年7月、小沢は民主党代表就任後の初外遊で中国を訪れ、胡錦濤国家主席と会談して日中交流協議機構の設置で合意する[3]。
2007年12月、日中国交正常化35周年を記念して日中交流協議機構は1989年からある「大長城計画」と合同して北京を訪問する(名誉団長は羽田孜、団長代行は菅直人[5])。
2009年12月10日に再び日中交流協議機構が大長城計画との共同訪中団を北京に派遣[3]、胡錦濤国家主席など中国要人と会見した。小沢自身は翌11日から韓国を訪問し、李明博大統領との夕食会などに出席した[1][2]。
小沢は12月10日午後に人民大会堂で胡主席と会談。日中関係の強化、民主党と中国共産党の政党間交流の促進を図ることを確認した[6]。また、小沢は会談で胡主席に対し「(2010年夏の参院選について)こちらのお国(中国)に例えれば、解放の戦いはまだ済んでいない。人民解放軍でいえば、野戦の軍司令官として頑張っている」と述べた[6]。
翌12月11日には梁光烈国防相と会談し、「日本では中国脅威論の名の下に防衛力強化の意見が根強くある」と述べ、中国の軍備拡張に懸念を表明した。梁国防相が「国土と国境線を守るためで覇権を求めるものではない」と反論すると、小沢は「今後も専守防衛の原則に基づいて国防政策を進めていただきたい」と述べた[7]。
小沢に随行した143人の現役国会議員は一人ひとりが胡主席との握手と写真撮影を行った[8][9][10]。握手と写真撮影は中国側が難色を示していたが、小沢の強い希望により実現した[10]。
国内外の反応
[編集]- 香港の衛星放送・鳳凰衛視は「朝貢団か?」などと報じた[11]。
- 石破茂自由民主党政調会長は、「国会議員が修学旅行みたいに写真を撮って満面の笑みを浮かべているのは非常に悲しい思いがした」と批判した[8]。
- 佐々淳行元内閣安全保障室室長は、(「日本の国会議員が胡主席の前に列をなして1人につき1秒足らずで次々と写真撮影を行った」ことについて)「宗主国に恭順する近隣国の『朝貢の図』である」と非難した[9]。
- 評論家の石平は、小沢が人民解放軍の最高指揮官の胡主席との会談で自らを「人民解放軍の野戦司令官」に例え日本を解放中であると述べたことについて批判した[12]。
- 『産経新聞』は「日中両国の意思疎通を図るうえで、顔合わせの意義はある」としながらも、「中国が一党独裁国家であり、両国間で多くの懸案が未解決であることを念頭に置くべき」とし、「問題を糊塗したり封じ込めたりすることのない『真の友人関係』の一助となる訪問を期待する」と要望した[1]。
- アメリカ合衆国上院議員のダニエル・イノウエは「正直驚いた。われわれ上院議員の一部は、大訪中団は自分が実力者であることを小沢氏が誇示するための示威行動だったとみている」と述べている[13]。
団員
[編集]- 小沢一郎
- 姫井由美子
- 青木愛
- 石川知裕
- 田名部匡代
- 太田和美
- 海江田万里
- 小林興起
- 高山智司(訪中団の事務局長)
- 三宅雪子
- 山岡賢次
- 輿石東
- 田中美絵子
- 滝実
- 友近聡朗
- 玉城デニー
- 山尾志桜里
- 細野豪志
- 玉木雄一郎
- 長尾敬
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自由民主党・公明党の例
[編集]- 2003年8月24日には、自由民主党元幹事長の野中広務・古賀誠、保守新党の二階俊博、公明党の太田昭宏らが代表となった数百人規模の訪中団が同様に中国を訪れた[14]。訪中団は親中派議員が中心であり、野中となじみの深い曽慶紅国家副主席と共に南京大虐殺紀念館などを見学した。なお、自民党・公明党は日中交流協議機構に相当する日中与党協議会を創設している。
脚注
[編集]- ^ a b c d “【主張】小沢訪中団 国益に資する議論を望む”. 産経新聞. (2009年12月10日). オリジナルの2009年12月13日時点におけるアーカイブ。 2009年12月20日閲覧。
- ^ a b c “民主・小沢幹事長が中国に向け出発 議員ら626人同行”. 産経新聞. (2009年12月10日). オリジナルの2009年12月13日時点におけるアーカイブ。 2009年12月20日閲覧。
- ^ a b c 山岡賢次 (2010年1月). “日中(民主党・中国共産党)『交流協議機構』について”. 民主党. 2016年10月28日閲覧。
- ^ 『【長城計画訪中団】輿石幹事長職務代行が歓迎宴で挨拶』(プレスリリース)民主党、2009年12月10日 。2009年12月21日閲覧。
- ^ “【大長城計画訪中団】菅代表代行、羽田最高顧問が歓迎宴で挨拶”. 民主党 (2007年10月6日). 2016年10月28日閲覧。
- ^ a b 原川貴郎 (2009年12月10日). “小沢氏、胡中国主席と会談「私は人民解放軍の野戦軍司令官」”. 産経新聞 2009年12月25日閲覧。
- ^ 原川貴郎 (2009年12月11日). “小沢氏、中国国防相と会談 「軍拡を懸念」を伝える 弱腰批判を意識?”. 産経新聞 2009年12月25日閲覧。
- ^ a b “「小沢訪中団は修学旅行」 自民・石破氏”. 産経新聞. (2009年12月11日) 2009年12月20日閲覧。
- ^ a b 佐々淳行 (2009年12月17日). “【正論】初代内閣安全保障室長・佐々淳行 正視に耐えぬ現政権「朝貢の図”. 産経新聞 2009年12月20日閲覧。
- ^ a b “中国にも「写真撮影会、ないなら行かない」と小沢氏”. 産経新聞. (2009年12月23日) 2009年12月30日閲覧。
- ^ “民主小沢は「中国には属国姿勢」、「国内では曹操気取り」…香港報道”. サーチナ. (2009年12月15日) 2009年12月20日閲覧。
- ^ 【石平】中国・人民解放軍は何をやってきたのか. 日本文化チャンネル桜. 15 December 2009. 2009年12月20日閲覧。
- ^ “イノウエ米上院議員 大訪中団で小沢氏をチクリ”. 産経新聞. (2010年1月23日) 2010年1月27日閲覧。
- ^ “自民・野中氏、古賀氏ら北京へ出発”. TBS. (2003年8月24日) 2009年12月30日閲覧。